74 / 100
一章 止まる国と大精霊
Ⅴ レイアード=シアート
しおりを挟む
予定より二日遅れてレイデル王国からの使者が訪れた。
近くの切り株を作業台とし、肘をついて楊枝で木の実の掃除に励んでいるモーシュの元へ貴族服の男性が近寄った。サラは集中していて気づいていない。
「お久しぶりです先生」
赤みのある茶髪があちこち跳ねている癖っ毛の男。十英雄の一人、レイアード=シアートは声をかけた。
「おお。こりゃまた立派な姿で。ってか、お堅い仕事してんならその髪整えろよレイアード。サラちゃんの様子見かい?」掃除に集中しながら訊く。
ガーディアンの名前とレイアードは察した。
「ええ。王国はガーディアン召喚が失敗に終わり、阻止も出来なかったので次の手を考えるのに色々必死で。結構、城内は大慌てですよ」
他人事のように語る。
「お前も少しは焦ろよ」
「まあまあ、そういう事で本日は少々遅れてしまいました」
「やれやれ」
これ以上何を言っても時間の無駄だと分かっている。モーシュの弟子であった頃から色んな事が他人事のように見るレイアードの性格は何をしても治らない。
十英雄となり王国の管理官の仕事に就いていると聞いた時、内心で不安しかなかった。その気持ちは今も変わらない。
「次の手って、何か争い事でも起きるってのか?」
「ゾアの災禍。だとかで」
内容の深刻さを理解しているのだろうか。まるで対岸の火事、自分は無関係と言わんばかりの雰囲気でレイアードは返した。
モーシュは心情の変化を表情にも口にも出さず、溜息を吐いて鎮めた。
「そいつぁ、紛れもない災難だなぁ。つーか、伝説みたいな災い、本気で起きるのか?」
「情報によれば、ルバートなる魔女であった者がビンセントに憑いて探偵まがいのことをしていると。そして目的がゾアの災禍の探求だとか。さらに各地で以上な魔力変動やら魔獣の凶暴化、そして」
「ガーディアン召喚か。つい先日も森林神殿で奇妙な魔力を感じた所だよ。ったく、万能結界でも考えときゃ良かったぜ」
「そんな代物を思いつけるなら、慈善活動であちこち回った方がいいのでは?」
モーシュは手を上げて振った。
「俺はそこまで”他人の安全第一主義”じゃねぇよ。自分の家族第一ってな。面倒な人間関係の苦労はまっぴら御免だ」
「一部の先生を知る方々は、”先生に知恵を賜り頂いては?”と口々に話しているようですよ」
モーシュはレイアードの暢気な表情を一瞥した。
「他人事主義のお前にしたら恩師も観察対象か? 年寄りは労れってぇの」
「まだ四十一歳だから全然現役ですよ。恩師への愛情と受け取って下さい」
「気持ち悪ぃから止めろ」
徐に立ち上がり、レイアードをサラの元へ連れて行った。
面と向かってレイアードと対面したサラは、ついつい見蕩れてしまった。
(……ヤバい)
内心で言葉が纏まらず顔も熱くなる。
「おい、おーい」
モーシュはサラの目の前で手を『パンッ!』と強めに叩いて正気を取り戻した。
「え? あ!? ごめんなさい! 私、ハヤミサラと言います!」
つい、苗字を付けて深々と挨拶する。
(ハヤミ? が、本名か? 族名か?)
