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第120話 おうさま
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明らかにあがっているグラジオスのそんな行動に、兵士達からは失笑というか爆笑が沸き起こってしまう。
オーギュスト伯爵は額に手をやって(多分頭痛を堪えているのだろう)顔をしかめると、グラジオスへため息混じりに話しかけた。
「殿下、どうか落ち着いてくださいませ……。そういう事はやる者がおりますので」
「しっ、仕方ないだろう。戴冠式など初めてなのだっ」
きっと今までの王様たちも初めてで、かつ人生で一度しか体験しなかったと思うんだけど。
なんて突っ込むのはさすがに可愛そうだから後で弄ってあげようと脳裏にメモしておく。
グラジオスがこんなにパニクってくれたので、少しだけだが私は落ち着いて来た気がする。
「グラジオス落ち着いて」
私はグラジオスの手を取ると、両手で包み込むように持って笑いかける。
「私にかっこいいグラジオスを見せて欲しいなぁ」
なんて発破をかけてみたら、グラジオスは咳ばらいをした後面白いくらいに真面目な顔を見せてくれた。
単純すぎだって……。
「オーギュスト卿」
「はっ」
名前を呼ばれたオーギュスト伯爵は、一歩後ろに下がる。
それを合図に辺りは一斉に静まり返った。
やがて一人の兵士が大きな宝石が飾られた金冠を、紫色の布の上に置いて持ってくると……。
「へ?」
何故か私の所にまで来て、跪きながらうやうやしく差し出して来た。
私にどうしろっていうのだろう?
戴冠式のBGMに歌えって事じゃないの?
私がそうやって大量の疑問符を浮かべていると、グラジオスが答えを教えてくれる。
「俺は雲母の手でここまで連れてきてもらったからな。雲母の手で王になりたい」
「うぇぇぇっ!? で、でも普通こういうのって聖職者が神様に誓って云々言いながらやるんじゃないの?」
あ、オーギュスト伯爵が思いっきり頷いてる。やっぱそうだったんだ。
なんでもかんでも私私って……グラジオス私を頼りすぎっ。
「俺は雲母の歌に誓う。ここに居る連中なら、その方が俺らしいと分かってくれるはずだ」
うぅ、確かにグラジオスならそうかもしれないけどさぁ。
こんな重大な事を私に頼まないでよぉ。しかも相談もなく勝手に決めちゃうとか……。やだもぉ~。
「適当な言葉と共に、ここに冠を乗せてくれ」
そう言うとグラジオスは私の前で跪き、首を垂れて私に頭頂部を見せつけて来る。
このっ、でかいって自慢か! ……なわけないよねぇ。
助けを求めるためにちょっとエマたちの方を向いてみたら……いつの間にか遠くに行っていた。
ドラムまで引きずっていくとかどんだけなの……。このはくじょーものー。
「な、なんか立派な言葉とか言えないけどいいの?」
「雲母の言葉ならどんな言葉でも最高の言葉だ」
うぅ……またそんな事言ってぇ。じゃ、じゃあネコとタチとか言っちゃうぞってそんなの私の方がむりぃ!
そんな雰囲気じゃないしぃ!
チラッと周りを見てみると、期待に満ちた眼差しがそこかしこから向けられていて、私の歌限定で毛が生えてる心臓でもさすがに縮み上がってしまう。
これはもう覚悟を決めるしかなかった。
も、も~。ホント大した事思いつかないからね? 笑わないでね!?
そう心の中で言い訳した後、大きく深呼吸をしてからグラジオスの頭に右手を置いた。
「グラジオス・アルザルド。汝は自らの為に王になると誓いますか?」
「誓います」
どんな言葉でも最高と言った事に偽りはなかった。
グラジオスは私の言葉に真摯に答えていく。
「民の為に、国のために王となる事を誓いますか?」
「誓います」
「あなたは民の為に生き、民の為に死ぬ。民の為に歌い、国の為に奏でる。その事を誓いますか?」
「誓います」
宣誓は厳かな雰囲気で続いていく。
私達の遣り取りはきっとこの世界にとっては異端もいいところだろう。
それでも誰一人として笑うものはなく、誰一人として嘆くことも無かった。
誓約は血潮のごとく私達の間で脈打ち、誓いは運命となって路を切り開いていく。
「これからあなたの体はあなたの物ではなく。この国に関わる全ての人の物となるでしょう。さすれば、この国の全てはあなたの為に在るでしょう」
私は言葉を一旦区切ると、兵士から金冠を受け取って天に掲げてみせる。
それは太陽の光を反射して美しく光り輝いた。まるで天から祝福されているかのごとく。
「それを忘れなければ、あなたはあなたが終わる時までこの国の王です」
言い終えると私はグラジオスの頭にそっと冠を乗せた。
……終わったよ? なんで立たないの?
