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伯爵家の当主
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俺とスイは使用人さんに案内されて、屋敷にある会議室に向かう。その途中でエレンさんと合流した。
「ヒビキィィ…助けて……なんかもう…何がなんなのか分かんないよぉぉ……王都に着いたと思ったら貴族街に来ることになって、いきなり伯爵様の屋敷に上がることになって、オマケにあんなに大きい部屋に案内されて、使用人さんが二人もなんて……」
「ですよね……俺も未だに混乱気味です……」
でも…まぁ、多分ギルアスさんがこの屋敷の人なんだろうな……『おかえりなさいませ』って言ってたし……前にギルアスさんが『逃げた』とも言ってたからな。
「ヒビキ様、エレン様、スイ様。こちらです。」
先頭を歩いていた使用人さんが足を止め、目の前のドアをノックした。
コンコンッ
「旦那様、お客様達をお連れしました。」
「あぁ、入っていいぞ。」
中から男性の声がして部屋に入った。中にはギルアスさんとリンファさん、ダグラスさんがいて、あとは茶髪で緑の瞳をした男性がいた。この人がさっき使用人さんが言ってた『旦那様』……もとい『伯爵』なんだろうな。
「お初にお目にかかります、伯爵様。響です。ギルアスさんから王都に滞在している間はこちらに泊まらせていただくと聞きました。ご迷惑をおかけしますが何卒よろしくお願いいたします。」
「ふぇ!?えー、えっと…エレンです?よろしくお、お願いします?」
俺が胸に手を当てて頭を下げるとエレンさんも慌てて自己紹介した。……のはいいけど……エレンさん……なんで疑問符ついてるんですか……?ちなみに、挨拶の作法なんかはイリヤさんのを真似してる。なんで初対面の人に言葉がつまってないかって?なんでかは知らないけど、この人…伯爵はなんだか親近感があるんだよな。
「二人ともありがとう。私はグレイス。伯爵家の当主だが、気にせずに接してくれていいよ。ヒビキ君もあまり固くなくていいからね。」
「ありがとうございます。グレイスさん…でいいですか?」
「!?ちょっ!?ヒビキ!?」
エレンさんが隣でめっちゃ驚いてる。多分、俺がいきなり名前呼びでオマケに『様』じゃなくて『さん』にしたからだろうな。でも、グレイスさんならギルアスさんと同じように接しても大丈夫だと思うんだよな。多分、ギルアスさんとグレイスさんは実の兄弟だろうし……
「もちろん。エレン君ももっと気軽にね。とは言ってもいきなりは難しいかな?ハハハッ!」
……俺としては一つスゴく気になっていることがあるんだよな……自己紹介した時からギルアスさん達からの視線をめっちゃ感じるんだ……
「…えっと……ギルアスさん、どうかしましたか?」
「いや……お前…なんでグレイスとは普通に話せるんだよ……それと、作法は誰かから教えてもらったのか?」
「えっと……グレイスさんはなんだか親近感があったからですね。作法に関してはさっき部屋に挨拶に来た使用人を真似ました。」
「……そうかよ……」
ギルアスさんがなんだか納得いっていないような返事をした。
「兄上は気にしすぎでは?ヒビキ君は今すぐにでも一人立ち出来ると思いますが?何が不安なんですか。」
「グレイス…お前はコイツの事を知らないからだ。監視…じゃなくて、よく見ておかないと何をするか分かったもんじゃない。」
……ギルアスさんにハッキリ『監視しとかないと何しでかすか分からない』って言われた……
「……え?…兄上……?」
エレンさんはそんなことよりグレイスさんがギルアスさんのことを『兄上』って呼んだことに驚いている。
「ん?あぁ、グレイスは俺の実の弟だ。」
「ええぇぇぇぇぇ!?」
やっぱりそうだよな。
「ヒビキ君はあまり驚かないのかい?」
「えぇ、まぁ……そうだとは思っていましたから。」
「ほう……いつからだね?」
グレイスさんが試すように不敵に笑った。
「この屋敷に着いた時からです。屋敷に入って一番初めに会った使用人がギルアスさんに『お久しぶりです』と言ったのがきっかけです。その言葉でギルアスさんがこの屋敷の関係者だと分かりました。」
