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焼肉を食べに行きます
しおりを挟むしばらく経って女の子は目を覚ました。
そして、犬系の獣人ということで種族念話も通じる女の子から、事情を聴取してみたんだ。
・女の子の名前はアンナちゃん。11歳
・初潮が来てないので乱暴はされておらず、ゴブリンに成長するまで飼われていただけ。
ちなみにゴブリンの巣穴のご飯は調理レベルが低く美味しくなかった
・攫われてきたのは2日前
・オークの群れに村が襲われて壊滅状態になった。村から逃げ出す時に親とはぐれてしまい、森をさまよっていたところをゴブリンに捕まった
と、そんな感じらしい。
ちなみに再度気絶してしまったのは、物心ついたころから「悪い子にしてると魔狼に食べられるぞ!」と教育を受けていたかららしい。
まあ、基本はオオカミだからね。獣人はいえあくまでも人間サイドに立っている彼女たちからするとオオカミといえば危険生物だろう。
よくよく聞いてみるとナマハゲ的な脅かし方をされてる感じだったんだけど、それはさておき。
「助けてもらって気絶して失礼しました。魔狼の群れのボスが賢い場合は良き隣人となりえる……そういう話も聞いてはいたのですが。昔の記憶が強烈で……」
――いやいや気にすることはないよ
と、私が言ったんだけど、そこで弟君が一言
――姉さんを見て気絶なんて失礼だぞ
そんな感じで弟君が睨みつけると、アンナちゃんは涙目を作って――
「わ、わ、わふっ!」
そんな感じで小さい悲鳴をあげた。
これこれ弟君、小さい女の子を苛めちゃダメだよと伝えると、弟君はシュンとして尻尾を下げた。
で、それは良いとして村がオークの群れに襲われちゃったんだよね。
――相手はどれくらいのだったの?
「10体くらいの群れですね。私たちの村は大人の男の人が30人くらいなので……」
なるほど、それくらいの群れで村を壊滅させられるってことはオークってのはかなりの力を持っているみたいだね。
この前にやっつけたのは不意打ち&チートスキルのおかげだったし、ステータス的な意味でもまともにやりあえば一対一なら私も苦戦しそうな相手ではある。
「あの……こんなことを言うのは厚かましいとは分かっているのですが、逃げた村人はたくさんいたんです。今は森の中で様子見の状態と思います。オークさえ何とかなればみんな戻ってくると……思うんです」
――うん、わかった。オークをやっつけよう
「そうですよね。オークと言えば魔狼よりも上位種です。危険を承知で私たちを助けろなんて無理ですよね……って、え? 嘘!? わ……わふっ!?」
アンナちゃんだけじゃなくて、弟君もクロ君も大きく目を見開いて私を見てきたんだ。
いや、でもちゃんとした理由はある。
獣人と言えば、料理ができる。
火も使えるし、調味料だってあるはずだ。
しかも、この子はゴブリンの巣穴の調理レベルが低いと言っていた。
まがりなりにも出汁(ダシ)を取る連中のご飯が不味い……うん、これは絶対に期待できるやつだよ。
そして、相手はオーク。つまりは豚肉だ。私の好物だ。
実際問題、今の食糧事情に不満はない。
だって、魔狼としての特性か分からないけど、お肉を生で食べても美味しいしね。
でも、私の中身は日本人であり文明人なのである。
と、なるともう……そんなの決まってるよね。
そう、私が引き受けた理由とは――
――それはつまり、焼き肉を食べたい。
いや、ちゃんとした他の理由はあるけどね。
でも、肉じゃなくて料理を食べたい。
……動機の補助として、そんな理由もあったのも否定はできない。
ってことで、オーク肉に焼肉を食べにいくぞーーー!
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いや、焼肉食べたいだけやろ