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勉強の前に
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俺達は朝食を食べ終え、ギルド長室にいる。
「…で?お前、何やらかしたんだ?」
やらかすって……そんなにヤバいことしたか?
「えっと…魔法の同時展開をしてみたら…出来ました。」
「ハァァ……お前はぁ……」
「「出来ました」じゃないよ!どうやったの!魔法の同時展開は出来ないって言われてるんだよ!?なんで当たり前のように展開しちゃうの!?もう意味分かんない!」
……ヤバいことしちゃったみたいだな…新しい発見だと思うんだけどな?
「……これって秘密にしてる方がいいですか?」
「そうだな。もし、奴隷商にでも知られてみろ。容赦なく連れて行かれるぞ。」
……え?奴隷商?そんなのあんの?
「……奴隷商?」
「うん。奴隷は犯罪奴隷だけでその他の奴隷売買は禁止されてるんだけど、違法で取引してる人は結構多いんだよ。だから、絶対に話したらダメだよ!」
「わ、分かりました。」
さすが、ファンタジー世界だな……奴隷商ってものが本当にあるなんてな。
「……それで?さっきはどんな魔法を同時に使ったんだ?」
ギルアスさんが最初の話題に話を戻した。
「浮遊魔法と風魔法です。」
「…浮遊魔法はエレンが躓いた時に使ってた魔法だな?で、移動させるのに使ったのが風魔法か。」
「そうです。」
「浮遊と飛行は違うの?」
エレンさんが質問してくる。
「別物ですよ。空中を移動することを『飛行』、浮かび漂うことを『浮遊』と言うんです。」
「…?じゃあ、さっきのは飛行魔法じゃないの?」
「また別ですね。……飛行だと、飛ぶ時にある程度の速度を維持しないとダメなんです。その点、浮遊魔法で浮いてから風魔法で移動すると好きな速度で移動できますし、もちろん浮いたまま止まることもできます。なので飛行魔法より浮遊魔法の方が便利なんです。」
……伝わったか?酸素と二酸化炭素の時より分かりやすいと思うけど……
「……よく分からんが…お前がそうだと言うならそうなんだろうな。」
「うん……意味分かんないけど…ヒビキがそう言うならそうなんだと思う。」
……なんだ、その俺が言ってるから正解って……もし、違ったらどうするつもりなんだ……?
「……まぁ、その魔法の同時展開はお前しか出来ないだろうからな。人拐いには気をつけろよ?……この前召喚されたっていう勇者達なら分からんが。」
「…………」
勇者……北条さん達、1組のことか……もう噂になってるのか……あれから、どうしてるんだろうな?……まぁ…お呼びじゃない俺には関係ないことか……
「……ヒビキ?どうかしたの?」
エレンさんが不思議そうに聞いてくる。
「いえ…ただ……勇者達ってどんな人達なんだろうかと思って……」
これは紛れもない事実だ。コミュ障で他の人と話したことなんてほとんどないから相手がどんな人なのかさっぱり分からない。
「さあな?ただ、リーダーは気の強そうな女の子らしい。」
……多分、北条さんだろうな……他のクラスメイトを説得したのも北条さんだしな。
「そうなんですね。勇者が召喚されるってよくあることなんですか?」
「いや…前の勇者召喚はちょうど、600年前だ。今じゃ、絵本や演劇なんかで語り継がれてる。」
「演劇なんかもあるんですね。」
「ああ。国や種族を問わず、世界各地で公演してる。」
「…それって凄いことなんですか?」
「そりゃな。中には人間を嫌う種族もいるが……そんな種族でも勇者に限っては高く評価してる。」
「そうなんですね。勇者はどの種族の中でも勇者ってことですね。」
……どんな種族があるか全く知らないけどな!
「……ねぇ…勇者の話もいいけど……しないの?文字の勉強。」
「あっ……」
ずっと、俺とギルアスさんの話を聞いてたエレンさんに言われて俺は文字を勉強するためにギルアスさんに時間を開けてもらってることを思い出した。
「エレンにしてはしっかりしてるな。」
「むぅ……私だってやろうと思えばしっかり出来るんです!」
「やろうと思わなくても出来るようになってほしいんだけどな?」
「うっ……」
さすがのエレンさんも、ギルアスさんの言葉にぐぅの音も出ず、言い返せなかった。
……まぁ、俺も人のことは言えないとは思うけど…ギルアスさんの言う通りだもんな。
「……よし、本題に戻って文字の勉強を始めるか。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
……こうして、やっと、文字の勉強が始まったのだった……
「…で?お前、何やらかしたんだ?」
やらかすって……そんなにヤバいことしたか?