「ふむ……では、その時にただその使用人と知り合いだったから…という可能性は考えなかったのかね?」
「考えはしましたが…すぐにその可能性はゼロだと判断しました。理由としては二人の会話にハッキリとした上下関係が見られたからです。使用人の方は軽く頭を下げたまま敬称に敬語で。ギルアスさんは命令口調に近いタメ口で、指示を出していましたから。」
「なるほど……さっき君は使用人が『お久しぶりです』と言ったのがきっかけになったと言っていたね?では、君が私達が兄弟だと確信したのはどのタイミングだね?」
「グレイスさんとギルアスさんが兄弟だと確信を得たのは会議室に入ってからです。ですが、ギルアスさんが伯爵家の人だということはすぐに確信できました。理由はこれも使用人が『おかえりなさいませ』とギルアスさんに言ったからです。あとは…以前、ギルアスさんが逃げてきたと言ったのも伯爵家の人だということを確信できた理由ですね。まぁ…ギルアスさんの性格上、『長男だからって理由でなんで家を継がなきゃいけないんだ。自分は書類仕事なんかより剣を振ってる方が楽しいんだ。』…という感じで逃げたんですかね?」
「…まさしく兄上が家出した理由だ……では、そこまで分かっていたのなら、なぜ、私と兄上が兄弟だという確信を得たのは会議室に入ってからなんだね?」
「理由は簡単です。ギルアスさんとグレイスさんの大まかな年齢的に、まだお二人の父君が現役で仕事をしていてもおかしくないからです。若くで子供を産んでいたらまだ60歳前後でしょうから。ですが、当主だといわれ案内されたのがグレイスさんです。なら、後は簡単ですよね。ギルアスさんが長男でなかったとしたらギルアスさんが逃げる理由もありません。長男以外なら自分の道を歩くでしょうから。なので、きっとグレイスさんは逃げたギルアスさんの代わりをしているんだろうと思ったんです。」
「そう!そうなのだよ!兄上が逃げたおかげで私は当主にならなくてはいけなくなったのだよ!ヒドイ兄だと思わんか!……ハァ……私も当主なんかやりたくなかった……社交界ってめんどくさいし……何言われてもニコニコしておかないといけないし……ハァ……」
……うん、まぁ…グレイスさんが苦労しているというこては伝わってきたな……
「ヒビキィィ…助けて……なんかもう…何がなんなのか分かんないよぉぉ……王都に着いたと思ったら貴族街に来ることになって、いきなり伯爵様の屋敷に上がることになって、オマケにあんなに大きい部屋に案内されて、使用人さんが二人もなんて……」
「ですよね……俺も未だに混乱気味です……」
でも…まぁ、多分ギルアスさんがこの屋敷の人なんだろうな……『おかえりなさいませ』って言ってたし……前にギルアスさんが『逃げた』とも言ってたからな。
「ヒビキ様、エレン様、スイ様。こちらです。」
先頭を歩いていた使用人さんが足を止め、目の前のドアをノックした。
コンコンッ
「旦那様、お客様達をお連れしました。」
「あぁ、入っていいぞ。」
中から男性の声がして部屋に入った。中にはギルアスさんとリンファさん、ダグラスさんがいて、あとは茶髪で緑の瞳をした男性がいた。この人がさっき使用人さんが言ってた『旦那様』……もとい『伯爵』なんだろうな。
「お初にお目にかかります、伯爵様。響です。ギルアスさんから王都に滞在している間はこちらに泊まらせていただくと聞きました。ご迷惑をおかけしますが何卒よろしくお願いいたします。」
「ふぇ!?えー、えっと…エレンです?よろしくお、お願いします?」
俺が胸に手を当てて頭を下げるとエレンさんも慌てて自己紹介した。……のはいいけど……エレンさん……なんで疑問符ついてるんですか……?ちなみに、挨拶の作法なんかはイリヤさんのを真似してる。なんで初対面の人に言葉がつまってないかって?なんでかは知らないけど、この人…伯爵はなんだか親近感があるんだよな。
「二人ともありがとう。私はグレイス。伯爵家の当主だが、気にせずに接してくれていいよ。ヒビキ君もあまり固くなくていいからね。」
「ありがとうございます。グレイスさん…でいいですか?」
「!?ちょっ!?ヒビキ!?」
