飾りの恋の裏側

三条 よもぎ

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第3章 初勝利を目指して

第9話 恋愛イベント発生

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「勉強熱心だな。感心するぞ」

そこに現れたのは経盛であった。
今日の目玉イベントだわ。
千代はこの時を待っていた。

「いえ、まだまだ知らないことばかりですので、学ぶことばかりです」
「昨日、土壌兵を1体作ったと聞いたぞ。期待以上の働き、ご苦労であった」
「お褒めの言葉、光栄です。戦が近いと聞いておりますので、これからも精進します」

大好きな経盛に褒められ、千代は内心、舞い上がっていた。
一方、経盛に褒められたい暁秀は、会話に入ろうと話し掛けてきた。

「その千代には私が教えました。千代は吸収が早く、教え甲斐があります」
「そうか、優秀な後輩が持ててよかったな」

千代ばかり褒める経盛にムッとしながらも、何も言えない暁秀は渋い顔をする。
その顔を見て経盛が口角を上げたのを見た千代は、遊ばれている暁秀が可哀想になり、助け船を出した。

「暁秀様は本当に教え方が上手で、素晴らしいお方です。今日も書物を読みながら質問をしたら、分かりやすく教えてくださいました」

千代に褒められて暁秀は得意そうな顔をした。
その顔を見た経盛は面白くないと思い、話を変える。

「ほお、それ程までに暁秀のことが気に入ったか。それなら、わしも手取り足取り教えてやろう」

そう言いながら経盛は千代に近付き、千代の顎を持ち上げた。
この展開は分かっていたとは言え、至近距離で目が合い、千代は固まった。
暁秀は突然の展開に頭が追い付かず、呆然と2人を眺めていた。
経盛の顔が近付き、恥ずかしさで千代が目を瞑ると、おでこに軽く口付けされた。

「続きがしたかったら、わしのところに来い」
「あっ、あのっ、そんなことっ……、恐れ多くて……」
「冗談だ。千代も暁秀もからかいがいがあるな。暁秀、優秀な貴様なら千代を安心して預けられる。これからもよろしく頼んだぞ」
「はっ、はいっ!必ず経盛様のために役立ってみせますっ!」

恥ずかしさであわあわしている千代の横で、突然褒められて暁秀も思考が停止した。
そんな2人の反応に満足した経盛は立ち去っていった。

さすが顎クイのスチルが出てくるシーンね。
ドキドキが止まらないわ。
勉強どころでは無くなった2人は切り上げて、それぞれ自室に戻って昼食を取ることにした。
午後は借りてきた本を部屋で読んでいたが、千代の頭に全然入ってこなかった。


その後、土壌兵に魂を込めたり、書物を読んだりを繰り返している内に、初戦の日がやって来た。
やはり土壌兵を1体作ると、体力が回復するまで3日程掛かるため、千代が作れたのは5体であった。

今回は北の国へ攻め入るため、完成した土壌兵を引き連れて、経盛軍は北の国の城前にある戦場に来ていた。
戦では主に経盛と日向が土壌兵を動かす。
戦の行方を見守るために、暁秀と千代は本陣近くの席に座っていた。

法螺貝の音と共に、両軍の土壌兵が動き出し、戦が始まった。
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