一人モーシュは悩む。
「えっと……サラさん、で宜しいので?」
慌てて苗字を付けた事を訂正しようとするも、赤面して混乱し、訳が分からなくなる。
「あ、ごめんなさい! え、はい! サラです!」
「落ち着いて下さい。ただの挨拶で、別にガーディアンだからどうこうしようって腹はありませんので」
(これの何をどう見たらそんな結論に行き着くよ)モーシュは言葉にせず心で呟く。
昔からレイアードは他人の感情に鈍感である。
十英雄としての旅路でも、どこか抜けている所は治らず、戦士として意識が高いゼノア、バゼル、ザイルは苛立ち苦労したとモーシュは聞いている。
レイアードは修行場として設けている場所の様子を眺めた。
「感知力が高いのですか?」
返事は頷くだけでされた。
ふとサラが行っている修行を試そうとレイアードは思いつき、無邪気に実行しようと手を伸ばす。すると、珍しく焦ったモーシュが伸ばした手を握って抑える。
「止めろ止めろ! お前、今どういう状態か分かってるか!?」
それはレイアードの体質を思っての行動。体調を崩すといった気遣い出はなく、下手をすれば周囲が惨事に見舞われる事を考えてであった。
「ほら、ものは試しって言うじゃないですか」
「試すな馬鹿野郎! ほら、さっさと用事済ませるぞ」
何がそれほど危険なのか分からないサラは気になるも、レイアードに対しての昂ぶる好意の感情を鎮めるのに必死で、他のことなど頭に入ってこない。
サラの中にいるカレリナは乙女心の変化を見て密かに楽しんでいた。
急遽帰宅する事になりケイリー宅へ到着すると、そのままレイアードにスレイを紹介した。
「不思議ですね、突然現われるとは。初めまして、レイアード=シアートです」
「此方こそ初めまして。スレイです」顔をモーシュへ向けた。「此方の方が十英雄の?」
「ああ。どうかしたかい?」
「いえ、英雄って言うから、鎧とか纏って兵士をゾロゾロ連れているように思ってましたので」
「十英雄つってもそんな地位じゃ無いんだわ。ちょっとした好待遇があるぐらいで、今は資料関係か何かの管理官してるんだったよな」
詳しく聞いていたが大して覚えていない。
「ええ。けど結構人使い荒いんですよ、王国の人って。忙しいのは分かりますけど、ちょっとはこっちの事も考えて欲しいですよ」
「そんなにお忙しいので?」スレイが訊いた。
「ええ。この前なんて機密文書の」
「わあああ!!! 止めろ馬鹿野郎! むやみやたらと語ろうとするな!」
モーシュは一言一言に神経を尖らせなければならず気が気でない。
「あ、ごめんなさい。以前も上官からウッカリ発言するのは止めろって怒られたばかりで」
「本気で治せ! お前の性格知ってるだろうから機密って言っても大したもんじゃないだろうが、とにかく城内の情報は一言たりとも漏らすな。いいな!」
レイアードは暢気に返事すると、話を変えるようにスレイの手に目を向けた。
「ところで、スレイさんの手、何ですかその黒いもの」
とはいえ誰もソレが見えない。
レイアードには黒い煙の腕輪が巻き付いてるように見えた。
「ちょっといいですか?」
許可を得て手を出してもらい、触れた。次の瞬間、空気が異様なまでに張り詰めた。
近くの切り株を作業台とし、肘をついて楊枝で木の実の掃除に励んでいるモーシュの元へ貴族服の男性が近寄った。サラは集中していて気づいていない。
「お久しぶりです先生」
赤みのある茶髪があちこち跳ねている癖っ毛の男。十英雄の一人、レイアード=シアートは声をかけた。
「おお。こりゃまた立派な姿で。ってか、お堅い仕事してんならその髪整えろよレイアード。サラちゃんの様子見かい?」掃除に集中しながら訊く。
ガーディアンの名前とレイアードは察した。
「ええ。王国はガーディアン召喚が失敗に終わり、阻止も出来なかったので次の手を考えるのに色々必死で。結構、城内は大慌てですよ」
他人事のように語る。
「お前も少しは焦ろよ」
「まあまあ、そういう事で本日は少々遅れてしまいました」
「やれやれ」
これ以上何を言っても時間の無駄だと分かっている。モーシュの弟子であった頃から色んな事が他人事のように見るレイアードの性格は何をしても治らない。
十英雄となり王国の管理官の仕事に就いていると聞いた時、内心で不安しかなかった。その気持ちは今も変わらない。
「次の手って、何か争い事でも起きるってのか?」
「ゾアの災禍。だとかで」
内容の深刻さを理解しているのだろうか。まるで対岸の火事、自分は無関係と言わんばかりの雰囲気でレイアードは返した。
モーシュは心情の変化を表情にも口にも出さず、溜息を吐いて鎮めた。
「そいつぁ、紛れもない災難だなぁ。つーか、伝説みたいな災い、本気で起きるのか?」
「情報によれば、ルバートなる魔女であった者がビンセントに憑いて探偵まがいのことをしていると。そして目的がゾアの災禍の探求だとか。さらに各地で以上な魔力変動やら魔獣の凶暴化、そして」
「ガーディアン召喚か。つい先日も森林神殿で奇妙な魔力を感じた所だよ。ったく、万能結界でも考えときゃ良かったぜ」
「そんな代物を思いつけるなら、慈善活動であちこち回った方がいいのでは?」
モーシュは手を上げて振った。
「俺はそこまで”他人の安全第一主義”じゃねぇよ。自分の家族第一ってな。面倒な人間関係の苦労はまっぴら御免だ」
「一部の先生を知る方々は、”先生に知恵を賜り頂いては?”と口々に話しているようですよ」
モーシュはレイアードの暢気な表情を一瞥した。
「他人事主義のお前にしたら恩師も観察対象か? 年寄りは労れってぇの」
「まだ四十一歳だから全然現役ですよ。恩師への愛情と受け取って下さい」
「気持ち悪ぃから止めろ」
徐に立ち上がり、レイアードをサラの元へ連れて行った。
面と向かってレイアードと対面したサラは、ついつい見蕩れてしまった。
(……ヤバい)
内心で言葉が纏まらず顔も熱くなる。
「おい、おーい」
モーシュはサラの目の前で手を『パンッ!』と強めに叩いて正気を取り戻した。
「え? あ!? ごめんなさい! 私、ハヤミサラと言います!」
つい、苗字を付けて深々と挨拶する。
(ハヤミ? が、本名か? 族名か?)
