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第三話「飛散」
「飛散」(2)
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満月の夜……
ムナール山の頂き、カレイドの吸血城は黒い妖気を漂わせていた。
山のふもとで、準備運動の屈伸をするのは制服姿のエリーだ。そのそばでは、ハオンが落ち着かなげにあっちへこっちへ右往左往している。
「エリー。なにも夜に乗り込むことはないんじゃないか、吸血鬼の根城へ?」
「昼はだめじゃ」
エリーは簡潔に説明した。
「日中はあやつら、だれにも見つからん場所で棺桶の眠りについておる。掘り起こすのも無理な深い地中や、場合によっては特製の異空間での。探し回るうちに日は暮れ、やがて吸血鬼の時間は訪れる。くたくたになった冒険者を餌食にするために、な」
胸前で両手を組み合わて裏返らせ、エリーは関節をぽきぽき鳴らした。
「城の防衛機構も当然、あやつらが眠っておる間がもっとも堅い。一個一個ていねいに解除しておれば、やはりいずれ夜になる。かたや夜は憐れな犠牲者を招き入れるため、罠の手を緩めるのが吸血鬼の常套手段であり習性じゃ」
「くわしいんだね……」
「わらわ自身も大昔、そうやって暮らしておったからの。獲物こそ人間ではなく吸血鬼じゃったが」
全身で柔軟体操しつつ、エリーは続けた。
「わらわの力が最高潮に発揮できるのも、夜。総合的に考えて、この時間帯に攻めるのがいちばん効率がよい」
「勉強になる。ところで俺は、なにを手伝えばいい?」
「しっかりアエネを見張っておれ」
エリーの声色には、かすかな配慮の気配があった。
「態度こそ強がっておったが、小娘、人間と吸血鬼のはざまで戦っておる。孤独に、必死に。竜動士の力は信用しておるが、小娘が血の渇きに絶対に傾かぬとも断言できん。そばについておってやるがよい」
「なんだ。口ではいがみ合ってても、エリー、じつは他人思いなんだね。見直したよ」
「ふん。わらわには五世紀もの年の功がある」
軽快にフットワークを刻んでシャドーボクシングするエリーに、ハオンは願った。
「頼むから無理しないでくれよ。さっき伝書鳩は返事を運んできた。セレファイスの討伐隊は都を出発したそうだ。たったひとりで戦う必要はないぜ」
「あまり気乗りはせんの。一歩間違えれば、敵の吸血鬼をさらに増やすことになる。ここは吸血鬼狩りの玄人であるわらわに任せい」
「わかった……」
心もとなげに見守るハオンの前で、エリーはいよいよ登山を開始した。
「気をつけてな、エリー。危なくなったら、すぐ逃げろよ」
「心配には及ばん。では行って……」
鋭い飛来物が、エリーを背中から貫いたのは次の瞬間だった。
凛と響いたのは、聞き覚えのある少女の声だ。
「竜動呪……〝狙撃竜〟」
胸の刺し傷から血を噴き、エリーは衝撃で前のめりに倒れ伏した。極限まで圧縮された空気の塊……風呪の矢が彼女を射抜いたのだ。
あまりに突然のことに、ハオンはまだ事態を把握しかねている。フィスクの村がある方角へ、ハオンは振り向いた。
ああ。気品あふれる足取りで丘を登ってくるのは、同級生のアエネではないか。
たじろぐハオンへ、アエネは艷っぽく微笑んでみせた。その唇は夜目にも鮮血のような紅に染まり、隙間で光るのは牙そのものの八重歯だ。
うつろげにアエネはささやいた。
「ごめんね、ハオン。あたし結局、吸血鬼の虜になっちゃった。見て、これ」
五体の先端から複雑な金属音を鳴らし、アエネは物々しい鎧に包まれていく。最後にその顔は、かんだかく閉じた眉庇の向こうへ消えた。兜に覆われた暗闇で、種火のごとく輝いたのはふたつの眼光だ。
アエネは蒼玉石に変身した。青騎士じたいが、他者への寄生とその能力増幅を生業とする吸血鬼なのだ。
「サファイアの騎士として、あたしはカレイドさまに従うことにした。だからハオン」
抜けるような青いマントをひるがえし、アエネは告げた。
「優しく吸ってあげるわ、あなたの血」
怒気を放ったのは、地面のエリーだった。
「見損なったぞ、小娘……血晶呪〝血矢〟!」
エリーの言葉に、青騎士の呪文は重なった。
「竜動呪〝防壁竜〟!」
アエネの背後に飛び出した巨竜の幻影が、その眼前に吐いたのは超高熱の火呪だ。エリーから猛スピードで発射された血の矢は、打ち広がる豪炎の障壁に阻まれて蒸発した。
倒れたままのエリーの腕の中、タイプOは弓の状態に変形している。眼帯をずらされた瞳からしたたる血潮が、まばたきひとつで赤い矢と化してアエネを襲ったのだ。
しかし血晶呪強化装置を経由したにも関わらず、反撃は失敗に終わった。以前の竜動士にはなかった超高速の詠唱だ。とんでもない早口なのに舌ひとつ噛まない。その激しい呪力の高まりといい、吸血鬼化がアエネの覚醒を招いたのは間違いない。
背後に半透明の翼竜を引き連れたまま、アエネはさらに討って出た。
「竜動呪〝掘削竜〟!」
存在しないはずの地呪の竜爪が叩いた地面は、計算された角度で踏み台代わりに爆裂して青騎士を加速させた。残像をひいて右に左に跳躍するアエネに対し、エリーはタイプOを血の大剣へと組み替えている。
「〝血刀〟!」
だが速い。速すぎだ。正面に立ち上がった土の壁をエリーが斬ったときには、青騎士は忽然とその背後に現れている。
バイザーの陰でにやりとし、アエネは邪竜に命じた。
「終わりよ。竜動呪〝断裂竜〟」
「!」
吐き気をもよおす音がした。
きりきりと宙を舞ったエリーの赤剣は、無慈悲に大地へ突き刺さっている。その柄をまだ、エリーの手は握ったままだ。
血相を変えて、ハオンは絶叫した。
「エリー!?」
「ぐ、ぐぬ……」
苦しげなうめきが、エリーの答えだった。ひとつふたつ後退し、片膝をつく。
なんということだ。エリーの片肘から先は、鋭利な断面をみせて切り離されているではないか。大剣ごと切断された腕の先から、噴水のように鮮血が流れ落ちる。最初に不意討ちで食らった心臓すれすれの風呪とあわせて、まだ息があるのが不思議でならない。
エリーを切り裂いたのは、深海底を超える圧力が加わった水呪のムチだった。幻竜の顎からほとばしる液状の刃を自由自在に振り回し、勝利に破顔したのはアエネだ。
無尽蔵に近い吸血鬼の呪力供給と身体能力、それに加えて電光石火の竜動呪の投影……最強の敵だった。
「さあこれで、やっかいな武器はなくなった。ねえハオン?」
「な、なんだ?」
「選んで、この間抜けな逆吸血鬼の処刑方法を。じわじわと一本ずつ残りの手足を刎ねる? それとも土手っ腹を掻っ捌いて、ひとつずつ慎重に臓物を引きずり出す?」
悲しげに身構えると、ハオンは両手に死霊術の風をまとわせた。
「もうやめてよ、アエネ。もう十分だ。きみの勝ちでいい」
「なに、その目つきは? ああそっか、それが化け物を見る眼差しってやつね」
皮肉っぽく笑いつつ、アエネはハオンへ近寄った。
