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本編

メイド服が欲しいんです。

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「エド・・・厚かましいお願いで申し訳ないのだけれど・・・メイド服を貸して頂けないかしら?」

「え?どうして?服ならクローゼットに沢山入っていたろう?」

私が持参したワンピースとエプロンでは、やはり悪目立ちしてしまうらしく・・・今日もジロジロと見られながらこの部屋まてやって来た。

まぁ自分がこの王立学園に分不相応なのは百も承知なので、ジロジロ見られる位は全然へっちゃらなのだが・・・

如何せん、エドマンドの部屋があるこの一角のレベルが違い過ぎるのだ。使用人だからとて・・・こんなみすぼらしい格好をしている人間など居ない。

「いや・・・あれはどう見てもドレスの類でしょうが・・・。作業するのに向かないし、かと言ってこの服装じゃ悪目立ちして、ハイネス公爵家の品位を落としてしまうから・・・。」

「別にフレイが好きな服を着たら良いじゃないか?汚れたら新しいものを買えば良いー」

「そんな無駄使いは駄目よ!!それに私はメイドとして此処に来ているのだから・・・メイド服が欲しいの!」

「わ、わ、分かったよ・・・。爺やに連絡しておくから・・・そんな怖い顔しないで?ね?」

「くれぐれも・・・メイド服だからね?宜しくお願い致します、

私のお説教スイッチが入る前に早々に話を切り上げたそうなエドマンドに「本当に分かってるの?」と問い詰めたい気持ちもあったが・・・

(まぁ・・・エドが直接買いに行くのでは無いなら・・・大丈夫よね?爺やに任せましょう。)

そう思い、エドマンドの靴磨きを始めた。

これが、エドマンドの自室で10日前にした会話である。



「な、な、何故・・・?!私の部屋に仕立て屋が来ているの?!エド・・・!!」

全速力でエドマンドの部屋まで来た私は、肩で息をしながらもエドマンドに問いかける。

「え?だってフレイがメイド服が欲しいっていー」

「メイド服を新しく仕立てて貰うメイドがどこの世界に居るって言うの?!公爵邸に着古したものが有るでしょうが?!」

まるで驚いている私の方が変だと言いたい様なその態度に・・・思わず詰め寄ってそう言い放つ。

「そんなものをフレイに着せる事なんて出来ないよ!」

「それに何なの?!この高級な布は?!私は・・・肥やしが欲しいのでは無くて、メイド服が欲しいのよ・・・?」

仕立て屋から渡され布地を広げてエドマンドの眼前まで持っていく。
素人目で見てもすぐに高級なものだと分かる布地は・・・どう考えても使用人が身に付けるものでは無い。

「そんな事言われても・・・もう買ってしまったよ・・・?」

「爺やにちゃんと伝えたの?!メイド服が欲しいって・・・!!!」

「つ、伝えたよ~!〝フレイに似合う最高級のメイド服を誂える様に〟って・・・」

「なるほど・・・た、確かに・・・最高級の布に王都で人気の仕立て屋・・・最高級のメイド服だわね・・・。」



(ー・・・って!!全然、なるほどじゃなぁぁぁぁぁい!!!)



そして何だろうーーー・・・

何となく、爺やに裏切られた気分になった・・・。

これがエドマンドの自室て項垂れる私が、7日前にした会話である。
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