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ワンワンの群れに入りました。ざまあして欲しそうに新参に辛く当たってくる子たちがいます。 その3

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 翌朝。



 案の定、ケガをしている子たちやガリガリの子たちは、弱ってしまっていて狩りには出れないみたいだ。

 あの子たちは巣穴の近くの土をほじくり返して、芋虫とかを取っている有様だった、

 うーん、芋虫じゃ数もとれないし、この世界ってやたら食料の要求量が多いんだよね。

 私と弟君は二人で牛を一回で平らげちゃうくらいだし……って、昨日気づいたんだけど他の魔狼は私たちほどは食べない。

 この辺りはフェンリル族特有の食料デメリットか何かなのかもしれないね。

 けど、それにしたって魔狼も魔狼でかなりの量は食べるわけで、芋虫なんかで足りるわけない。

 そりゃあガリガリにもなりますわ。











 ってことで、私と弟君は狩りに出かけた。



 もちろん、飢えたモフモフたちを空腹から救うためだ。



 で、アイテムボックス緊急避難やアイテムボックス落石を利用して、狩りに狩った。

 そりゃあもう急いで走り回って狩りに狩りまくったわけさ。

 収穫量としてはイエローラビット50体とデビルホーン4体だ。



 と、まあそんなこんなで夕暮れまで野山を駆けまわっていたからヘトヘトだけど、とりあえず巣穴について一息ついたんだよね。



 それで一休みしてから群れの幹部連中にイエローラビット2体をくれてやって、デブルホーン1体は私と弟君で分け分けして、残りはケガをしている子たちに分け与えたわけさ。



 ボスの黒っぽい狼……クロとでも仮称しようか。



 クロたちは私と弟君が狩ってきた獲物の量を見てギョっとした表情を作ったんだけど、まあ、量が多すぎると思ったんだろうね。



 でも、まあ私……頭は人間ですので。あと、スキルとかもあるし。



 それでケガをしてる子たちやガリガリの子たちは物凄い勢いでイエローラビットを食べ始めたんだよね。



 何ていうか、中学生の運動部の男の子たちを見ているような気持ち良い食べっぷりだ。

 うんうん、そこまで美味しそうに食べてくれたら私も嬉しいよ。



 と、そんな感じであっという間に獲物は骨だけになったんだよね。



 そうして、食べ終わったみんなは私のところに集まってきてくれて……爪で私の毛づくろいを始めたんだ。



 あ……これ……気持ちいい……。



 何故に実家で飼ってた犬が、ブラッシングで気持ちよさそうに目を細めていたかがもの凄い分かる。



 あ、ペロペロと背中や首筋を舐めてくれる子もいるね。 



 うんうん。

 どうにもみんな満腹になって喜んでくれているようだね。それで、何とか私に恩返しをしようとして……ふふ、可愛い奴らめ。

 あー、でもなー、ブラッシングって目上の狼に対する義務って話だったよね。だったらひょっとして――





 ――これってまさか、この子たちの中で私がボスになったとかそういうことじゃないよね?





 何かクロ君(仮称)の視線が痛いし……面倒なことになるのでそれは嫌だな。

 犬とかの系統って群れの中でのマウント争いはヤバいって話だし、私としては別に成り上がる気もないし。



 どうにか面倒なことになりませんように。

 そう考えながら、私は眠りについたのだった。

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