栗ごはん

４

＊



「おかえりなさい。」

「婆さん、今日は珍しいお客さんを連れて来たぞ。」

「珍しいお客さん？
……おやまぁ！」

老婆は二人の姿を見て、目を丸くした。



「婆さん、なにかうまいものをこさえてやってくれ。」

「でも、私、外国の人の口にあう料理なんて作れませんよ。」

「いえ、日本の料理で大丈夫です！」

マイケルはそう言ってにっこり笑った。



「そうですか？じゃあ、待ってて下さいね。」

老婆は、照れくさそうにそう言うと、いそいそと部屋の奥に引っ込んでいった。




「これが、日本の家か～…」

マイケルは、興味深そうに部屋の中をきょろきょろと見渡した。
それとは裏腹に、リチャードは薄い座布団の上に座り、居心地が悪そうに小さな溜息を吐いた。



「あんたら、どこから来なすったのかね？」

「えっと…」

「い、イギリスです！」

「イギリスか～…そりゃあ遠い所からご苦労さんなこったな。
こっちへは観光かい？」

「はい、まぁ…」

マイケルは、曖昧に返事をし、愛想笑いを浮かべた。



「でも、なんで、こんな何もない所に…？」

「何もない…所？」

マイケルとリチャードは怪訝な顔で小首を傾げた。