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4話 神崎さんとテスト前
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ーー放課後の図書館は、いつも通り
人がいない。勉強をするには格好の場所である。
今、この空間には、
カリカリというシャープペンシルの音だけが辺りに響いている。
「そういえば、神崎さん、もうすぐテストですけど、いけそうですか?」
「あーそうだった……。あんたがこんなに教えてくれてるんだから、あたしも頑張んないとね」
「いえ、僕も勉強になっているので、お互い様です」
「なら良いんだけど……。
あーそうだ。あんたにこれ渡すの忘れてた」
神崎さんは、カバンをガサゴソと漁って、
綺麗に包装された何かを取り出した。
「これは……?」
「バイト先のドーナッツ、いつものお礼」
「え、良いんですか!?」
「うん。いつも助けてもらってるし」
女の子から、プレゼントをもらったこと
なんて生まれて初めてである。
美味しいドーナッツを貰えた嬉しさと相まって、神崎さんにバレないように喜びを噛み締めた。
「神崎さんって、しっかりしてますよね」
「そう? まぁ……借りを作るのは嫌いだけど」
神崎さんは、不思議そうな
表情をしている。
そして、しばらくすると、僕を純粋な眼差しで見つめたかと思うと、突然、
何か思い出したかのように口を開いた。
「てかさ、今更だけどあんた、あたしのこと呼ぶ時、なんで神崎さんなの?」
「え!?」
聞かれるとも思ってなかったことを言われたので、今日一番の大声が出てしまった。
「いや、それは先輩ですし……それにオーラがあるというか、
敬意というか……」
必死に弁解する。
「オーラあんのあたし。凄いじゃん」
少し目をキラキラと輝かせて、
なんだか、謎に嬉しそうである。
神崎さんって、ヤンキーの自覚ないし、
ちょっと、天然な部分あるなぁ。
ますます不思議な人だ。
「まぁ、いつもの事だから気にならないんだけど、さん付けなくてもいいよ?」
「い、いやそれは難易度がかなり、高いですね……」
「じゃあ、名前で呼んでよ」
「名前!?」
本日、二度目の大声が出た。
大声大会があれば、優勝できているかも
知れない実力である。
「知らないんだっけ?」
「いえ、知ってますけど……」
「まぁ、無理強いはしないけど、名前で呼んでくれた方が、あたしとしては、嬉しいんだけど」
ここまで言われると、男がすたるというか、
呼ぶしかない流れである。
「じゃあ、は、花さん」
「うん。なんかぎこちないけど、しっくりくる。今度から名前で呼んで。私は昴って呼ぶから」
「わ、わかりました、ってええ!?」
というわけで、お互いに名前で呼ぶことになった。
「あ、そういえば、神崎さ……いや、花さん。
バイトの時間は大丈夫ですか?」
「ほんとだやばっ。今日も助かった。
また明日ね昴」
ガタッと、椅子を倒す勢いでバイト先へと駆けたいった花さんである。
「昴か……」
名前呼びされたのなんて、久しぶりである。
なんだか、少しむず痒いけれど嬉しい様な。
不思議な感覚である。
♢♢♢
テストまで残り2日。
「ここの問題は、視点を変えると、
解けますよ」
「うん……」
「で、ここをこうして……ってあれ、神、違う、花さん?」
ガタンッ
「いたた……」
花さんは、机に頭をぶつけたようだ。
「もしかして、眠いんですか?」
「いや、全く……」
そう言っている花さんは、いつものクールな感じではなく、目が泳いでいる。
これは、完全に誤魔化そうとしている。
「花さん、クマできてますよ」
「まじ!? 消したのに!」
神崎さんは、焦って、化粧ポーチから手鏡を取り出し、確認している。
「いや嘘ですよ、ってほら、やっぱり
眠いんじゃないですか」
「あたしを騙したな……」
ゴゴゴゴゴゴ。
なんだか凄いオーラを感じる。
こわっ!!
花さんってやっぱり怖い!!
だが、ここでひいては、ダメだ。
このままでは、
花さんが体調を崩してしまう。
「今日はもう、終わりにして
睡眠時間に使ってください」
「……来て貰っといて、寝るなんてあたしのポリシーに関わる」
少し、ムスッとしながら、花さんは答える。
「ポリシーとか今はいいですから、
寝てください、僕からのお願いです」
そして、しばらく経った後、口をゆっくりと開いた。
「……うん」
ようやく観念してくれたのか、
花さんはソファーで横になった。
良かった。
「花さん寝心地はどうですか……ってあれもう寝てる」
よほど疲れていたのだろう。花さんはすぐに眠ってしまった。
それにしても、花さん寝顔も綺麗だな……。寝てる時まで、綺麗って一種の才能じゃないだろうか。
ってまずいまずい。
僕は、なにをじっと見つめてしまっているんだ。
「ゆっくり休んでくださいね、花さん」
♢♢♢
「うーん……あれ?」
いつの間にか身体が横になっていた。
「あっそうか、あの後僕も眠ってしまったのか」
って花さんは?
