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第五章 紅蓮に染まる平安京~寛和の変、その兆し~
第五十一話 かくて焔病は始まり、平安京に地獄は広がる
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パチパチ……。
紅蓮の炎が古びた屋敷を燃やす。――それは、平安京の片隅、どこにも燃える元になるものなどなかったはずの場所。
誰もいない……、いやたった一人隠れ住んでいた浮浪者を除いていなかった場所に火の手は広がってゆく。
それに気付いて炎を消し止めようとするのは、それからしばらくの後――、その屋敷が完全に炎に包まれた時であった。
寛和元年――六月に入ってすぐ、平安京ではいたるところで不審な火災が起こるようになっていた。
はじめ、火の手のない場所で連続で起こる事態に、その原因は分からず……、流浪者あたりの放火であると考えられ、検非違使による捜査が行われていたが、そのうちにとある驚愕の事実にき当たる事となる。
『焔病』
それはその時、浮浪者に広がりつつあった疫病の名である。
その症状は風邪に近かったが、ありえないほどの高熱を出すのが特徴であり、そしてその果てに死の間際に患者の肉体が燃え始め、それが不審な連続火災の原因となる――、そういった病であった。
――そう、平安京で連続で起きていた火災は、実のところこの疫病が原因で起こったことであり、そしてそれがわかった平安京の貴族たちは、当然とも言える行動に出たのである。
「うわ――」
「きゃあ」
その日、その時も、焔病の患者が出た区域の浮浪者、そしてそこに住む平民たちが、貴族の私兵によって引っ立てられてゆく。その行く先は当然――。
「助けてください……、子供だけは」
全身を外套に包んだ私兵に、とある母親がすがりつく。私兵は無言でその母親を蹴り飛ばして、そしてそれを縄で縛って引っ立ててゆく。
「俺まで焔病に罹ったらどうしてくれる、下賤の者どもが……」
私兵は舌打ちしつつその母親を睨みつける。それはもはや同じ人に対する視線ではなかった。
平安京には――、まさしく地獄が広がり始めていた。
焔病……、その広がりに恐れを抱いた貴族たちは、そのはじめの原因である浮浪者を処分にかかり、そしてそれと同じ区域に住む住民すら、疫病の疑いのあるものとして強制的に隔離する政策を取ったのである。
それは――、実際は一部の貴族が勝手にやった行為であり、内裏……そして帝の勅ではなかったが、半ば当然の事として見逃され……、そのために下の民達は嘆き悲しむことになった。
その事態に至り……、内裏は、直下の陰陽師に命じてその疫病の平癒を祈祷するよう動く。
当然、それには安倍晴明……そして、その弟子である蘆屋道満も駆り出され、大規模な祈願祭が実行に移された。
しかし――、焔病の広がりは止まることはなかった、まるで闇の何かが人々をあざ笑うかのように広がり続け……、ついには貴族の中にも犠牲者が出始めたのである。
その段になって、安倍晴明と蘆屋道満はその疫病の背後に蠢くナニカを察知する。占術で疫病の本質が『呪い』であることを突き止めたのである。
その時も、晴明と道満は、同じ内裏に務める陰陽師である賀茂光栄とともに、藤原兼家の前でその事実と対策法を語っていた。
「――呪い……か」
苦虫を噛み潰したような表情で兼家はつぶやく。
「そうですな……、こちらの調べでも、そのように出ましてございます」
そう答えるのは賀茂光栄である。
「まさか……、焔病の原因が、何者かによる呪詛とは……。果たしてどの勢力か」
兼家は憎々しげな表情で思案する。その様子に……、一人不満そうに横を向いていた道満が、イライラした様子で言葉を発する。
「そのような事より……、貴族達の行いをやめさせるのが先決ではありませんか?!」
「道満――」
