上 下
22 / 41

美冬 6

しおりを挟む
7限終わって部室に向かう。気が重い。
雪彦はもう来てて記事のスクラップをしてた。

「ちょっといい?」

屋上への階段の踊り場で、話すことにする。

「こんな資料が手に入ったの、何か知ってる?」

封筒を渡すと雪彦は黙ってそれを開け、中身を確認する。

「ああ、この件ですか」
そう言ったまましばらく黙り込むので、雪彦が話し始めるまで待つ。

「お互いのためにあまり気持ちいい話じゃないので言いたくなかったんです。隠してたつもりはなくて、でもすみませんでした、前回お話できなくて。僕はこの件について実は詳しくは聞いてなくて、でも伊東先生がうちの会社の悪い情報で父とコンタクトをとりたがってるってことで、頼まれて、先生が父と顔を合わせる機会を作ったのは僕です」

「え、伊東先生はお父様と会ったの?この中身の件で?」

「要件まではわかりませんけど多分その話なんじゃないかな。僕はその場に同席してなくて、ただ時間と場所を伝えただけなんで。後で、伊東先生はあの時は無理いってごめんなさいと謝ってきましたし、父は父で、伊東先生と会った後に、拍子抜けするくらいたいしたことじゃなかったと言ってましたし実際、工場も何も困ったことにもなってなかったしどこかにこの件が漏れたとかもない様子です。この件は先生の死と関係あるとは思えませんけど」

「そうだよね、もちろんそうだと思う。伊東先生がこの内容で万が一でも脅すとかにしてはあまりにネタが小さすぎて、事件と結びつくような厄介そうな話にはみえないし、操業停止とかになってるとか行政指導みたいな話も出てなかったし見てないから。でも一応、何があったのかは知っておきたくて」

雪彦はなんだか不穏な言い方をした。
「好奇心は猫をも殺す。美冬先輩もなんだかんだ知りすぎていってませんか?」

なんだか背筋がゾクッとした。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

女子高生は卒業間近の先輩に告白する。全裸で。

矢木羽研
恋愛
図書委員の女子高生(小柄ちっぱい眼鏡)が、卒業間近の先輩男子に告白します。全裸で。 女の子が裸になるだけの話。それ以上の行為はありません。 取って付けたようなバレンタインネタあり。 カクヨムでも同内容で公開しています。

友情と青春とセックス

折り紙
青春
「僕」はとある高校に通う大学受験を 終えた男子高校生。 毎日授業にだるさを覚え、 夜更かしをして、翌日の授業に 眠気を感じながら挑むその姿は 他の一般的な高校生と違いはない。 大学受験を終えた「僕」は生活の合間に自分の過去を思い出す。 自分の青春を。 結構下品な下ネタが飛び交います。 3話目までうざい感じです 感想が欲しいです。

春まち、虹まち、キミの町

時計の針-clock hands-
青春
不良DK×根暗JK。 虹町のとある高校に通う男女。 多感な時期。2人にも誰にも言えないそれぞれの小さな秘め事があった。 『一つの小さな出会い』によって、クラスメイトという意外はまるで共通点のなかった2人は互いの意外な一面や共通点を知ることに。 まだ青春を知らない2人の歯車が動き始めた。 *.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚ 7/28 執筆を開始しましたが、機能に慣れておらず大変スローペースです。長編のつもりですが果たして完成するのか…。 もし良ければお付き合いください。 *.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚*.。.*゚ ♪表紙はぱくたそ(www.pakutaso.com)さんのフリー素材を使用させていただきました。

私たち、博麗学園おしがまクラブ(非公認)です! 〜特大膀胱JKたちのおしがま記録〜

赤髪命
青春
街のはずれ、最寄り駅からも少し離れたところにある私立高校、博麗学園。そのある新入生のクラスのお嬢様・高橋玲菜、清楚で真面目・内海栞、人懐っこいギャル・宮内愛海の3人には、膀胱が同年代の女子に比べて非常に大きいという特徴があった。 これは、そんな学校で普段はトイレにほとんど行かない彼女たちの爆尿おしがまの記録。 友情あり、恋愛あり、おしがまあり、そしておもらしもあり!? そんなおしがまクラブのドタバタ青春小説!

My Angel -マイ・エンジェル-

甲斐てつろう
青春
逃げて、向き合って、そして始まる。 いくら頑張っても認めてもらえず全てを投げ出して現実逃避の旅に出る事を選んだ丈二。 道中で同じく現実に嫌気がさした麗奈と共に行く事になるが彼女は親に無断で家出をした未成年だった。 世間では誘拐事件と言われてしまい現実逃避の旅は過酷となって行く。 旅の果てに彼らの導く答えとは。

処理中です...