「あたしもあなたと同じ景色が見たい。あなたと、いっしょに。たとえそれが、歩く人間すべてが餌に見える血まみれの光景であろうとも。先にあなたの血を吸うわ、ハオン。だいじょうぶ、ちょっとチクッとするだけだから」
ふらつく足運びで、ハオンの前に立ちふさがる人影があった。
隻腕のエリーだ。ひどい出血のため、ハオンを押しのける力も弱々しい。
「逃げろ、ハオン。あやつはわらわが止める」
「止めるったって、その傷でどうやって!?」
ハオンの言うとおりだ。頼みのタイプOはエリーとアエネの中間地点に立っている。これを取り戻すよりも、竜動呪がエリーを殲滅するほうがどう考えても早い。
絶体絶命のピンチ……
救いの光が差したのは刹那のことだった。
「!」
文字どおり、タイプOが強く発光したのだ。もっと正確にいえば、剣に埋まったルビーとダイヤの宝石ふたつがまばゆい輝きで夜闇を照らしたのである。眠りから目覚めた〝彼〟がエリーたちの危機を察知したらしい。
とたんに、視覚を焼かれたアエネはくの字に身を折って苦悶している。思わず目を背けたエリーも、その光の要素は重々承知だ。呪力で擬似的に再現されているとはいえ、吸血鬼が大の苦手とするそれは……
「太陽の光じゃ!」
弾丸のごとくエリーは駆け出した。吸血鬼の瞳が再生するまで、半秒あるかないか。
ひったくったタイプOを地面に放ったときには、それは瞬時にハイヒールの外観に変形している。疾走する勢いそのままに片足だけのハイヒールを履き、エリーはいっきに青騎士へと肉薄した。
「血晶呪〝血針〟!」
戛然……
エリーの踵から伸びた血の槍は、飛び越えるようにしてアエネを上から串刺しにした。
体から赤い棘を生やしたまま、ぼうぜんと嘆いたのは青騎士だ。
「そんな、まさかお陽さまが、こんなにも恐ろしいだなんて……」
ばらばらに解体した吸血鬼の鎧の中央で、アエネは気を失って崩れ落ちた。
ムナール山の頂き、カレイドの吸血城は黒い妖気を漂わせていた。
山のふもとで、準備運動の屈伸をするのは制服姿のエリーだ。そのそばでは、ハオンが落ち着かなげにあっちへこっちへ右往左往している。
「エリー。なにも夜に乗り込むことはないんじゃないか、吸血鬼の根城へ?」
「昼はだめじゃ」
エリーは簡潔に説明した。
「日中はあやつら、だれにも見つからん場所で棺桶の眠りについておる。掘り起こすのも無理な深い地中や、場合によっては特製の異空間での。探し回るうちに日は暮れ、やがて吸血鬼の時間は訪れる。くたくたになった冒険者を餌食にするために、な」
胸前で両手を組み合わて裏返らせ、エリーは関節をぽきぽき鳴らした。
「城の防衛機構も当然、あやつらが眠っておる間がもっとも堅い。一個一個ていねいに解除しておれば、やはりいずれ夜になる。かたや夜は憐れな犠牲者を招き入れるため、罠の手を緩めるのが吸血鬼の常套手段であり習性じゃ」
「くわしいんだね……」
「わらわ自身も大昔、そうやって暮らしておったからの。獲物こそ人間ではなく吸血鬼じゃったが」
全身で柔軟体操しつつ、エリーは続けた。
「わらわの力が最高潮に発揮できるのも、夜。総合的に考えて、この時間帯に攻めるのがいちばん効率がよい」
「勉強になる。ところで俺は、なにを手伝えばいい?」
「しっかりアエネを見張っておれ」
エリーの声色には、かすかな配慮の気配があった。
「態度こそ強がっておったが、小娘、人間と吸血鬼のはざまで戦っておる。孤独に、必死に。竜動士の力は信用しておるが、小娘が血の渇きに絶対に傾かぬとも断言できん。そばについておってやるがよい」
