上 下
16 / 19
第 三 章 高校 最後の夏

第十五話 スイマー隼瀬の苦悩

しおりを挟む
 水泳部女子更衣室、練習を終えて着替え中の詩織と香澄。
「ねぇ、香澄この前の大会からずっと変。いったいどうしたのですか?」
「そんなことないわよ、しおりン」
「嘘、香澄、嘘をついてます。ズット幼馴染みをやってきたんだもの、香澄の嘘くらいすぐ分かります」
「アハハッ」と私は軽く空笑いをした。
「しおりンには敵わないわね、気にしないで大丈夫だから」
「香澄、それほど、私にお聞かせ願えないことなのですか?」
「幼馴染みだから返っていえない事だってあるでしょ」
「分かりました、もうこれ以上何もお聞きしません・・・。ですけど、私に出来る事がありましたらいつでも言ってくださいね」
「アリガト、それじゃアタシ、先に行くからね!」
 私は着替え終わると詩織を置いて先に出てきてしまった。
 最近の私が可笑しいのは自分でも分かっているわ、その原因も。・・・、詩織に言えなかったのはその原因が理由。私、春香と詩織に嫉妬している。
 私がズッと水泳を頑張って来たのは記憶喪失前の貴斗の為だった。
 どうしてかって?実は私、小学生の頃、金槌で全然泳げなかった。それを彼が水泳教室に通っていた詩織と比較して馬鹿にしたのが切掛け。負けん気な私はそれで水泳を始めた。そして、その頃から私は貴斗の事が好きだった。
 もちろん、詩織が貴斗の事を意識していたのも知っていた。だから、貴斗が私のことを気にして欲しかったから、気にかけてもらえる様にいろんな事に努力したわ。
 そのうちの一つが泳げる様になること。そして、泳げる様になった時、彼は私を凄く褒めてくれたのを今でも覚えているわ。でも、今の貴斗にはそんな記憶すらも無いのよね。
 それから、貴斗が褒めてくれた日以来、詩織に負けない様にと躍起になって頑張った。
 そんな私の気持ちを知ってか知らすか、彼女、詩織もそんな私の姿を見て必死になっていた様だった。


中学二年夏の全国大会決勝戦 神奈川県横浜市県立競技場屋内プール

「よ~~~ぃ『パァーーーンっ!!!』」
 審判の声とともに空砲が鳴った。それと同時に選手達は一斉に飛び込みを開始した。女子100m自由形の決勝戦、その中に私と詩織がいた。
 同学校の選手が決勝戦の舞台に立つのはまれな事らしかった。でも、私にはそんな事、どうでも良かった詩織に勝ちたかった。その時は必死になって泳いだ。隣で同程度なスピードで泳ぐ詩織がいる事を意識しながら、そして・・・。
「只今の記録、第1位55秒78、夢ヶ丘中学校、隼瀬香澄」
「第2位55秒93、同中学校、藤宮詩織」
「第3位57秒33、武城中学校・・・」
 大会後、選手用通路、私は詩織と一緒に更衣室に向かう為その通路を歩いていた。
「おっ、オイ、君、ココは関係者以外立ち入り禁止だ!」
「へっへぇ~~~んっ、お前らなんかには捕まらないよぉ~~~」という声が通路、角から聞こえてきた。その声の持ち主が私達の前に現れて言葉を掛け、
「香澄すげぇーよぉ、ボク凄く感動した!」
 その声の持ち主は水着姿のままの私を言葉と一緒に強く抱きしめてくれた。
「わっ、馬鹿!貴斗やめろよ、アタシからはなれろぉ打っ飛ばすわよっ」
「何、恥ずかしがってんだよ?」
「い・い・か・ら・は・なれろっ!」
 そう言って強引に貴斗を押しのけた。でも、本当はとても嬉しかったんだけど隣にいる詩織の視線がスッゴクに痛かったから。
「あぁ~あっ、貴ちゃ・・・、貴斗君、お洋服ビッチョリーーーっ」
 私の濡れている水着から水を吸い出した、貴斗の服はそれを受け半濡れしていた。
「大丈夫さこんなの。夏だからすぐ乾く、詩織、お前も頑張ったな」
 そう口にすると貴斗は半乾き状態の詩織の頭をクシャクシャと撫でていた。
「ア~~~ン、やめてぇ、貴斗君」と言いつつも詩織の表情は嬉しそうだった。
「それじゃ、僕、先に龍ニイと、翔子ネエと帰るから、バイバイ!」
 ちょっとした会話をこの場所で交えてから、男幼馴染みの彼は別れの挨拶を言葉にして私たちの前から消えていった。
 そう、この日初めて私は詩織に勝つことが出来たわ。そして、貴斗が私を抱き締めるほど喜んでくれた事が私にとって何よりも嬉しかった。

