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本編
6年ぶりの再会
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ーーーコンコンッ、
ノックの音が鳴り響き、ついにその時が来たかと思わず全身に力が入ってしまう。
扉の閉まる音を遠くに感じると、革靴のコツコツと言う音が迫って来ている。
(エドに・・・6年ぶりに会える・・・!うわぁぁぁ・・・!)
玄関ホールの先で有るダイニングの入り口部分を緊張の面持ちで見つめていた私は・・・
エドが来ると信じて疑わなかった為、似ても似つかない男性の姿に思わず拍子抜けしてしまった。
(え・・・・・・誰?!)
見つめ合ったまま数秒経った頃合で、私が口を開く。
「あの~・・・お部屋をお間違えでは無いでしょうか・・・?」
男性は・・・端正な顔立ちに高身長で、その佇まいから・・・かなり高位な方だと感じた。
日頃から鍛えていらっしゃるのか・・・細身ながらも男らしさを感じさせる腕や足にしなやかな体は、色気を醸し出している。
(まるでお伽話から王子様が飛び出して来たみたいな人ね・・・!王立学園、恐るべし!!)
「フレイ・・・!会いたかったーーー・・・っ!」
「え?!きゃあー!!何をするのですか?!ヤメて下さい!!」
私の質問に答える事もなく急に抱きついて来た男性に、思わず悲鳴を上げてしまった私は、
ボカボカと無我夢中で叩く殴るの必死の抵抗をして・・・何とか男性の腕から逃れられた。
「ぼ、僕だよ!エドマンドだよ・・・!」
「はぁ?!・・・嘘も大概になさいませ!!」
そう言われて、咄嗟に上から下まできちんと見るが・・・
どう考えても私の知っているエドマンドとは、似ても似つかないその男性の姿に嘘で有ると判断する。
途端に怒りが込み上げて来てしまい、口調が強くなってしまう。
「本当だよ!よく見て、ほら!!」
食い下がり続ける男性の姿に・・・違和感を覚えつつも再度、じっくりと見てみるがーーー・・・
(確かに・・・薄水色の瞳と赤茶色の髪の色は同じだけれど・・・それ以外が別人過ぎるわよ!!)
「僕、隣国の食べ物が合わなくて・・・凄く痩せたんだ!それから、フレイを守れる様に体も鍛えた!身長も12歳頃から毎日成長痛で眠れない程、ぐんぐん伸びて・・・!」
私の怪訝そうな表情から未だ疑いを向けていると察した、エドマンドと名乗る男性は必死に言葉を並べている。
「本当に・・・?エド・・・なの・・・?」
その話し方や仕草・・・声は・・・、確かにエドマンドを彷彿とさせるものだった為、もしかして・・・と思い始めた私は、再度確認してしまう。
「どうやったら信じて貰えるのかな・・・?」
少し悲しそうな顔を浮かべてそう聞かれてしまった私は・・・何だかとても申し訳ない事をしてしまった様な気持ちになってしまい、咄嗟の思いつきで提案をしてしまう。
「じゃ、じゃあ!!胸に有る筈の痣を見せて頂戴よ!それで、信じるわ!」
「・・・・・・え、あ、フレイが大丈夫なら・・・僕は良いけど。」
少し顔を赤くしてモジモジする自称エドマンドの姿を見た私は・・・ようやく自分が、とんでもない提案をしてしまった事に気が付いた。
(わ、私の阿呆~!殿方の胸を見たいだなんて・・・痴女では無いか!!!)
「いや・・・!ちょ、あの・・・、」
私が止めるよりも先に服を脱ぎ始めてしまっている男性の姿に・・・思わず顔が赤くなってしまう。
(いや・・・ここまで来たら、いっそ痣を確認して、すっきりしてしまいたいわ・・・!)
頭から煙を出しそうな勢いで恥ずかしいが・・・何とか意識を繋ぎ止めて、胸が出てくるのを今か今かと待ち構えて見ている。
「ほら・・・、フレイが言っているのは、これだろう?」
シャツのボタンを外し終わった男性は、シャツを少し広げると胸にある痣を私がよく見える様にと胸を張っている。
「ほ、本当だ・・・。痣が・・・ある。」
っと言うことは、導き出される答えは一つであるーーー。
「本当にエドなの?!!」
「フレイ・・・!良かった~、信じて貰えなかったら、どうしようかと思ったよ。」
そう脱力しながらへたり込んだエドマンドに、「ごめんね?」と下から顔を覗きこめば、「気にしないで」と笑ってくれた。
だが、私が分からないのも無理はないと思うのだ。
それ位、エドマンドの見た目は変わってしまっている。
「エド・・・カッコ良くなったわね!」
「フレイも・・・とても可愛くなったね?」
「・・・・・・!!!」
幼い頃に似たようなやり取りを重ねた筈なのに、エドマンドの『可愛い』の破壊力に言葉を失ってしまった私は・・・ただただ顔が赤くなっていく感覚に襲われていた。
ノックの音が鳴り響き、ついにその時が来たかと思わず全身に力が入ってしまう。
扉の閉まる音を遠くに感じると、革靴のコツコツと言う音が迫って来ている。
(エドに・・・6年ぶりに会える・・・!うわぁぁぁ・・・!)
