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第参幕 嘘ツキたちの革命前夜
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しおりを挟む一糸まとわぬ姿になった翡翠を見下ろし、周が勝ち誇ったように告げた「選んで」という言葉に、彼女は不服そうに口をひらく。
「どうしてそんな意地悪なこと」
「翡翠のことがすきだから」
「……すき?」
きょとんとした表情でこちらを見つめる翡翠を見て、周もまた、すきだよ、とやさしく囁く。
強引に手首を拘束して、裸にしてすきだよ、というのもどうかと思うが、周は周なりに必死になって翡翠に心を渡そうとしたらしい。
けれども、アマネとして自分をさんざん弄んでいた頃のことを思うと、今さら実は自分が歌姫のアマネで貴女の婚約者でした、と暴露したところで、素直に結婚に頷けるかと言えば、彼にすきだと求められているとはいえ、素直になれない翡翠である。
「嘘」
「嘘をついているのは、翡翠の方じゃない? だってほら、嫌い嫌いって言いながら、俺の声に、指の動きに、このうつくしい身体は応えてくれているじゃないか」
「……っ! うつくしくなんか……アマネの方が、うつくしいのに」
「うれしいことを言うね。やっぱり君をお嫁さんにする」
「……それとこれとは話が別で……ゃんっ!」
翡翠の言葉を遮るように、周は両手で彼女の身体をやさしく撫ではじめる。アマネの手で一月以上丁寧に調教された翡翠の身体は呆気なく陥落した。
そのまま口も塞がれ翡翠は喘ぐ。艶まじりの甘い声音に、周もまた応えるように、舌先を歯の裏までのばし、歯列を辿るように這わせていく。隅々まで味わおうと貪欲に蠢く周の舌は、翡翠の歯茎に味蕾を擦りつけたところで、いったんはなれた。
黒糖飴の濃厚な甘みが口じゅうに拡がる。ただの飴だとわかっているのに、彼の唾液から香るからか、なんだか媚薬を飲まされてしまったかのような錯覚に陥る。
唇から垂れた唾液を拭いたくても、両手首を縛られているこの状態では拭えない。焦る翡翠を面白がるように、周は自身の顔を近づけ、彼女の敏感な部分を舌で愛撫する。
「や、ダメぇっ……」
「ダメじゃないだろ?」
周のざらざらした舌先が蠢いて、翡翠を襲う。
彼の両手は彼女の身体を悦ばせるかのように、戯れている。
あたまのなかにかかる、靄。
「う……そ、んぁ……」
「翡翠はこうされると、イイ声が出るんだよね」
「いやぁ、いやなのぉ……!」
慣れた手つきで敏感な場所を刺激され、翡翠の身体が落雷に打たれたかのようにびくんと跳ねる。
脳内が真っ白に染め上げられてゆく。そして。
「い、ひ、あぁ、あ――……っ!」
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