ルーズリーフ

（に）西へ

「本当かい？本当に見たんだね！？」

 「そんなこと、嘘なんか吐くかよ。」

 「ご、ごめん！それで、そいつ…どっちに行ったんだい？」

 「ここから街道沿いに西へ行ったよ。」

 「西へ…」



 （今度こそ、絶対にみつけてやる！）



 私が探してるのは、ネイサンという男だ。 
 奴とは、ある時、酒場で知り合った。
ネイサンは、明るくて、話がうまくて、とにかく楽しい男なんだ。
 意気投合した私達はしばらく一緒に旅をすることにした。 
 私もネイサンもトレジャーハンターだ。
お宝を探して、あちこちを旅してる。



そして、ある山で私達はお宝を発見した。 
それは、今までに見たことのない大きなピンクダイヤモンドだった。 



 「これはすごい金になりそうだね！
 明日、道具屋に売りに行こう！
あ、もちろん、儲けは綺麗に折半だからね！」

 「馬鹿を言うな。
このお宝はあんたの仕入れた情報によってみつけられたんだ。
 儲けは全部あんたのもんだ。
 俺には酒でもおごってくれよ。」

 「ネイサン…」

なんて良い奴なんだろうって、私は惚れてしまいそうになった。 



ところが、次の朝… 
ネイサンの姿はなかった。 
ネイサンだけじゃない。 
みつけたダイヤモンドもなくなってたんだ。 



 （く、くそーーー！ネイサンの奴…絶対に許さない！）



その日から私はずっと奴の行き先を探し回った。 
だけど、なかなかみつからない。 
 日が経てば経つほど、奴の足取りはわからなくなり、諦めてしまいそうになることもあったけど、ここに来て、私はようやく奴の足取りを掴んだ。 



 （今度こそ、絶対にみつけてやる…！）



 私は西に向かって、ひたすらに歩き続けた。