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第八章 帝都襲撃
ハワイ警備艦隊
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さて、夕張は早速、ハワイ警備艦隊の面々に妙高と瑞鶴を引き合わせてくれた。向こうは夕張を含めて4人、テーブルを挟んで向かい合う。
「どうも~。私は土佐、加賀型戦艦の土佐といいます~」
白い髪に紫の目、紫の着物の上に鎧のようなものをはっつけた奇抜な格好をした少女は言う。
「へえ。あなたがさっき通信してきた船魄ね」
「はい、瑞鶴さん~。一応これでも旗艦だから、公的なやり取りは私がやらないといけないんですよね~」
土佐はやる気がなさそうに言った。
「一応?」
「はい~。私はどうも、旗艦に向いていないみたいでして~。普段の仕事は、この大鷹がやってくれているんです~」
土佐はすぐ隣に座った少女に話を振る。灰色の髪と目をした、真面目なのが見てわかる少女である。
「はい。ご紹介いただきました、わたくしは大鷹型航空母艦一番艦、大鷹と申します。本艦隊では副官と言いますか次官と言いますか、土佐の平時の業務の大半を担っております」
「ああ、特設空母の。確か元は春日丸だったわね」
大鷹型航空母艦は大東亜戦争の最中に竣工した特設空母である。特設空母とはつまり、元は商船だったものを空母に改造したもので、大鷹は元は春日丸という名前だった。とは言え、実のところ春日丸は最初から空母に改造することを前提に設計されており、戦時下に空母になることは最初から決まっていた。
「はい。しかし、優秀船舶建造助成施設で建造されたとは言え、貨客船は貨客船ですから、瑞鶴さんなどにはとても及びません」
「わざわざ自分を卑下する必要はないと思うけど」
「ふふ。ありがとうございます」
「妙高は大鷹のこと知らないの?」
妙高の方が艦としては瑞鶴より遥かに歳上である。瑞鶴が知っている艦なら妙高も大抵知っている。
「名前は知っていましたが……直接会うのは初めてです」
「そうですね。妙高さんも、よろしくお願いいたします」
「は、はい。よろしくお願いします」
「一先ず全員の自己紹介を先に済ませましょうか。次は天城、お願いします」
「赤城の姉ね」
続いて、大鷹の隣に座っているのは、緑の髪に緑の目、土佐と同じように着物の上に甲冑の一部を貼り付けたような格好をした少女である。
天城型戦艦、建造当初は天城型巡洋戦艦は、八八艦隊計画の一部として建造された艦であったが、華府海軍軍縮条約の影響で戦艦の保有トン数が制限され、天城も赤城も空母に改造されることとなった。しかし天城は関東大震災で大きな損傷を受け廃艦が決定され、代わりに加賀が空母になったのである。
今ハワイに停泊している天城は当然、土佐と同様、戦後に再建造されたものである。
「はい。私は天城。天城型戦艦一番艦の天城です。あらゆる苦しみがこの地上から取り除かれることを祈っております」
「え、何かの宗教?」
「ちょっ、瑞鶴さん……」
「宗教、主義、思想、そのようなものが原因で、人類は愚かにも戦争を繰り返してきました。何と悲しいことでしょう。私はそのような愚行に手を染める気はありません」
「あっそう……」
瑞鶴は天城と会話を交わせる気がしなかった。
「天城はいっつもこんな感じだから、気にしなくていいよ~」
「そうさせてもらうわ。最後のあなたは?」
最後に残っているのは、白い髪と赤い目、軍服と着物が混ざったような変な服を着た少女である。しかし瑞鶴がそちらに視線を向けた途端、彼女の視線は床に落ちてしまった。
「ほら大淀、自己紹介をしてください?」
大鷹が急かすように言う。
「大淀って、あの連合艦隊旗艦だった大淀さんですか?」
本来は潜水艦支援の為の航空巡洋艦として建造された大淀であるが、水上機の開発遅延などもあって、急遽格納庫を会議室に改装して、一時的に連合艦隊旗艦を務めていた。言わば指揮巡洋艦と言ったところである。
「は、はい。私は大淀。一応軽巡洋艦の大淀です。でも私なんて、連合艦隊旗艦としては特に役に立てなかったですし、今はもう何でもないし、ロクな武器も積んでないですし、何の役にも立たない失敗作ですよ……」
「そ、そう……」
瑞鶴はこういう手合いにどう接すればいいか分からなかった。
「大淀さん、今は防空巡洋艦になったのではなかったですか……?」
「ま、まあ、一応長10cm砲16門を積んでますけど、どうせ戦艦の火力には勝てないし、気休め程度でしかないですよ」
「秋月型2隻分なら十分だと思います!」
「そ、そう? そう言ってくれると嬉しいですけど……所詮一度も実戦経験のない艦の防空なんて誰も期待してないですよ」
「何でそんなに何でも悪い方向に考えるんですかあ……」
「だって、誰も私を必要としてくれなかったですし……」
「ハワイ警備艦隊の皆さんは必要としてくれている筈です!」
「ええ。我が艦隊唯一の巡洋艦として、大淀は必要ですよ」
大鷹はすかさずそう言った。
