クラス召喚に巻き込まれてしまいました…… ～隣のクラスがクラス召喚されたけど俺は別のクラスなのでお呼びじゃないみたいです～

朝食の準備

俺達は雑談をしながら結局ギルド長室には行かず、ギルアスさんの家にやって来た。まだスイが寝てるらしい。家にはギルアスさんの知り合いがいてくれたみたいだ。　

「……ギルアスさんって家事出来るんですか？」

「そりゃ、一人暮らししてたらな。まぁ、逃げてきてすぐは難しかったけどな。慣れたら出来るようになったな。」

「そういうものですか？」

「おう！」

……そういや、朝ごはん食べてないな……

家事の話をしていたらそんなことを思い出した。

「俺も朝飯食ってないし、スイもまだ寝てるから今のうちに準備しとくか。……ヒビキが。」

「なんで俺なんですか!?」

いや、別にどっちがしないといけないとかないけども！

「ん？なんだ？出来ないのか？」

ギルアスさんがニヤニヤと挑発するように言う。

「～ッ!!やればいいんでしょう！やれば！」

「そうこないとな。キッチンは好きにしていいぞ。」

「分かりました。中見ますよ。」

俺は冷蔵庫…か？の中を確認して、何を作るか考える。

「……牛乳…卵……」

……よし!!

俺は牛乳、卵、キャベツ、食パンを準備して朝食の準備に取りかかる。

「あっ…ヒビキ、エレンのも作ってやってくれないか？お前が作ったって言えば食べるだろうからよ。」

「いいですけど……エレンさん、普段食べないんですか？」

「ああ。食べない時の方が多いな。」

「そうなんですね。なら、一緒に作っちゃいますね。」

「じゃ、頼むわ。」

そして、朝食を作り始める。

まず、卵と牛乳と砂糖を混ぜる。なんか漫画とかだと砂糖って貴重だったりするけど、この世界は普通に流通してるんだよな。

「……お前、なにする気だよ……」

俺の朝食作りを横から覗いていたギルアスさんが少し引いたように言った。

「見てれば分かりますよ。」

次に、食パンの耳を切って耳は一旦置いておく。食パンの本体？は四つに切る。そして、食パンの本体をさっき卵とかを混ぜたものに浸ける。

「……本当に大丈夫なのかよ……」

「大丈夫ですよ。」

ここまでくれば、分かる人は分かるよな？そう……俺が作ってるのはフレンチトーストだ。俺が好きだからフレンチトーストにしてみた。

フライパンを火にかけて、バターをひく。フライパンが温まったところで、さっき卵液に浸けた食パンを焼く。

「お前、正気か？」

「いたって正気ですよ。」

フレンチトーストを焼きながら、隣で目玉焼きを焼く…前に、卵を魔法で除菌する。ちゃんと消毒されてないみたいだったからな。確か、70℃か80℃くらいでサルモネラ菌は死んだような気がするけど、一応な！俺が、半熟の目玉焼きが食べたいんだ！イメージは「菌よ死ね～」って感じだな！

もう一つフライパンを準備して、目玉焼きを焼く。フレンチトーストの具合を見るのも忘れずにな！で、目玉焼きが焼けるまでに、キャベツを千切りにして、コールスローを作る。家にあったリンゴも切った。スイとエレンさんのはウサギにしてみた。そんなことをしていると、フレンチトーストと目玉焼きがいい感じに焼けたから、皿に盛る。そのまま、ソーセージも焼く。

「……お前、料理できるんだな……どこで覚えたんだよ……」

「さあ？どこなんでしょう？」

これは実際、俺も分からない。引き取られた家の…戸籍上は母親か…の料理を見てなんとなく自然と覚えたんだよな。だから教えて貰ったりしてないんだよ……

会話をしつつも、手は動かす。

空いたもう一つのフライパンに油を少し多めにひき、一口大に切った食パンの耳を放り込む。そのままカリッとするまで炒めて最後に砂糖を振りかける。パンの耳でなんちゃってラスクの完成だ。

「ギルアスさん、耐熱性のカップや容器ってありますか？」

「耐熱か？……これでいいか？」

「はい！ありがとうございます。」

ギルアスさんが渡してくれたのはグラスだった。ラスクを別の皿に盛り、次はそのまま砂糖をフライパンにぶちこんだ。

「ふぅ……俺はもう何も言わない……」

ギルアスさんがどこか遠い目をして言った。俺は知らんぷりをして、作業を続ける。

砂糖を入れたフライパンを熱して砂糖を溶かす。いい感じに焦げてきたら、水を加えてカラメルにする。

「あっつ！」

水を入れた時にパチパチッと熱いシロップが俺の顔面に飛んできたけど、対して怪我はなかった。

カラメルを魔法で常温程度まで冷やして、さっきギルアスさんに借りたグラスに注ぐ。そして、フレンチトーストを作った時に残った卵液もグラスに入れる。それを鍋で蒸したらプリンの完成だ！

「おはよう～……ボクおなかすいた……」

ちょうどスイも起きてグッドタイミングだ！

「おはよう、スイ。朝ごはん準備したから、皆で食べような。」
　
「うん…」

まだちょっと寝ぼけてるな。そこも可愛いけど！

「じゃあ俺、ちょっとエレンを叩き起こしてくるわ。」

「た、叩き起こすって……」

それだけ言って、ギルアスさんは本当にエレンさんが泊まってる宿屋に向かって行ったのだった……