71 / 72
前略、協力者と方針と
しおりを挟む
「え、なんでですか、ポムポムはビックリですー」
ポム……なんて?とにかくカラフルな不審者は、まるで自分の申し出が断られることを、想定してなかったように驚いてる。
……驚いてるはずなのだが、そのさっきと変わらない声色が感情を感じさせない。
「えっと……全体的に怪しいから……かな?」
うん、怪しい。
他の魔術師たちは白のローブ姿なのに、この娘はなんだろう、目に悪い、カラフルな色をした服を着ている。
次に目に入るのは髪だ、ラルム君の青い髪もなかなかだが、ピンクはさすがに違和感が抑えられない。
あとその身長よりも大きな杖、どう見ても使いづらいだろう、いや、魔術のことはよく分からないけどさ。
本人がぼんやりとしているのに、なんか外見がうるさい。
「怪しくないですよー、ポムポムですー」
ポムポムとは名前だろうか?自分で怪しくないと言うやつは、大体怪しいのだ。
「えと、ポムポム?」
「はい、ポムポム」
「…………」
なんだろう、ちょっとイラッときた。
「やっぱり怪しいので、大丈夫です」
あたしの中のヤバイ人レーダーが激しく反応している、関わらない方がいい。
こんな状況だし、面倒事は増やさないに限るだろう。
「なんでですかー、困っているならお助けしますよー」
うーん、怪しいけど悪い娘じゃないのかな?
なんでそこまで助けてくれようとするのだろうか?お互いに初対面のはずだし。
不思議に思って聞いてみる事にした、なにか理由があるのだろうか?
「え、困っている人がいるなら助ける、当たり前じゃないですかー」
「そっか、そうだね!」
声色は変わらないままだけど、その目がとても嘘をついていると思えなかったので、あたしはポムポムを信じてみることにした。
人を信じるという行為は、このぐらい単純でいいのだ。
それからリリアンも交えて簡単な自己紹介をした、本当の目的は明かせないけどドラゴンを倒したいと伝えた。
「わかりましたー、協力しますよー」
「頼んでおいてなんだけどさ、本当にいいの?」
リリアンも言っていた、ドラゴンは最強の種族だと。
ならば、それに立ち向かうのは簡単な事じゃない、最悪の場合、死もありえる。
「ポムポムはあそこでなにもせずに言い争う人たちよりもー、なにか行動を起こす人の方が正しいと思いますよー」
ありがたい言葉だ、そう言ってもらえると、少しだけ自分の行動を正しいと思える。
「ありがとうございます。ポムポムさん、さっそくお願いがあります」
「なんですかー、リリアンちゃん」
リリアンちゃん……たしかリッカもそう呼んでたよね、ちゃん付けはなんだか可愛らしい。
そういえばリリアンは何歳なんだろう?
多分同い年かちょっと下くらいだよね、ならあたしもそう呼んでもっと優しく対応するべきだったのかな?
ふむ、あたしは年下に甘いのだ、今からでも変えようか。
「へぇ、なにか作戦でもあるのかな?リリアンちゃん」
「……あなたじゃありません、黙っていてください」
「ちょっと厳しくない!?」
一瞬で不機嫌そうな表情に変わったリリアンに、バッサリと切り返される。
そんな強い言葉を使ってはいけないのだ。
先輩、どうやらあたしには、年下に優しくする才能は無いようです。
いじいじ、しゃがみ込んで石を転がす。
リリアンとポムポムは話を合っている、あたしは蚊帳の外。
「方針は決まりました、行きましょう」
「ドラゴンを倒す方針?」
はい、短く答えて、あたしを見る。
「あなたに魔術を覚えてもらいます」
「魔術!あたしが!」
その不思議でファンタジーな響きは、少し落ち込んでいたあたしを一言で立ち直らせた。
ポム……なんて?とにかくカラフルな不審者は、まるで自分の申し出が断られることを、想定してなかったように驚いてる。
……驚いてるはずなのだが、そのさっきと変わらない声色が感情を感じさせない。
「えっと……全体的に怪しいから……かな?」
うん、怪しい。
他の魔術師たちは白のローブ姿なのに、この娘はなんだろう、目に悪い、カラフルな色をした服を着ている。
次に目に入るのは髪だ、ラルム君の青い髪もなかなかだが、ピンクはさすがに違和感が抑えられない。
あとその身長よりも大きな杖、どう見ても使いづらいだろう、いや、魔術のことはよく分からないけどさ。
本人がぼんやりとしているのに、なんか外見がうるさい。
「怪しくないですよー、ポムポムですー」
ポムポムとは名前だろうか?自分で怪しくないと言うやつは、大体怪しいのだ。
「えと、ポムポム?」
「はい、ポムポム」
「…………」
なんだろう、ちょっとイラッときた。
「やっぱり怪しいので、大丈夫です」
あたしの中のヤバイ人レーダーが激しく反応している、関わらない方がいい。
こんな状況だし、面倒事は増やさないに限るだろう。
「なんでですかー、困っているならお助けしますよー」
うーん、怪しいけど悪い娘じゃないのかな?
なんでそこまで助けてくれようとするのだろうか?お互いに初対面のはずだし。
不思議に思って聞いてみる事にした、なにか理由があるのだろうか?
「え、困っている人がいるなら助ける、当たり前じゃないですかー」
「そっか、そうだね!」
声色は変わらないままだけど、その目がとても嘘をついていると思えなかったので、あたしはポムポムを信じてみることにした。
人を信じるという行為は、このぐらい単純でいいのだ。
それからリリアンも交えて簡単な自己紹介をした、本当の目的は明かせないけどドラゴンを倒したいと伝えた。
「わかりましたー、協力しますよー」
「頼んでおいてなんだけどさ、本当にいいの?」
リリアンも言っていた、ドラゴンは最強の種族だと。
ならば、それに立ち向かうのは簡単な事じゃない、最悪の場合、死もありえる。
「ポムポムはあそこでなにもせずに言い争う人たちよりもー、なにか行動を起こす人の方が正しいと思いますよー」
ありがたい言葉だ、そう言ってもらえると、少しだけ自分の行動を正しいと思える。
「ありがとうございます。ポムポムさん、さっそくお願いがあります」
「なんですかー、リリアンちゃん」
リリアンちゃん……たしかリッカもそう呼んでたよね、ちゃん付けはなんだか可愛らしい。
そういえばリリアンは何歳なんだろう?
多分同い年かちょっと下くらいだよね、ならあたしもそう呼んでもっと優しく対応するべきだったのかな?
ふむ、あたしは年下に甘いのだ、今からでも変えようか。
「へぇ、なにか作戦でもあるのかな?リリアンちゃん」
「……あなたじゃありません、黙っていてください」
「ちょっと厳しくない!?」
一瞬で不機嫌そうな表情に変わったリリアンに、バッサリと切り返される。
そんな強い言葉を使ってはいけないのだ。
先輩、どうやらあたしには、年下に優しくする才能は無いようです。
いじいじ、しゃがみ込んで石を転がす。
リリアンとポムポムは話を合っている、あたしは蚊帳の外。
「方針は決まりました、行きましょう」
「ドラゴンを倒す方針?」
はい、短く答えて、あたしを見る。
「あなたに魔術を覚えてもらいます」
「魔術!あたしが!」
その不思議でファンタジーな響きは、少し落ち込んでいたあたしを一言で立ち直らせた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様
コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」
ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。
幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。
早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると――
「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」
やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。
一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、
「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」
悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。
なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?
でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。
というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
美少女に転生して料理して生きてくことになりました。
ゆーぞー
ファンタジー
田中真理子32歳、独身、失業中。
飲めないお酒を飲んでぶったおれた。
気がついたらマリアンヌという12歳の美少女になっていた。
その世界は加護を受けた人間しか料理をすることができない世界だった
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
神様との賭けに勝ったので、スキルを沢山貰えた件。
猫丸
ファンタジー
ある日の放課後。突然足元に魔法陣が現れると、気付けば目の前には神を名乗る存在が居た。
そこで神は異世界に送るからスキルを1つ選べと言ってくる。
あれ?これもしかして頑張ったらもっと貰えるパターンでは?
そこで彼は思った――もっと欲しい!
欲をかいた少年は神様に賭けをしないかと提案した。
神様とゲームをすることになった悠斗はその結果――
※過去に投稿していたものを大きく加筆修正したものになります。
記憶喪失の転生幼女、ギルドで保護されたら最強冒険者に溺愛される
マー子
ファンタジー
ある日魔の森で異常が見られ、調査に来ていた冒険者ルーク。
そこで木の影で眠る幼女を見つけた。
自分の名前しか記憶がなく、両親やこの国の事も知らないというアイリは、冒険者ギルドで保護されることに。
実はある事情で記憶を失って転生した幼女だけど、異世界で最強冒険者に溺愛されて、第二の人生楽しんでいきます。
・初のファンタジー物です
・ある程度内容纏まってからの更新になる為、進みは遅めになると思います
・長編予定ですが、最後まで気力が持たない場合は短編になるかもしれません⋯
どうか温かく見守ってください♪
☆感謝☆
HOTランキング1位になりました。偏にご覧下さる皆様のお陰です。この場を借りて、感謝の気持ちを⋯
そしてなんと、人気ランキングの方にもちゃっかり載っておりました。
本当にありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる