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「とてもおとなしいのね。
でも、どうしてここにペガサスがいるの?
お父さんは、どうしてここにペガサスがいることを知ってたの?」

 「話せば長いことなんだけどな…」

そう言って、ジェームスはゆっくりと話し始めました。



 遥か昔…町は酷い飢饉に遭い、食べ物が無くなり、町の皆が餓死しかけたことがあり、その時、大きな船に乗り、空から降りてきた神様に救われたことを…



「神様はいつでもこの町の民を見守り、困った時には必ず助けると約束して下さり、その証にペガサスを下さったんだそうだ。」

 「そうなんだ。でも、どうしてお父さんはそんなことを知ってるの?」

 「ペガサスの世話をする者に選ばれたからだよ。
 本来、そのことは誰にも話してはいけない。
ここにペガサスがいること自体、知られてはいけないんだ。
おまえたちも、絶対に話してはいけないよ。」

 「うん、わかったわ!」

 「僕も絶対に言いません!」

ジェームスは、満足そうに頷きました。



 「でも、毎日、こんな所まで来るのは大変じゃないの?」

 「そりゃあ大変さ。
でも、ペガサスのことは知られてはいけないし、ペガサスは洞窟前の赤い果実しか食べないんだ。
この木の実はここにしかないものだし、ペガサスには決して他の食べ物を与えてはいけないって言われてるんだよ。」

 「そうなんだ…あ、もしかして、あの不思議な笛の音も何かこのペガサスと関係あるの?」

 「信じられないだろうが、あれはこの子の鳴き声なんだよ。」

 「えっ!?」

エリックとアデリナは驚き、顔を見合わせました。
でも、ただの伝説だと思っていたペガサスが実際にいたのです。
あれがペガサスの鳴き声だという話も何となく信じられるような気がしました。



 「さて…今日の世話は済んだ。
そろそろ帰ろうか。」

 「はい。」

アデリナとエリックは、帰りがけにどうしても気になって、赤い果実をこっそりとポケットにしのばせました。
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