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三人がディーフォースを探しに出てから、すでに三年もの月日が流れていました。
いつしか路銀も底を付き、三人は野宿をしながら、それでもなおディーフォースを探していました。
「兄さん、本当にこんなところにあるんですか?」
「とても高くて寒い山にあるって聞いたんだ。
……ライア…大丈夫か?」
「ええ、私なら平気よ。」
三人は険しい山道を今日も歩き続けていました。
*
王都には毎日あちらこちらから、大勢の旅人が立ち寄ります。
フリードが非番のある日、町をぶらぶらしていたところ、酔っ払いの男に出会いました。
男はずいぶんと酔っていました。
足がもつれてよろめいた時、フリードが咄嗟に男の体を受けとめました。
男は、そのことをとても感謝し、良いことを教えてやると言いました。
「俺は長年、この世界を旅してきた。
だが、どこよりも快適なのが、理想郷・ディーフォースだ。
ディーフォースはこの大陸の北端の山にあるんだ。
そりゃあもう高くて寒い山でな。
だが、理想郷は春みたいに暖かいんだ。
ディーフォースに続く場所はとてもわかりにくいが、その場所は風が教えてくれるんだとよ。」
*
「だから、きっとこのあたりにあると思うんだ。」
「でも、このあたりには高い山だらけです。」
「その通りだな。だから、そのすべてを探すしかないな。」
季節は夏だというのに、山は冷え冷えとしていました。
寒さに凍え、ろくな食事もとれずにひもじさに耐えて、三人は山道をただひたすら登り続けました。
「だいぶ暗くなってきたな。これ以上は危険だ。どこかで休まなければ。」
三人は、今夜眠る場所を探しました。
三人がディーフォースを探しに出てから、すでに三年もの月日が流れていました。
いつしか路銀も底を付き、三人は野宿をしながら、それでもなおディーフォースを探していました。
「兄さん、本当にこんなところにあるんですか?」
「とても高くて寒い山にあるって聞いたんだ。
……ライア…大丈夫か?」
「ええ、私なら平気よ。」
三人は険しい山道を今日も歩き続けていました。
*
王都には毎日あちらこちらから、大勢の旅人が立ち寄ります。
フリードが非番のある日、町をぶらぶらしていたところ、酔っ払いの男に出会いました。
男はずいぶんと酔っていました。
足がもつれてよろめいた時、フリードが咄嗟に男の体を受けとめました。
男は、そのことをとても感謝し、良いことを教えてやると言いました。
「俺は長年、この世界を旅してきた。
だが、どこよりも快適なのが、理想郷・ディーフォースだ。
ディーフォースはこの大陸の北端の山にあるんだ。
そりゃあもう高くて寒い山でな。
だが、理想郷は春みたいに暖かいんだ。
ディーフォースに続く場所はとてもわかりにくいが、その場所は風が教えてくれるんだとよ。」
*
「だから、きっとこのあたりにあると思うんだ。」
「でも、このあたりには高い山だらけです。」
「その通りだな。だから、そのすべてを探すしかないな。」
季節は夏だというのに、山は冷え冷えとしていました。
寒さに凍え、ろくな食事もとれずにひもじさに耐えて、三人は山道をただひたすら登り続けました。
「だいぶ暗くなってきたな。これ以上は危険だ。どこかで休まなければ。」
三人は、今夜眠る場所を探しました。
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