その乱暴な口調を隣の晴明が咎める。
「しかし師よ……、焔病が呪詛とわかった以上、隔離政策は無駄な話だろう――? あのような乱暴で無駄なことは、即刻やめさせるべきだ」
「それはそうですが」
道満の言葉に晴明は頷いて兼家を見る。兼家はつまらぬといった風で道満を一瞥した後に答えた。
「それは放って置いてもよかろう。下の者には悪いが、貴族たちが恐れを抱くのもわかる」
そのどうでも良いといった風の物言いに、道満は一瞬その場で立ち上がりかける。それを素早く晴明が諭した。
(……道満。待ちなさい)
(しかし、師よ……、こいつ、”下の者など苦しんでもいい”……、そのような物言いを……)
(だからとて――、いま彼に対して反対意見を述べても、ただ我らに対する不満を抱かせるだけです。そうなれば少なくともこちらの意見は全く通らなくなる)
(く……)
師である晴明の言葉に渋々上げかけた鉾を収める道満であったが、その目には明らかな兼家に対する不信があった。
晴明は静かにため息を付くと兼家に対して意見を述べた。
「とりあえず――、呪詛の件に関しては一部を除いて話さぬのがよろしかろう。無用な不信が都、そして内裏に広がるだけです。ただ……、貴族様方の勝手な行動は事態を混乱させる可能性を秘めております。それは厳格に収め……、あえて内裏――、その直轄の部隊を動かして管理するのはどうでしょう?」
「ふむ……それは、貴族たちを諌めるというわけではなく?」
「そのとおりです。こちらが正式に動いたほうが、下の者の管理も正しく行え、各方面の不満を抑えることもできましょう」
その言葉に、兼家は満足そうに頷き――、そして道満は驚いた表情で師匠を見つめた。
(道満……、あの者を動かすには、このようにするのですよ)
(むう……)
晴明はそう小さく呟きつつ笑顔を道満に向けて、道満は年齢にふさわしくない風に頬を膨らませた。
(――貴族たちが勝手をすれば、人々に余計な被害が増えるだけ。ならばあえて内裏が直接動いて、正しい管理のもとに行えば被害は大きく減るでしょう)
安倍晴明はそう心のなかで考える。
それは疫病の原因からすれば一見無駄な行為ではあるが、貴族の勝手を止めるのには役に立つ。
「では……賀茂光栄」
「はい」
兼家の言葉に光栄が頭を下げる。
「お前は疫病を診るという名目で、貴族たちの元を周り、その旨を伝えて勝手な行動を治めよ」
「了解致しました」
兼家は、次に晴明たちを見て言った。
「安倍晴明は……、呪詛の件を広めぬよう静かに、独自に動いて呪詛の原因を探り、そしてそれを鎮めるのじゃ」
「承知致しました」
晴明もまた兼家に頭を下げる。道満は……、とりあえず師匠に倣った。
かくして晴明たちは、焔病を広めた原因を探るべく平安京を巡ることとなったのである。
◆◇◆
兼家はその日も屋敷への帰路につく。そのときもまた、かつてのように藤原為光のことを考えていた。
(……ふん、平安京に広がる焔病……か、ならば)
兼家は心のなかで悪辣極まりない思考を巡らせる。
(あの為光めが、それに罹って死ねば……まろの世となるだろうに)
それは人の上に立つものとして、考えてはならぬはずの考え。
(……いや、焔病――、それに似た毒でもあれば、あるいは呪詛そのもの……か。ソレがあれば今を機会に追い落とせる……)
平安京に災厄が降り掛かっている事態にあって、藤原兼家はあまりに邪悪な考えを巡らせる。その心のなかには、苦しむ人々の姿は見えてはいない。
ただ……自分の地位を高め、盤石となし――、すべてを支配することのみを考える。
(――いや、そうそう大っぴらに動くのはマズイかもしれぬ……。ならば――)
その思考の先には、とある女性の姿がある。
(藤原忯子……、帝の寵愛を一身に受ける女御……。ソレが死ねば帝は――)
兼家はその策謀に関しては恐ろしいほどに先を見通すことができた。それゆえに彼は、後に平安京の頂点へと登ってゆくのだが……。
その想像ははるか先を見据え、醜い笑顔で悪辣な陰謀を巡らせる。
――後に『寛和の変』と呼ばれる政変、その切っ掛けとなる事件がこの先に待っていたのである。
紅蓮の炎が古びた屋敷を燃やす。――それは、平安京の片隅、どこにも燃える元になるものなどなかったはずの場所。
誰もいない……、いやたった一人隠れ住んでいた浮浪者を除いていなかった場所に火の手は広がってゆく。
それに気付いて炎を消し止めようとするのは、それからしばらくの後――、その屋敷が完全に炎に包まれた時であった。
寛和元年――六月に入ってすぐ、平安京ではいたるところで不審な火災が起こるようになっていた。
はじめ、火の手のない場所で連続で起こる事態に、その原因は分からず……、流浪者あたりの放火であると考えられ、検非違使による捜査が行われていたが、そのうちにとある驚愕の事実にき当たる事となる。
『焔病』
それはその時、浮浪者に広がりつつあった疫病の名である。
その症状は風邪に近かったが、ありえないほどの高熱を出すのが特徴であり、そしてその果てに死の間際に患者の肉体が燃え始め、それが不審な連続火災の原因となる――、そういった病であった。
――そう、平安京で連続で起きていた火災は、実のところこの疫病が原因で起こったことであり、そしてそれがわかった平安京の貴族たちは、当然とも言える行動に出たのである。
「うわ――」
「きゃあ」
その日、その時も、焔病の患者が出た区域の浮浪者、そしてそこに住む平民たちが、貴族の私兵によって引っ立てられてゆく。その行く先は当然――。
「助けてください……、子供だけは」
全身を外套に包んだ私兵に、とある母親がすがりつく。私兵は無言でその母親を蹴り飛ばして、そしてそれを縄で縛って引っ立ててゆく。
「俺まで焔病に罹ったらどうしてくれる、下賤の者どもが……」
私兵は舌打ちしつつその母親を睨みつける。それはもはや同じ人に対する視線ではなかった。
平安京には――、まさしく地獄が広がり始めていた。
焔病……、その広がりに恐れを抱いた貴族たちは、そのはじめの原因である浮浪者を処分にかかり、そしてそれと同じ区域に住む住民すら、疫病の疑いのあるものとして強制的に隔離する政策を取ったのである。
それは――、実際は一部の貴族が勝手にやった行為であり、内裏……そして帝の勅ではなかったが、半ば当然の事として見逃され……、そのために下の民達は嘆き悲しむことになった。
その事態に至り……、内裏は、直下の陰陽師に命じてその疫病の平癒を祈祷するよう動く。
当然、それには安倍晴明……そして、その弟子である蘆屋道満も駆り出され、大規模な祈願祭が実行に移された。
しかし――、焔病の広がりは止まることはなかった、まるで闇の何かが人々をあざ笑うかのように広がり続け……、ついには貴族の中にも犠牲者が出始めたのである。
その段になって、安倍晴明と蘆屋道満はその疫病の背後に蠢くナニカを察知する。占術で疫病の本質が『呪い』であることを突き止めたのである。
その時も、晴明と道満は、同じ内裏に務める陰陽師である賀茂光栄とともに、藤原兼家の前でその事実と対策法を語っていた。
「――呪い……か」
苦虫を噛み潰したような表情で兼家はつぶやく。
「そうですな……、こちらの調べでも、そのように出ましてございます」
そう答えるのは賀茂光栄である。
「まさか……、焔病の原因が、何者かによる呪詛とは……。果たしてどの勢力か」
兼家は憎々しげな表情で思案する。その様子に……、一人不満そうに横を向いていた道満が、イライラした様子で言葉を発する。
「そのような事より……、貴族達の行いをやめさせるのが先決ではありませんか?!」
「道満――」
その乱暴な口調を隣の晴明が咎める。
「しかし師よ……、焔病が呪詛とわかった以上、隔離政策は無駄な話だろう――? あのような乱暴で無駄なことは、即刻やめさせるべきだ」
「それはそうですが」
道満の言葉に晴明は頷いて兼家を見る。兼家はつまらぬといった風で道満を一瞥した後に答えた。
「それは放って置いてもよかろう。下の者には悪いが、貴族たちが恐れを抱くのもわかる」
そのどうでも良いといった風の物言いに、道満は一瞬その場で立ち上がりかける。それを素早く晴明が諭した。
(……道満。待ちなさい)
(しかし、師よ……、こいつ、”下の者など苦しんでもいい”……、そのような物言いを……)
(だからとて――、いま彼に対して反対意見を述べても、ただ我らに対する不満を抱かせるだけです。そうなれば少なくともこちらの意見は全く通らなくなる)
(く……)
師である晴明の言葉に渋々上げかけた鉾を収める道満であったが、その目には明らかな兼家に対する不信があった。
晴明は静かにため息を付くと兼家に対して意見を述べた。
「とりあえず――、呪詛の件に関しては一部を除いて話さぬのがよろしかろう。無用な不信が都、そして内裏に広がるだけです。ただ……、貴族様方の勝手な行動は事態を混乱させる可能性を秘めております。それは厳格に収め……、あえて内裏――、その直轄の部隊を動かして管理するのはどうでしょう?」
「ふむ……それは、貴族たちを諌めるというわけではなく?」
「そのとおりです。こちらが正式に動いたほうが、下の者の管理も正しく行え、各方面の不満を抑えることもできましょう」
その言葉に、兼家は満足そうに頷き――、そして道満は驚いた表情で師匠を見つめた。
(道満……、あの者を動かすには、このようにするのですよ)
(むう……)
晴明はそう小さく呟きつつ笑顔を道満に向けて、道満は年齢にふさわしくない風に頬を膨らませた。
(――貴族たちが勝手をすれば、人々に余計な被害が増えるだけ。ならばあえて内裏が直接動いて、正しい管理のもとに行えば被害は大きく減るでしょう)
安倍晴明はそう心のなかで考える。
それは疫病の原因からすれば一見無駄な行為ではあるが、貴族の勝手を止めるのには役に立つ。
「では……賀茂光栄」
「はい」
兼家の言葉に光栄が頭を下げる。
「お前は疫病を診るという名目で、貴族たちの元を周り、その旨を伝えて勝手な行動を治めよ」
「了解致しました」
兼家は、次に晴明たちを見て言った。
「安倍晴明は……、呪詛の件を広めぬよう静かに、独自に動いて呪詛の原因を探り、そしてそれを鎮めるのじゃ」
「承知致しました」
晴明もまた兼家に頭を下げる。道満は……、とりあえず師匠に倣った。
かくして晴明たちは、焔病を広めた原因を探るべく平安京を巡ることとなったのである。
◆◇◆
兼家はその日も屋敷への帰路につく。そのときもまた、かつてのように藤原為光のことを考えていた。
(……ふん、平安京に広がる焔病……か、ならば)
兼家は心のなかで悪辣極まりない思考を巡らせる。
(あの為光めが、それに罹って死ねば……まろの世となるだろうに)
それは人の上に立つものとして、考えてはならぬはずの考え。
(……いや、焔病――、それに似た毒でもあれば、あるいは呪詛そのもの……か。ソレがあれば今を機会に追い落とせる……)
平安京に災厄が降り掛かっている事態にあって、藤原兼家はあまりに邪悪な考えを巡らせる。その心のなかには、苦しむ人々の姿は見えてはいない。
ただ……自分の地位を高め、盤石となし――、すべてを支配することのみを考える。
(――いや、そうそう大っぴらに動くのはマズイかもしれぬ……。ならば――)
その思考の先には、とある女性の姿がある。
(藤原忯子……、帝の寵愛を一身に受ける女御……。ソレが死ねば帝は――)
兼家はその策謀に関しては恐ろしいほどに先を見通すことができた。それゆえに彼は、後に平安京の頂点へと登ってゆくのだが……。
その想像ははるか先を見据え、醜い笑顔で悪辣な陰謀を巡らせる。
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