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#side ヴァンス ~大切な妹は、僕の初恋の人~
もう迷わない・・・ 2
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そういえば・・・いつからだろう・・・?
フローラがフローラらしく戻ったのは・・・?
フローラは幼い時こそ『騎士になる!』と勝気な正義感の強い・・・そう正に今、目の前に居るフローラそのものだったが・・・
今の屋敷へ移り住んでから暫くすると・・・公爵令嬢らしい女性へと変わっていった筈だ。
それは寂しい事でも有ったが・・・仕方が無い事でも有った。
前のままのフローラでは・・・貴族界では浮いてしまって仕方が無いだろうし・・・歴史の浅い我が家が突拍子な事をすれば袋叩きにされてしまうのが目に見えて居たから。
だが・・・フローラはルークフォン殿下とキースランド伯爵令嬢という、貴族界を牛耳れる面々を味方につけて・・・昔の様に暴れ回る様になってしまった。
(もしかして・・・慎ましい公爵令嬢の姿は演技だったとでも言うのだろうか・・・?)
そう考えればーーーフローラはただ正義感が強いだけの猪突猛進女では無い。
きちんとゴールまでのプロセスを構築してそれを年単位で遂行する事が出来る・・・計算高い女性という事になる。
(凄いな・・・!フローラ・・・!なるほど、主席合格してしまうのも・・・納得だ。)
「フローラらしいね・・・。僕よりも騎士に向いているよ、きっと・・・」
「ええ!だから任せて下さい!私が殿下をコテンパンにやっつけて見せますわ!!」
自身満々なのかドン!と胸を叩くフローラの堂々とした姿に思わず笑みが溢れてしまう。
「良いんだ・・・。フローラ、有難う。もう迷わないから・・・!」
そうだーーー。
フローラはやり遂げたんだもんな。
僕だってーーー自分の為にやり遂げたい・・・!
「お兄様・・・?」
僕の様子が変わった事を察したフローラは・・・自分が僕をそう吹っ切らせたという事に気付いていないのか・・・首を傾げてしまっている。
もう一つフローラに迷いを断ち切って貰いたいものがあった僕は、フローラに続けて問いかけた。
「フローラ・・・例え許されない事だと分かっていても・・・それが欲しくて堪らない場合、君ならどうする?」
勿論ーーー・・・、これはフローラの事だ。
何度も何度も諦めようとしたけれど・・・諦める事が出来なかった・・・僕の愛しい思い人。
「え~・・・っと、それって・・・今日の決闘に関係あるのですか・・・?」
「とても有るよ・・・。とてもね。」
まさか自分の事を聞かれているとは思っていないフローラの姿に、思わず薄っすら笑みを浮かべてしまう。
口許で手を組んで、膝を付き合わせる形で馬車に揺られている僕達2人に暫し沈黙が訪れる。
暫くじっと僕の瞳を見つめていたフローラが、視線を外し小さく息を吐いた様子に返事がついに来ると身構える。
「私がどうのこうのと言うよりも・・・お兄様に一つ、言っておきたい事が御座います。」
(・・・・・・・!!!)
予想外のその返答に思わず首を傾げると・・・これは更に予想外だったのだが、両手でフローラに両頬を押さえつけられて、
眼前までやって来たフローラの真剣な瞳が僕を捉えて離さない。
「例え世界中の人間が許さなくても・・・私が許します!!いいえ、私が世界中の人間を説得して見せます!」
それはーーー・・・僕が望んでいた以上の、言葉だったーーー。
まるで僕が・・・フローラを好きでいる事を許すと言われている様なその言葉に思わず顔が熱を持ち始めてしまう。
(よくよく考えれみれば・・・顔、ちかーーー!)
恐らく僕の顔が見た事ない程に真っ赤になっていたのだろう・・・フローラの手が頬へと当てられた。
「お、お兄様?!大変ですわ!とっても熱い・・・!い、医者、・・・お医者様ですわー!!!」
僕の体温が想像以上に上がってしまっていたのか・・・プチパニックを起こしてしまっているフローラは、
あろう事か・・・小窓を開けて御者に行先を学園から治療院へと変更する様に伝えようとするので・・・全力で阻止した。
「だ、大丈夫だから・・・!ごめんフローラ、これは・・・体調が悪いんじゃないんだ・・・。」
「そう・・・なのですか?」
(それに・・・医者に連れて行かれた所できっと治せないしね・・・これは。)
僕の体調を本気で心配してくれているフローラに愛おしさが込み上げて来てしまい・・・思い切り抱きしめたくなったが・・・
グッと我慢をして、いつもの様に優しく頭をポンポンと頭を撫でた。
「もう迷わない・・・今日の決闘、フローラの為にーーーー勝つよ。」
フローラがフローラらしく戻ったのは・・・?
