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*
最悪だ。
この時程、自分の口下手が悔しかったことはない。
休み時間も遼ちゃんは私に話しかけてくれることはなかった。
考えてみれば、それも当然のことだ。
遼ちゃんは、私に二股をかけられてると思ってる。
それだけじゃなく、クラスのみんなにもそのことを知られてしまったんだから。
*
「クニさん!」
「あれ?どうしたの?」
「……クニさん!」
私は授業が終わると、また神社に向かっていた。
クニさんの顔を見たら、胸がいっぱいになって、思わず抱き着いて泣いてしまった。
「ねぇ、一体どうしたの?
あ……」
その時、不意に砂利を踏みしめる音がして…
「まずいよ。今、遼ちゃんが来てた。
誤解されたんじゃない?」
「えっ!?」
振り向くと、遼ちゃんの後ろ姿がちらりと見えた。
終わった…
そう思った。
きっと、遼ちゃんは今日のことを話そうと思って、私の後をつけてきたのだろう。
でも、そこでこんな姿を見られるなんて…
「もうダメ。
もう何を言っても信じてもらえない。」
「一体、何があったんだい?」
私は泣きながら、今日のことを話した。
「そっか、昨日のこと、見られてたんだね。
でも、なんでそうはっきり言わなかったんだい?」
「クニさんのこと、なんて言えば良いのかわからなかったし…」
「友達じゃダメだったの?」
「で、でも…私…男友達がいるようなタイプじゃないし…」
「そっか、またいつもの真面目癖が出ちゃったんだね。
じゃあ、私から遼ちゃんに説明してあげようか?」
クニさんならうまく説明出来るだろうか?
いや、一緒に買い物してるところもみられて、今もまた見られて…
そんなの信じてもらえるはずがない。
「……良いです。
私を元の世界に戻して下さい。」
「え?説明もせずに、このまま帰るの?」
「……はい。」
「とりあえず、今夜一晩は考えてみてよ。
帰るのはいつでも出来るんだから。」
私はすぐに帰りたいと言ったけど、クニさんはそれを聞き入れてはくれなかった。
最悪だ。
この時程、自分の口下手が悔しかったことはない。
休み時間も遼ちゃんは私に話しかけてくれることはなかった。
考えてみれば、それも当然のことだ。
遼ちゃんは、私に二股をかけられてると思ってる。
それだけじゃなく、クラスのみんなにもそのことを知られてしまったんだから。
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「クニさん!」
「あれ?どうしたの?」
「……クニさん!」
私は授業が終わると、また神社に向かっていた。
クニさんの顔を見たら、胸がいっぱいになって、思わず抱き着いて泣いてしまった。
「ねぇ、一体どうしたの?
あ……」
その時、不意に砂利を踏みしめる音がして…
「まずいよ。今、遼ちゃんが来てた。
誤解されたんじゃない?」
「えっ!?」
振り向くと、遼ちゃんの後ろ姿がちらりと見えた。
終わった…
そう思った。
きっと、遼ちゃんは今日のことを話そうと思って、私の後をつけてきたのだろう。
でも、そこでこんな姿を見られるなんて…
「もうダメ。
もう何を言っても信じてもらえない。」
「一体、何があったんだい?」
私は泣きながら、今日のことを話した。
「そっか、昨日のこと、見られてたんだね。
でも、なんでそうはっきり言わなかったんだい?」
「クニさんのこと、なんて言えば良いのかわからなかったし…」
「友達じゃダメだったの?」
「で、でも…私…男友達がいるようなタイプじゃないし…」
「そっか、またいつもの真面目癖が出ちゃったんだね。
じゃあ、私から遼ちゃんに説明してあげようか?」
クニさんならうまく説明出来るだろうか?
いや、一緒に買い物してるところもみられて、今もまた見られて…
そんなの信じてもらえるはずがない。
「……良いです。
私を元の世界に戻して下さい。」
「え?説明もせずに、このまま帰るの?」
「……はい。」
「とりあえず、今夜一晩は考えてみてよ。
帰るのはいつでも出来るんだから。」
私はすぐに帰りたいと言ったけど、クニさんはそれを聞き入れてはくれなかった。
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