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(ハッ…)



そうでした。
 神様は、とにかく毎日のように山の担当に戻してほしいとそればかりおっしゃるものですから、気を紛らせようと私は部活動をご紹介したのです。
いろんな部がありますが、神様は甘い物がお好きですから、スィーツ部が良いのではないかと私は考えました。
スィーツ部の顧問はお若く美しい女神様ですし、神様はきっと気に入られると思ったのです。
 私の思惑通り、神様はスィーツ部での活動にすぐに夢中になられました。
ところが……この神様、おそろしく不器用でいらっしゃいまして…
親切丁寧に教えていただいているというのに、粉をひっくり返してあたりを真っ白にしてしまったり、砂糖と塩を間違えるなんてことはしょっちゅうですし、何をどうされたのか、オーブンがぶっ飛んだこともありましたし、とにかく粗相の連続だったのです。
そこで、顧問の女神様が一番簡単なものを…とお考えになられ、ポップコーンの作り方を教えて下さったのです。
なんといっても、コーンに油をさして、フライパンでポン!だけなわけですから、不器用な神様でも無事に作る事が出来たのです。
ポン!が余程楽しかったと見え、神様はご機嫌でポップコーンを作られていたんですが、いくらかけるものを違えて味を変えたとしても毎日そればかり食べていれば飽きるもの…
かく言う私も毎日食べさせられて完全に飽きております。
もしかしたらそんなことが頭にあったから、つい「とうもろこし」が出てしまったのかもしれません。



 「ま、まさか…私が神様に対していやみなど申すわけがありません。
そ、その…とうもろこしはヤングに人気の食べ物ですから、いつまでもヤングなお気持ちを持っておられる神様もお好きなのではないかと…」

ひきつる表情筋を無理に動かし、私は出来る限りにこやかに微笑みました。



 「そうか…とうもろこしはヤングに人気なのか…」

 淡々とそう語られた神様は、何事もなかったようにまた焼き鳥にかぶりつかれました。


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