「あ、ありがとう、大鷹。気持ちだけでも受け取っておくよ……」
「何でそうなるんですかあ……」
「大淀もいっつもこんな感じだから、気にしなくていいよ~」
土佐は興味なさそうに言った。確かに艦隊旗艦など務まらなさそうである。
「どうも~。私は土佐、加賀型戦艦の土佐といいます~」
白い髪に紫の目、紫の着物の上に鎧のようなものをはっつけた奇抜な格好をした少女は言う。
「へえ。あなたがさっき通信してきた船魄ね」
「はい、瑞鶴さん~。一応これでも旗艦だから、公的なやり取りは私がやらないといけないんですよね~」
土佐はやる気がなさそうに言った。
「一応?」
「はい~。私はどうも、旗艦に向いていないみたいでして~。普段の仕事は、この大鷹がやってくれているんです~」
土佐はすぐ隣に座った少女に話を振る。灰色の髪と目をした、真面目なのが見てわかる少女である。
「はい。ご紹介いただきました、わたくしは大鷹型航空母艦一番艦、大鷹と申します。本艦隊では副官と言いますか次官と言いますか、土佐の平時の業務の大半を担っております」
「ああ、特設空母の。確か元は春日丸だったわね」
大鷹型航空母艦は大東亜戦争の最中に竣工した特設空母である。特設空母とはつまり、元は商船だったものを空母に改造したもので、大鷹は元は春日丸という名前だった。とは言え、実のところ春日丸は最初から空母に改造することを前提に設計されており、戦時下に空母になることは最初から決まっていた。
「はい。しかし、優秀船舶建造助成施設で建造されたとは言え、貨客船は貨客船ですから、瑞鶴さんなどにはとても及びません」
「わざわざ自分を卑下する必要はないと思うけど」
「ふふ。ありがとうございます」
「妙高は大鷹のこと知らないの?」
妙高の方が艦としては瑞鶴より遥かに歳上である。瑞鶴が知っている艦なら妙高も大抵知っている。
「名前は知っていましたが……直接会うのは初めてです」
「そうですね。妙高さんも、よろしくお願いいたします」
「は、はい。よろしくお願いします」
「一先ず全員の自己紹介を先に済ませましょうか。次は天城、お願いします」
「赤城の姉ね」
続いて、大鷹の隣に座っているのは、緑の髪に緑の目、土佐と同じように着物の上に甲冑の一部を貼り付けたような格好をした少女である。
天城型戦艦、建造当初は天城型巡洋戦艦は、八八艦隊計画の一部として建造された艦であったが、華府海軍軍縮条約の影響で戦艦の保有トン数が制限され、天城も赤城も空母に改造されることとなった。しかし天城は関東大震災で大きな損傷を受け廃艦が決定され、代わりに加賀が空母になったのである。
今ハワイに停泊している天城は当然、土佐と同様、戦後に再建造されたものである。
「はい。私は天城。天城型戦艦一番艦の天城です。あらゆる苦しみがこの地上から取り除かれることを祈っております」
「え、何かの宗教?」
「ちょっ、瑞鶴さん……」
「宗教、主義、思想、そのようなものが原因で、人類は愚かにも戦争を繰り返してきました。何と悲しいことでしょう。私はそのような愚行に手を染める気はありません」
「あっそう……」
瑞鶴は天城と会話を交わせる気がしなかった。
「天城はいっつもこんな感じだから、気にしなくていいよ~」
「そうさせてもらうわ。最後のあなたは?」
最後に残っているのは、白い髪と赤い目、軍服と着物が混ざったような変な服を着た少女である。しかし瑞鶴がそちらに視線を向けた途端、彼女の視線は床に落ちてしまった。
「ほら大淀、自己紹介をしてください?」
大鷹が急かすように言う。
「大淀って、あの連合艦隊旗艦だった大淀さんですか?」
本来は潜水艦支援の為の航空巡洋艦として建造された大淀であるが、水上機の開発遅延などもあって、急遽格納庫を会議室に改装して、一時的に連合艦隊旗艦を務めていた。言わば指揮巡洋艦と言ったところである。
「は、はい。私は大淀。一応軽巡洋艦の大淀です。でも私なんて、連合艦隊旗艦としては特に役に立てなかったですし、今はもう何でもないし、ロクな武器も積んでないですし、何の役にも立たない失敗作ですよ……」
「そ、そう……」
瑞鶴はこういう手合いにどう接すればいいか分からなかった。
「大淀さん、今は防空巡洋艦になったのではなかったですか……?」
「ま、まあ、一応長10cm砲16門を積んでますけど、どうせ戦艦の火力には勝てないし、気休め程度でしかないですよ」
「秋月型2隻分なら十分だと思います!」
「そ、そう? そう言ってくれると嬉しいですけど……所詮一度も実戦経験のない艦の防空なんて誰も期待してないですよ」
「何でそんなに何でも悪い方向に考えるんですかあ……」
「だって、誰も私を必要としてくれなかったですし……」
「ハワイ警備艦隊の皆さんは必要としてくれている筈です!」
「ええ。我が艦隊唯一の巡洋艦として、大淀は必要ですよ」
大鷹はすかさずそう言った。
「あ、ありがとう、大鷹。気持ちだけでも受け取っておくよ……」
「何でそうなるんですかあ……」
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