~ 翌日、近所の公園 ~
「ホラ、イチゴミルクアイス」
 貴斗は私に公園内にあったアイス自動販売機から買ってきた物を渡してくれた。
「へへっ、有難う。貴斗!でも良く貴斗ってアタシやしおりンに奢ってくれるわね。そんなお金、いったい何処にあるの?」
「ぅん?父さんや爺ちゃんのお手伝いすると小遣い大目にくれるんだ。ところで何?急に呼び出したりして?ボク、今忙しいんだけど」
「ウぅ~~~ンとね、貴斗に聞きたいことがあって」
「だったら、別にこんな所に呼び出さなくても、家に来ればいいジャン。僕の家は香澄の家の正面だろ?」
「外で話したかったの。ねぇ、貴斗。・・・、貴斗って好きな娘いる?」
「ナンだよ、急に?香澄、熱でもあるんじゃねぇ~の?」
 食べ終わったアイスの棒を加えながら私の額に手を当てられていた。
「あっ、なっ、なにすんのよぉ!」
 貴斗にそういうことしてもらえるのは、本当は嬉しいくせに、私は反射的にその男幼馴染を蹴ろうとした。だけど、避けられて空振り。
「香澄の蹴りなんか当たんね~よ」
「モぉおぉぉぉっ、貴斗の馬鹿ぁ!」
「どーせ、ボク、馬鹿だもんねぇ~~~っ」
 流石、格闘技色々習っているだけあって身のこなしは素早かった。藤原家の家訓で男子たるもの文武両道でなければならないらしい。今の彼は文などソッチのけでどうも武の方が際立っているみたいだった。
 この頃の貴斗、はっきり言って学校の成績は私以下に悪かった。でも、わたしも、詩織も知らない。貴斗が兄と姉の龍一さんや翔子さんの為に、私達を立てる為に馬鹿を演じているなんてこと。そんな事を見抜けるほど、解ってあげられるほど大人じゃなかった・・・。
「それで、アタシのさっきの答えは」
「香澄ぃ!」
 彼は私の名前をはっきりと言ってくれた。だけどそれは束の間の喜びだった。
「もちろん詩織だって好きだよ。デモね、香澄が僕に聴いている好きと僕が思っている好きは違うと思う。二人とも、僕にとって大事な幼馴染みだからね。話はそれだけ?」
「うぅっ、うんそうだけど・・・」
「じゃ、僕、帰る。家の片付けしなくちゃいけないからね、それじゃバイバぁーイ!」といって走って行ってしまった。
「アッ、待って、貴斗!」という言葉もむなしく空に散った。
 それから二日経った日の夕食後、詩織から電話があった。
「ねぇ~、香澄ちゃん明日、貴ちゃん、誘って一緒に映画見に行こうよ」
「もしかして、明日から始まる、ジャッキー・チェンの新作?」
「うん」
「ハッハァ~ン、さてはしおりン、女の子一人でアクション映画を見るのが恥ずかしくて誘っているなぁ~~~、それにアンタと二人っきりじゃ、いくらタカ坊を誘っても行ってくれないもんねぇ」
 詩織は可愛い外見とは裏腹にスポコンや熱血物、アクション映画大好きなのよね。まあ、それは貴斗がそういうの好きだからかもしれないけど・・・。それに私も嫌いじゃないし。
「そっ、そんなことないもん。香澄ちゃんだってジャッキーの映画好きでしょ?」
「分かったわよ、そんなスネた言い方で言わなくていいよ。タカ坊には連絡したの?」
 詩織との会話の時だけは貴斗の事を私はタカ坊、詩織は貴ちゃんって呼んでいた。
 そのあだ名を本人の前で口にすると彼は私達に嫌なあだ名で返してくるから中学に上がってからは彼女と話す時にしか言葉にしていなかった。
「貴ちゃんの所に電話したのに誰も出なかったのよ」
「あんな、凄くいっぱい人がいるのに?・・・、それじゃ、明日、映画に行く前にタカ坊の家に行って誘いましょうか」
「うん、それじゃ明日ね、バイバイ香澄ちゃん」
「ウン、明日ね」といって私は電話を切った。
 そして翌日、私と詩織は貴斗の家を訪ね、玄関のインターホンのボタンを押した。
『ピンポ~~~ン「はい、どちら様でしょうか?」』
 声で貴斗のお姉さんの翔子さんである事が分かった。
「香澄と、しおりンで~スッ!」
「暫くお待ちになってくださいね、今玄関までお迎えに上がりますから」

