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Glass

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私は、彼と結婚相手の訃報をわくわくしながら待っていた。



だけど、二日経っても、三日経っても、そんなニュースは聞かれなかった。



 落ち着かない日々が続いた。
そんなある日、意外にも、彼から電話がかかってきたのだ。



 「今日会えないかな?」

 「え?ええ、いいわよ。」



なぜ彼は死ななかったんだろう?
 不思議に思いながら、私は彼と会う約束をした。



 *




 「これ、彼女から。
ワイングラスのお返しなんだってさ。」

 「え?そうなの?」

 「開けてみなよ。」

 「ええ…」



 入っていたのは、ガラスのティーポットと、紅茶だった。



 「素敵なポットね。」

 「なかなか良いセンスだよね。
せっかくだから、飲んでみようか?」

 「そうね…」

 彼は普段はコーヒー党なのに…
私はどちらもいただくけど…



慣れた手付きで、彼はポットに茶葉を入れた。



 「良い香りだね。」

 「本当…」



 紅茶を一口飲んだ時、私は異変に気付いた。



 「うっ…」

 彼が血を吐いて倒れ、苦し気にうごめく。
 私も、すぐに同じようにその場に倒れ…



(やられた……)



 彼女は、きっとグラスに塗った毒薬に気が付いたんだ。
 送り主が彼と関わっている女だということも。
だから、こんな報復を…



でも…まさか、彼までが紅茶を飲むとは思わなかったでしょうね…



そう思ったら、なんだか気持ちがすっとして…私はとても満足した気持ちで、逝けた。



 (あなたには渡さない…)




 ~fin.
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