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小学生編
第9話 写真
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年を取ると時間があっという間に過ぎるようで、年度が変わり、瞳は小学5年生になっていた。
そしてある日、道徳の授業で使用するために生まれた時の写真を持ってくるよう宿題で出される。
「ねえ、おばちゃん。宿題で生まれた時の写真が必要なんだけど、どこにあるか分かる?」
「えーっと、どこだったっけなあ……。あっ、分かった!お姉ちゃんの荷物は実家にあるからおじいちゃん家にあるはずだよ」
もしかしたら手元に写真が無いかもしれないと少し不安になっていた瞳は、朋花の返事を聞いてほっと胸を撫で下ろしていた。
「それならよかったあ。来週の水曜日までに持ってくるように言われているんだけど、取りに行けるかな?」
「それじゃあ、今週の土曜日に取りに行こっか。後でおばあちゃんに連絡してみるね」
「うん、ありがとう!」
朋花も小学生の時に同じ授業をした記憶があり、懐かしいなと思いながら自分の母に連絡した。
そして土曜日、朋花は瞳を連れて実家を訪れる。
事前に用件を伝えたため、朋花の母が瞳のアルバムを出してくれていた。
「瞳ちゃん、いらっしゃい。朋花もおかえり。瞳ちゃんのアルバムをあっちの部屋に用意したからゆっくり見ていってね」
「お邪魔します。おばあちゃん、ありがとう!」
瞳は祖母にお礼を伝えるとニコニコとしながら家の中を進んだ。
案内された部屋に入ると、瞳のアルバムが机の上にたくさん並べられている。
「へえ、お姉ちゃんはマメだったんだねえ。そう言えばお兄さんは一眼レフカメラで写真を撮ったりしていたから、きっと2人とも瞳ちゃんのアルバムを作るのが好きだったんだね」
アルバムを見ながら朋花が感想を述べ、それを聞いた瞳は両親のことを思い出していた。
「うん、よくパパは写真を撮ってくれたし、ママはリビングの写真立ての写真をよく変えていたよ」
やはり写真を見ていると思い出に浸りたくなる。
ただ、まずは今日の目的を果たそうと朋花は考えた。
「いっぱい写真があってよかったね!いろいろ見たいから先に生まれた時の写真を探そうか」
「うん、そうする!どれがそうかな?」
背表紙のラベルを見ながら2人が探すと正方形の大きなアルバムに「2005年6月10日 瞳誕生」と書かれた文字を朋花が見つける。
「あっ、これかもしれない」
その声を聞いて瞳も駆け寄り、2人で覗き込みながらアルバムを開いた。
すると、1ページ目に貼られた生まれたばかりの瞳の写真が目に飛び込む。
「あっ、これだ!」
「そうみたいだね!見つかってよかったね」
写真の下には瞳の名前の由来も書かれており、久しぶりに姉の字を見た朋花は少し目に涙が浮かぶ。
瞳も熱心にアルバムを眺めており、その文字から父と母の愛情を感じていた。
その後も他のアルバムを見ているとあっという間に時間が過ぎたため、そのまま朋花の実家で昼食をとることにする。
そして、午後から朋花の父と母も部屋に集まり、思い出話に花を咲かせながら1日を過ごした。
「じゃあ、このアルバムを借りて帰るね」
「なんならそのまま朋花の家に置いてたら?」
夕方になり、そろそろ帰ろうと思った朋花がアルバムを借りることを母に伝えると、瞳の手元にある方がいいのではと思った母から返さなくていいと返事が来た。
確かに瞳の物を実家に置く必要は無いと朋花も感じる。
「じゃあ、瞳ちゃんの部屋に置くことにするよ。瞳ちゃんもそれでいい?」
「うん、自分の部屋に置きたい」
それを聞いて朋花はアルバムを持ち帰ることに決める。
しかし、今日は電車のため、手に持てるアルバムの数が限られている。
そのため、残りのアルバムは後日、朋花が車で取りに来ることに決定し、今日のところは必要なアルバムだけを持って実家を後にした。
そしてある日、道徳の授業で使用するために生まれた時の写真を持ってくるよう宿題で出される。
「ねえ、おばちゃん。宿題で生まれた時の写真が必要なんだけど、どこにあるか分かる?」
「えーっと、どこだったっけなあ……。あっ、分かった!お姉ちゃんの荷物は実家にあるからおじいちゃん家にあるはずだよ」
もしかしたら手元に写真が無いかもしれないと少し不安になっていた瞳は、朋花の返事を聞いてほっと胸を撫で下ろしていた。
「それならよかったあ。来週の水曜日までに持ってくるように言われているんだけど、取りに行けるかな?」
「それじゃあ、今週の土曜日に取りに行こっか。後でおばあちゃんに連絡してみるね」
「うん、ありがとう!」
朋花も小学生の時に同じ授業をした記憶があり、懐かしいなと思いながら自分の母に連絡した。
そして土曜日、朋花は瞳を連れて実家を訪れる。
事前に用件を伝えたため、朋花の母が瞳のアルバムを出してくれていた。
「瞳ちゃん、いらっしゃい。朋花もおかえり。瞳ちゃんのアルバムをあっちの部屋に用意したからゆっくり見ていってね」
「お邪魔します。おばあちゃん、ありがとう!」
瞳は祖母にお礼を伝えるとニコニコとしながら家の中を進んだ。
案内された部屋に入ると、瞳のアルバムが机の上にたくさん並べられている。
「へえ、お姉ちゃんはマメだったんだねえ。そう言えばお兄さんは一眼レフカメラで写真を撮ったりしていたから、きっと2人とも瞳ちゃんのアルバムを作るのが好きだったんだね」
アルバムを見ながら朋花が感想を述べ、それを聞いた瞳は両親のことを思い出していた。
「うん、よくパパは写真を撮ってくれたし、ママはリビングの写真立ての写真をよく変えていたよ」
やはり写真を見ていると思い出に浸りたくなる。
ただ、まずは今日の目的を果たそうと朋花は考えた。
「いっぱい写真があってよかったね!いろいろ見たいから先に生まれた時の写真を探そうか」
「うん、そうする!どれがそうかな?」
背表紙のラベルを見ながら2人が探すと正方形の大きなアルバムに「2005年6月10日 瞳誕生」と書かれた文字を朋花が見つける。
「あっ、これかもしれない」
その声を聞いて瞳も駆け寄り、2人で覗き込みながらアルバムを開いた。
すると、1ページ目に貼られた生まれたばかりの瞳の写真が目に飛び込む。
「あっ、これだ!」
「そうみたいだね!見つかってよかったね」
写真の下には瞳の名前の由来も書かれており、久しぶりに姉の字を見た朋花は少し目に涙が浮かぶ。
瞳も熱心にアルバムを眺めており、その文字から父と母の愛情を感じていた。
その後も他のアルバムを見ているとあっという間に時間が過ぎたため、そのまま朋花の実家で昼食をとることにする。
そして、午後から朋花の父と母も部屋に集まり、思い出話に花を咲かせながら1日を過ごした。
「じゃあ、このアルバムを借りて帰るね」
「なんならそのまま朋花の家に置いてたら?」
夕方になり、そろそろ帰ろうと思った朋花がアルバムを借りることを母に伝えると、瞳の手元にある方がいいのではと思った母から返さなくていいと返事が来た。
確かに瞳の物を実家に置く必要は無いと朋花も感じる。
「じゃあ、瞳ちゃんの部屋に置くことにするよ。瞳ちゃんもそれでいい?」
「うん、自分の部屋に置きたい」
それを聞いて朋花はアルバムを持ち帰ることに決める。
しかし、今日は電車のため、手に持てるアルバムの数が限られている。
そのため、残りのアルバムは後日、朋花が車で取りに来ることに決定し、今日のところは必要なアルバムだけを持って実家を後にした。
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