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前略、爆破と壁登りと
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「よくここまでこれたな」
「はい、頑張っちゃいました」
あたしに背を向けて、青空を見るアニキさんはあたしを見ずに言う。
学校の屋上。古くから決闘と告白といえばここしかない、あたしの目的はもちろん前者だ。
「やれやれ、下は大火事、さらに大混乱。よくもやってくれた」
アニキさんはそんな昔からあるクイズのような言い回しで話し、振り返ってあたしに目を向けた。
大火事は言いすぎだ、もう消火されているし、せいぜいボヤくらいだ。
「すみません、他の人を巻き込みたくなかったんです。できるだけ穏便に……やらかしちゃいました」
ちょっとやりすぎた感があるけど、結果として、あたしも街の住人も、怪我することなくこの場を整える事ができた。良しとしよう。
ほわんほわん、とつい数分前のことを思い出す。
「よし!どうせなら、憎たらしい職員室を爆破しよう!」
あたしはアニキさんがいると思わしき屋上へ行くため、爆破を行うことにした。
いや、おかしくなったわけではない。考え抜いた上の爆破だ。
「立ち直れた嬉しさから、少しハイなのかもね」
作戦はこうだ。まず平和的に酒場からもらってきたお酒をセット。
→騒ぎながら移動して注目を集める。
→集まったら樽を爆破。
→大騒ぎ。
→安全に屋上へ。
なかなかに考えられた作戦だ、そんじゃあ実行に移しましょうか!!!
「あたしはここにいるぞー!不良どもーー!」
何度も繰り返し、叫ぶ。少なくとも一階の人は全員おびき寄せたい。
「女の子1人も捕まえらんないのかぁーー!」
煽る煽る、ぞろぞろと不良たちが集まる。よし!いこう!
『セツナドライブ』、手に持った煙玉やらを上に放り投げ、周りの注意を引いてから駆ける!
もちろん、煙玉は道具屋からくすねてきた、後で代金は払いにいこう。
基本的にお金はすべて、リリアンが管理してる為に、あたしは無一文だ。
2歩で爆破をする部屋の前、というか窓の前までくる。
職員室らしき部屋は見つからなかったが、それっぽい部屋を、職員室だとあたしが決めた。
「よしよし、誰もいないね?」
窓から侵入、周りに誰もいないのを確認してからまた窓からでる。よし!爆破だ!
「ぽーい」
自分でも気の抜けた声と共に樽に火薬を投げつける。数秒後に爆発するだろう。
言葉にできない、なぜなら全然燃えない、お酒は燃えるのでは……?
……考えた挙げ句、残った火薬を叩きつけて、少しでも火を起こす。
予備で持ってきた酒瓶を投げつける。こんな小さな酒瓶で大したことが起こるとは……
轟音。えぇ、爆破されました。
思ったより爆発して階段が消し飛んだ。
周りから様々な声が聞こえる、そりゃそうだよね、だって要塞が爆破されたんだもん。
さて、浅はかすぎた行動によって階段は消し飛んだ。どうしようか?