フローラは幼い時こそ『騎士になる!』と勝気な正義感の強い・・・そう正に今、目の前に居るフローラそのものだったが・・・
今の屋敷へ移り住んでから暫くすると・・・公爵令嬢らしい女性へと変わっていった筈だ。
それは寂しい事でも有ったが・・・仕方が無い事でも有った。
前のままのフローラでは・・・貴族界では浮いてしまって仕方が無いだろうし・・・歴史の浅い我が家が突拍子な事をすれば袋叩きにされてしまうのが目に見えて居たから。
だが・・・フローラはルークフォン殿下とキースランド伯爵令嬢という、貴族界を牛耳れる面々を味方につけて・・・昔の様に暴れ回る様になってしまった。
(もしかして・・・慎ましい公爵令嬢の姿は演技だったとでも言うのだろうか・・・?)
そう考えればーーーフローラはただ正義感が強いだけの猪突猛進女では無い。
きちんとゴールまでのプロセスを構築してそれを年単位で遂行する事が出来る・・・計算高い女性という事になる。
(凄いな・・・!フローラ・・・!なるほど、主席合格してしまうのも・・・納得だ。)
「フローラらしいね・・・。僕よりも騎士に向いているよ、きっと・・・」
「ええ!だから任せて下さい!私が殿下をコテンパンにやっつけて見せますわ!!」
自身満々なのかドン!と胸を叩くフローラの堂々とした姿に思わず笑みが溢れてしまう。
「良いんだ・・・。フローラ、有難う。もう迷わないから・・・!」
そうだーーー。
フローラはやり遂げたんだもんな。
僕だってーーー自分の為にやり遂げたい・・・!
「お兄様・・・?」
僕の様子が変わった事を察したフローラは・・・自分が僕をそう吹っ切らせたという事に気付いていないのか・・・首を傾げてしまっている。
もう一つフローラに迷いを断ち切って貰いたいものがあった僕は、フローラに続けて問いかけた。
「フローラ・・・例え許されない事だと分かっていても・・・それが欲しくて堪らない場合、君ならどうする?」
勿論ーーー・・・、これはフローラの事だ。
何度も何度も諦めようとしたけれど・・・諦める事が出来なかった・・・僕の愛しい思い人。
「え~・・・っと、それって・・・今日の決闘に関係あるのですか・・・?」
「とても有るよ・・・。とてもね。」
まさか自分の事を聞かれているとは思っていないフローラの姿に、思わず薄っすら笑みを浮かべてしまう。
口許で手を組んで、膝を付き合わせる形で馬車に揺られている僕達2人に暫し沈黙が訪れる。
暫くじっと僕の瞳を見つめていたフローラが、視線を外し小さく息を吐いた様子に返事がついに来ると身構える。
「私がどうのこうのと言うよりも・・・お兄様に一つ、言っておきたい事が御座います。」
(・・・・・・・!!!)
予想外のその返答に思わず首を傾げると・・・これは更に予想外だったのだが、両手でフローラに両頬を押さえつけられて、
眼前までやって来たフローラの真剣な瞳が僕を捉えて離さない。
「例え世界中の人間が許さなくても・・・私が許します!!いいえ、私が世界中の人間を説得して見せます!」
それはーーー・・・僕が望んでいた以上の、言葉だったーーー。
まるで僕が・・・フローラを好きでいる事を許すと言われている様なその言葉に思わず顔が熱を持ち始めてしまう。
(よくよく考えれみれば・・・顔、ちかーーー!)
恐らく僕の顔が見た事ない程に真っ赤になっていたのだろう・・・フローラの手が頬へと当てられた。
「お、お兄様?!大変ですわ!とっても熱い・・・!い、医者、・・・お医者様ですわー!!!」
僕の体温が想像以上に上がってしまっていたのか・・・プチパニックを起こしてしまっているフローラは、
あろう事か・・・小窓を開けて御者に行先を学園から治療院へと変更する様に伝えようとするので・・・全力で阻止した。
「だ、大丈夫だから・・・!ごめんフローラ、これは・・・体調が悪いんじゃないんだ・・・。」
「そう・・・なのですか?」
(それに・・・医者に連れて行かれた所できっと治せないしね・・・これは。)
僕の体調を本気で心配してくれているフローラに愛おしさが込み上げて来てしまい・・・思い切り抱きしめたくなったが・・・
グッと我慢をして、いつもの様に優しく頭をポンポンと頭を撫でた。
「もう迷わない・・・今日の決闘、フローラの為にーーーー勝つよ。」
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