叶わぬ恋の神頼み！？

２８

「凛子…なんか…その、ごめんね…」

 「どうして謝るの？
そりゃあ、私も遼君のこと、大好きだったけど…
でも、遼君が他の女の子じゃなくてお姉ちゃんを選んでくれたことはすっごく嬉しいし、遼君は見る目があると思うよ。」

 「えっ！？」

 凛子のその言葉で、私は急に現実に連れ戻されたような気がした。



 私は見た目も良くないし、取り柄と言えるようなものも何もない。
そもそも、遼ちゃんに告られたのだって、ここがそういう特殊なパラレルワールドだからだもん…



「良く考えるとおかしいよね。
 遼ちゃんみたいに素敵な人が私を選ぶなんて…」

 「そんなことないよ。
お姉ちゃんは真面目だし、優しいし、本もいっぱい読んでるからいろんなこと知ってるし。」

 凛子は確かに昔からそんなことを良く言ってくれる。
でも、それってあんまりフォローにはなってない。
 真面目って言うのは面白みがないってことだし、優しいっていうのは気が弱いってことだし、私が読む本は偏ってるから、知ってることだって特に何の役にも立たない豆知識みたいなものだもの。



いっぺんに魔法が解けたような気がした。
やっぱり、無理がある。
 遼ちゃんが私を好きになるなんて、まともに考えたらありえないことだ。



そんなことに気付いたら、自分のことがたまらなく惨めに思えて来た。



 （やっぱりだめだ…こんなの。）



 「ちょっと、コンビニ行って来るね。」

 一人になりたくて、咄嗟に私はそんなことを口走っていた。



 「え？なんで？」

 「え？お、お菓子が食べたくて…」

 「お菓子なら…」

 凛子の言葉を無視して、私は家から飛び出した。