……なにその目、なんか期待してんの?
……えっと、誓いが足りないって言いたいのね。ってなんで私目線だけで言いたい事察しちゃったの、も~。
分かったよぉ……。
「さ、最後に。あなたは私の為に王になってくれますか?」
「もちろんだっ!」
渋々言わされた誓約の文句に、今までで一番大きい声でグラジオスはそう答えると、がばっと立ち上がって私を優勝トロフィーみたいに抱き上げてしまった。
それと共に拍手がそこかしこから沸き上がり、口々にグラジオスを称える言葉が上がる。この場に居る全ての人々は喜びに満ちていた。
とんでもない戴冠式だったけれど、こういうのも私達らしくていいかもしれない。
……あ、違う。私達らしいには、足りてない。
どうしようか相談もできなかったし。でもいいや。私の心に聞けばきっと応えてくれるはずだから。
歌はいつも私の中にある。
――ヘミソフィア――
自然と私の口から流れだした歌は、自分が誰なのかを問いかける、自分探しのための歌だった。
力のない『僕』が、必死になって荒波を渡り、生きて様々な人生を積み上げていく。その結果、自らを探して得た答えは……分からない。いや、答えを求め続けていくのだという答えを得たのかもしれない。
タイトルの語源はヘミ・スフィアで半・球を意味する。
一人では決して球になる事は出来ないのだ。
一人ではそういう答えしか得られなかったのかもしれないけれど……。
ねえグラジオス。この歌に歌われている人は、あなたであって私でもあるのかな。
私は一人では球に、完全な球になることは出来ないけれど、あなたと一緒なら球になれるから。
私はあなたの為に生きるよ、グラジオス。
それが私の中に在る答えだから。
――大好きだよ。
オーギュスト伯爵は額に手をやって(多分頭痛を堪えているのだろう)顔をしかめると、グラジオスへため息混じりに話しかけた。
「殿下、どうか落ち着いてくださいませ……。そういう事はやる者がおりますので」
「しっ、仕方ないだろう。戴冠式など初めてなのだっ」
きっと今までの王様たちも初めてで、かつ人生で一度しか体験しなかったと思うんだけど。
なんて突っ込むのはさすがに可愛そうだから後で弄ってあげようと脳裏にメモしておく。
グラジオスがこんなにパニクってくれたので、少しだけだが私は落ち着いて来た気がする。
「グラジオス落ち着いて」
私はグラジオスの手を取ると、両手で包み込むように持って笑いかける。
「私にかっこいいグラジオスを見せて欲しいなぁ」
なんて発破をかけてみたら、グラジオスは咳ばらいをした後面白いくらいに真面目な顔を見せてくれた。
単純すぎだって……。
「オーギュスト卿」
「はっ」
名前を呼ばれたオーギュスト伯爵は、一歩後ろに下がる。
それを合図に辺りは一斉に静まり返った。
やがて一人の兵士が大きな宝石が飾られた金冠を、紫色の布の上に置いて持ってくると……。
「へ?」
何故か私の所にまで来て、跪きながらうやうやしく差し出して来た。
私にどうしろっていうのだろう?
戴冠式のBGMに歌えって事じゃないの?
私がそうやって大量の疑問符を浮かべていると、グラジオスが答えを教えてくれる。
「俺は雲母の手でここまで連れてきてもらったからな。雲母の手で王になりたい」
「うぇぇぇっ!? で、でも普通こういうのって聖職者が神様に誓って云々言いながらやるんじゃないの?」
あ、オーギュスト伯爵が思いっきり頷いてる。やっぱそうだったんだ。
なんでもかんでも私私って……グラジオス私を頼りすぎっ。
「俺は雲母の歌に誓う。ここに居る連中なら、その方が俺らしいと分かってくれるはずだ」
うぅ、確かにグラジオスならそうかもしれないけどさぁ。
こんな重大な事を私に頼まないでよぉ。しかも相談もなく勝手に決めちゃうとか……。やだもぉ~。
「適当な言葉と共に、ここに冠を乗せてくれ」
そう言うとグラジオスは私の前で跪き、首を垂れて私に頭頂部を見せつけて来る。
このっ、でかいって自慢か! ……なわけないよねぇ。
助けを求めるためにちょっとエマたちの方を向いてみたら……いつの間にか遠くに行っていた。
ドラムまで引きずっていくとかどんだけなの……。このはくじょーものー。
「な、なんか立派な言葉とか言えないけどいいの?」
「雲母の言葉ならどんな言葉でも最高の言葉だ」
うぅ……またそんな事言ってぇ。じゃ、じゃあネコとタチとか言っちゃうぞってそんなの私の方がむりぃ!
そんな雰囲気じゃないしぃ!
チラッと周りを見てみると、期待に満ちた眼差しがそこかしこから向けられていて、私の歌限定で毛が生えてる心臓でもさすがに縮み上がってしまう。
これはもう覚悟を決めるしかなかった。
も、も~。ホント大した事思いつかないからね? 笑わないでね!?
そう心の中で言い訳した後、大きく深呼吸をしてからグラジオスの頭に右手を置いた。
「グラジオス・アルザルド。汝は自らの為に王になると誓いますか?」
「誓います」
どんな言葉でも最高と言った事に偽りはなかった。
グラジオスは私の言葉に真摯に答えていく。
「民の為に、国のために王となる事を誓いますか?」
「誓います」
「あなたは民の為に生き、民の為に死ぬ。民の為に歌い、国の為に奏でる。その事を誓いますか?」
「誓います」
宣誓は厳かな雰囲気で続いていく。
私達の遣り取りはきっとこの世界にとっては異端もいいところだろう。
それでも誰一人として笑うものはなく、誰一人として嘆くことも無かった。
誓約は血潮のごとく私達の間で脈打ち、誓いは運命となって路を切り開いていく。
「これからあなたの体はあなたの物ではなく。この国に関わる全ての人の物となるでしょう。さすれば、この国の全てはあなたの為に在るでしょう」
私は言葉を一旦区切ると、兵士から金冠を受け取って天に掲げてみせる。
それは太陽の光を反射して美しく光り輝いた。まるで天から祝福されているかのごとく。
「それを忘れなければ、あなたはあなたが終わる時までこの国の王です」
言い終えると私はグラジオスの頭にそっと冠を乗せた。
……終わったよ? なんで立たないの?
……なにその目、なんか期待してんの?
……えっと、誓いが足りないって言いたいのね。ってなんで私目線だけで言いたい事察しちゃったの、も~。
分かったよぉ……。
「さ、最後に。あなたは私の為に王になってくれますか?」
「もちろんだっ!」
渋々言わされた誓約の文句に、今までで一番大きい声でグラジオスはそう答えると、がばっと立ち上がって私を優勝トロフィーみたいに抱き上げてしまった。
それと共に拍手がそこかしこから沸き上がり、口々にグラジオスを称える言葉が上がる。この場に居る全ての人々は喜びに満ちていた。
とんでもない戴冠式だったけれど、こういうのも私達らしくていいかもしれない。
……あ、違う。私達らしいには、足りてない。
どうしようか相談もできなかったし。でもいいや。私の心に聞けばきっと応えてくれるはずだから。
歌はいつも私の中にある。
――ヘミソフィア――
自然と私の口から流れだした歌は、自分が誰なのかを問いかける、自分探しのための歌だった。
力のない『僕』が、必死になって荒波を渡り、生きて様々な人生を積み上げていく。その結果、自らを探して得た答えは……分からない。いや、答えを求め続けていくのだという答えを得たのかもしれない。
タイトルの語源はヘミ・スフィアで半・球を意味する。
一人では決して球になる事は出来ないのだ。
一人ではそういう答えしか得られなかったのかもしれないけれど……。
ねえグラジオス。この歌に歌われている人は、あなたであって私でもあるのかな。
私は一人では球に、完全な球になることは出来ないけれど、あなたと一緒なら球になれるから。
私はあなたの為に生きるよ、グラジオス。
それが私の中に在る答えだから。
――大好きだよ。
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