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第1章 悲しみの果て
第5話 寿命 - Side L -
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占星術の結果を待つ間に犯人探しも進展があった。
異国の呪術が絡んでいることが判明してから、海を隔てた隣国と貿易をしている貴族を中心に調査すると、ある貴族が主犯であることが判明したのだ。
「ジュード様、呪いの品の主犯を捕縛しました」
「一体誰だ?」
高官からの報告にジュードは耳を傾ける。
それはどうやら父であるアルジャノン王にかつて失脚させられた貴族であり、呪いの腕輪は本来は王の元へ届く計画だったようである。
「……それが手違いでこちらの品物に紛れ込んだようです。呪いを解く方法はその男にも分からず、依頼した異国の呪術師とは現在、連絡が取れないそうです」
「……くそっ、何で僕が……」
経緯と解決策の無さを知り、ジュードの心は荒ぶっていく。
「この件に関わった者は全員処刑が確定しておりますのでご安心下さい」
「そいつらが死んだ所で何になる?僕の呪いが解ける訳が無いんだからどうでもいい……」
そんな重々しいジュードの言葉に誰も掛ける言葉が見つからなかった。
そして、占星術の結果も出る。
「ジュード様の寿命は30年と出ました。恐らく本来は60歳まで生きられたかと思われます」
「30歳……。そうか、後20年……」
まだ成人もしていないのに既に将来が決まっていることにジュードは絶望する。
そして、全てを憎んだ王子は自ら王となるために行動することを考え、この日から性格まで変わった。
「……という訳で俺に協力しろ」
新年の休み明けに学園でジュードと再会したルイスは友の変わり様に驚いた。
目付きと纏う刺々しい雰囲気が今までと大違いだ。
自分のことも僕と言って今までは親しみやすい男の子だったのに。
今はまるで刃物のような鋭さだ。
これは逆らってはいけないと本能が警鐘を鳴らす。
「畏まりました」
今までは友達としてタメ口でジュードと話していたルイスであったが、この日から部下として敬語で話すようになった。
今日からは彼は友達では無く、主君だ。
そう心の中で思うルイスの頭の中に、かつての友の姿が浮かんでくる。
ジュードと同い年のルイスは同じ学園に通う学友として親しくしていた。
元々はルイスが両親から将来のために王族と仲良くするように言われて近付いた。
しかし、学年トップクラスの秀才のルイスをジュードは信頼するようになり、いつしか真の友達となっていたのだ。
もう彼とは友達に戻れないんだ。
ジュードに逆らえば殺されるかもしれない恐怖よりも、関係性が変わって今までの楽しかった思い出さえも崩れ去ったような悲しみの方がルイスは大きかった。
しかし、悲しんでいる暇は無い。
「それで俺が王になる方法は何だ?俺には時間が無い」
第4王子を王にすること自体が無理難題に近いが、それに加えて時間も限られている条件でジュードから質問された。
その答えをルイスは必死に考える。
異国の呪術が絡んでいることが判明してから、海を隔てた隣国と貿易をしている貴族を中心に調査すると、ある貴族が主犯であることが判明したのだ。
「ジュード様、呪いの品の主犯を捕縛しました」
「一体誰だ?」
高官からの報告にジュードは耳を傾ける。
それはどうやら父であるアルジャノン王にかつて失脚させられた貴族であり、呪いの腕輪は本来は王の元へ届く計画だったようである。
「……それが手違いでこちらの品物に紛れ込んだようです。呪いを解く方法はその男にも分からず、依頼した異国の呪術師とは現在、連絡が取れないそうです」
「……くそっ、何で僕が……」
経緯と解決策の無さを知り、ジュードの心は荒ぶっていく。
「この件に関わった者は全員処刑が確定しておりますのでご安心下さい」
「そいつらが死んだ所で何になる?僕の呪いが解ける訳が無いんだからどうでもいい……」
そんな重々しいジュードの言葉に誰も掛ける言葉が見つからなかった。
そして、占星術の結果も出る。
「ジュード様の寿命は30年と出ました。恐らく本来は60歳まで生きられたかと思われます」
「30歳……。そうか、後20年……」
まだ成人もしていないのに既に将来が決まっていることにジュードは絶望する。
そして、全てを憎んだ王子は自ら王となるために行動することを考え、この日から性格まで変わった。
「……という訳で俺に協力しろ」
新年の休み明けに学園でジュードと再会したルイスは友の変わり様に驚いた。
目付きと纏う刺々しい雰囲気が今までと大違いだ。
自分のことも僕と言って今までは親しみやすい男の子だったのに。
今はまるで刃物のような鋭さだ。
これは逆らってはいけないと本能が警鐘を鳴らす。
「畏まりました」
今までは友達としてタメ口でジュードと話していたルイスであったが、この日から部下として敬語で話すようになった。
今日からは彼は友達では無く、主君だ。
そう心の中で思うルイスの頭の中に、かつての友の姿が浮かんでくる。
ジュードと同い年のルイスは同じ学園に通う学友として親しくしていた。
元々はルイスが両親から将来のために王族と仲良くするように言われて近付いた。
しかし、学年トップクラスの秀才のルイスをジュードは信頼するようになり、いつしか真の友達となっていたのだ。
もう彼とは友達に戻れないんだ。
ジュードに逆らえば殺されるかもしれない恐怖よりも、関係性が変わって今までの楽しかった思い出さえも崩れ去ったような悲しみの方がルイスは大きかった。
しかし、悲しんでいる暇は無い。
「それで俺が王になる方法は何だ?俺には時間が無い」
第4王子を王にすること自体が無理難題に近いが、それに加えて時間も限られている条件でジュードから質問された。
その答えをルイスは必死に考える。
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