上 下
23 / 47

お菓子パーティー 2

しおりを挟む
「ヒビキはんはどこら辺出身なん?全くおらんわけじゃないけど……黒髪ってあんま見いへんよな?」

ラスクをかじりながらリンファさんが問いかけた。

「えっと……す、すみません……覚えてなくて……」

「ん?覚えてないって……どういうことや?」

「記憶喪失だな。何も分からないみたいだったからな…とりあえず俺が保護しといた。」

俺の代わりにギルアスさんが詳しく説明してくれた。

「へぇ…そうやったんや?じゃあ、今は冒険者しながら家族探しかいな?」

「そ、それは……」

……この世界に家族いないからなぁ……

「まぁ…それは追々考えていけばいいだろ。とりあえず、王都には一緒に行く。」

「そうなんや!それやったら明日からもよろしゅうなぁ~」

リンファさんも一緒なのか?

「リンファさんも一緒に行くんですか?」

エレンさんも疑問に思ったみたいでリンファさんに聞いている。

「せやで~アタシとギルアスはんやろ?あとは…」

「そういえばよ…リンファ。今日はもう店閉めてよかったのか?」

リンファさんの言葉を途中で遮るようにギルアスさんが言葉を重ねた。

……なんでだろうな?

「…?今日はもう大丈夫やで~どうせ店開けててもお客なんてギルアスはんと一握りしかおらんからなぁ……」

「こう言っちゃあなんだが…リンファの店は知る人ぞ知る名店だしな。」

「そうなんですか?」

「一応こんなでも一緒にパーティー組んでSランク冒険者してたんだぞ?リンファはウチのパーティーの回復術士やってたんだ。」

ギルアスさんってSランク冒険者だったんだな。

「アタシの第二職業が調合士やねん。やから冒険者やめてからは小さい店開いてんよ。案外楽しいねんで?どうや?ヒビキはん、ウチの店の看板娘やらへん?」

「絶対やりません。」

コミュ障には絶対できないし、なんで『娘』なんだよ……

「そっかぁ…残念やわ……」

本気で残念がられても……

「ねぇねぇ、ヒビキ!ボク、おてあらい?いってくる!」

「いってらっしゃい。」

ちっちゃい子って、こういうの報告したがるよな?「今からおままごとする!」とかさ……

「なぁなぁ…ヒビキはんとエレンはんの第二職業ってなんなん?」

…そういえばエレンさんのセカンドジョブ知らないな……

「俺のファ……第一職業は剣士で第二職業が魔法使いです。」

ヤバい……ファーストジョブって言いそうになった……ゲーマーなのが明るみになってきたな……

「ええ!?そうなん!?アタシてっきり第一職業が魔法使いなんやと思っとったわ!てか、正反対の職業やん!?」

「そうなんですよ……なかなかいないんですよね?」

「せやで!?今まで聞いたことないわ!そっかぁ……せやったらポーションさえあったらソロでも活動できるやん。」

……ポーションなくても活動できます、とは言えないな……リンファさん調合士だし……

「そういやよぉ?ヒビキ…お前、ダグラスの店での一件で忘れてないか?あの魔法のこと。」

「…あ……」

ヤベ……後で要相談って言われてたんだった……

「ヒビキ!ただいまー!」

ナイスだ!スイ!

「おかえり、スイ。」

「ただいま~!…いたっ……」

小走りしてたスイが転んだ。俺はスイの所に行き、怪我がないかを確認した。

「……結構擦りむいてるな……」

フローリングって転けると低温火傷みたいになって痛いよな……

「いたい……」

…よし!

「痛いの痛いの飛んでけ~」

魔法を使って怪我を治療してみた。

「どうだ?」

「わあ!なおったぁ!すごーい!」

スイがパチパチと拍手する。……可愛い!

「……え?今どうやって治したん?え?なんで治ったん?」

「……私はもう何も言わない……」

「お ま え は !人前で絶対に使うなよ!普通はありえないことなんだよ!絶対にだぞ!?絶対にだからな!?」

「す、すみません……分かりました。」

あまり使わないようにしないとな……

「……え?どうやったん?何がどうなったん?」

「知るかよ……ヒビキに聞いてくれ……」

あー…ギルアスさん、もしかしなくても現実逃避してるな……

「どうやって治したん?職業、魔法使いと剣士なんやんな?」

「はい、そうです。なので魔法で治しました。」

「いや…意味分からんって……」

だよなぁ……

「えっと……魔法の発動ってイメージ次第なので、怪我が治るようにイメージしたんです。そうすれば『魔法使い』でも怪我が治せますよ?病気も原因さえ分かっていれば治せます。」

「……ギルアスはん…アンタ…ホンマにヤバい人見つけたなぁ……これ…世に知れ渡ってみ?確実に奴隷商に狙われんで?」

え、こわ……

「だよなぁ……」

「ヒビキなら強行突破でどうにかしそうだけど……」

エレンさん?貴女には俺がどう写ってるんですかね?

