上 下
49 / 168
スポーツ際

打ち上げ3

しおりを挟む
何人かの曲が終わり俺は海老名からマイクを受け取り、ふぅーと息を吐いた。下手な歌を歌うと、零菜がうまいぶん目立つからうまく歌わなければならない。

チラッと零菜を見ると、ありがとうと言ってマイクを受け取っていた。ちなみに笑顔を向けられたクラスメイトは顔を赤くして下を向いていた。至近距離で笑顔を向けられたことがないのだろう。俺も可憐以外いないが。それにしても零菜の男との距離感バグっているな。あれだと勘違いするやつが出てきて、告白かなりされるんじゃないか。大丈夫だろうか、モテないやつには女子慣れしてなくて、ヤバイやつが一部紛れ込んだりしている。ちょっと一応後で警告しておくか。

曲が始まると、スイッチが入ったのか、零菜は雰囲気を変えて、儚い感じになった。曲に合わせて変えられるのか。すごいな。俺もスイッチいれた。

零菜は儚く優しく歌い始めた。ウィスパーボイスで、語尾が消えるようにスッと歌っている。なるほど零菜は憑依がたなのか。いわゆる天才だ。

俺はビブラードを意識しながら歌う。米津玄師の真似は特徴過ぎて真似はできないが、鼻にかかるように歌えばそれぽくなる。

すると一番最初のサビが回ってきた。ここは花火がうち上がるように元気を注入して歌う。すると自然と笑顔になり俺は零菜を見る。零菜もおれのことを見て笑顔で歌う。デュエットてこんなに楽しいんだな。今日可憐と歌ってみるか。

すると最後に零菜が花火が消えるように最後歌い終わった。

するといい雰囲気が出来上がったが、なぜか可憐がいるところだけ霊気が乱れていた。

「ふーん望くんそんなに楽しいんだね。あまり見ない笑顔しちゃってさ」

絶対零度の真顔で言ってきた。回りにいる輝元が表情が曇っている。これは相当霊気が乱れているな。

「可憐の好きな人は望じゃないんだから誰と何を歌おうが勝手なんじゃないの」

すると視線が零菜に向く、目を細めて零菜を射ぬく。矛先が零菜に向きやがった。にしてもなんで噛みついたのだろう。

しばらく零菜と可憐はにらみ合った。さてどうやってこの状況を打開できるか。なんで可憐は怒っているのかだな。一緒に楽しそうに歌ったからか。つまりデュエットをすればいいってことだ。

「可憐一緒に歌わないか?」

すると目を見未来て驚いた後、可憐は満面の笑みでうんとうなずいた。

「やっぱりそいうことなんだね」

土いうことなのか分からないが輝元がなにかに納得をした。さて何を歌おう。幼馴染みだが俺と可憐は好みが結構違うから互いに知っている曲というのはあまりない。さて何を歌うか。折角だし恋愛曲を歌ってみたいな。