                ・

                ・

                ・

「詩織ちゃん、香澄ちゃん、お二人ともコンニチハ」
「こんにちはぁ」
「ネエ、翔子お姉様、貴ちゃんいますか?」
 詩織がそう言うと、どうしてなのか一瞬、翔子さんは驚いた顔をした。
「あら?若しかして、お二人とも貴斗ちゃんから何もお聞きしていないのかしら?」
 不思議そうな顔で翔子お姉さんは私と詩織を見ていた。それから、私と詩織は頭を横に振って、それを知らないのを示していた。
「お二人とも驚かないでお聞きしてくださいね。貴斗ちゃん、今朝、早くにお父様、お母様それと龍一お兄様と供に日本を発たれました」
「ええぇっ、そっ、そんな急に!どこにっ?」
「どっ、どうしてですか!?どう言う事ですか翔子お姉さまぁっ」
 翔子お姉さんのその言葉、詩織はそれを聞くと急に取り乱した。
「詩織ちゃん、落ち着きになってください!」
 お姉さんは取り乱す詩織を宥めながら、次の言葉を口にする。
「お父様の仕事がアメリカで再開する事になったようご様子なの」
「そっ、そんなの貴斗には関係ないじゃないの」
「お父様、貴斗ちゃんをアメリカの大学にご入学させると言いまして、洸大お爺様の反対を押し切って半ば強引に連れて行かれてしまいました」
「イッ、いつ帰ってくるの?」
「それは分かりません、お父様のお仕事次第ですもの」
 詩織は全て聞き終わると急に静かに泣き始めた。それを見た翔子お姉さんは彼女を優しく抱き寄せる。
「ひどいよ、ひどいよ、貴ちゃん何も言わないで行っちゃうナンって。まだ、あの時の答えちゃんと聞いていないのに」
 その言葉を聴いた時、いてもたってもいられなかった。その言葉の意味がなんとなく分かったから。貴斗が居なくなってから私は彼の事を忘れるために我武者羅に水泳に打ち込んだ。
 それから、三年後、貴斗は再び私と詩織の前に現れる。でも、それは過去の記憶を閉ざされた記憶喪失の彼だった。私の知っているいつも笑顔を絶やさない太陽のように陽気で元気な彼はそこにはいなかった。そして、ようやく私が貴斗の事を忘れ始めた高2の頃、高1の時やっと学校が一緒になり親友になった春香の頼みで、同じクラスになったある男子生徒と接触することになった。
 それが柏木宏之だった。初めの頃、宏之の事を変なやつと思っていた。何で春香はこんな奴を好きになったのか不思議に思った。でも、色々と話している内に彼の良さが次第に分かって来たし、なんとなく性格も私に似ている様な気がした。
 本当はそれだけじゃない、なんとなくだけど昔の貴斗に似ていた。そして、そんな彼にいつしか私は惹かれる様になっていたの。
 私は詩織と春香に嫉妬しているいやな女、コンナ気持ち詩織に言えるはずがないのに。
 コンナ嫌な気持ちを晴らしたくて、失礼だ、ってわかっているけど私は、私を好きって言ってくれた男と今付き合っている。彼は私に対してとても優しく接してくれる。でも、私のこのモヤモヤした気持ちは何で晴れないんだろう?

