56 / 58
番外編
就職先は貧乏伯爵 前編(ジョエルの両親)
しおりを挟む
ジョエルの母であるドリアーヌは商人の父とメイドの母の間に生まれた。
メイドの立場では雇い主から言い寄られると断れないため、関係を持つこととなった。
もともとドリアーヌの父は妾としてドリアーヌの母を屋敷に住まわそうと思っていたが正妻がそれを許さず、結局ドリアーヌは生まれた娘とともに市井で暮らすこととなる。
ドリアーヌの父は働かなくてもいいくらい仕送りをしたかったが支援することすら正妻が嫌ったため、正妻に見つからない少額のお金しか渡すことが出来なかった。
仕送りは家賃と食費で無くなるため、内職などをして得た僅かな給料をやりくりしてドリアーヌの母は娘を育てる。
やがて、ドリアーヌがある程度大きくなると他の家庭にはお父さんがいるのに、自分の家にはお母さんしかいないことに疑問を持つようになる。
「ねえ、ママ。どうして私のお家にはパパがいないの?」
「パパはね、ドリアーヌが赤ちゃんの時に乗っていた船が沈没して行方不明になったの。パパがいなくても、ママがパパの分までドリアーヌのことを可愛がってあげるから心配しないでね」
「うん、ママ、大好き!」
母の説明に納得したドリアーヌは母に抱き付く。
そして、母はドリアーヌを抱き締め返し、頭を撫でて愛情を伝えた。
ドリアーヌの父親から仕送りを貰っていることが正妻にバレたら、この仕送りすら無くなってしまう。
そうなったら生活出来なくなるから、ドリアーヌを本当の父に会わせることは出来ないわ。
ごめんね、ドリアーヌ。
母は心の中でドリアーヌに謝りながら、その分寂しい思いをさせないように精一杯愛情を注いだ。
このようにドリアーヌは最低限の生活をしながら庶民として育てられたが、母に愛されていることを十分に感じていたため、寂しい思いをすることは無かった。
ドリアーヌは大きくなると仕事で忙しい母を助けるために家事をするようになり、貧乏生活でも母との2人暮らしを楽しんでいた。
そんなドリアーヌの暮らしが一変したのはドリアーヌが15歳の時である。
突然、死んだと思っていたはずの父から会って話がしたいと連絡がきたのだ。
その手紙を見た母はドリアーヌに真実を打ち明ける。
「今まで隠していてごめんね」
「ううん、びっくりしたけど、お母さんが隠していたのは私のためを思ってなのを分かっているから大丈夫だよ」
ドリアーヌが受け入れてくれたことに母は安堵する。
そして、本題へと移る。
「今まで送金だけで手紙なんて無かったのに、急に送ってきたということはドリアーヌにとって良い話ではない可能性があるわ。断ってもいいけど、どうする?」
そう母に聞かれたドリアーヌは、しばらく悩んでから答えを出した。
「うーん、どんな用件なのか気になるし、とりあえず話だけでも聞いてくるわ」
「うん、分かったわ。それじゃあ、後で返事を書いておくわね」
ドリアーヌの母はドリアーヌの意見を尊重して、ドリアーヌの父に会って話を聞くと返事を送った。
それからしばらく経ったある日、ドリアーヌの父が馬車でドリアーヌを迎えに来た。
それが父と初めて会った瞬間である。
「やあ、ドリアーヌ。大きくなったね」
そう初対面のおじさんに話し掛けられて、父とどう話していいか分からないドリアーヌはとりあえず一礼した。
ドリアーヌの父はその様子を見て微笑むと、今度はドリアーヌの母に視線を向ける。
「苦労を掛けさせてすまない。立派に育ててくれてありがとう。今日は君も屋敷に来てくれて構わないのに、本当にいいのかい?」
「いえ、奥様に悪いので私は遠慮しておきます。今日はドリアーヌのことをよろしくお願い致します」
今日はドリアーヌの母は同伴しないため、ドリアーヌ1人で父から話を聞くことになっていた。
