オタクの青春

希望

文字の大きさ
上 下
1 / 52

影響受けすぎだろ

しおりを挟む
俺はどこにでもいる普通高校生だ。アニメやラノベは良く読むが、所詮その辺のオタクとかわりない。本は好きで、学術書を読んだり家にある呪術書を読む。俺の家は衰えた土御門家の分家だからたまに霊能力者が生まれる。それが俺だ。それ以外はごくごく普通の高校生だ。あとはまぁぼっちといったところか。知り合いはいるがあいつは断じて友達だと認めたくない。中二病だと思われるからな。

ガタン、俺の斜め前のやつ知り合いの家康が腕を組んで仁王立ちをして、どや顔をする。

あれはなにかをやらかす前兆だ。止めたところで無駄なことは分かっているからスルーしよう。むしろできるだけ関わらないようにしよう。

「東中出身原田家康だ。ここに超能力者や宇宙人未来人がいたら我のところに来い以上」

その場は騒然としており、誰もなにも発しない。家康はどや顔で俺の方見てくる。やるだろ我ってな感じの表情だ。こっちを見るな同類だと思われるだろうが。せっかく友達を作るろうと思ったのに離れるだろうが。既に何人かはあいつも同類かと思っている顔をしている。終わった。俺の友達を作って彼女を作りディズニーに行く予定が。

呆然としていると俺の番が回ってきた。

「ひがにちゅうしゃっしん土御門ゆにゅきです。しゅめはどくしゃですよろしくおねにゃいします」

噛みまくった。クラスのやつには笑われている。コミ症は高校生になっても改善されてないようだった。これなら家康の挨拶の方がましだ。家康は我の方が上だなという顔で見てくる。くそなにも言えないのが悔しい。

やがて全員の自己紹介が終わり、それぞれ気になった人のもとにいった。もちろん俺の方には誰も来ないどころか、家康が来るという災難なものだった。

「ふっ相変わらず勇気は噛むんだな。我は噛まずに名言を残せたぞ」

ただのパクリじゃねーか。何がうまくいったみたいな感じになっているんだよ。あれは顔立ちが整っているやつがいうから変人認定されるだよ。普通のオタクが言ったらただの中二病だ。いやこいつ顔はイケメンだったな。喋り方で敬遠されてたけど。

「オタク丸出し自己紹介だったくせに良く胸張れるな」

「我は宇宙人と未来人を見つけて見せる。超能力者は勇気がいるから問題ないが」

「俺は超能力者じゃねーよ。陰陽師だ」

「どっちも素人からしたら変わらん。それと部活を作るつもりなんだが着いてきてくれるよな」

「面倒だ」

「頼むよぉー勇気えもん」

「嫌だ。んで授業始まるからささっと席に戻れ」

「我は諦めないからな」

そう言って自分の席に家康は戻っていった。はぁーあいつと話すと疲れる。それから授業を真面目に受けていると放課後になった。

結菜を愛でるために早く帰るか。ちなみに結菜というのは俺の妹である。シスコンに思うかもしれないが、千葉の兄妹は皆シスコンなのだ。だから俺はおかしくもなんでもない。

すると家康に腕を捕まれた。おまえ力強いんだからそんなに強くつかむな痛いだろうが。

「離せ俺は結菜と一緒にデートをするんだ」

「そんなことよりも我の部活に行こうじゃないか。部室もどこがいいか把握してある。名前も決めたんだぞ」

だから昼休みいなかったのか。はるひみたいに部活は制覇しないんだな。まぁ体力ないから運動部に入れないだけなんだが。真似するなら完全再現しろ。

「部室ってどこかの部活でも乗っとるつもりか」

「まぁ我についてくれば分かるぞ」

「別に知りたくないから帰るわ」

「そんなこと言わないでよ勇気ー」

めんどくさいが毎日これをやられるのもっとめんどくさい。仕方ない行くか。

「はぁー分かったよ。少しだけだからな」

「そうこなくちゃな。我の最高の部室を見せて信ぜよう」

何が我の最高の部室だよ。ただの乗っとりだろ。そう思いながら意気揚々と歩いていく中二病の家康に着いていく。すると着いた場所は其所は特別練にある一室だった。文芸部と控えめに表札に書いてある。

はぁーこれでもう分かったよ。涼宮ハルヒ憂鬱の影響を受けてここを乗っとるつもりか。影響を受けすぎだろ。ちなみに俺の推しは朝比奈さんだ。あの小動物ぽさがたまらなく庇護欲を掻き立ててたまらないんだよな。

「頼もう」

ドアを家康はどかんと開けた。少しは相手のことを考えろよ。そんな雑な開けかたしたら相手がびびるだろうが。後頼もうとか古すぎ。

そこにいたのは本を読んでいる絵になりそうなほど雰囲気とマッチしている美少女がいた。家康は予想外のことに固まっている。別に家康は女子は苦手としてないがあまりの美しさに固まっているのだろう。涼宮ハルヒの憂鬱ではこのシーンなかったしな。