一人モーシュは悩む。
「えっと……サラさん、で宜しいので?」
慌てて苗字を付けた事を訂正しようとするも、赤面して混乱し、訳が分からなくなる。
「あ、ごめんなさい! え、はい! サラです!」
「落ち着いて下さい。ただの挨拶で、別にガーディアンだからどうこうしようって腹はありませんので」
(これの何をどう見たらそんな結論に行き着くよ)モーシュは言葉にせず心で呟く。
昔からレイアードは他人の感情に鈍感である。
十英雄としての旅路でも、どこか抜けている所は治らず、戦士として意識が高いゼノア、バゼル、ザイルは苛立ち苦労したとモーシュは聞いている。
レイアードは修行場として設けている場所の様子を眺めた。
「感知力が高いのですか?」
返事は頷くだけでされた。
ふとサラが行っている修行を試そうとレイアードは思いつき、無邪気に実行しようと手を伸ばす。すると、珍しく焦ったモーシュが伸ばした手を握って抑える。
「止めろ止めろ! お前、今どういう状態か分かってるか!?」
それはレイアードの体質を思っての行動。体調を崩すといった気遣い出はなく、下手をすれば周囲が惨事に見舞われる事を考えてであった。
「ほら、ものは試しって言うじゃないですか」
「試すな馬鹿野郎! ほら、さっさと用事済ませるぞ」
何がそれほど危険なのか分からないサラは気になるも、レイアードに対しての昂ぶる好意の感情を鎮めるのに必死で、他のことなど頭に入ってこない。
サラの中にいるカレリナは乙女心の変化を見て密かに楽しんでいた。
急遽帰宅する事になりケイリー宅へ到着すると、そのままレイアードにスレイを紹介した。
「不思議ですね、突然現われるとは。初めまして、レイアード=シアートです」
「此方こそ初めまして。スレイです」顔をモーシュへ向けた。「此方の方が十英雄の?」
「ああ。どうかしたかい?」
「いえ、英雄って言うから、鎧とか纏って兵士をゾロゾロ連れているように思ってましたので」
「十英雄つってもそんな地位じゃ無いんだわ。ちょっとした好待遇があるぐらいで、今は資料関係か何かの管理官してるんだったよな」
詳しく聞いていたが大して覚えていない。
「ええ。けど結構人使い荒いんですよ、王国の人って。忙しいのは分かりますけど、ちょっとはこっちの事も考えて欲しいですよ」
「そんなにお忙しいので?」スレイが訊いた。
「ええ。この前なんて機密文書の」
「わあああ!!! 止めろ馬鹿野郎! むやみやたらと語ろうとするな!」
モーシュは一言一言に神経を尖らせなければならず気が気でない。
「あ、ごめんなさい。以前も上官からウッカリ発言するのは止めろって怒られたばかりで」
「本気で治せ! お前の性格知ってるだろうから機密って言っても大したもんじゃないだろうが、とにかく城内の情報は一言たりとも漏らすな。いいな!」
レイアードは暢気に返事すると、話を変えるようにスレイの手に目を向けた。
「ところで、スレイさんの手、何ですかその黒いもの」
とはいえ誰もソレが見えない。
レイアードには黒い煙の腕輪が巻き付いてるように見えた。
「ちょっといいですか?」
許可を得て手を出してもらい、触れた。次の瞬間、空気が異様なまでに張り詰めた。
0
お気に入りに追加
8
あなたにおすすめの小説
【完結】私を虐げる姉が今の婚約者はいらないと押し付けてきましたが、とても優しい殿方で幸せです 〜それはそれとして、家族に復讐はします〜
ゆうき@初書籍化作品発売中
恋愛
侯爵家の令嬢であるシエルは、愛人との間に生まれたせいで、父や義母、異母姉妹から酷い仕打ちをされる生活を送っていた。
そんなシエルには婚約者がいた。まるで本物の兄のように仲良くしていたが、ある日突然彼は亡くなってしまった。
悲しみに暮れるシエル。そこに姉のアイシャがやってきて、とんでもない発言をした。
「ワタクシ、とある殿方と真実の愛に目覚めましたの。だから、今ワタクシが婚約している殿方との結婚を、あなたに代わりに受けさせてあげますわ」
こうしてシエルは、必死の抗議も虚しく、身勝手な理由で、新しい婚約者の元に向かうこととなった……横暴で散々虐げてきた家族に、復讐を誓いながら。
新しい婚約者は、社交界でとても恐れられている相手。うまくやっていけるのかと不安に思っていたが、なぜかとても溺愛されはじめて……!?