「「確かに…」」

ギルアスさんとリンファさんも納得しないで下さい……







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

一人だけ竜が宿っていた説。~異世界召喚されてすぐに逃げました~

十本スイ
ファンタジー
ある日、異世界に召喚された主人公――大森星馬は、自身の中に何かが宿っていることに気づく。驚くことにその正体は神とも呼ばれた竜だった。そのせいか絶大な力を持つことになった星馬は、召喚した者たちに好き勝手に使われるのが嫌で、自由を求めて一人その場から逃げたのである。そうして異世界を満喫しようと、自分に憑依した竜と楽しく会話しつつ旅をする。しかし世の中は乱世を迎えており、星馬も徐々に巻き込まれていくが……。

チートスキルで無自覚無双 ~ゴミスキルばかり入手したと思ってましたが実は最強でした~

Tamaki Yoshigae
ファンタジー
北野悠人は世界に突如現れたスキルガチャを引いたが、外れスキルしか手に入らなかった……と思っていた。 が、実は彼が引いていたのは世界最強のスキルばかりだった。 災厄級魔物の討伐、その素材を用いてチートアイテムを作る錬金術、アイテムを更に規格外なものに昇華させる付与術。 何でも全て自分でできてしまう彼は、自分でも気づかないうちに圧倒的存在に成り上がってしまう。 ※小説家になろうでも連載してます(最高ジャンル別1位)

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!

よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です! 僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。 つねやま  じゅんぺいと読む。 何処にでもいる普通のサラリーマン。 仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・ 突然気分が悪くなり、倒れそうになる。 周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。 何が起こったか分からないまま、気を失う。 気が付けば電車ではなく、どこかの建物。 周りにも人が倒れている。 僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。 気が付けば誰かがしゃべってる。 どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。 そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。 想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。 どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。 一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・ ですが、ここで問題が。 スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・ より良いスキルは早い者勝ち。 我も我もと群がる人々。 そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。 僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。 気が付けば2人だけになっていて・・・・ スキルも2つしか残っていない。 一つは鑑定。 もう一つは家事全般。 両方とも微妙だ・・・・ 彼女の名は才村 友郁 さいむら ゆか。 23歳。 今年社会人になりたて。 取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。

魔力吸収体質が厄介すぎて追放されたけど、創造スキルに進化したので、もふもふライフを送ることにしました

うみ
ファンタジー
魔力吸収能力を持つリヒトは、魔力が枯渇して「魔法が使えなくなる」という理由で街はずれでひっそりと暮らしていた。 そんな折、どす黒い魔力である魔素溢れる魔境が拡大してきていたため、領主から魔境へ向かえと追い出されてしまう。 魔境の入り口に差し掛かった時、全ての魔素が主人公に向けて流れ込み、魔力吸収能力がオーバーフローし覚醒する。 その結果、リヒトは有り余る魔力を使って妄想を形にする力「創造スキル」を手に入れたのだった。 魔素の無くなった魔境は元の大自然に戻り、街に戻れない彼はここでノンビリ生きていく決意をする。 手に入れた力で高さ333メートルもある建物を作りご満悦の彼の元へ、邪神と名乗る白猫にのった小動物や、獣人の少女が訪れ、更には豊富な食糧を嗅ぎつけたゴブリンの大軍が迫って来て……。 いつしかリヒトは魔物たちから魔王と呼ばるようになる。それに伴い、333メートルの建物は魔王城として畏怖されるようになっていく。

エラーから始まる異世界生活

KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。 本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。 高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。 冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。 その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。 某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。 実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。 勇者として活躍するのかしないのか? 能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。 多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。 初めての作品にお付き合い下さい。

異世界に転生したけど、俺の初期スキルが色々おかしい!

月暈シボ
ファンタジー
平凡な少年マサキは生前の勇気が女神達に認められ、三つの勢力が争う異世界エレンディアに転生する。達人級のスキルを与えられる中立勢力を選んだマサキだったが、目論見は外れクソ雑魚状態からのスタートを切ることになる。その危機を美少女魔術士アリサに助けられたマサキは、彼女に憧れと恋心を抱き冒険者として生きる決意を固める。のだが、肝心のアリサとの仲はなかなか進展せずに、逆に新たに仲間に加わる娘達に翻弄されてしまう?!

Shining Rhapsody 〜神に転生した料理人〜

橘 霞月
ファンタジー
異世界へと転生した有名料理人は、この世界では最強でした。しかし自分の事を理解していない為、自重無しの生活はトラブルだらけ。しかも、いつの間にかハーレムを築いてます。平穏無事に、夢を叶える事は出来るのか!?

処理中です...