「誰??もしかして入部希望者なの?」

美少女は目を輝かせる。そんなに文芸部には人が集まらないのか。このレベルの美少女がいるなら喜んで男が入りそうなものだが。知名度がないのか。

「違うわ。我はここをSOS団の本部にしようと思ったのだ」

SOS団ってまた涼宮ハルヒの憂鬱かよ。どんだけ影響受けてるんだよ。て言うか部活としてそれじゃ承認されないだろう。こいつをここから追い出すか。そして俺が文芸部に入るわ。美少女と友達になる機会など早々ないからな。

「それは何かの小説の影響でなの?」



「いかにも。不思議を見つけてそれを大々的的に世に見せる部活よ」

「それじゃ承認されないので表向きは文芸部ってことにしよ。裏はSOS団ってことにして」

「裏の組織か、カッコいいではないかそれじゃーそうするぞ」

数分でこいつの扱い方を分かるとはなかなかやる。それにしても多分強制入部だろうな。まぁこの美少女と一緒に青春を過ごせるならそれもありか。そうして俺たちは文芸部影の名前をSOS団に入ったのだ。まさか本当に不思議なことを発見しいろんな所に行き、いろんなオタクが部員になり、青春を謳歌するとはこの時の俺は思っていなかった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

夏休み、隣の席の可愛いオバケと恋をしました。

みっちゃん
青春
『俺の隣の席はいつも空いている。』 俺、九重大地の左隣の席は本格的に夏休みが始まる今日この日まで埋まることは無かった。 しかしある日、授業中に居眠りして目を覚ますと隣の席に女の子が座っていた。 「私、、オバケだもん!」 出会って直ぐにそんなことを言っている彼女の勢いに乗せられて友達となってしまった俺の夏休みは色濃いものとなっていく。 信じること、友達の大切さ、昔の事で出来なかったことが彼女の影響で出来るようになるのか。 ちょっぴり早い夏の思い出を一緒に作っていく。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

しゅうきゅうみっか!-女子サッカー部の高校生監督 片桐修人の苦難-

橋暮 梵人
青春
幼少の頃から日本サッカー界の至宝と言われ、各年代別日本代表のエースとして活躍し続けてきた片桐修人(かたぎり しゅうと)。 順風満帆だった彼の人生は高校一年の時、とある試合で大きく変わってしまう。 悪質なファウルでの大怪我によりピッチ上で輝くことが出来なくなった天才は、サッカー漬けだった日々と決別し人並みの青春を送ることに全力を注ぐようになる。 高校サッカーの強豪校から普通の私立高校に転入した片桐は、サッカーとは無縁の新しい高校生活に思いを馳せる。 しかしそんな片桐の前に、弱小女子サッカー部のキャプテン、鞍月光華(くらつき みつか)が現れる。 「どう、うちのサッカー部の監督、やってみない?」 これは高校生監督、片桐修人と弱小女子サッカー部の奮闘の記録である。

ネットで出会った最強ゲーマーは人見知りなコミュ障で俺だけに懐いてくる美少女でした

黒足袋
青春
インターネット上で†吸血鬼†を自称する最強ゲーマー・ヴァンピィ。 日向太陽はそんなヴァンピィとネット越しに交流する日々を楽しみながら、いつかリアルで会ってみたいと思っていた。 ある日彼はヴァンピィの正体が引きこもり不登校のクラスメイトの少女・月詠夜宵だと知ることになる。 人気コンシューマーゲームである魔法人形(マドール)の実力者として君臨し、ネットの世界で称賛されていた夜宵だが、リアルでは友達もおらず初対面の相手とまともに喋れない人見知りのコミュ障だった。 そんな夜宵はネット上で仲の良かった太陽にだけは心を開き、外の世界へ一緒に出かけようという彼の誘いを受け、不器用ながら交流を始めていく。 太陽も世間知らずで危なっかしい夜宵を守りながら二人の距離は徐々に近づいていく。 青春インターネットラブコメ! ここに開幕! ※表紙イラストは佐倉ツバメ様(@sakura_tsubame)に描いていただきました。

告白から始まる恋

希望
ライト文芸
俺の名前は九条隆司だ。どこにでもいる高校生だ。まぁそんなことはどうでもいい。今日も桃川さんが可愛くて仕方がない。楽しそうに談笑をして顔を浮かべる仕草や真剣に授業を聞いている横顔。明るく振る舞っていて、何人もの男を勘違いさせて赤くするところとか、どんな小さなことにも相談に乗るところとか、鞄のなかをぶちまけて焦ってそれをしまう天然さとか、とりあえず可愛いのだ。悶絶死するレベル。後あざといところとかな。 だがそんな俺も桃川さんとは挨拶を交わす程度の仲だ。つまり友達じゃない。

僕が美少女になったせいで幼馴染が百合に目覚めた

楠富 つかさ
恋愛
ある朝、目覚めたら女の子になっていた主人公と主人公に恋をしていたが、女の子になって主人公を見て百合に目覚めたヒロインのドタバタした日常。 この作品はハーメルン様でも掲載しています。

ガラスの世代

大西啓太
ライト文芸
日常生活の中で思うがままに書いた詩集。ギタリストがギターのリフやギターソロのフレーズやメロディを思いつくように。

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

処理中です...