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第十六章 第二次世界大戦(後日編)
ソビエツキー・ソユーズ撃沈作戦
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「たった今、我が総統からご命令が下った。即刻出撃し、ソビエツキー・ソユーズを撃沈ないし無力化せよとのご命令だ」
ソビエツキー・ソユーズの出現から間を置かず、ツェッペリンに攻撃命令が下されたことを、シュニーヴィント上級大将は伝えた。しかしツェッペリンは珍しく乗り気ではなかった。
「我の飛行甲板は全く修理できていないのだが……」
ツェッペリンの飛行甲板はまだ半壊した状態であり、艦載機の発着艦など到底不可能な状態である。
「分かっている。だから今回も、スペインの飛行場を利用することになった」
「またか。我の存在意義が脅かされている気がするのだが」
「今は仕方ない。我慢してくれ」
「そのくらい分かっておる」
ツェッペリンはキール軍港を出立し、スペインの北海岸に向かった。
そうしている間にもソビエツキー・ソユーズは地中海を南下し、イタリアを砲撃して主砲を試験を問題なく終えると、そのままジブラルタル海峡を通過した。スペインは流石に船魄相手には手を出せず、その通過を黙って見ていることしかできなかった。
かくしてソユーズがポルトガル西海岸に入ったところで、ツェッペリンは攻撃を開始した。スペインの飛行場から爆撃機80機と雷撃機20機を一気に飛ばし、ソユーズを撃沈する算段である。
「随分と大きい戦艦だな……。あんなものは見たことないぞ」
「ああ。ソビエツキー・ソユーズは大和型とそう変わらない巨大な体躯を持っている。ヨーロッパに彼女に比肩する戦艦はないだろうな」
「敵を賞賛してどうする」
「私は事実を言ったまでだ」
ソビエツキー・ソユーズが巨大なのは実のところソ連の造船技術が足りないからなのだが、実際の戦闘能力も大和型を除けば世界最強の一角である。
「まあよい。攻撃を開始する」
ツェッペリンはソユーズに急降下爆撃を仕掛ける。ソ連側の航空機は一切ないので制空権は完全にツェッペリンのものである。が、そう上手くはいかなかった。ソユーズはツェッペリンの攻撃を察知すると、高角砲で反撃を開始した。
「何!? 我の艦載機が落とされるだと!?」
「どうした?」
「言った通りだ! 奴の対空砲火にスツーカが落とされたのだ、クソッ!」
これまでも極稀に艦載機が迎撃されることはあったが、今回は一気に8機が落とされた。ツェッペリンは全機を引き上げてソユーズから距離を取った。
「戦艦を侮っていたな。対空砲火も相応に強化されるらしい」
「呑気なことを言っている場合か」
「状況を冷静に分析しただけだ。だが、これほどの能力のある相手には、それなりの損害が出ることもやむを得ないだろう」
「不愉快だな」
「君が一方的に敵を蹂躙できる時代は終わったということだ」
「クソッ……」
「まあ艦載機の補充は幾らでもできるんだ。君自身が傷付くよりはいいじゃないか」
「それもそうだな。実に不愉快であるが、損害を覚悟の上で奴を沈めてくれよう」
「その意気だ」
ツェッペリンは犠牲を覚悟の上で総攻撃を仕掛けることに決めた。まずはソユーズの厄介な高角砲を破壊することを目的にして、70機の爆撃機で一気に仕掛ける。
「どういう命中精度をしているのだ……」
「君には言われたくないと思うがね」
ソユーズに近付けば近付くほど被害は増し、既に20機は落とされた。が、ツェッペリンはそれに構わず、全力で攻撃を仕掛ける。生き残った40機ばかりは急降下爆撃に成功し、ソユーズに爆弾の雨を降らせた。帰還の途上でも背中から撃たれて10機は落とされ、最終的に帰ってきたのは僅かに23機だけであった。
「一瞬で我の艦載機が全滅したぞ……」
「だが、ソユーズに被害を与えることには成功した。そうだろう?」
「恐らくな。成果は確認できておらぬ」
「あの数の急降下爆撃を喰らって無事な軍艦はないだろう」
「それもそうだな。では奴を沈めにかかろうか」
ツェッペリンは艦載機を一度全て飛行場に戻した後、今度は爆撃機30機、雷撃機70機の編成で出撃した。まだまだ艦載機の予備は残っている。
まずはソユーズの注意を引く為、全滅を前提に急降下爆撃を仕掛ける。が、スツーカは先程と変わらぬ速度で殲滅されたのであった。
「や、奴の高角砲は全く減っておらんぞ!」
「私に言われても困るが、それはマズいな……」
どうやらソユーズは先の爆撃でほとんど被害を受けていなかったらしい。造船技術には劣るとは言え、装甲の硬さは流石ソ連と言ったところである。
「クソッ……。かくなる上は全滅覚悟で雷撃してくれるわッ!!」
「ああ、やってくれ」
「貴様の許可など求めていない!!」
ツェッペリンは帰還することなど考えず、全ての雷撃機をソユーズに向かって突撃させた。雷撃機というのは一般に低速なので、ソユーズの対空砲火に次々と撃ち落とされていくが、こちらには70機もあるのだ。全てを落とし切ることなどできない。
