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序 章

第零話 降臨、星(せかい)の創造

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 気の遠くなるほど古の昔、二つの高次元光源体を搭載した天翔ける巨船が、それはそれは果てしなく長い宇宙《そら》の航路を駆け抜けて誕生したばかりの名も無き惑星《ほし》に舞い降りた。その惑星にはまったく自然と呼ばれる物が存在せず、ただ剥き出した岩盤だけが広がる荒れ果てた大地が見えるだけであった。
 二つの高次元光源体は船の様々な装置を駆動させ、幾星霜の時をもかけ幾度となく大地を震撼させ火山を起こし、それによって地上を分断させ形成を新しく変化させ、長きに亘《わた》る大いなる恵みの雨でその地表を綺麗に浄化していった。
 何百何千万年とその繰り返しの結果、その星には多くの川が流れ、その奔流は広大で煌《きら》びやかな海へと注がれた。大地は荘厳たる山々と緑豊かな平野や台地が創られたのである。
 二つの高次元光源体は更に生物の棲み易い星に変えるために彼等の一部を割きらさいて精霊種とそれらを束ねる精霊王を誕生させた。 
 精霊は火、水、天、地、光、そして闇の六つに分類さる。
 火の精霊は自然の活動を活発化させ、そして水の精霊は自然の力が行き過ぎないように制御する。
 天の精霊は大気を自在に操り、風を起こし適度な気候を生み出し、地の精霊はそれら気候の変化から得られる恵みを効率よく大地に広める。
 光の精霊は生命に生きる力を与え、闇の精霊は疲れきった生命に安息を与える。そしてそれを総て統括するのが精霊王である。
 精霊達によってこの星が完全な状態になると二つの高次元光源体は空、大地、海に様々な生物を誕生させた。
 そして最後に類人族、魔人族、獣人族、翼有族、怪類族、龍人族と言う知的行動が可能な生き物を創造した。それらは総称してアスターと名付けられたのである。
 そして、それらの種族は総て精霊の加護を受け魔法と言う力を行使する事が出来た。
 類人族(ヒューン)、この世界でもっとも多く見られる種族で、あらゆる環境に適応できる能力を有している。
 知的好奇心も種族の中で最も強い。その反面、特出した身体能力を持ち合わせていない。他の種族と違って総ての精霊の加護を受ける事が可能。そして、それなりの魔力を有し魔法も行使する事も許された。

 魔人族(デューン)、彼等、彼女等の容姿と身体的特徴はヒューンと変わらない。この種族が他の種族と違うのは精霊の力を借りるための力、魔力と呼ばれる力が他の種族に対して圧倒的に有していると言う事であった。
 その力は余りのも強大でその力が暴走しないように様々な魔力を押さえる装飾品を造り、それを身に付け魔力を制御している。それらの装飾品の意匠はとても精巧で他種族にも評判が良かった。

 獣人族(ビトゥー)、人の姿と獣の姿を必要に応じて変化する事が可能な種族。人の姿の時にもその身体能力は目を見張る物があるが獣の姿に変化した時のこの種族のその能力は総ての種族を凌駕する。
 その反面、彼等、彼女等は獣の種類によって受けられる精霊の加護が限定されている。それに付け加え、三つ子月の満ち欠けによって能力を左右される。
 三つ子月の満ち欠けと身体能力の相互関係については部族によって異なっていた。

 翼有族(フェイザ)、ヒューンの容姿に高貴なる翼を背中に生やし自由に空を飛ぶ事ができる種族。背中の翼は精霊の力により出したり隠したりする事が可能だった。魔力は魔人族の次に保有してもいた。
 他の種族と違う点は生まれながらにし類稀ない知識を有し、物を考え創る事に卓越していたのでる。翼有族は天の精霊の加護だけを受けている。そして、その絶対数は総ての種族の中でもっとも少ない。

 怪類族(モウスト)、雌雄の区別はあるが異形な姿のモノが多く部類も他種族と違ってもっとも多い。この種族は一長一短の能力を保持し部類によっては様々な特別能力を持ったモノもいた。
 これらもビトゥーと同じで部類によって受ける精霊の加護が分かれている。姿形は異形であるが、その殆どの者達はけして獰猛ではなく、どの種族に対しても講和的であった。
 話す事は出来ないが意思の疎通は可能。人間の形に近い物も少なからず存在し言葉を話す事も出来る。

 最後に龍人族(ナガー)、彼等、彼女等は他の種族から大地の守護者と呼ばれている。この種族も獣人族同様、人の姿と龍の姿に化身が可能である。
 人の姿の時の身体的特徴はヒューンと余り違いはないが龍の姿に変化した時は獣人族の能力を簡単に凌ぎ総ての災いから大地を護ると言われていた。
 この種族が龍に姿を変えた場合、女性だけが翼有族同様に空を飛ぶ事を許されていた。精霊の加護は地のみとなっている。絶対多数は翼有族に次いで少ない。
 これら六精霊種と精霊王、多くの生物、六つの種族を創り構成するのに多大な力を使ってしまった二つの高次元光源体はその状態を維持できずヒューンに近い姿で地上に降臨する事になった。
 聡明な女性に近い姿をした方をルシリア・ハーサ、怜悧《れいり》な男性に近い少年の姿をした方をアルマ・ハーサと自らを称し、その二人の降臨によりこの星の歴史が始まったのだ。
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