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中学生編
第19話 合格発表
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合格発表当日の朝、瞳が受験した高校まで朋花が車で送った。
高校に到着すると瞳だけ車から降りる。
「じゃあ、友達と番号があるか見てくるね!」
「うん、いってらっしゃい!私はここで待っているからゆっくりしておいで」
「ありがとう、お母さん。じゃあ、行ってくるね」
そう言うと瞳は待ち合わせている友達を探して辺りを見回しながら車から離れていった。
1人になった朋花は車でラジオを聞きながら瞳の帰りを待つ。
中学生になってトラウマだった車にも乗れるようになって本当に瞳は成長したなあ。
ずっと側で成長を見守っていたいけど、そろそろ親離れする時期なのが寂しい。
今日も本当は付いて行きたかったが、瞳から友達と一緒に合格発表を見る約束をしていることを聞いて朋花は送迎だけをすることにした。
もう瞳は自分のやりたいことを1人で決められる年齢になったため、朋花はなるべく瞳の意思を尊重するように心掛けていた。
瞳のことを思い浮かべながら待っているとやがて笑顔で戻ってくる瞳の姿が見える。
「おかえり。どうだった?」
「へへっ、私も友達も受かっていたよ!」
「合格、おめでとう!本当によく頑張ったね」
車に戻り、笑顔で合格を伝える瞳とは対照的に朋花の目尻には涙が浮かぶ。
「もうーお母さん、私はまだ泣いていないのに泣くの早すぎー!」
「だって、あれだけ頑張った瞳の努力が実ったのが嬉しくて……」
朋花自身も自分が娘の合格を知って泣くとは思っておらず、自然に涙が出てきたことに少し驚いていた。
こんなに涙脆くなるなんて年のせいかなあ。
いや、きっと瞳が私を変えてくれたのね。
今まで多少の努力はしてきたが、大体のことは何とかなるだろうと適当に生きてきた朋花にとって、瞳との暮らしは努力の連続であった。
そして、朋花以上に努力する真面目な瞳を見てきたのも相まって涙に繋がっている。
その後、担任の先生に合格の報告をする瞳を送るために中学校に寄ってから帰宅した。
今日の夕飯は合格祝いでご馳走にしようと張り切って準備していると、中学校から瞳が帰宅した。
そして、夕方に瞳の父方の祖父母に高校合格を伝えるためにテレビ電話を掛ける。
「おじいちゃん、おばあちゃん、元気だった?あのね、私、高校に合格したよ!」
「まあ、おめでとう!よかったわね」
笑顔で高校合格を伝える瞳を見て、理人の父母も息子が合格した時と同じように孫の合格を喜んだ。
理人の父母はしばらく瞳と話し、最後に朋花と話をする。
「朋花さん、瞳ちゃんを育ててくれてありがとう。こうしてテレビ電話をしてくれるのも嬉しいわ」
「遠方故にあまり手助け出来んくてすまんなあ。今度合格祝いを送るから瞳ちゃんと朋花さんで何か美味しい物でも食べておいで」
理人の母に続いて父も朋花にお礼を述べ、それを聞いて朋花は少し照れ臭くなった。
「いえいえ、とんでもないです。瞳ちゃんは理人お兄さんによく似て聡明なのでこちらが助けて貰ってばかりです。いつもよくしていただいてありがとうございます」
少し照れ笑いしながら朋花もお礼を述べる。
テレビ電話を終えてから朋花の心は温かい気持ちになっていた。
育児をしていてお礼を言われることはあまりないから嬉しかったなあ。
さあ、用事も終わったし、今からはご馳走を食べて瞳の合格祝いを盛大にしよう。
机の上にご馳走を並べる朋花の顔には笑みが浮かんでいた。
高校に到着すると瞳だけ車から降りる。
「じゃあ、友達と番号があるか見てくるね!」
「うん、いってらっしゃい!私はここで待っているからゆっくりしておいで」
「ありがとう、お母さん。じゃあ、行ってくるね」
そう言うと瞳は待ち合わせている友達を探して辺りを見回しながら車から離れていった。
1人になった朋花は車でラジオを聞きながら瞳の帰りを待つ。
中学生になってトラウマだった車にも乗れるようになって本当に瞳は成長したなあ。
ずっと側で成長を見守っていたいけど、そろそろ親離れする時期なのが寂しい。
今日も本当は付いて行きたかったが、瞳から友達と一緒に合格発表を見る約束をしていることを聞いて朋花は送迎だけをすることにした。
もう瞳は自分のやりたいことを1人で決められる年齢になったため、朋花はなるべく瞳の意思を尊重するように心掛けていた。
瞳のことを思い浮かべながら待っているとやがて笑顔で戻ってくる瞳の姿が見える。
「おかえり。どうだった?」
「へへっ、私も友達も受かっていたよ!」
「合格、おめでとう!本当によく頑張ったね」
車に戻り、笑顔で合格を伝える瞳とは対照的に朋花の目尻には涙が浮かぶ。
「もうーお母さん、私はまだ泣いていないのに泣くの早すぎー!」
「だって、あれだけ頑張った瞳の努力が実ったのが嬉しくて……」
朋花自身も自分が娘の合格を知って泣くとは思っておらず、自然に涙が出てきたことに少し驚いていた。
こんなに涙脆くなるなんて年のせいかなあ。
いや、きっと瞳が私を変えてくれたのね。
今まで多少の努力はしてきたが、大体のことは何とかなるだろうと適当に生きてきた朋花にとって、瞳との暮らしは努力の連続であった。
そして、朋花以上に努力する真面目な瞳を見てきたのも相まって涙に繋がっている。
その後、担任の先生に合格の報告をする瞳を送るために中学校に寄ってから帰宅した。
今日の夕飯は合格祝いでご馳走にしようと張り切って準備していると、中学校から瞳が帰宅した。
そして、夕方に瞳の父方の祖父母に高校合格を伝えるためにテレビ電話を掛ける。
「おじいちゃん、おばあちゃん、元気だった?あのね、私、高校に合格したよ!」
「まあ、おめでとう!よかったわね」
笑顔で高校合格を伝える瞳を見て、理人の父母も息子が合格した時と同じように孫の合格を喜んだ。
理人の父母はしばらく瞳と話し、最後に朋花と話をする。
「朋花さん、瞳ちゃんを育ててくれてありがとう。こうしてテレビ電話をしてくれるのも嬉しいわ」
「遠方故にあまり手助け出来んくてすまんなあ。今度合格祝いを送るから瞳ちゃんと朋花さんで何か美味しい物でも食べておいで」
理人の母に続いて父も朋花にお礼を述べ、それを聞いて朋花は少し照れ臭くなった。
「いえいえ、とんでもないです。瞳ちゃんは理人お兄さんによく似て聡明なのでこちらが助けて貰ってばかりです。いつもよくしていただいてありがとうございます」
少し照れ笑いしながら朋花もお礼を述べる。
テレビ電話を終えてから朋花の心は温かい気持ちになっていた。
育児をしていてお礼を言われることはあまりないから嬉しかったなあ。
さあ、用事も終わったし、今からはご馳走を食べて瞳の合格祝いを盛大にしよう。
机の上にご馳走を並べる朋花の顔には笑みが浮かんでいた。
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