「よし! 1km以内に達した! 魚雷斉射!!」
生き残っている22機から魚雷を投下する。雷撃機はそのまま全て撃ち落とされたが、魚雷を迎撃することなどできまい。
ソビエツキー・ソユーズの出現から間を置かず、ツェッペリンに攻撃命令が下されたことを、シュニーヴィント上級大将は伝えた。しかしツェッペリンは珍しく乗り気ではなかった。
「我の飛行甲板は全く修理できていないのだが……」
ツェッペリンの飛行甲板はまだ半壊した状態であり、艦載機の発着艦など到底不可能な状態である。
「分かっている。だから今回も、スペインの飛行場を利用することになった」
「またか。我の存在意義が脅かされている気がするのだが」
「今は仕方ない。我慢してくれ」
「そのくらい分かっておる」
ツェッペリンはキール軍港を出立し、スペインの北海岸に向かった。
そうしている間にもソビエツキー・ソユーズは地中海を南下し、イタリアを砲撃して主砲を試験を問題なく終えると、そのままジブラルタル海峡を通過した。スペインは流石に船魄相手には手を出せず、その通過を黙って見ていることしかできなかった。
かくしてソユーズがポルトガル西海岸に入ったところで、ツェッペリンは攻撃を開始した。スペインの飛行場から爆撃機80機と雷撃機20機を一気に飛ばし、ソユーズを撃沈する算段である。
「随分と大きい戦艦だな……。あんなものは見たことないぞ」
「ああ。ソビエツキー・ソユーズは大和型とそう変わらない巨大な体躯を持っている。ヨーロッパに彼女に比肩する戦艦はないだろうな」
「敵を賞賛してどうする」
「私は事実を言ったまでだ」
ソビエツキー・ソユーズが巨大なのは実のところソ連の造船技術が足りないからなのだが、実際の戦闘能力も大和型を除けば世界最強の一角である。
「まあよい。攻撃を開始する」
ツェッペリンはソユーズに急降下爆撃を仕掛ける。ソ連側の航空機は一切ないので制空権は完全にツェッペリンのものである。が、そう上手くはいかなかった。ソユーズはツェッペリンの攻撃を察知すると、高角砲で反撃を開始した。
「何!? 我の艦載機が落とされるだと!?」
「どうした?」
「言った通りだ! 奴の対空砲火にスツーカが落とされたのだ、クソッ!」
これまでも極稀に艦載機が迎撃されることはあったが、今回は一気に8機が落とされた。ツェッペリンは全機を引き上げてソユーズから距離を取った。
「戦艦を侮っていたな。対空砲火も相応に強化されるらしい」
「呑気なことを言っている場合か」
「状況を冷静に分析しただけだ。だが、これほどの能力のある相手には、それなりの損害が出ることもやむを得ないだろう」
「不愉快だな」
「君が一方的に敵を蹂躙できる時代は終わったということだ」
「クソッ……」
「まあ艦載機の補充は幾らでもできるんだ。君自身が傷付くよりはいいじゃないか」
「それもそうだな。実に不愉快であるが、損害を覚悟の上で奴を沈めてくれよう」
「その意気だ」
ツェッペリンは犠牲を覚悟の上で総攻撃を仕掛けることに決めた。まずはソユーズの厄介な高角砲を破壊することを目的にして、70機の爆撃機で一気に仕掛ける。
「どういう命中精度をしているのだ……」
「君には言われたくないと思うがね」
ソユーズに近付けば近付くほど被害は増し、既に20機は落とされた。が、ツェッペリンはそれに構わず、全力で攻撃を仕掛ける。生き残った40機ばかりは急降下爆撃に成功し、ソユーズに爆弾の雨を降らせた。帰還の途上でも背中から撃たれて10機は落とされ、最終的に帰ってきたのは僅かに23機だけであった。
「一瞬で我の艦載機が全滅したぞ……」
「だが、ソユーズに被害を与えることには成功した。そうだろう?」
「恐らくな。成果は確認できておらぬ」
「あの数の急降下爆撃を喰らって無事な軍艦はないだろう」
「それもそうだな。では奴を沈めにかかろうか」
ツェッペリンは艦載機を一度全て飛行場に戻した後、今度は爆撃機30機、雷撃機70機の編成で出撃した。まだまだ艦載機の予備は残っている。
まずはソユーズの注意を引く為、全滅を前提に急降下爆撃を仕掛ける。が、スツーカは先程と変わらぬ速度で殲滅されたのであった。
「や、奴の高角砲は全く減っておらんぞ!」
「私に言われても困るが、それはマズいな……」
どうやらソユーズは先の爆撃でほとんど被害を受けていなかったらしい。造船技術には劣るとは言え、装甲の硬さは流石ソ連と言ったところである。
「クソッ……。かくなる上は全滅覚悟で雷撃してくれるわッ!!」
「ああ、やってくれ」
「貴様の許可など求めていない!!」
ツェッペリンは帰還することなど考えず、全ての雷撃機をソユーズに向かって突撃させた。雷撃機というのは一般に低速なので、ソユーズの対空砲火に次々と撃ち落とされていくが、こちらには70機もあるのだ。全てを落とし切ることなどできない。
「よし! 1km以内に達した! 魚雷斉射!!」
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