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あの魔物を触りたい!!

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俺とエレンさん、ギルアスさんは今、ギルドの食堂にいる。

ちなみに、エレンさんにわり算を教えるのに結構時間がかかって予定より一時間、時間が押している。この後は、チャチャッと昼食を食べて森に行く予定だ。

「…そういや、今思い出した。」

ギルアスさんがパンをかじりながら、俺とエレンさんを見た。

「明後日、王都に行くから準備しとけよ。」

「「……は?王都?」」

ギルアスさんの爆弾発言に俺とエレンさんの声がハモる。

「ああ。ちょっと用があってな…護衛クエストの練習だと思えばいい。護衛クエストは魔物の討伐とも勿論雑用とも違ってやりにくいからな。初めのうちに練習しておいて損はない。」

確かに、魔物は実力があれば討伐出来るし雑用は子供でも出来るようなお手伝いばかりだけど……護衛は依頼人を守りながら魔物や盗賊と戦わないといけないもんな……普通のクエストとは勝手が違うか……

「……分かりました。何か必要な物はありますか?」

「そうだな……3日くらいで王都に着く予定だが…衣類や食糧、その他消耗品は多めに5日分ってところだな。」

「5日分ですか……」

ヤベ……服買い足さないとな……今までは魔法を使って服を洗って、乾かしてたからな……服が一着しかないんだよな……

「……明日、朝から買い出しに行くか。ポーションや使い捨ての飛び道具も買うぞ。」

「はいはーい!お金がありませーん!」

エレンさんが手を挙げてギルアスさんに訴えた。

「…ハァ……分かった。今回は俺の奢りだ。次からは自分で金貯めて買えよ?」

「はい!ありがとうございます!」

「ヒビキ、お前もいる物があるなら言えよ。」

「えっと……いいんですか?」

俺、教会からもらった口止め料が結構あるんだよな……とはいえ、一般人があんな大金持ってたらおかしいしな……

「おう。冒険者になった記念だと思えばいい。」

「ありがとうございます。」

こうして、明日の予定が決まった。





昼食を食べ終え、森に向かう。
 
「ヒビキ、お前も少しずつ剣に慣れていけよ?職業だから、すぐに習得出来るはずだ。」

「分かりました。今日は、剣も使ってみます。」

「おう。フォローはするから安心しろ。」

「ありがとうございます。」

ギルアスさんが言うように、職業なだけあって空いた時間に少し素振りしたらまだ無駄な動きはあるけど……それなりに振れるようになった。

……問題は、平和な日本で生まれ育った俺に生き物を斬ることが出来るかってとこだな……

ピョンッ

と何かが目の前を通り過ぎた。

「うおっ!ビックリしたぁ……」

通り過ぎたのは、角が生えたウサギだった。赤い目を光らせてこちらを見ている。

「ヒビキ、コイツは一角ウサギだ。気配を隠すのが得意でな。気付かなかっただろ?こんなのもいるから気をつけろよ。」

…一角ウサギってどんな物語にもいるよな……

「分かりました。ギルアスさんは気付いてましたよね?」

「一応な。まぁ、そこら辺は経験を積めば勘で分かるようになる。」

「そうですか…」

……勘か…魔物を探知する魔法はないのか?……ないとしても勝手に作ればいいか…

ヒュンッ

と、また一角ウサギが飛び込んでくる。それをひょいっと避けた。

「じゃあ、手始めにソイツを剣で倒してみるか。」

「分かりました。」

俺は剣を抜いて一角ウサギと向かい合う。

「頑張ってね!」

エレンさんが応援してくれる。

「…行きます!」

俺が一角ウサギの方に行くと、ウサギ飛び込んでくる。俺は飛び込んできたウサギの動きに合わせて斬り込む。

「グギィィッ!?」

剣はウサギの足に掠り、身動きが取れない状態になった。

「…ふぅ……」

俺は深呼吸をした後、ウサギの頭に剣を刺した。

「グ…グギィィィ……」

……ちゃんと討伐出来たよな…?

「…え、えっと……これで、いいですか?」

「おう。身動き出来ないようにしてからトドメを刺す…初めてにしては上出来だな。」

「ありがとうございます?」

この返事で合ってんのか?……頭に剣を刺した感覚は残ってても、命を自分で奪ったことは何も感じない……そんな自分が怖いな……



エレンさんとの連携の練習もして、ギルドに帰る途中……

カサカサ…カサカサ

という草の音がした。音がした方を向くと、そこにはRPGや漫画によく出てくるフヨフヨしていてプルプルなイメージがある、あの魔物がいた。

「…ピンクスライムだな。見た目によらず狂暴だ。火を吹くぞ。」

「そ、そうなんですか?」

「ああ。わりと火力もあるしな。」

……ふるふる…とピンクスライムが揺れる。……こんなことを言ったら変かもしれないけど………ヤバい!!可愛い!!抱っこしたい!!

「…あれって触れますか?」

「触れるわけないよ!火を吹くんだよ!」

「……そうですか………」

う~……触りたい……

俺が残念がってると、何かが聞こえた。

――な…も……な…よ!

「……は?」

……え?マジ?しゃべった!?





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