「なんだ。口ではいがみ合ってても、エリー、じつは他人思いなんだね。見直したよ」
「ふん。わらわには五世紀もの年の功がある」
軽快にフットワークを刻んでシャドーボクシングするエリーに、ハオンは願った。
「頼むから無理しないでくれよ。さっき伝書鳩は返事を運んできた。セレファイスの討伐隊は都を出発したそうだ。たったひとりで戦う必要はないぜ」
「あまり気乗りはせんの。一歩間違えれば、敵の吸血鬼をさらに増やすことになる。ここは吸血鬼狩りの玄人であるわらわに任せい」
「わかった……」
心もとなげに見守るハオンの前で、エリーはいよいよ登山を開始した。
「気をつけてな、エリー。危なくなったら、すぐ逃げろよ」
「心配には及ばん。では行って……」
鋭い飛来物が、エリーを背中から貫いたのは次の瞬間だった。
凛と響いたのは、聞き覚えのある少女の声だ。
「竜動呪……〝狙撃竜〟」
胸の刺し傷から血を噴き、エリーは衝撃で前のめりに倒れ伏した。極限まで圧縮された空気の塊……風呪の矢が彼女を射抜いたのだ。
あまりに突然のことに、ハオンはまだ事態を把握しかねている。フィスクの村がある方角へ、ハオンは振り向いた。
ああ。気品あふれる足取りで丘を登ってくるのは、同級生のアエネではないか。
たじろぐハオンへ、アエネは艷っぽく微笑んでみせた。その唇は夜目にも鮮血のような紅に染まり、隙間で光るのは牙そのものの八重歯だ。
うつろげにアエネはささやいた。
「ごめんね、ハオン。あたし結局、吸血鬼の虜になっちゃった。見て、これ」
五体の先端から複雑な金属音を鳴らし、アエネは物々しい鎧に包まれていく。最後にその顔は、かんだかく閉じた眉庇の向こうへ消えた。兜に覆われた暗闇で、種火のごとく輝いたのはふたつの眼光だ。
アエネは蒼玉石に変身した。青騎士じたいが、他者への寄生とその能力増幅を生業とする吸血鬼なのだ。
「サファイアの騎士として、あたしはカレイドさまに従うことにした。だからハオン」
抜けるような青いマントをひるがえし、アエネは告げた。
「優しく吸ってあげるわ、あなたの血」
怒気を放ったのは、地面のエリーだった。
「見損なったぞ、小娘……血晶呪〝血矢〟!」
エリーの言葉に、青騎士の呪文は重なった。
「竜動呪〝防壁竜〟!」
アエネの背後に飛び出した巨竜の幻影が、その眼前に吐いたのは超高熱の火呪だ。エリーから猛スピードで発射された血の矢は、打ち広がる豪炎の障壁に阻まれて蒸発した。
倒れたままのエリーの腕の中、タイプOは弓の状態に変形している。眼帯をずらされた瞳からしたたる血潮が、まばたきひとつで赤い矢と化してアエネを襲ったのだ。
しかし血晶呪強化装置を経由したにも関わらず、反撃は失敗に終わった。以前の竜動士にはなかった超高速の詠唱だ。とんでもない早口なのに舌ひとつ噛まない。その激しい呪力の高まりといい、吸血鬼化がアエネの覚醒を招いたのは間違いない。
背後に半透明の翼竜を引き連れたまま、アエネはさらに討って出た。
「竜動呪〝掘削竜〟!」
存在しないはずの地呪の竜爪が叩いた地面は、計算された角度で踏み台代わりに爆裂して青騎士を加速させた。残像をひいて右に左に跳躍するアエネに対し、エリーはタイプOを血の大剣へと組み替えている。
「〝血刀〟!」
だが速い。速すぎだ。正面に立ち上がった土の壁をエリーが斬ったときには、青騎士は忽然とその背後に現れている。
バイザーの陰でにやりとし、アエネは邪竜に命じた。
「終わりよ。竜動呪〝断裂竜〟」
「!」
吐き気をもよおす音がした。
きりきりと宙を舞ったエリーの赤剣は、無慈悲に大地へ突き刺さっている。その柄をまだ、エリーの手は握ったままだ。
血相を変えて、ハオンは絶叫した。
「エリー!?」
「ぐ、ぐぬ……」
苦しげなうめきが、エリーの答えだった。ひとつふたつ後退し、片膝をつく。
なんということだ。エリーの片肘から先は、鋭利な断面をみせて切り離されているではないか。大剣ごと切断された腕の先から、噴水のように鮮血が流れ落ちる。最初に不意討ちで食らった心臓すれすれの風呪とあわせて、まだ息があるのが不思議でならない。
エリーを切り裂いたのは、深海底を超える圧力が加わった水呪のムチだった。幻竜の顎からほとばしる液状の刃を自由自在に振り回し、勝利に破顔したのはアエネだ。
無尽蔵に近い吸血鬼の呪力供給と身体能力、それに加えて電光石火の竜動呪の投影……最強の敵だった。
「さあこれで、やっかいな武器はなくなった。ねえハオン?」
「な、なんだ?」
「選んで、この間抜けな逆吸血鬼の処刑方法を。じわじわと一本ずつ残りの手足を刎ねる? それとも土手っ腹を掻っ捌いて、ひとつずつ慎重に臓物を引きずり出す?」
悲しげに身構えると、ハオンは両手に死霊術の風をまとわせた。
「もうやめてよ、アエネ。もう十分だ。きみの勝ちでいい」
「なに、その目つきは? ああそっか、それが化け物を見る眼差しってやつね」
皮肉っぽく笑いつつ、アエネはハオンへ近寄った。
「あたしもあなたと同じ景色が見たい。あなたと、いっしょに。たとえそれが、歩く人間すべてが餌に見える血まみれの光景であろうとも。先にあなたの血を吸うわ、ハオン。だいじょうぶ、ちょっとチクッとするだけだから」
ふらつく足運びで、ハオンの前に立ちふさがる人影があった。
隻腕のエリーだ。ひどい出血のため、ハオンを押しのける力も弱々しい。
「逃げろ、ハオン。あやつはわらわが止める」
「止めるったって、その傷でどうやって!?」
ハオンの言うとおりだ。頼みのタイプOはエリーとアエネの中間地点に立っている。これを取り戻すよりも、竜動呪がエリーを殲滅するほうがどう考えても早い。
絶体絶命のピンチ……
救いの光が差したのは刹那のことだった。
「!」
文字どおり、タイプOが強く発光したのだ。もっと正確にいえば、剣に埋まったルビーとダイヤの宝石ふたつがまばゆい輝きで夜闇を照らしたのである。眠りから目覚めた〝彼〟がエリーたちの危機を察知したらしい。
とたんに、視覚を焼かれたアエネはくの字に身を折って苦悶している。思わず目を背けたエリーも、その光の要素は重々承知だ。呪力で擬似的に再現されているとはいえ、吸血鬼が大の苦手とするそれは……
「太陽の光じゃ!」
弾丸のごとくエリーは駆け出した。吸血鬼の瞳が再生するまで、半秒あるかないか。
ひったくったタイプOを地面に放ったときには、それは瞬時にハイヒールの外観に変形している。疾走する勢いそのままに片足だけのハイヒールを履き、エリーはいっきに青騎士へと肉薄した。
「血晶呪〝血針〟!」
戛然……
エリーの踵から伸びた血の槍は、飛び越えるようにしてアエネを上から串刺しにした。
体から赤い棘を生やしたまま、ぼうぜんと嘆いたのは青騎士だ。
「そんな、まさかお陽さまが、こんなにも恐ろしいだなんて……」
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