玄関ホールの先で有るダイニングの入り口部分を緊張の面持ちで見つめていた私は・・・
エドが来ると信じて疑わなかった為、似ても似つかない男性の姿に思わず拍子抜けしてしまった。
(え・・・・・・誰?!)
見つめ合ったまま数秒経った頃合で、私が口を開く。
「あの~・・・お部屋をお間違えでは無いでしょうか・・・?」
男性は・・・端正な顔立ちに高身長で、その佇まいから・・・かなり高位な方だと感じた。
日頃から鍛えていらっしゃるのか・・・細身ながらも男らしさを感じさせる腕や足にしなやかな体は、色気を醸し出している。
(まるでお伽話から王子様が飛び出して来たみたいな人ね・・・!王立学園、恐るべし!!)
「フレイ・・・!会いたかったーーー・・・っ!」
「え?!きゃあー!!何をするのですか?!ヤメて下さい!!」
私の質問に答える事もなく急に抱きついて来た男性に、思わず悲鳴を上げてしまった私は、
ボカボカと無我夢中で叩く殴るの必死の抵抗をして・・・何とか男性の腕から逃れられた。
「ぼ、僕だよ!エドマンドだよ・・・!」
「はぁ?!・・・嘘も大概になさいませ!!」
そう言われて、咄嗟に上から下まできちんと見るが・・・
どう考えても私の知っているエドマンドとは、似ても似つかないその男性の姿に嘘で有ると判断する。
途端に怒りが込み上げて来てしまい、口調が強くなってしまう。
「本当だよ!よく見て、ほら!!」
食い下がり続ける男性の姿に・・・違和感を覚えつつも再度、じっくりと見てみるがーーー・・・
(確かに・・・薄水色の瞳と赤茶色の髪の色は同じだけれど・・・それ以外が別人過ぎるわよ!!)
「僕、隣国の食べ物が合わなくて・・・凄く痩せたんだ!それから、フレイを守れる様に体も鍛えた!身長も12歳頃から毎日成長痛で眠れない程、ぐんぐん伸びて・・・!」
私の怪訝そうな表情から未だ疑いを向けていると察した、エドマンドと名乗る男性は必死に言葉を並べている。
「本当に・・・?エド・・・なの・・・?」
その話し方や仕草・・・声は・・・、確かにエドマンドを彷彿とさせるものだった為、もしかして・・・と思い始めた私は、再度確認してしまう。
「どうやったら信じて貰えるのかな・・・?」
少し悲しそうな顔を浮かべてそう聞かれてしまった私は・・・何だかとても申し訳ない事をしてしまった様な気持ちになってしまい、咄嗟の思いつきで提案をしてしまう。
「じゃ、じゃあ!!胸に有る筈の痣を見せて頂戴よ!それで、信じるわ!」
「・・・・・・え、あ、フレイが大丈夫なら・・・僕は良いけど。」
少し顔を赤くしてモジモジする自称エドマンドの姿を見た私は・・・ようやく自分が、とんでもない提案をしてしまった事に気が付いた。
(わ、私の阿呆~!殿方の胸を見たいだなんて・・・痴女では無いか!!!)
「いや・・・!ちょ、あの・・・、」
私が止めるよりも先に服を脱ぎ始めてしまっている男性の姿に・・・思わず顔が赤くなってしまう。
(いや・・・ここまで来たら、いっそ痣を確認して、すっきりしてしまいたいわ・・・!)
頭から煙を出しそうな勢いで恥ずかしいが・・・何とか意識を繋ぎ止めて、胸が出てくるのを今か今かと待ち構えて見ている。
「ほら・・・、フレイが言っているのは、これだろう?」
シャツのボタンを外し終わった男性は、シャツを少し広げると胸にある痣を私がよく見える様にと胸を張っている。
「ほ、本当だ・・・。痣が・・・ある。」
っと言うことは、導き出される答えは一つであるーーー。
「本当にエドなの?!!」
「フレイ・・・!良かった~、信じて貰えなかったら、どうしようかと思ったよ。」
そう脱力しながらへたり込んだエドマンドに、「ごめんね?」と下から顔を覗きこめば、「気にしないで」と笑ってくれた。
だが、私が分からないのも無理はないと思うのだ。
それ位、エドマンドの見た目は変わってしまっている。
「エド・・・カッコ良くなったわね!」
「フレイも・・・とても可愛くなったね?」
「・・・・・・!!!」
幼い頃に似たようなやり取りを重ねた筈なのに、エドマンドの『可愛い』の破壊力に言葉を失ってしまった私は・・・ただただ顔が赤くなっていく感覚に襲われていた。
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