⭐︎全三十九話、すでに完結まで予約投稿済みです。11/12 HOTランキング一位ありがとうございます!⭐︎
へなちょこ鑑定士くん、脱獄する ~魔物学園で飼育された少年は1日1個スキルを奪い、魔王も悪魔も神をも従えて世界最強へと至る~
めで汰
ファンタジー
魔物の学校の檻の中に囚われた鑑定士アベル。
絶体絶命のピンチに陥ったアベルに芽生えたのは『スキル奪取能力』。
奪い取れるスキルは1日に1つだけ。
さて、クラスの魔物のスキルを一体「どれから」「どの順番で」奪い取っていくか。
アベルに残された期限は30日。
相手は伝説級の上位モンスターたち。
気弱な少年アベルは頭をフル回転させて生き延びるための綱渡りに挑む。
今、姉が婚約破棄されています
毒島醜女
恋愛
「セレスティーナ!君との婚約を破棄させてもらう!」
今、お姉様が婚約破棄を受けています。全く持って無実の罪で。
「自分の妹を虐待するなんて、君は悪魔だ!!」
は、はい?
私がいつ、お姉様に虐待されたって……?
しかも私に抱きついてきた!いやっ!やめて!
この人、おかしくない?
自分の家族を馬鹿にするような男に嫁ぎたいと思う人なんているわけないでしょ!?
後妻を迎えた家の侯爵令嬢【完結済】
弓立歩
恋愛
私はイリス=レイバン、侯爵令嬢で現在22歳よ。お父様と亡くなったお母様との間にはお兄様と私、二人の子供がいる。そんな生活の中、一か月前にお父様の再婚話を聞かされた。
もう私もいい年だし、婚約者も決まっている身。それぐらいならと思って、お兄様と二人で了承したのだけれど……。
やってきたのは、ケイト=エルマン子爵令嬢。御年16歳! 昔からプレイボーイと言われたお父様でも、流石にこれは…。
『家出した伯爵令嬢』で序盤と終盤に登場する令嬢を描いた外伝的作品です。本編には出ない人物で一部設定を使い回した話ですが、独立したお話です。
完結済み!
転生することになりました。~神様が色々教えてくれます~
柴ちゃん
ファンタジー
突然、神様に転生する?と、聞かれた私が異世界でほのぼのすごす予定だった物語。
想像と、違ったんだけど?神様!
