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悠 5

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帰り道自転車漕ぎながらもやもやが止まらなかった。
透子の言ったことを考えてしまう。
先生だって生身の人間なんだって、ホントそうだ。
わたしは先生たちのこと何も知らない。そして……

家について門の閂開けて自転車を停める。うちの庭は整然としていつもきちんとしてる。家の中もそう。だって母は毎朝6時前に起きて掃除を始めるから。
半ば強迫観念のように家事をこなしてる。
小さいころちょっとでもだらしなく出しっぱなしとか脱ぎっぱなしとかをするとひどく叱られたな。
片付けないことは悪だっていうのがすごく押し付けに感じられてストレスだったってことに最近気づいた。

そう、伊東先生の生い立ちで思い出したけど、うちも母方の祖父母は早くに亡くなってるみたいだから会ったことない。父方は祖父母とも元気で元気すぎるくらい。父は三姉弟の末っ子でこれまた元気のいい伯母が二人いるけど、母は一人っ子でほんとに親族がいない。親戚づきあいとかも全然なくて、親族の話も全く聞いた記憶ない。伊東先生のこと、苦労なさったのかもって言ったけど、うちの母はどんな風に育ってきたんだろう、どんな風に育ったから、あんな人になってるんだろうか。

母だって、生身の人間なんだ。でもわたしは彼女のこと、たいして知らないのかもしれない……
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