チューリングラブにするか。可憐の声ならこれが合うだろう。俺はチューリングラブをいれた。

しばらく他の人が歌い盛り上がる。すると出番が回ってきて零菜からマイクを受けとる。

可憐は楽しそうに歌っている。この曲は高音だから可憐は歌いやすいだろう。問題は俺だ。この音は高いから鼻声にならないように注意しなければならない。

さて出番か回ってきたし歌うか。理系が恋をしたらみたいな感じて歌えばうまく歌える。

サビは一緒に証明する感じて歌う。俺はこの恋の解を見つける。

可憐と一緒に歌うと、気持ちがいいな。可憐の声がアニメ声というのもあるだろう。こういったアニソンには合っている。

歌い終えると、俺と可憐は顔を合わせて笑顔になった。

「いい雰囲気だね。やっぱ僕と歌うより可憐は楽しそうで、気持ちが伝わるね」

なに言っているんだ輝元は、可憐が好きなのはお前なんだぞ。俺はお前が振りむくように動いてるんだぞ。もしおれのことを好きなんだったら俺は涙を流して喜ぶだろう。

「可憐君が笑む夕暮れを歌ってくれないか」

「いいよー。本当望くんってその曲好きだよね」

厳密いえばおれは可憐の歌う君が笑む夕暮れが好きなだけなんだがな。可憐が歌うと俺に向かって歌っているような気がして。

松戸と海老名がアイドル曲を熱唱して、いよいよ可憐の番が回ってきた。

可憐が歌い始めると、クラスメイト経ちもオーという声が上がる。可憐の声に魅せられてるな。このアニメの主人公と俺の共通点といえばとちらも幼馴染みがいることだ。

勝手に俺はこのアニメの主人公に親近感を得てる。まぁ俺は可憐に思いは寄せられていないんだけど。

可憐か心を込めてサビの部分を歌うと、俺の心がぽっかりと暖かくなる。やっぱいいよな。可憐の声でこの歌は。いつの間にかクラスメイトは黙って目を瞑りながら聞いている。

やがて曲が終わると溢れんばかりの拍手が沸いた。俺も負けじと拍手をする。

「そろそろ気持ちよくなったところて終わりにしようか。テストがまだ残っているからね」

俺は時間を確認した。九時か、そろそろ勉強しないとヤバイな。二日後テストだし。

「そうするか、可憐一緒に帰ろうぜ」

「うん、いいよ」


「じゃぁな皆」

「九条さんを頼んだぞー」

「くっ幼馴染みって羨ましい。妬ましい」

おい松戸、お前はクラスに彼女いるだろうが。今の彼女に聞いたらぶちギレるぞ。それにお前の彼女も十分美少女の部類には入るだろう。

「ひなた妬ましいってどういう意味なのですわ」

背筋が凍るほどの冷たい声で後ろから聞こえてきた。松戸は脂汗を流している。終わったなこれは。ゆっくりと松戸は振り向く。俺もゆっくりと振り向くと、そこにいたのは青筋を浮かべた一条だった。

「違うんだ。これは幼馴染みってなんでも分かり合えてると思っただけだ」

「ふーん、それなら私とは分かり合えてないと?悲しいですわ」

「すみませんでした。もうこんなことは思わないので許してください」

松戸は綺麗な土下座を決めて、おでこが地面につくぐらい頭を下げた。よくこんな公衆のめのマテ絵で土下座てきるな。恐らく普段から怒らせたらやってるのだろう。

すると一条はくどくどと土下座をしている松戸に説教をしていたので長くなりそうだなと思った俺は帰ることにした。

「可憐帰るぞ」 

「うん、零菜と輝基くん皆また明日ねー」

「バイバイ望と可憐」

「また学校でね」

「おー九条さんが俺達に別れの挨拶をしているぞ」

「俺生きててよかったわ」

大袈裟すぎだろ。生きててよかったってどんだけ今までいいことがなかったんだよ。それとも俺が可憐か幼馴染みだから感覚がおかしいのか。確かにこんな美少女と帰れるなんて幼馴染みじゃなきゃあり得ないが。


俺達は皆に別れを告げた後家に向かい歩きだした。

「今日はありがとね。輝基くんとデュエットさせてくれて。すごく幸せな気持ちだったよ」

輝いていたもんな輝基と歌っているとき。思わず嫉妬してしまうほどに。可憐は輝基好きすぎるたからだろう。

「それとごめんね。零菜とデュエットしたことに怒っちゃって。なぜかすごいムカムカしたんだよね」 

輝基のことを好きと知らなければ今の言葉で勘違いして告白して玉砕してたな。いや輝基が好きじゃなくても玉砕しちゃうだろう。つまりどのみち振られるってことだ。悲しいな。

「大丈夫だぞ。幼馴染みが取られたように感じただけだろう。少しの嫉妬でも向けてくれて俺はむしろ嬉しい」

すると可憐は驚いたように目を見開いた。可憐が驚くなんて珍しいな。俺変なこと言ったか。

「嫉妬されて嬉しいの?めんどくさいだけじゃないの」

まぁ言えないけど俺は可憐が好きだからな。多少の嫉妬でも向けられれば嬉しいだろう。
輝基よ可憐を幸せにしろよ。俺は星をみて可憐の幸せを願った。



しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

夏休み、隣の席の可愛いオバケと恋をしました。

みっちゃん
青春
『俺の隣の席はいつも空いている。』 俺、九重大地の左隣の席は本格的に夏休みが始まる今日この日まで埋まることは無かった。 しかしある日、授業中に居眠りして目を覚ますと隣の席に女の子が座っていた。 「私、、オバケだもん!」 出会って直ぐにそんなことを言っている彼女の勢いに乗せられて友達となってしまった俺の夏休みは色濃いものとなっていく。 信じること、友達の大切さ、昔の事で出来なかったことが彼女の影響で出来るようになるのか。 ちょっぴり早い夏の思い出を一緒に作っていく。

行くゼ! 音弧野高校声優部

涼紀龍太朗
ライト文芸
 流介と太一の通う私立音弧野高校は勝利と男気を志向するという、時代を三周程遅れたマッチョな男子校。  そんな音弧野高で声優部を作ろうとする流介だったが、基本的にはスポーツ以外の部活は認められていない。しかし流介は、校長に声優部発足を直談判した!  同じ一年生にしてフィギュアスケートの国民的スター・氷堂を巻き込みつつ、果たして太一と流介は声優部を作ることができるのか否か?!

告白から始まる恋

希望
ライト文芸
俺の名前は九条隆司だ。どこにでもいる高校生だ。まぁそんなことはどうでもいい。今日も桃川さんが可愛くて仕方がない。楽しそうに談笑をして顔を浮かべる仕草や真剣に授業を聞いている横顔。明るく振る舞っていて、何人もの男を勘違いさせて赤くするところとか、どんな小さなことにも相談に乗るところとか、鞄のなかをぶちまけて焦ってそれをしまう天然さとか、とりあえず可愛いのだ。悶絶死するレベル。後あざといところとかな。 だがそんな俺も桃川さんとは挨拶を交わす程度の仲だ。つまり友達じゃない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

余命2ヶ月の俺の青春

希望
ライト文芸
俺は小説を書いて、そこそこ売れている作家だ。両親はいないが、妹と二人で親の遺産と俺の印税でそこそこ小金持ちの生活をしていた。あの診断がでるまではー そう俺は余命2ヶ月のガンの診断を受けた。そして俺は高校を辞めて、誰も悲しませずにひっそりと暮らそうと、千葉の田舎のほうに親の遺産のひとつであるアパートに移り住むことになった。 そして青春しませんかという看板を見つけて、死ぬ前に遺作として、新しい小説を書くのも悪くないなと思い参考にするためその神社を潜った。そして俺はある少女に出会い、最後の青春をして、小説に残し、それが後世に語り継がれる物語となるー。 これは俺と少女の最後の青春である。

オタクの青春

希望
ライト文芸
俺はどこにでもいる高校生だ。少し特徴があると言えばアニメが好きなくらいか。今時アニメ好きなんて珍らしくもないか。だとしたらぼっちなところだろうか。知り合いと呼ばれる変わり者の男はいるが、あいつのことは断じて友達など認めたくない。あんな中二病を友達だと認めたら俺まで中二病と判断される。それだけは嫌だ。 高校に入学して新しいクラスでも変わらずぼっちいる俺に家康は部活を作るぞと言って俺のてを引っ張った。また何かのアニメの影響を受けたなこいつ。俺はあきれながらも力では家康には敵わないのでおとなしく引っ張られる。するとある教室の前で止まった。文芸部か、はぁーテコとは涼宮ハルヒの憂鬱だな。リアルであの部活を作るのかよ。 「頼もうー」 嫌行きなりその掛け声で開けるって古すぎだろ。ほら中にいる人も驚いて、ないな。むしろ新しい部員が来ると思って目を輝かせてやがる。今からこいつは訳の分からない部活を作るつもりだぞ。 「今日からここをSOS団の部室とする。異論反論は認めん」 「おいまず部員の許可を取れ。それからだろう」 「恐らくその名前だと認められないから仮の名前で文芸部にしよう。それなら認めるよ」 こいつ涼宮ハルヒの憂鬱を知っているのか。あらゆるジャンルを読むタイプか。巻き込まれるのには慣れてるし、部費を踏んだ食ってそのお金で本を読むのも悪くはないな。どのみちすぐに飽きるだろうし。 こうして俺達オタクの青春が始まった。

泣いてもω(オメガ) 笑ってもΣ(シグマ)

武者走走九郎or大橋むつお
ライト文芸
 神楽坂高校の俺は、ある日学食に飯を食いに行こうとしたら、数学の堂本が一年の女子をいたぶっているところに出くわしてしまう。数学の堂本は俺にω(オメガ)ってあだ名を付けた意地悪教師だ。  ωってのは、俺の口が、いつもωみたいに口元が笑っているように見えるから付けたんだってさ。  いたぶられてる女子はΣ(シグマ)って堂本に呼ばれてる。顔つきっていうか、口元がΣみたいに不足そうに尖がってるかららしいが、ω同様、ひどい呼び方だ。  俺は、思わず堂本とΣの間に飛び込んでしまった。

オーバードライブ・ユア・ソング

津田ぴぴ子
ライト文芸
<一部>ホラー要素あり 春先のある夜、二年前の冬に失踪した兄が首を吊っている夢を見た。 御子柴陽とその幼馴染である香西初は、この春に私立菖蒲ヶ崎高等学校に入学したばかりだ。 陽の四歳年上の兄、晴もかつてはこの学校に通っていたが、二年前の冬に突然行方不明になって以降、未だにその消息は掴めていない。 それからというもの、陽の目には幽霊と呼ばれるものが映るようになった。駅のホーム、近所の公園、通学路。あらゆる場所に当然のようにいる「それ」に、陽は好奇心に近いような感情を抱きつつも、自分から関わっていくことは無かった。 高校に入学したからには青春を謳歌しようと息巻く陽は、部活の一覧の中に軽音部を見つける。 放課後、入部届を片手に意気揚々と軽音部の部室である第二視聴覚室に向かった陽と初は、三年生の方保田織、そして和泉惺の二人と出会う。陽は彼らと話す中で、晴も軽音部に所属していたらしいことを知った。 陽と初、織、惺の四人でバンドを組むことになり、大喜びする陽。 そんな陽に、惺は怖い話は好き?と問い掛けた。 この学校の七不思議が本当にあるのかどうか調べたいと言う惺の話に、陽は好奇心に負けて乗ることにする。 バンドは極めて好調な滑り出しを見せたが、一方で織と惺は、陽と初には言えない何かを抱えているようだった。 晴の失踪、菖蒲ヶ崎高校に伝わる七不思議を始めとする数多の怪談話、校内で立て続けに起こる怪異。 それらは全て、この土地が持つ陰惨な記憶に収束していた。 <二部>ホラー要素なし 夏休みを終えて、文化祭に向けて動き出す軽音部の穏やかな日々の話 ※ひとつまみくらいのBL要素、またはBLの匂わせがあります。苦手な方はご注意ください。

処理中です...