「えっと…魔法の同時展開をしてみたら…出来ました。」
「ハァァ……お前はぁ……」
「「出来ました」じゃないよ!どうやったの!魔法の同時展開は出来ないって言われてるんだよ!?なんで当たり前のように展開しちゃうの!?もう意味分かんない!」
……ヤバいことしちゃったみたいだな…新しい発見だと思うんだけどな?
「……これって秘密にしてる方がいいですか?」
「そうだな。もし、奴隷商にでも知られてみろ。容赦なく連れて行かれるぞ。」
……え?奴隷商?そんなのあんの?
「……奴隷商?」
「うん。奴隷は犯罪奴隷だけでその他の奴隷売買は禁止されてるんだけど、違法で取引してる人は結構多いんだよ。だから、絶対に話したらダメだよ!」
「わ、分かりました。」
さすが、ファンタジー世界だな……奴隷商ってものが本当にあるなんてな。
「……それで?さっきはどんな魔法を同時に使ったんだ?」
ギルアスさんが最初の話題に話を戻した。
「浮遊魔法と風魔法です。」
「…浮遊魔法はエレンが躓いた時に使ってた魔法だな?で、移動させるのに使ったのが風魔法か。」
「そうです。」
「浮遊と飛行は違うの?」
エレンさんが質問してくる。
「別物ですよ。空中を移動することを『飛行』、浮かび漂うことを『浮遊』と言うんです。」
「…?じゃあ、さっきのは飛行魔法じゃないの?」
「また別ですね。……飛行だと、飛ぶ時にある程度の速度を維持しないとダメなんです。その点、浮遊魔法で浮いてから風魔法で移動すると好きな速度で移動できますし、もちろん浮いたまま止まることもできます。なので飛行魔法より浮遊魔法の方が便利なんです。」
……伝わったか?酸素と二酸化炭素の時より分かりやすいと思うけど……
「……よく分からんが…お前がそうだと言うならそうなんだろうな。」
「うん……意味分かんないけど…ヒビキがそう言うならそうなんだと思う。」
……なんだ、その俺が言ってるから正解って……もし、違ったらどうするつもりなんだ……?
「……まぁ、その魔法の同時展開はお前しか出来ないだろうからな。人拐いには気をつけろよ?……この前召喚されたっていう勇者達なら分からんが。」
「…………」
勇者……北条さん達、1組のことか……もう噂になってるのか……あれから、どうしてるんだろうな?……まぁ…お呼びじゃない俺には関係ないことか……
「……ヒビキ?どうかしたの?」
エレンさんが不思議そうに聞いてくる。
「いえ…ただ……勇者達ってどんな人達なんだろうかと思って……」
これは紛れもない事実だ。コミュ障で他の人と話したことなんてほとんどないから相手がどんな人なのかさっぱり分からない。
「さあな?ただ、リーダーは気の強そうな女の子らしい。」
……多分、北条さんだろうな……他のクラスメイトを説得したのも北条さんだしな。
「そうなんですね。勇者が召喚されるってよくあることなんですか?」
「いや…前の勇者召喚はちょうど、600年前だ。今じゃ、絵本や演劇なんかで語り継がれてる。」
「演劇なんかもあるんですね。」
「ああ。国や種族を問わず、世界各地で公演してる。」
「…それって凄いことなんですか?」
「そりゃな。中には人間を嫌う種族もいるが……そんな種族でも勇者に限っては高く評価してる。」
「そうなんですね。勇者はどの種族の中でも勇者ってことですね。」
……どんな種族があるか全く知らないけどな!
「……ねぇ…勇者の話もいいけど……しないの?文字の勉強。」
「あっ……」
ずっと、俺とギルアスさんの話を聞いてたエレンさんに言われて俺は文字を勉強するためにギルアスさんに時間を開けてもらってることを思い出した。
「エレンにしてはしっかりしてるな。」
「むぅ……私だってやろうと思えばしっかり出来るんです!」
「やろうと思わなくても出来るようになってほしいんだけどな?」
「うっ……」
さすがのエレンさんも、ギルアスさんの言葉にぐぅの音も出ず、言い返せなかった。
……まぁ、俺も人のことは言えないとは思うけど…ギルアスさんの言う通りだもんな。
「……よし、本題に戻って文字の勉強を始めるか。」
「あ、はい。よろしくお願いします。」
……こうして、やっと、文字の勉強が始まったのだった……
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