辺りを見回すがいない。
机には、一枚の置き手紙があった。
『よく眠れた。ありがと。
バイト行ってくる』
手紙には、短文でそう書かれていた。
「なんか、花さんらしいな……ん? なんだ?」
ん、手紙の裏にもなんか書いてある。
『PS 寝顔可愛いぞ』
「……」
人がいない。勉強をするには格好の場所である。
今、この空間には、
カリカリというシャープペンシルの音だけが辺りに響いている。
「そういえば、神崎さん、もうすぐテストですけど、いけそうですか?」
「あーそうだった……。あんたがこんなに教えてくれてるんだから、あたしも頑張んないとね」
「いえ、僕も勉強になっているので、お互い様です」
「なら良いんだけど……。
あーそうだ。あんたにこれ渡すの忘れてた」
神崎さんは、カバンをガサゴソと漁って、
綺麗に包装された何かを取り出した。
「これは……?」
「バイト先のドーナッツ、いつものお礼」
「え、良いんですか!?」
「うん。いつも助けてもらってるし」
女の子から、プレゼントをもらったこと
なんて生まれて初めてである。
美味しいドーナッツを貰えた嬉しさと相まって、神崎さんにバレないように喜びを噛み締めた。
「神崎さんって、しっかりしてますよね」
「そう? まぁ……借りを作るのは嫌いだけど」
神崎さんは、不思議そうな
表情をしている。
そして、しばらくすると、僕を純粋な眼差しで見つめたかと思うと、突然、
何か思い出したかのように口を開いた。
「てかさ、今更だけどあんた、あたしのこと呼ぶ時、なんで神崎さんなの?」
「え!?」
聞かれるとも思ってなかったことを言われたので、今日一番の大声が出てしまった。
「いや、それは先輩ですし……それにオーラがあるというか、
敬意というか……」
必死に弁解する。
「オーラあんのあたし。凄いじゃん」
少し目をキラキラと輝かせて、
なんだか、謎に嬉しそうである。
神崎さんって、ヤンキーの自覚ないし、
ちょっと、天然な部分あるなぁ。
ますます不思議な人だ。
「まぁ、いつもの事だから気にならないんだけど、さん付けなくてもいいよ?」
「い、いやそれは難易度がかなり、高いですね……」
「じゃあ、名前で呼んでよ」
「名前!?」
本日、二度目の大声が出た。
大声大会があれば、優勝できているかも
知れない実力である。
「知らないんだっけ?」
「いえ、知ってますけど……」
「まぁ、無理強いはしないけど、名前で呼んでくれた方が、あたしとしては、嬉しいんだけど」
ここまで言われると、男がすたるというか、
呼ぶしかない流れである。
「じゃあ、は、花さん」
「うん。なんかぎこちないけど、しっくりくる。今度から名前で呼んで。私は昴って呼ぶから」
「わ、わかりました、ってええ!?」
というわけで、お互いに名前で呼ぶことになった。
「あ、そういえば、神崎さ……いや、花さん。
バイトの時間は大丈夫ですか?」
「ほんとだやばっ。今日も助かった。
また明日ね昴」
ガタッと、椅子を倒す勢いでバイト先へと駆けたいった花さんである。
「昴か……」
名前呼びされたのなんて、久しぶりである。
なんだか、少しむず痒いけれど嬉しい様な。
不思議な感覚である。
♢♢♢
テストまで残り2日。
「ここの問題は、視点を変えると、
解けますよ」
「うん……」
「で、ここをこうして……ってあれ、神、違う、花さん?」
ガタンッ
「いたた……」
花さんは、机に頭をぶつけたようだ。
「もしかして、眠いんですか?」
「いや、全く……」
そう言っている花さんは、いつものクールな感じではなく、目が泳いでいる。
これは、完全に誤魔化そうとしている。
「花さん、クマできてますよ」
「まじ!? 消したのに!」
神崎さんは、焦って、化粧ポーチから手鏡を取り出し、確認している。
「いや嘘ですよ、ってほら、やっぱり
眠いんじゃないですか」
「あたしを騙したな……」
ゴゴゴゴゴゴ。
なんだか凄いオーラを感じる。
こわっ!!
花さんってやっぱり怖い!!
だが、ここでひいては、ダメだ。
このままでは、
花さんが体調を崩してしまう。
「今日はもう、終わりにして
睡眠時間に使ってください」
「……来て貰っといて、寝るなんてあたしのポリシーに関わる」
少し、ムスッとしながら、花さんは答える。
「ポリシーとか今はいいですから、
寝てください、僕からのお願いです」
そして、しばらく経った後、口をゆっくりと開いた。
「……うん」
ようやく観念してくれたのか、
花さんはソファーで横になった。
良かった。
「花さん寝心地はどうですか……ってあれもう寝てる」
よほど疲れていたのだろう。花さんはすぐに眠ってしまった。
それにしても、花さん寝顔も綺麗だな……。寝てる時まで、綺麗って一種の才能じゃないだろうか。
ってまずいまずい。
僕は、なにをじっと見つめてしまっているんだ。
「ゆっくり休んでくださいね、花さん」
♢♢♢
「うーん……あれ?」
いつの間にか身体が横になっていた。
「あっそうか、あの後僕も眠ってしまったのか」
って花さんは?
辺りを見回すがいない。
机には、一枚の置き手紙があった。
『よく眠れた。ありがと。
バイト行ってくる』
手紙には、短文でそう書かれていた。
「なんか、花さんらしいな……ん? なんだ?」
ん、手紙の裏にもなんか書いてある。
『PS 寝顔可愛いぞ』
「……」
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