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Episode 1 始まりの冒険

World Building 9 海洋航海と船

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●はじめに
 この世界の船に関する解説を行います。

●閉じた大陸と船の進化:
 ソーディアン大陸の人々は今だ、他大陸との明確な交易を行ってはいません。
 これは、遠洋に至るにつれて、魔力マナの組成が狂い始めて、嵐の壁と呼ばれる現象が起こるからです。この嵐の壁によってサイクレストの三大陸は明確に分断され、完全に異なる文明を持つにいたりました。
 ソーディアン大陸の人々は、俗に言いうガレー船を一般的に使っていました。しかし、ガレー船では嵐の壁を乗り越えることが出来ず、結局多くの失敗の後に、他大陸への航海を諦めて、内に籠る決断を下しました。
 しかし、嵐の壁は決して乗り越えられないものではありませんでした。そう、青の民の存在です。彼らがいつから、ゲイランディア諸島に住んでいたのかは、現在は記録が残ってはいませんが、たしかに超える方法はあったのです。
 ソーディアン大陸の人々は、青の民の使っているクンナウ船を参考にして、ガラード船を生み出しました。それを大型化したのがガラディン船です。現在ではその上位であるガラディオン船が生まれており、遠洋航海……そして嵐の壁を乗り越えようとする機運が高まっています。

●ソーディアン大陸で使われている船:
 ソーディアン大陸で使われている船の中で最も一般的なもののみ解説します。
◇ガレー船:
 ひと昔まで使われていた船。構造は現実のガレー船と同じ。主として人力でオールを漕いで進む船の事。一応帆もついており急な加速・減速・回頭を行うときに使用される。
 武装は投石機や弓、そして衝角である。現在は一部海賊などを例外としてほぼ使われていない。
◇クンナウ船:
 一本、又は二本のマストに一枚づつの大きな三角帆を取り付けた船。現実の船で言うとダウ船。
 現在でも青の民の街で使用されており、大きいのになると全長30mほどのモノも存在する。さらに、現在の多くのクンナウ船は、ドワーフ技術による蒸気機関を装備しており、緊急時には信じられない速度を発揮する。
◇ガラード船:
 現実の船で言う所のキャラベル船。クンナウ船を参考に作られた帆船であり、全長20~30mほどで二本のマストを持つ。
◇ガラディン船:
 現実の船で言う所のキャラック船。ガラード船を大型化した船であり、全長は30~60m、マストは3~4本存在する。帆は横帆と縦帆を組みあわせて使用される。
◇ガラディオン船:
 ガラディン船に比べて縦に長く、船尾部分にドワーフ製の蒸気機関を持つ帆船。全長は40mほどで外見的にはガレオン船に似ている(内部構造は全くの別物)。
◇ドラゴン船:
 ガレー船と帆船の中間に位置する海賊御用達の船。俗に言いうガレアス船である。
 ソーディアン大陸の南部海賊は、海洋の船を狙うのではなく、海岸の町を襲うのが基本であるため、このような船が用いられる。
◇ゲイランディオン船:
 全長10~20mの小型、高速、軽武装の帆船。ドワーフ製の蒸気機関を標準装備している青の民の一般的な船。
 ソーディアン大陸の北部海賊は、この船を用いて商船を主に襲っている。
◇カッパスディア(鉤爪の夢魔)号:
 カッパスディアとは青の民の伝説における、悪い子供に罰を与える悪魔の名前である。
 主に北部で目撃される謎の大型帆船であり、その全長は55mありソーディアン大陸では珍しい(というかほぼ見られない)火砲を装備している。
 この船には謎の動力機関が用いられているらしく、ドワーフ製蒸気機関をはるかに超える速度で航行することが出来る。
 北の海賊たちの天敵とも呼べる船であり、多くの商船を救って来た海の英雄である。

●火砲について:
 このソーディアン大陸では、火薬を用いた火砲の類は発達しませんでした。
 それは、かつての支配者である白龍神ヒューディアが、悪魔の技術と断じて禁止していたのが直接の原因です。そもそも、火力として魔法の存在するこの世界では、そういった技術が必要なかったという意味もあります。このため、この大陸の戦争では大砲などは使用されませんし、軍艦にも大砲の類は装備されていません。
 そのかわりに、戦術魔法士と称される、大規模攻撃魔法専門の魔法使いを採用することになっています。そう言った魔法は、しばしば火砲を超える火力を発揮します。このため、それらから船体を守るべく、軍艦は強固な木材や金属で装甲化しています。

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