上 下
39 / 47

会議

しおりを挟む
「討伐に参加するなら明日の勇者達との会議にも参加しろよ。」

「ゆ、勇者達とも会議があるんですか!?」

エレンさんが驚いたように声をあげた。

……つまり北条さんと会うってことか…………俺、初対面の演技出来るかねえ……?

「当たり前だろ。勇者達が主体になって討伐するんだぞ?」

「うぅ~……緊張でお腹が……」

「そんなことはどうでもいいですわ。旦那さまはどんな作戦がいいと思いますか?」

どうでもいいと言われたエレンさんの落ち込む顔を見つつ、俺はアイシャさんの質問について考える。

「……今の段階ではなんとも言えません。勇者達の戦闘スタイルも分かりませんし、冒険者の数が確定してませんので。」

「よし。じゃあ、勇者達の資料と冒険者は……ザックリだが、剣士が30、魔法使いが40、回復が10未満…って感じだな。」

……少ないな……

それが俺が1組の資料と冒険者の数を聞いて、真っ先に感じたことだ。古代竜は討伐の危険度が高く、討伐がかなり難しい……なのに人数からして全く足りない。

「……ギルアスさん、過去に古代竜を討伐した記録ってありますか?」

「お前ならそう言うと思って準備してるぞ。」

ギルアスさんから資料をもらい、内容を確認する。

ザックリと要約するなら、『勇者達は世界中の実力者達、総勢236名と共に多少の犠牲はあったものの前代未聞である古代竜討伐を成し遂げた。』ということらしい。

で、今の状況がハッキリ言って実力があるかどうかも分からない冒険者約80人と大して戦闘経験もない勇者が約40人だ。総勢約120人になるな。

………………いや…今回の古代竜の討伐…無理ゲーじゃね?

「…………ギルアスさん、冒険者達のランクはどれくらいですか?」

「参加するほとんどがC~Bランクだ。ベテランではあるが一流ではないな。まあ、Fランクのくせに技術で言うならA~Sランクにもうすぐで到達しそうなヤツもいることだしな。なんとかなるだろ。」

「さすが旦那さまですわ!もうそこまで実力をつけておられるなんて!」

いや、なんでそうなる!?

「えっ!?ヒビキのことなんですか!?」

「そりゃそうだろ。こんなにリスクがあるのにFランクの新人が参加するわけないだろ?」

「いや……流石に言い過ぎだと思うんですが……」

絶対に言い過ぎだろ……ちょっと前まで日本に住んでて戦いとは無縁の生活送ってたわけだし……

「ヒビキ、お前は戦闘において大切なことって知ってるか?」

大切なこと、なぁ……

「……まずは戦闘技術とそれに関わる知識。あとは冷静な判断力と洞察力は必要です。パーティーがいるならパーティーメンバーの実力や得意分野、性格や癖なんかも把握しておいた方がいいと思います。」

「え?性格とか癖も?」

エレンさんがわけが分からないといった感じで首を傾げた。

「はい。言い方は悪いかも知れませんが……例えば、めんどくさがりだとします。指示に従わないことがあったりすればやる気にさせる要素を知っていれば動いてくれるかも知れませんから。緊急時に最善を尽くさなければ命に関わりますからね。」

「なるほど~?」

……イマイチ分かってないな、これ……

「百点満点だ。で、お前は冷静な判断力と洞察力に加えて人間観察もできる。技術も申し分ないし、後は実践を積むだけだ。」

人間観察って……なんかイメージ悪い……

「聞きましたね?お兄様?旦那さまは叔父様がお認めになるほどの実力者ですわ!文句はありませんね?」

「ぐぅっ…!クソッ…!」

いや……だから俺は文句あるって……

「……いいや、まだだ…ソイツをアイシャの婚約者にするのはッ……!」

いや…だから……ならないんですけど……

そんなことを思っているとコレラさんが着けていた手袋を投げつけた。これって確かラノベとかじゃ……

「決闘だ!俺はお前に決闘を申し込むッ!」

だよなぁ……ハァ……俺は一言も結婚するなんて言ってないのに……

でもまあ……よく祖父に言われてたことがある。それは……『売られた喧嘩は買え』と『一方的な要求も受けて立ち、真っ正直から叩き落とせ』だ。今回ばかりは俺も剣を向けられていい気はしてないから祖父の言葉に従うとしようか。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔力吸収体質が厄介すぎて追放されたけど、創造スキルに進化したので、もふもふライフを送ることにしました

うみ
ファンタジー
魔力吸収能力を持つリヒトは、魔力が枯渇して「魔法が使えなくなる」という理由で街はずれでひっそりと暮らしていた。 そんな折、どす黒い魔力である魔素溢れる魔境が拡大してきていたため、領主から魔境へ向かえと追い出されてしまう。 魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。 その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。 魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。 手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。 いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。

一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~

十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。

異世界でスキルを奪います ~技能奪取は最強のチート~

星天
ファンタジー
 幼馴染を庇って死んでしまった翔。でも、それは神様のミスだった!  創造神という女の子から交渉を受ける。そして、二つの【特殊技能】を貰って、異世界に飛び立つ。  『創り出す力』と『奪う力』を持って、異世界で技能を奪って、どんどん強くなっていく  はたして、翔は異世界でうまくやっていけるのだろうか!!!

チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~

Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。 が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。 災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。 何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。 ※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

異世界あるある 転生物語  たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?

よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する! 土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。 自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。 『あ、やべ!』 そして・・・・ 【あれ?ここは何処だ?】 気が付けば真っ白な世界。 気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ? ・・・・ ・・・ ・・ ・ 【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】 こうして剛史は新た生を異世界で受けた。 そして何も思い出す事なく10歳に。 そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。 スキルによって一生が決まるからだ。 最低1、最高でも10。平均すると概ね5。 そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。 しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。 そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。 追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。 だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。 『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』 不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。 そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。 その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。 前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。 但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。 転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。 これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな? 何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが? 俺は農家の4男だぞ?

女神様から同情された結果こうなった

回復師
ファンタジー
 どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。

処理中です...