「登るか!」
「スキルポイントを15消費して、【初級壁登り】を習得しました」
ポーン、いつもの気の抜けた効果音でスキルを習得。
いつもは没収されてるけど、スキルボードさえ手元にあればこっちのもんよ。
……リリアンには使えそうなスキルだったと言い訳しよう。
この戦いが終わるまでの宿題として、言い訳を考える、残ポイント0の表記をを視界に入れないようにしながら。
「めちゃくちゃ疲れる……」
壁を登るって楽じゃない、いい加減に上級とか、高ランクのスキルが欲しいけど……
「苦労してる方があたしらしいか!」
なんだか立ち直ってから、あたしらしい、という言葉に親しみを覚える。
思えば、あたしにはあたしを見つめ直す時間が、必要だったのだろう。
そろそろ回想が現実に追いつく。さぁ格好良く屋上へ行こう。
ここからはリベンジと戦いと話し合いの時間だ。
「はい、頑張っちゃいました」
あたしに背を向けて、青空を見るアニキさんはあたしを見ずに言う。
学校の屋上。古くから決闘と告白といえばここしかない、あたしの目的はもちろん前者だ。
「やれやれ、下は大火事、さらに大混乱。よくもやってくれた」
アニキさんはそんな昔からあるクイズのような言い回しで話し、振り返ってあたしに目を向けた。
大火事は言いすぎだ、もう消火されているし、せいぜいボヤくらいだ。
「すみません、他の人を巻き込みたくなかったんです。できるだけ穏便に……やらかしちゃいました」
ちょっとやりすぎた感があるけど、結果として、あたしも街の住人も、怪我することなくこの場を整える事ができた。良しとしよう。
ほわんほわん、とつい数分前のことを思い出す。
「よし!どうせなら、憎たらしい職員室を爆破しよう!」
あたしはアニキさんがいると思わしき屋上へ行くため、爆破を行うことにした。
いや、おかしくなったわけではない。考え抜いた上の爆破だ。
「立ち直れた嬉しさから、少しハイなのかもね」
作戦はこうだ。まず平和的に酒場からもらってきたお酒をセット。
→騒ぎながら移動して注目を集める。
→集まったら樽を爆破。
→大騒ぎ。
→安全に屋上へ。
なかなかに考えられた作戦だ、そんじゃあ実行に移しましょうか!!!
「あたしはここにいるぞー!不良どもーー!」
何度も繰り返し、叫ぶ。少なくとも一階の人は全員おびき寄せたい。
「女の子1人も捕まえらんないのかぁーー!」
煽る煽る、ぞろぞろと不良たちが集まる。よし!いこう!
『セツナドライブ』、手に持った煙玉やらを上に放り投げ、周りの注意を引いてから駆ける!
もちろん、煙玉は道具屋からくすねてきた、後で代金は払いにいこう。
基本的にお金はすべて、リリアンが管理してる為に、あたしは無一文だ。
2歩で爆破をする部屋の前、というか窓の前までくる。
職員室らしき部屋は見つからなかったが、それっぽい部屋を、職員室だとあたしが決めた。
「よしよし、誰もいないね?」
窓から侵入、周りに誰もいないのを確認してからまた窓からでる。よし!爆破だ!
「ぽーい」
自分でも気の抜けた声と共に樽に火薬を投げつける。数秒後に爆発するだろう。
言葉にできない、なぜなら全然燃えない、お酒は燃えるのでは……?
……考えた挙げ句、残った火薬を叩きつけて、少しでも火を起こす。
予備で持ってきた酒瓶を投げつける。こんな小さな酒瓶で大したことが起こるとは……
轟音。えぇ、爆破されました。
思ったより爆発して階段が消し飛んだ。
周りから様々な声が聞こえる、そりゃそうだよね、だって要塞が爆破されたんだもん。
さて、浅はかすぎた行動によって階段は消し飛んだ。どうしようか?
「登るか!」
「スキルポイントを15消費して、【初級壁登り】を習得しました」
ポーン、いつもの気の抜けた効果音でスキルを習得。
いつもは没収されてるけど、スキルボードさえ手元にあればこっちのもんよ。
……リリアンには使えそうなスキルだったと言い訳しよう。
この戦いが終わるまでの宿題として、言い訳を考える、残ポイント0の表記をを視界に入れないようにしながら。
「めちゃくちゃ疲れる……」
壁を登るって楽じゃない、いい加減に上級とか、高ランクのスキルが欲しいけど……
「苦労してる方があたしらしいか!」
なんだか立ち直ってから、あたしらしい、という言葉に親しみを覚える。
思えば、あたしにはあたしを見つめ直す時間が、必要だったのだろう。
そろそろ回想が現実に追いつく。さぁ格好良く屋上へ行こう。
ここからはリベンジと戦いと話し合いの時間だ。
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