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第34話 証人を探して
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役所に着いた2人はまず現場が2階から見えるか確認するために、2階のバルコニーを見てみることにした。
役所ではジョエルの両親が働いているため、執務室を避けて見つからないようにこっそり動く。
私が屋敷に居ない理由は流行り病かもしれないからと伝えているから、今は見つからないようにしないと。
幸い2人は執務室での書類作業が多いからあまり出歩かないとエクトルから聞き、少し安心するが用心するに越したことはない。
運良く知り合いと出会うことなく、2階のバルコニーに辿り着くことが出来た。
「ここから外に出られるから見てみよう」
「分かりました」
2人は扉を開け、バルコニーから下を見下ろす。
「あっ、見えました!」
「やっぱりそうか。予想通りでよかったよ」
バルコニーの手すり付近に立つと、ジーナが転んだ役所前の階段がはっきりと見える。
2階から見えるかもしれないと言ったエクトルの予想通りであった。
「後は目撃者がいることを願うのみだな」
「そうですね。どうやって探しましょうか?」
2階にいる人に手当たり次第聞き込みを行うくらいしか思い付かないが、それでは時間がかなり掛かる。
もしかしたら職員ではなく、用事があってたまたま役所を訪れていた人が見ているかもしれない。
そう考えると誰まで聞き込みをするのかきりがないと思えた。
「あまり良い方法とは言えないが、ひとまずこの近辺にいる人から聞き込みをしようか。僕達が目撃者を探していると噂になれば、もしかしたら名乗り出てくれる人がいるかもしれないし」
「そうですね。今は何も手掛かりが無いので、出来る事からやっていきたいです」
方針が決まったところで行動しようと2人が振り返った時、バルコニーの扉が開き、1人の男性が外に出てきた。
どうやらここで葉巻を吸って休憩しているようだ。
「まずは彼に聞いてみようか」
「そうですね。何か知っている方でありますように」
葉巻を吸う男性に2人は近付き、エクトルが声を掛ける。
「突然、すみません。僕達はある事件の目撃者を探しているのですが、昨日の午後、ここから見える階段で女性が落ちたのをご存知ですか?」
「ああ、それなら知っているぜ。ジョエル様の知り合いみたいだったから俺がジョエル様を呼びに行ったんだ。俺は仕事があるから途中でその場を離れたんだが、あの後どうなったんだい?」
まさかジョエル様を呼びに行った方に出会えるなんて運が良いわ。
偶然、事件の関係者に出会うことが出来て、ソフィアは内心喜んでいた。
事の顛末をエクトルが説明する。
「女性は擦り傷のみで軽傷なので大丈夫でした。ただその女性がここにいる彼女に突き落とされたと言うのですが、彼女は触れておらず女性の自作自演のようなのです。そこで彼女の無実を証明するために落ちる瞬間を目撃された方を探しているのです」
どうか目撃者であってくれ。
そう願いながら尋ねたエクトルは男性の答えに期待する。
ソフィアも同じく男性の発言を聞き漏らさないよう、しっかりと耳を傾けて返事を待った。
「ああ、それなら落ちる瞬間を見たぜ。その時もちょうどここで葉巻を吸っていたからな」
2人が待ち望んでいた答えが男性の口から発せられた時、2人の表情がガラッと変わった。
不安が混じった表情から希望に満ちた表情へと変化する。
「本当ですか!?詳しく聞かせて下さい!」
ソフィアに至っては興奮の余り、つい言葉が口から溢れた。
気になって仕方がない様子がよく見てとれる。
そんな2人を見て男性はその時の様子を詳しく教えてくれた。
役所ではジョエルの両親が働いているため、執務室を避けて見つからないようにこっそり動く。
私が屋敷に居ない理由は流行り病かもしれないからと伝えているから、今は見つからないようにしないと。
幸い2人は執務室での書類作業が多いからあまり出歩かないとエクトルから聞き、少し安心するが用心するに越したことはない。
運良く知り合いと出会うことなく、2階のバルコニーに辿り着くことが出来た。
「ここから外に出られるから見てみよう」
「分かりました」
2人は扉を開け、バルコニーから下を見下ろす。
「あっ、見えました!」
「やっぱりそうか。予想通りでよかったよ」
バルコニーの手すり付近に立つと、ジーナが転んだ役所前の階段がはっきりと見える。
2階から見えるかもしれないと言ったエクトルの予想通りであった。
「後は目撃者がいることを願うのみだな」
「そうですね。どうやって探しましょうか?」
2階にいる人に手当たり次第聞き込みを行うくらいしか思い付かないが、それでは時間がかなり掛かる。
もしかしたら職員ではなく、用事があってたまたま役所を訪れていた人が見ているかもしれない。
そう考えると誰まで聞き込みをするのかきりがないと思えた。
「あまり良い方法とは言えないが、ひとまずこの近辺にいる人から聞き込みをしようか。僕達が目撃者を探していると噂になれば、もしかしたら名乗り出てくれる人がいるかもしれないし」
「そうですね。今は何も手掛かりが無いので、出来る事からやっていきたいです」
方針が決まったところで行動しようと2人が振り返った時、バルコニーの扉が開き、1人の男性が外に出てきた。
どうやらここで葉巻を吸って休憩しているようだ。
「まずは彼に聞いてみようか」
「そうですね。何か知っている方でありますように」
葉巻を吸う男性に2人は近付き、エクトルが声を掛ける。
「突然、すみません。僕達はある事件の目撃者を探しているのですが、昨日の午後、ここから見える階段で女性が落ちたのをご存知ですか?」
「ああ、それなら知っているぜ。ジョエル様の知り合いみたいだったから俺がジョエル様を呼びに行ったんだ。俺は仕事があるから途中でその場を離れたんだが、あの後どうなったんだい?」
まさかジョエル様を呼びに行った方に出会えるなんて運が良いわ。
偶然、事件の関係者に出会うことが出来て、ソフィアは内心喜んでいた。
事の顛末をエクトルが説明する。
「女性は擦り傷のみで軽傷なので大丈夫でした。ただその女性がここにいる彼女に突き落とされたと言うのですが、彼女は触れておらず女性の自作自演のようなのです。そこで彼女の無実を証明するために落ちる瞬間を目撃された方を探しているのです」
どうか目撃者であってくれ。
そう願いながら尋ねたエクトルは男性の答えに期待する。
ソフィアも同じく男性の発言を聞き漏らさないよう、しっかりと耳を傾けて返事を待った。
「ああ、それなら落ちる瞬間を見たぜ。その時もちょうどここで葉巻を吸っていたからな」
2人が待ち望んでいた答えが男性の口から発せられた時、2人の表情がガラッと変わった。
不安が混じった表情から希望に満ちた表情へと変化する。
「本当ですか!?詳しく聞かせて下さい!」
ソフィアに至っては興奮の余り、つい言葉が口から溢れた。
気になって仕方がない様子がよく見てとれる。
そんな2人を見て男性はその時の様子を詳しく教えてくれた。
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