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31:村人たちの結末

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 「私が眠っている間にそんな事があったのね」

 朝方、起きて来た灰田さんが、縛り上げ支柱に括りつけている村人たちを見下しながらため息を吐いた。
 拘束しているのは大体30人弱。殆どが成人男性で、ちらほら女性も混じっている。どうやら村人の成人男性の大半が僕たちの襲撃に加担していたらしく、彼らを心配そうに遠巻きに眺めているのは彼らの家族だろう。

 『で、彼らはどうする?』

 使役下にある影響か、僕はどうも灰田さんに意見を求める傾向にあるなと、自覚する。それを良くないと考えないのもその影響だろうか?僕の元々の性分では無い気もするがハッキリとはしない。

 「どうって言われてもね~。私は別に法律とか詳しくないけど、日本だと強盗殺人は相当な重罪でしょ?確か死刑もありえるのよね?」

 死刑。その言葉を聞いた村人たちがビクリと震え、ざわつき始める。

 『僕も法律にはあまり詳しくないな。でも、今回は強盗殺人じゃなくて、未遂だけどね』
 「どっちにしろ重罪よ。特に狙われたのが自分たちだと思うと情状酌量の余地は与えたくないわね!」

 気持ちは分かるが、こっちの世界の法律も詳しくないのに、勝手に裁きを下すのマズイ。

 『おばちゃん。この村に警察……憲兵とか居ないんですか?突き出して終わりってのが妥当な気がするんですけど?』

 おばちゃんはフルフルと首を振る。

 「こんな小さな村にそんなのはいやしないよ。自称自警団ならいるけどね、そこに」

 おばちゃんが指さす方を見ると、縛り上げた村人のうち、多少体格の良い男性数人が目をそらした。

 「いっしょに捕まってるじゃない。これじゃ自警団というより山賊でしょ。でも困ったわね、流石に何の罰も与えずにさっさと次の目的地に向かうのは、なんか腹の虫が収まらないわよ?」
 『慰謝料代わりに金品でも要求する?』
 「それが無いから襲ってきたんじゃないの?まぁ、多少はあるかもだけど……」
 『後は……異世界モノの定番、奴隷落ちとか?』
 「あ、それ良いわね!」

 笑顔で言う灰田さんに、村人たちがブルブルと震える。

 「おばちゃん!この人たちを犯罪奴隷とかに出来ないの?」
 「……憲兵も居ないこの村でかい?せめて大きな街まで行けば奴隷商ってのがいるが、伝手も無いしいきなり犯罪者ですって言っても、多分買ってくれないよ?それに、こいつらを街まで連れて行くのかい?かなりの距離だし、人数も多い、難しくないかい?」

 やっぱりいるのか奴隷。

 「こんな奴らと旅なんてしたくないわね」
 
 あーでもない、こーでもないと、散々話し合ったが、結局良い案は出ず。
 とりあえず多少の金品と食料を受けてることで示談とすることになった。
 
 灰田さんは納得できないと不貞腐れていた。
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