エレンさんが隣でめっちゃ驚いてる。多分、俺がいきなり名前呼びでオマケに『様』じゃなくて『さん』にしたからだろうな。でも、グレイスさんならギルアスさんと同じように接しても大丈夫だと思うんだよな。多分、ギルアスさんとグレイスさんは実の兄弟だろうし……
「もちろん。エレン君ももっと気軽にね。とは言ってもいきなりは難しいかな?ハハハッ!」
……俺としては一つスゴく気になっていることがあるんだよな……自己紹介した時からギルアスさん達からの視線をめっちゃ感じるんだ……
「…えっと……ギルアスさん、どうかしましたか?」
「いや……お前…なんでグレイスとは普通に話せるんだよ……それと、作法は誰かから教えてもらったのか?」
「えっと……グレイスさんはなんだか親近感があったからですね。作法に関してはさっき部屋に挨拶に来た使用人を真似ました。」
「……そうかよ……」
ギルアスさんがなんだか納得いっていないような返事をした。
「兄上は気にしすぎでは?ヒビキ君は今すぐにでも一人立ち出来ると思いますが?何が不安なんですか。」
「グレイス…お前はコイツの事を知らないからだ。監視…じゃなくて、よく見ておかないと何をするか分かったもんじゃない。」
……ギルアスさんにハッキリ『監視しとかないと何しでかすか分からない』って言われた……
「……え?…兄上……?」
エレンさんはそんなことよりグレイスさんがギルアスさんのことを『兄上』って呼んだことに驚いている。
「ん?あぁ、グレイスは俺の実の弟だ。」
「ええぇぇぇぇぇ!?」
やっぱりそうだよな。
「ヒビキ君はあまり驚かないのかい?」
「えぇ、まぁ……そうだとは思っていましたから。」
「ほう……いつからだね?」
グレイスさんが試すように不敵に笑った。
「この屋敷に着いた時からです。屋敷に入って一番初めに会った使用人がギルアスさんに『お久しぶりです』と言ったのがきっかけです。その言葉でギルアスさんがこの屋敷の関係者だと分かりました。」
「ふむ……では、その時にただその使用人と知り合いだったから…という可能性は考えなかったのかね?」
「考えはしましたが…すぐにその可能性はゼロだと判断しました。理由としては二人の会話にハッキリとした上下関係が見られたからです。使用人の方は軽く頭を下げたまま敬称に敬語で。ギルアスさんは命令口調に近いタメ口で、指示を出していましたから。」
「なるほど……さっき君は使用人が『お久しぶりです』と言ったのがきっかけになったと言っていたね?では、君が私達が兄弟だと確信したのはどのタイミングだね?」
「グレイスさんとギルアスさんが兄弟だと確信を得たのは会議室に入ってからです。ですが、ギルアスさんが伯爵家の人だということはすぐに確信できました。理由はこれも使用人が『おかえりなさいませ』とギルアスさんに言ったからです。あとは…以前、ギルアスさんが逃げてきたと言ったのも伯爵家の人だということを確信できた理由ですね。まぁ…ギルアスさんの性格上、『長男だからって理由でなんで家を継がなきゃいけないんだ。自分は書類仕事なんかより剣を振ってる方が楽しいんだ。』…という感じで逃げたんですかね?」
「…まさしく兄上が家出した理由だ……では、そこまで分かっていたのなら、なぜ、私と兄上が兄弟だという確信を得たのは会議室に入ってからなんだね?」
「理由は簡単です。ギルアスさんとグレイスさんの大まかな年齢的に、まだお二人の父君が現役で仕事をしていてもおかしくないからです。若くで子供を産んでいたらまだ60歳前後でしょうから。ですが、当主だといわれ案内されたのがグレイスさんです。なら、後は簡単ですよね。ギルアスさんが長男でなかったとしたらギルアスさんが逃げる理由もありません。長男以外なら自分の道を歩くでしょうから。なので、きっとグレイスさんは逃げたギルアスさんの代わりをしているんだろうと思ったんです。」
「そう!そうなのだよ!兄上が逃げたおかげで私は当主にならなくてはいけなくなったのだよ!ヒドイ兄だと思わんか!……ハァ……私も当主なんかやりたくなかった……社交界ってめんどくさいし……何言われてもニコニコしておかないといけないし……ハァ……」
……うん、まぁ…グレイスさんが苦労しているというこては伝わってきたな……
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