~ 8月12日夕方、聖陵高校屋内プール ~

 嫌な事を忘れたくて今日も一人で一心不乱に記録を伸ばすために泳いでいた。しかし思う様に泳げない。いつの頃だろう、私しか居ないはずの屋内プールに人影が指していた。泳ぎを止めそちらの方を見る。一人の男が私に近づいてきた。
「隼瀬、なに一人で頑張ってんだ?」と其奴は近付きながらそんな言葉を投げかけてきた。
「ヒロユキ、何でアンタがココに居るのよ?」
「ちょいと、野暮用でね、ついでに気になってここに立ち寄ってみたら、隼瀬、お前が居たというわけ」
「フゥ~~~ンッ、アタシに何か用事があるわけ?」
「別にそういう事じゃなんだけど。そろそろ、切り上げて少し話さないか?」
「分かったわ、着替えて来るからちょっとここで待っててね」
「おうよぉ!」
 そう言い残して更衣室に向かった。数分後、私はタオルで髪をクシャクシャと拭きながら彼の所へと向かう。
「おまたせ!」
「別に待ってないぜ!それよか、その長い髪、邪魔じゃねえ?」
「アンタには関係ないでしょ」
 小学生の頃、短髪だった。でも男幼馴染みが女の子は髪が長い方が断然、可愛い、って言ったからそれ以来、髪を伸ばすようになった。
 詩織が今でもロングの髪に拘るのはその所為。そんな風に思っていると彼が話しかけてきた。
「なぁ、春香も藤宮さんも、お前の最近の行動すげぇ~く、心配していたぜ」
「それこそ、アンタには関係ないじゃない」とつい向きになって強く言ってしまった。
「聞いたぜ、この前の記録会、見に行けなかったけど、本調子じゃなかったんだってな。噂で、お前に彼氏ができて、その所為で順位が落ちたって、陰口を叩かれている、ってのを聞いた」
 彼が〝彼氏〟って言ったのを耳にして一瞬、ドキッとしたけど取り乱さないように努力した。宏之は尚も私の態度何って気にしないで話を続ける。
「お前、今がどういう時期か分かっているのか?実業団行きを決めていた筈のお前が、そんな調子でどうする」
 彼の言葉に少しカチンっと来てしまった。
「アンタにそんなこと、言われる筋合いないわヨッ!アタシのこと何ってほっといてよ」
「ほっておけねぇ~から、こうして話してるんじゃね~か。もし、俺が今の状態のお前をシカトして春香とイチャイチャしている様な奴だったら。
隼瀬、俺に春香の様な娘、紹介したか?」
 そんな彼の言葉を聴きたくなくて背を向けてしまった。
「オイ、ちゃんとコッチ向いて聞けよ、まだ話し終わってない」
 そう言うと宏之は私の腕を掴んで強引に向きを直そうとした。
「いっ、痛い、放してよ、そっち向くから。それに不用意に彼女でもない女の子の体に触れるなっ!!」
「あっ、ゴメン」
 そう言葉にした彼は私の腕を申し訳なさそうな表情で気まずそうに放してくれていた。
「話し続けるぜ」
 黙って宏之の話しを聞く事にした。
「この前も言ったけど隼瀬にすっげ~~~感謝してるんだ。一度、俺は春香の関係が危うくなった時が有ったんだけど、お前の一言で全てが丸く治まった。藤宮さんの助言もあったけどな」
 その言葉を聞いて一瞬、驚いた。彼はさらに言葉を続ける。
「だから、今の隼瀬、見ていられなくて、助けになってやりたい・・・」
「アリガト、本当に心配してくれていたのね。でも今は大丈夫だから」
 宏之に無理に笑った表情を見せていた。
「わかったよ・・・、お前がそう言うのなら。でも何かあったら絶対言えよな、助けになってやるから!」
「有難う」ともう一度、彼に言うけど心はさらに深く沈むだけであった。
「辛気臭い話はこれで終わり、それと15日の祭りお前も皆と一緒に行くだろ」
「しおりンからも誘われてる」
「そっか、それじゃ俺帰るわ、用事すっかり忘れていたし」
 走って帰って行く宏之の背中を見ながら、ハァ~~~っと大きな溜息をつき、どうしてコンナ気持ちになってしまったのか考えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

処理中です...