「じゃあ、しばらくドリアーヌを預かるぞ。さあ、馬車を用意してあるからこっちにおいで」
「ありがとうございます」
馬車を用意してくれた父にドリアーヌはお礼を述べる。
そして、母の方に向き直ると出発の挨拶をした。
「それじゃあ、お母さん、行ってくるね」
「いってらっしゃい。気を付けてね」
母に見送られながら父と一緒に馬車に乗り込んだドリアーヌは、初めて父と2人きりで過ごすことになる。
馬車の中では父と2人きりのため、必然的に父と話さなければならない。
しかし、初対面の父と何を話してよいか分からず、緊張したドリアーヌが固まっていると父の方から話し掛けてきた。
「ドリアーヌは今、学校に通っているんだろう?楽しいかい?」
「はい、宿題がいっぱいあって大変だけど、毎日友達に会えるので楽しいです」
父に普段の生活を聞かれたドリアーヌが学校でのことを話している内に父の屋敷に到着した。
わあ、なんて大きなお屋敷なのかしら。
初めて訪れた父の屋敷の広大さにドリアーヌは圧倒される。
父の案内で屋敷に入るが、ついキョロキョロと周りを見渡しながらドリアーヌは父の後ろを歩いて行った。
やがて、応接室に辿り着く。
「さあ、ここに座って」
そう父に言われ、ドリアーヌはふかふかのソファに腰掛けた。
向かいに父が座り、早速父が本題を切り出す。
「今日、お前を呼んだのは縁談の話がしたかったからなんだ。今まで苦労を掛けてすまなかった。せめてものお詫びとして、貴族との縁談を取り付けてきた」
突然の結婚話にドリアーヌは驚きながらも最後まで話を聞こうと耳を傾ける。
「貴族に嫁げば安泰な生活を送れる。だから、これがお前の幸せになると思うんだ。相手は3歳年上のジェラール・ブランシール伯爵で、昨年、お父上の跡を継いで若くして伯爵になられたお方だ」
貴族と結婚と聞いててっきりおじさんに嫁がされると思っていたドリアーヌは相手が思っていたよりも年が近く、話を聞きながらどんな男性なのだろうと少し気になっていた。
どうしてもこの縁談を成功させたい父は更に話を続ける。
「縁談と言っても最後は本人同士の相性があるから、1度会ってみるのがいいと思うがどうかね?来月で空いている日があったら教えてくれ。もし結婚が決まったら、ドリアーヌが胸を張って嫁げるように支度金はたんまり用意するから安心してくれ」
商人として成功を収めた父にはお金はたくさんあるが、平民出身であることに引け目を感じていた。
そこで金の力で貴族と繋がりを得るために縁談をドリアーヌに持ち掛けたのだ。
勿論相手の貴族は貧乏伯爵と呼ばれていることは調査済で、お金を積めば平民の娘でも結婚するだろうと目論んでいる。
ただし、相手は辺境伯爵であり、そんなところに可愛い娘を嫁がせて苦労させるのは嫌だと思った父は、ドリアーヌに白羽の矢を立てたのだ。
そんな事情を知らないドリアーヌはとりあえず会ってみてから結婚を考えようかなと呑気に考えている。
「今まで結婚を考えたことが無かったのでまだ実感が湧きません。でも、せっかく話を持ってきて下さったので、一先ずお相手の方と会ってみようと思っています。来月なら2週目と3週目の休日なら空いています」
前向きなドリアーヌの気持ちを聞いて、父は笑顔になる。
「ああ、それが良いと思うぞ!せっかくの機会だからとりあえず顔だけでも見てくれ。それじゃあ、先方の予定を聞いてお見合いの日を決めておくぞ。また詳しく決まったら手紙を送るから、待っていてくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
こうしてお見合いの段取りが決まり、再び父の馬車で家まで送って貰った。
メイドの立場では雇い主から言い寄られると断れないため、関係を持つこととなった。
もともとドリアーヌの父は妾としてドリアーヌの母を屋敷に住まわそうと思っていたが正妻がそれを許さず、結局ドリアーヌは生まれた娘とともに市井で暮らすこととなる。
ドリアーヌの父は働かなくてもいいくらい仕送りをしたかったが支援することすら正妻が嫌ったため、正妻に見つからない少額のお金しか渡すことが出来なかった。
仕送りは家賃と食費で無くなるため、内職などをして得た僅かな給料をやりくりしてドリアーヌの母は娘を育てる。
やがて、ドリアーヌがある程度大きくなると他の家庭にはお父さんがいるのに、自分の家にはお母さんしかいないことに疑問を持つようになる。
「ねえ、ママ。どうして私のお家にはパパがいないの?」
「パパはね、ドリアーヌが赤ちゃんの時に乗っていた船が沈没して行方不明になったの。パパがいなくても、ママがパパの分までドリアーヌのことを可愛がってあげるから心配しないでね」
「うん、ママ、大好き!」
母の説明に納得したドリアーヌは母に抱き付く。
そして、母はドリアーヌを抱き締め返し、頭を撫でて愛情を伝えた。
ドリアーヌの父親から仕送りを貰っていることが正妻にバレたら、この仕送りすら無くなってしまう。
そうなったら生活出来なくなるから、ドリアーヌを本当の父に会わせることは出来ないわ。
ごめんね、ドリアーヌ。
母は心の中でドリアーヌに謝りながら、その分寂しい思いをさせないように精一杯愛情を注いだ。
このようにドリアーヌは最低限の生活をしながら庶民として育てられたが、母に愛されていることを十分に感じていたため、寂しい思いをすることは無かった。
ドリアーヌは大きくなると仕事で忙しい母を助けるために家事をするようになり、貧乏生活でも母との2人暮らしを楽しんでいた。
そんなドリアーヌの暮らしが一変したのはドリアーヌが15歳の時である。
突然、死んだと思っていたはずの父から会って話がしたいと連絡がきたのだ。
その手紙を見た母はドリアーヌに真実を打ち明ける。
「今まで隠していてごめんね」
「ううん、びっくりしたけど、お母さんが隠していたのは私のためを思ってなのを分かっているから大丈夫だよ」
ドリアーヌが受け入れてくれたことに母は安堵する。
そして、本題へと移る。
「今まで送金だけで手紙なんて無かったのに、急に送ってきたということはドリアーヌにとって良い話ではない可能性があるわ。断ってもいいけど、どうする?」
そう母に聞かれたドリアーヌは、しばらく悩んでから答えを出した。
「うーん、どんな用件なのか気になるし、とりあえず話だけでも聞いてくるわ」
「うん、分かったわ。それじゃあ、後で返事を書いておくわね」
ドリアーヌの母はドリアーヌの意見を尊重して、ドリアーヌの父に会って話を聞くと返事を送った。
それからしばらく経ったある日、ドリアーヌの父が馬車でドリアーヌを迎えに来た。
それが父と初めて会った瞬間である。
「やあ、ドリアーヌ。大きくなったね」
そう初対面のおじさんに話し掛けられて、父とどう話していいか分からないドリアーヌはとりあえず一礼した。
ドリアーヌの父はその様子を見て微笑むと、今度はドリアーヌの母に視線を向ける。
「苦労を掛けさせてすまない。立派に育ててくれてありがとう。今日は君も屋敷に来てくれて構わないのに、本当にいいのかい?」
「いえ、奥様に悪いので私は遠慮しておきます。今日はドリアーヌのことをよろしくお願い致します」
今日はドリアーヌの母は同伴しないため、ドリアーヌ1人で父から話を聞くことになっていた。
「じゃあ、しばらくドリアーヌを預かるぞ。さあ、馬車を用意してあるからこっちにおいで」
「ありがとうございます」
馬車を用意してくれた父にドリアーヌはお礼を述べる。
そして、母の方に向き直ると出発の挨拶をした。
「それじゃあ、お母さん、行ってくるね」
「いってらっしゃい。気を付けてね」
母に見送られながら父と一緒に馬車に乗り込んだドリアーヌは、初めて父と2人きりで過ごすことになる。
馬車の中では父と2人きりのため、必然的に父と話さなければならない。
しかし、初対面の父と何を話してよいか分からず、緊張したドリアーヌが固まっていると父の方から話し掛けてきた。
「ドリアーヌは今、学校に通っているんだろう?楽しいかい?」
「はい、宿題がいっぱいあって大変だけど、毎日友達に会えるので楽しいです」
父に普段の生活を聞かれたドリアーヌが学校でのことを話している内に父の屋敷に到着した。
わあ、なんて大きなお屋敷なのかしら。
初めて訪れた父の屋敷の広大さにドリアーヌは圧倒される。
父の案内で屋敷に入るが、ついキョロキョロと周りを見渡しながらドリアーヌは父の後ろを歩いて行った。
やがて、応接室に辿り着く。
「さあ、ここに座って」
そう父に言われ、ドリアーヌはふかふかのソファに腰掛けた。
向かいに父が座り、早速父が本題を切り出す。
「今日、お前を呼んだのは縁談の話がしたかったからなんだ。今まで苦労を掛けてすまなかった。せめてものお詫びとして、貴族との縁談を取り付けてきた」
突然の結婚話にドリアーヌは驚きながらも最後まで話を聞こうと耳を傾ける。
「貴族に嫁げば安泰な生活を送れる。だから、これがお前の幸せになると思うんだ。相手は3歳年上のジェラール・ブランシール伯爵で、昨年、お父上の跡を継いで若くして伯爵になられたお方だ」
貴族と結婚と聞いててっきりおじさんに嫁がされると思っていたドリアーヌは相手が思っていたよりも年が近く、話を聞きながらどんな男性なのだろうと少し気になっていた。
どうしてもこの縁談を成功させたい父は更に話を続ける。
「縁談と言っても最後は本人同士の相性があるから、1度会ってみるのがいいと思うがどうかね?来月で空いている日があったら教えてくれ。もし結婚が決まったら、ドリアーヌが胸を張って嫁げるように支度金はたんまり用意するから安心してくれ」
商人として成功を収めた父にはお金はたくさんあるが、平民出身であることに引け目を感じていた。
そこで金の力で貴族と繋がりを得るために縁談をドリアーヌに持ち掛けたのだ。
勿論相手の貴族は貧乏伯爵と呼ばれていることは調査済で、お金を積めば平民の娘でも結婚するだろうと目論んでいる。
ただし、相手は辺境伯爵であり、そんなところに可愛い娘を嫁がせて苦労させるのは嫌だと思った父は、ドリアーヌに白羽の矢を立てたのだ。
そんな事情を知らないドリアーヌはとりあえず会ってみてから結婚を考えようかなと呑気に考えている。
「今まで結婚を考えたことが無かったのでまだ実感が湧きません。でも、せっかく話を持ってきて下さったので、一先ずお相手の方と会ってみようと思っています。来月なら2週目と3週目の休日なら空いています」
前向きなドリアーヌの気持ちを聞いて、父は笑顔になる。
「ああ、それが良いと思うぞ!せっかくの機会だからとりあえず顔だけでも見てくれ。それじゃあ、先方の予定を聞いてお見合いの日を決めておくぞ。また詳しく決まったら手紙を送るから、待っていてくれ」
「分かりました。ありがとうございます」
こうしてお見合いの段取りが決まり、再び父の馬車で家まで送って貰った。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
取り巻き令嬢Aは覚醒いたしましたので
モンドール
恋愛
揶揄うような微笑みで少女を見つめる貴公子。それに向き合うのは、可憐さの中に少々気の強さを秘めた美少女。
貴公子の周りに集う取り巻きの令嬢たち。
──まるでロマンス小説のワンシーンのようだわ。
……え、もしかして、わたくしはかませ犬にもなれない取り巻き!?
公爵令嬢アリシアは、初恋の人の取り巻きA卒業を決意した。
(『小説家になろう』にも同一名義で投稿しています。)
【完結】殿下、自由にさせていただきます。
なか
恋愛
「出て行ってくれリルレット。王宮に君が住む必要はなくなった」
その言葉と同時に私の五年間に及ぶ初恋は終わりを告げた。
アルフレッド殿下の妃候補として選ばれ、心の底から喜んでいた私はもういない。
髪を綺麗だと言ってくれた口からは、私を貶める言葉しか出てこない。
見惚れてしまう程の笑みは、もう見せてもくれない。
私………貴方に嫌われた理由が分からないよ。
初夜を私一人だけにしたあの日から、貴方はどうして変わってしまったの?
恋心は砕かれた私は死さえ考えたが、過去に見知らぬ男性から渡された本をきっかけに騎士を目指す。
しかし、正騎士団は女人禁制。
故に私は男性と性別を偽って生きていく事を決めたのに……。
晴れて騎士となった私を待っていたのは、全てを見抜いて笑う副団長であった。
身分を明かせない私は、全てを知っている彼と秘密の恋をする事になる。
そして、騎士として王宮内で起きた変死事件やアルフレッドの奇行に大きく関わり、やがて王宮に蔓延る謎と対峙する。
これは、私の初恋が終わり。
僕として新たな人生を歩みだした話。
婚約者が他の女性に興味がある様なので旅に出たら彼が豹変しました
Karamimi
恋愛
9歳の時お互いの両親が仲良しという理由から、幼馴染で同じ年の侯爵令息、オスカーと婚約した伯爵令嬢のアメリア。容姿端麗、強くて優しいオスカーが大好きなアメリアは、この婚約を心から喜んだ。
順風満帆に見えた2人だったが、婚約から5年後、貴族学院に入学してから状況は少しずつ変化する。元々容姿端麗、騎士団でも一目置かれ勉学にも優れたオスカーを他の令嬢たちが放っておく訳もなく、毎日たくさんの令嬢に囲まれるオスカー。
特に最近は、侯爵令嬢のミアと一緒に居る事も多くなった。自分より身分が高く美しいミアと幸せそうに微笑むオスカーの姿を見たアメリアは、ある決意をする。
そんなアメリアに対し、オスカーは…
とても残念なヒーローと、行動派だが周りに流されやすいヒロインのお話です。
私は既にフラれましたので。
椎茸
恋愛
子爵令嬢ルフェルニア・シラーは、国一番の美貌を持つ幼馴染の公爵令息ユリウス・ミネルウァへの想いを断ち切るため、告白をする。ルフェルニアは、予想どおりフラれると、元来の深く悩まない性格ゆえか、気持ちを切り替えて、仕事と婚活に邁進しようとする。一方、仕事一筋で自身の感情にも恋愛事情にも疎かったユリウスは、ずっと一緒に居てくれたルフェルニアに距離を置かれたことで、感情の蓋が外れてルフェルニアの言動に一喜一憂するように…?
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しております。
心の声が聞こえる私は、婚約者から嫌われていることを知っている。
木山楽斗
恋愛
人の心の声が聞こえるカルミアは、婚約者が自分のことを嫌っていることを知っていた。
そんな婚約者といつまでも一緒にいるつもりはない。そう思っていたカルミアは、彼といつか婚約破棄すると決めていた。
ある時、カルミアは婚約者が浮気していることを心の声によって知った。
そこで、カルミアは、友人のロウィードに協力してもらい、浮気の証拠を集めて、婚約者に突きつけたのである。
こうして、カルミアは婚約破棄して、自分を嫌っている婚約者から解放されるのだった。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
政略結婚の約束すら守ってもらえませんでした。
克全
恋愛
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
「すまない、やっぱり君の事は抱けない」初夜のベットの中で、恋焦がれた初恋の人にそう言われてしまいました。私の心は砕け散ってしまいました。初恋の人が妹を愛していると知った時、妹が死んでしまって、政略結婚でいいから結婚して欲しいと言われた時、そして今。三度もの痛手に私の心は耐えられませんでした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる