上 下
39 / 58

第39話 決着

しおりを挟む
「一体なぜソフィアさんを見下すのですか?あなたはまだ若いし、愛らしい見た目をしているのだから、その性格を直せばもっと人に好かれるはずです。それが叶わないからってソフィアさんを僻んで傷付けるのはおやめなさい」

ジーナのいつもお母様が言っているという発言から、この子が歪んだ考え方をするのは母親の影響が大きいのだろうとジネットは考えていた。
今後、ジーナ自身が幸せになればソフィアに構うことは無いと思い、その性格を直すように勧告する。
しかし、ここまで問題を起こすジーナが素直に聞くことはなかった。

「下働きの分際でこの私に説教するなんて何様のつもりなの!私は貴族よ!立場を弁えなさい!」

ついに耐えられなくなったジーナがジョエル達がいるのにも関わらず、ジネットを罵り始めた。
それを聞いてジョエルは黙っていられない。

「やっぱり皆の言うことは本当だったんだね。ジーナ、身分で差別するのはよくない。ジネットは君の未来を思って言ってくれているのだから、そんなことを言っては駄目だ」

ジーナを諭すようにジョエルは優しく言ったつもりであったが、それすらもジーナは受け付けない。
今まで話を聞いて優しくしてくれていたジョエルが敵に回ったと感じたジーナは遂にジョエルを諦める。

「あー、もういい!寄って集って説教なんてうんざりよ。もう少しで邪魔者は追い出して快適な暮らしが手に入ると思っていたのに。こんな人達に囲まれて暮らすことになるなら、婚約者の地位なんていらないわ」

その言葉を聞いて大事な人達を悪く言われたソフィアは反論する。

「ここの方達を悪く言わないで。皆、思いやりがあって温かい人達だわ。あなた達みたいな血の繋がった家族よりも、ここの皆さんの方が私にとっては本当の家族よ」

本当の家族として思ってくれているソフィアの気持ちを聞いて、皆の心の中が嬉しさで満たされる。
そして、そんなソフィアを守らなければとようやく気付いたジョエルが言葉を発する。

「じゃあ、今までの言動はソフィアのことを邪魔に思って行ったことで間違いないね?ソフィアは君を突き落としたりなんてしていないことを認めるかい?」

味方になってくれると目論んでいたジョエルに問い詰められ、ジーナは思い通りにいかないことに腹を立てる。
そして、誰も自分の味方がいないことが分かり、取り繕う必要は無いと思ったため不貞腐れた態度をとる。

「あー、はいはい。私が嘘をついていました。これでいいんでしょ?あーあ、こんな辺境に来るんじゃなかったわ!」

遂にジーナが嘘をついたことを認め、ソフィアは安堵する。

皆さんが粘り強く証言してくれたおかげだわ。
自分の無実が証明出来てよかったわ。

そして、ジーナが嘘をついたことを認めたため、すかさず全てを見守っていたエクトルが1枚の紙を取り出した。
しおりを挟む

処理中です...