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小学生編
第4話 急病
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瞳と暮らし始めて2週間が経過した。
最初は手間取るばかりでバタバタとしていたけど、やっと新しい生活のリズムに慣れてきて少し余裕が出てきた気がするわ。
そう朋花は思っていたが、やはり物事はそう簡単に上手くはいかない。
「おばちゃん、何か頭が痛い……」
「えっ、大丈夫?ちょっと待ってね。確かこの辺に……」
朝、起きてきた瞳が体調不良を訴えたため、それを聞いた朋花は引き出しをがさごそと探り始めた。
そして、しばらくすると目当ての物が見つかる。
「あっ、あった!はい、体温計。ちょっと熱を測ってみよっか」
やがて、電子音が聞こえ、体温計の表示を見てみるとそこには「38.6」と数字が表示されていた。
どうやら疲れが溜まって瞳は発熱しているようである。
これでは登校させられないと思った朋花はまず会社に連絡する。
「……はい、……はい、すみません。よろしくお願いします」
突然のことであたふたとしながらも仕事を休むことが出来た。
次は瞳へのフォローである。
大人でも新しい生活は慣れるまでしんどいのに、まだ子どもの瞳に無理をさせてしまったことを朋花は謝った。
「瞳ちゃんの体調に気付けなくてごめんね。毎日バタバタで全然休めて無かったよね……」
「ううん、おばちゃんこそお仕事あるのにごめんなさい」
その瞳の返事を聞いて、朋花は心の中で自分を叱責した。
子どもに気を遣わせては駄目だ。
ここは落ち込んでいる場合ではないわね。
とりあえずまずは病院ね。
とりあえず掛かり付けの小児科を予約しようと姉の家から持ってきた荷物を探り、診察券を探し出す。
そして、電話で予約が取れたため、小児科に向かう準備に移った。
本当は車の方が早いけど、まだ瞳ちゃんが乗れないから歩いて行くしか無いわね。
車の事故のトラウマで瞳はあれから車やバス、タクシーに乗れなくなっていた。
「病院の予約が取れたから今から行こうか。ちょっと寒いけど歩いて行くから着込んでマフラーと手袋をしっかり着けてね。しんどくなったらおんぶするからすぐ教えてね」
「うん、分かった。ありがとう、おばちゃん」
支度を終え、同じ町内の小児科を目指して2人は歩き始めた。
子どもの足だと時間が掛かり、30分程歩いてようやく小児科に辿り着く。
「では、こちらの問診票をお書きになってお待ち下さい」
受付で渡された問診票を朋花が記入する。
問診票の質問事項を母子手帳を確認しながら書いていった。
友達に言われた通り、確認しておいてよかったわ。
でも、お姉ちゃんなら何も見ずに書けるんだよね。
やっぱり母子手帳を見ながらだと書くのに時間が掛かっちゃうなあ。
母子手帳の見覚えのある字を見ていると、これを書いた姉の姿が朋花の脳裏に浮かんでくる。
寂しい気持ちが沸き上がると同時に、早く診察を終えて瞳を寝かせてあげたいのに手間取る自分にがっかりしながらもその気持ちは胸に押し込めた。
「疲労による発熱でしょう。熱が下がるまでゆっくりと休ませてあげて下さい」
「分かりました。ありがとうございました」
やがて、診察と会計が終わり、処方箋を出されたがこのまま瞳を歩かせるのは可哀想と思った朋花は1度帰宅することにした。
歩いて家に戻り、瞳を布団に寝かせる。
「ちょっとお薬を貰って、熱さまシートとか買い物してくるね。1人でお留守番、大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ、すぐに行ってくるから待っててね」
その返事を聞いて朋花は鞄を持つと今度は車で出掛けることにした。
「まずは薬局に行って、それからスーパーに寄って……」
誰もいない車内で独り言を呟きながら、1つ1つ用事を済ませていく。
大人になって風邪とか体調不良で休むことがほとんど無かったから何も考えて無かったなあ。
これから仕事とか休む頻度が増えるだろうから考えないと。
独身時代のように身軽に行動出来ないことを今回のことで実感し、朋花は次こそ大丈夫なように準備しようと思いながら買い物を済ませた。
全ての用事を終え、朋花は慌てて瞳の待つ家へと帰る。
最初は手間取るばかりでバタバタとしていたけど、やっと新しい生活のリズムに慣れてきて少し余裕が出てきた気がするわ。
そう朋花は思っていたが、やはり物事はそう簡単に上手くはいかない。
「おばちゃん、何か頭が痛い……」
「えっ、大丈夫?ちょっと待ってね。確かこの辺に……」
朝、起きてきた瞳が体調不良を訴えたため、それを聞いた朋花は引き出しをがさごそと探り始めた。
そして、しばらくすると目当ての物が見つかる。
「あっ、あった!はい、体温計。ちょっと熱を測ってみよっか」
やがて、電子音が聞こえ、体温計の表示を見てみるとそこには「38.6」と数字が表示されていた。
どうやら疲れが溜まって瞳は発熱しているようである。
これでは登校させられないと思った朋花はまず会社に連絡する。
「……はい、……はい、すみません。よろしくお願いします」
突然のことであたふたとしながらも仕事を休むことが出来た。
次は瞳へのフォローである。
大人でも新しい生活は慣れるまでしんどいのに、まだ子どもの瞳に無理をさせてしまったことを朋花は謝った。
「瞳ちゃんの体調に気付けなくてごめんね。毎日バタバタで全然休めて無かったよね……」
「ううん、おばちゃんこそお仕事あるのにごめんなさい」
その瞳の返事を聞いて、朋花は心の中で自分を叱責した。
子どもに気を遣わせては駄目だ。
ここは落ち込んでいる場合ではないわね。
とりあえずまずは病院ね。
とりあえず掛かり付けの小児科を予約しようと姉の家から持ってきた荷物を探り、診察券を探し出す。
そして、電話で予約が取れたため、小児科に向かう準備に移った。
本当は車の方が早いけど、まだ瞳ちゃんが乗れないから歩いて行くしか無いわね。
車の事故のトラウマで瞳はあれから車やバス、タクシーに乗れなくなっていた。
「病院の予約が取れたから今から行こうか。ちょっと寒いけど歩いて行くから着込んでマフラーと手袋をしっかり着けてね。しんどくなったらおんぶするからすぐ教えてね」
「うん、分かった。ありがとう、おばちゃん」
支度を終え、同じ町内の小児科を目指して2人は歩き始めた。
子どもの足だと時間が掛かり、30分程歩いてようやく小児科に辿り着く。
「では、こちらの問診票をお書きになってお待ち下さい」
受付で渡された問診票を朋花が記入する。
問診票の質問事項を母子手帳を確認しながら書いていった。
友達に言われた通り、確認しておいてよかったわ。
でも、お姉ちゃんなら何も見ずに書けるんだよね。
やっぱり母子手帳を見ながらだと書くのに時間が掛かっちゃうなあ。
母子手帳の見覚えのある字を見ていると、これを書いた姉の姿が朋花の脳裏に浮かんでくる。
寂しい気持ちが沸き上がると同時に、早く診察を終えて瞳を寝かせてあげたいのに手間取る自分にがっかりしながらもその気持ちは胸に押し込めた。
「疲労による発熱でしょう。熱が下がるまでゆっくりと休ませてあげて下さい」
「分かりました。ありがとうございました」
やがて、診察と会計が終わり、処方箋を出されたがこのまま瞳を歩かせるのは可哀想と思った朋花は1度帰宅することにした。
歩いて家に戻り、瞳を布団に寝かせる。
「ちょっとお薬を貰って、熱さまシートとか買い物してくるね。1人でお留守番、大丈夫?」
「うん、大丈夫」
「じゃあ、すぐに行ってくるから待っててね」
その返事を聞いて朋花は鞄を持つと今度は車で出掛けることにした。
「まずは薬局に行って、それからスーパーに寄って……」
誰もいない車内で独り言を呟きながら、1つ1つ用事を済ませていく。
大人になって風邪とか体調不良で休むことがほとんど無かったから何も考えて無かったなあ。
これから仕事とか休む頻度が増えるだろうから考えないと。
独身時代のように身軽に行動出来ないことを今回のことで実感し、朋花は次こそ大丈夫なように準備しようと思いながら買い物を済ませた。
全ての用事を終え、朋花は慌てて瞳の待つ家へと帰る。
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