寿命で亡くなった長島深雪は、神様のサーヤにより、異世界に行く事になった。
神様がくれた、フェンリルのスズナとともに、異世界で妖精と契約をしたり、王子に保護されたりしています。そんななか、誘拐されるなどの危険があったりもしますが、大変なことも多いなか学校にも行き始めました❗
もふもふキュートな仲間も増え、毎日楽しく過ごしてます。
とにかくのんびりほのぼのを目指して頑張ります❗
いくぞ、「【【オー❗】】」
誤字脱字がある場合は教えてもらえるとありがたいです。
「~紹介」は、更新中ですので、たまに確認してみてください。
コメントをくれた方にはお返事します。
こんな内容をいれて欲しいなどのコメントでもOKです。
2日に1回更新しています。(予定によって変更あり)
小説家になろうの方にもこの作品を投稿しています。進みはこちらの方がはやめです。
少しでも良いと思ってくださった方、エールよろしくお願いします。_(._.)_
〈本編完結〉ふざけんな!と最後まで読まずに投げ捨てた小説の世界に転生してしまった〜旦那様、あなたは私の夫ではありません
詩海猫
ファンタジー
こちらはリハビリ兼ねた思いつき短編として出来るだけ端折って早々に完結予定でしたが、予想外に多くの方に読んでいただき、書いてるうちにエピソードも増えてしまった為長編に変更致しましたm(_ _)m
ヒロ回だけだと煮詰まってしまう事もあるので、気軽に突っ込みつつ楽しんでいただけたら嬉しいです💦
*主人公視点完結致しました。
*他者視点準備中です。
*思いがけず沢山の感想をいただき、返信が滞っております。随時させていただく予定ですが、返信のしようがないコメント/ご指摘等にはお礼のみとさせていただきます。
*・゜゚・*:.。..。.:*・*:.。. .。.:*・゜゚・*
顔をあげると、目の前にラピスラズリの髪の色と瞳をした白人男性がいた。
周囲を見まわせばここは教会のようで、大勢の人間がこちらに注目している。
見たくなかったけど自分の手にはブーケがあるし、着ているものはウエディングドレスっぽい。
脳内??が多過ぎて固まって動かない私に美形が語りかける。
「マリーローズ?」
そう呼ばれた途端、一気に脳内に情報が拡散した。
目の前の男は王女の護衛騎士、基本既婚者でまとめられている護衛騎士に、なぜ彼が入っていたかと言うと以前王女が誘拐された時、救出したのが彼だったから。
だが、外国の王族との縁談の話が上がった時に独身のしかも若い騎士がついているのはまずいと言う話になり、王命で婚約者となったのが伯爵家のマリーローズである___思い出した。
日本で私は社畜だった。
暗黒な日々の中、私の唯一の楽しみだったのは、ロマンス小説。
あらかた読み尽くしたところで、友達から勧められたのがこの『ロゼの幸福』。
「ふざけんな___!!!」
と最後まで読むことなく投げ出した、私が前世の人生最後に読んだ小説の中に、私は転生してしまった。
「異界のガンランス使い!万能姉とツンデレ妹の冒険録」
トンカツうどん
ファンタジー
「異界のガンランス使い!万能姉とツンデレ妹の冒険録」
普通の青年、坂井亮太は、ある日突然異世界へと転移する。何の予備知識もなく、途方に暮れていた彼の前に現れたのは、自称「万能で無敵」な美しい女性、アルルだった。彼女はなぜか坂井を「弟くん」と呼び、面倒を見ると言い出す。坂井は半信半疑ながらも、彼女の圧倒的な自信と落ち着きに引き寄せられ、彼女の手助けを受けながら異世界での新しい生活を始めることに。
アルルから餞別として渡されたのは、「ガンランス」と呼ばれる特別な武器。銃と槍を組み合わせた強力な武器だが、扱いが難しく、坂井は使いこなせるかどうか不安を抱いていた。しかし、異世界は思ったよりも危険が多く、武器の存在は必須だと知ることになる。果たして坂井は、このガンランスを手に取り、異世界で生き残ることができるのか?
さらに、坂井の前に現れたのは、もう一人の不思議な存在。彼女の名は威風堂々。自称「坂井の妹」であり、口を開けば常にツンツンした態度を見せつつも、どこか不器用な愛情を持って彼を支えようとする。彼女は「ノブレス・オブリージュ」を掲げ、坂井を導く役目だと豪語するが、その実、なかなか素直になれないツンデレキャラだ。
アルルの落ち着いた優雅さと、威風堂々の自信に満ちた誇り高さという対照的な二人の女性に挟まれ、坂井の異世界での冒険は始まる。魔物との戦い、謎めいた世界の秘密、そして不思議な仲間たちとの出会い。坂井は、何が彼をこの世界に呼び寄せたのかを探りながら、ガンランスを手に取って数々の試練に立ち向かう。
この物語は、90年代のライトノベル作品にインスパイアされた、コメディとバトルが交錯するファンタジーアドベンチャー。コミカルなやり取りと、迫力ある戦闘シーンが魅力の本作では、坂井の成長と、彼を取り巻く仲間たちの絆が描かれます。万能な姉、ツンデレな妹、そして普通の青年という奇妙な三人組が織り成す冒険譚が、笑いと感動を届けること間違いなし!
さあ、坂井と共にガンランスを手に取り、異世界での新たな物語を楽しもう!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる