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前略、協力者と方針と

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「え、なんでですか、ポムポムはビックリですー」

 ポム……なんて?とにかくカラフルな不審者は、まるで自分の申し出が断られることを、想定してなかったように驚いてる。
 ……驚いてるはずなのだが、そのさっきと変わらない声色が感情を感じさせない。

「えっと……全体的に怪しいから……かな?」

 うん、怪しい。
 他の魔術師たちは白のローブ姿なのに、この娘はなんだろう、目に悪い、カラフルな色をした服を着ている。
 次に目に入るのは髪だ、ラルム君の青い髪もなかなかだが、ピンクはさすがに違和感が抑えられない。
 あとその身長よりも大きな杖、どう見ても使いづらいだろう、いや、魔術のことはよく分からないけどさ。
 本人がぼんやりとしているのに、なんか外見がうるさい。
 
「怪しくないですよー、ポムポムですー」

 ポムポムとは名前だろうか?自分で怪しくないと言うやつは、大体怪しいのだ。

「えと、ポムポム?」

「はい、ポムポム」

「…………」

 なんだろう、ちょっとイラッときた。

「やっぱり怪しいので、大丈夫です」

 あたしの中のヤバイ人レーダーが激しく反応している、関わらない方がいい。
 こんな状況だし、面倒事は増やさないに限るだろう。

「なんでですかー、困っているならお助けしますよー」

 うーん、怪しいけど悪い娘じゃないのかな?
 なんでそこまで助けてくれようとするのだろうか?お互いに初対面のはずだし。
 不思議に思って聞いてみる事にした、なにか理由があるのだろうか?

「え、困っている人がいるなら助ける、当たり前じゃないですかー」

「そっか、そうだね!」

 声色は変わらないままだけど、その目がとても嘘をついていると思えなかったので、あたしはポムポムを信じてみることにした。
 人を信じるという行為は、このぐらい単純でいいのだ。

 それからリリアンも交えて簡単な自己紹介をした、本当の目的は明かせないけどドラゴンを倒したいと伝えた。

「わかりましたー、協力しますよー」

「頼んでおいてなんだけどさ、本当にいいの?」

 リリアンも言っていた、ドラゴンは最強の種族だと。
 ならば、それに立ち向かうのは簡単な事じゃない、最悪の場合、死もありえる。

「ポムポムはあそこでなにもせずに言い争う人たちよりもー、なにか行動を起こす人の方が正しいと思いますよー」

 ありがたい言葉だ、そう言ってもらえると、少しだけ自分の行動を正しいと思える。

「ありがとうございます。ポムポムさん、さっそくお願いがあります」

「なんですかー、リリアンちゃん」

 リリアンちゃん……たしかリッカもそう呼んでたよね、ちゃん付けはなんだか可愛らしい。
 
 そういえばリリアンは何歳なんだろう?
 多分同い年かちょっと下くらいだよね、ならあたしもそう呼んでもっと優しく対応するべきだったのかな?
 ふむ、あたしは年下に甘いのだ、今からでも変えようか。

「へぇ、なにか作戦でもあるのかな?リリアンちゃん」

「……あなたじゃありません、黙っていてください」

「ちょっと厳しくない!?」

 一瞬で不機嫌そうな表情に変わったリリアンに、バッサリと切り返される。
 そんな強い言葉を使ってはいけないのだ。
 先輩、どうやらあたしには、年下に優しくする才能は無いようです。

 いじいじ、しゃがみ込んで石を転がす。
 リリアンとポムポムは話を合っている、あたしは蚊帳の外。

「方針は決まりました、行きましょう」

「ドラゴンを倒す方針?」

 はい、短く答えて、あたしを見る。

「あなたに魔術を覚えてもらいます」

「魔術!あたしが!」

 その不思議でファンタジーな響きは、少し落ち込んでいたあたしを一言で立ち直らせた。
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