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第3章
作戦会議
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午後8時。
給仕がキアラとジャンヌ二人のために食事をサーブし始める。
つい先程知ったことだが、今日のこの晩餐はキアラとジャンヌの二人だけのために用意されたものだという。
他の侍女やメイドたちはすでに食事を済ませているらしい。
たしかに遅い夕食だとは思ったが、二人だけのためだとは何とも申し訳ない。
「そんなに萎縮することないわ。それに、今日は作戦会議のために人払いしてあるの。」
「作戦会議、ですか…?」
目の前には、白身魚のムニエルをメインとし、山盛りの香草サラダ、サツマイモの粒マスタード和え、トマトのカプレーゼがバランスよく盛られた大皿が一つ。
脇には小さめのスープカップに温かい里芋のポタージュが注がれ、目の前にはまだ湯気が立つライ麦のプチパンが籠に盛られている。
こんな食事を4ヶ月の間毎日食べられるだけでも神様には感謝せねばなるまい。
「ふっ、キアラの興味が完全にお皿に持っていかれているから、早速食べよう。」
「そういう一言が余計だと思うのです。」
「可愛いってことだよ。」
いや、絶対その顔は馬鹿にしてる顔だ、と思いつつも食欲には抗えず、祈りの言葉も早々に食事を始める。
まず口を付けた香草サラダは新鮮で香り豊かな上、かかっているドレッシングの酸味と甘みの加減が絶妙だ。
「それで、作戦会議ってなんですか?」
パンに手を伸ばしながら、周りに誰もいないことをさっと目で確認しつつ気になっていたことを口にする。
「ああ、ベスの縁談なんだけど早速明後日に1件決まっている。」
「あ、明後日ですか?!」
あやうくパンを落としそうになるほどの驚きの近日。
この宮さえもほんの一角しか知らないうちからミッションスタートとはどんな無茶振りなのか。
「す、すみません。思っていたよりも近い日付だったもので…」
「いや、驚くのも無理ないよね。どうやら先方に急ぎたい理由があるみたいで、こちらとしてもかなり譲歩して日取りを決めたんだ。決まったのは1週間前なんだけど、キアラを入れるのが間に合ってよかった。」
「よかったのかどうなのか…」
安堵するジャンヌを複雑な気持ちで見つめながらも、決まったものは仕方ないと腹をくくる。
ええいままよ。
「それで、どのような方か、事前情報はは教えていただけるのでしょうか?」
「さすがキアラ、もうこのミッションの主旨が分かってる~」
茶化すジャンヌを半目で見ながらサツマイモを口に含む。
甘じょっぱさがくせになる美味しさで、粒マスタードのプチプチとした食感も楽しいサイドディッシュだ。
これでサンドイッチを作っても絶対美味しいことを確信しながらジャンヌに目線で先を促す。
「シトリン州、アルファーノ公爵家のブルーノ氏だ。釣書はこれ。」
これ、と言ってテーブルの上に差し出されたのは、右上に姿絵が書かれたレポートのようなものが2枚。
口元をナプキンで拭きながら、手にとって一通り目を通す。
お見合い相手の釣書は親友のエマから何度か見せてもらったことがあるが、これはより詳細な内容が書かれているようだ。
「親族内での遺伝性の病気の有無、学派、宗派、道徳倫理感…やっぱり王族との婚姻ともなると結構詳細なんですね。」
「まあ、ベスの場合は嫁ぐ立場だしね。嫁いだ先が他国の場合、大きなトラブルに発展することもあるから、その点は王妃様が慎重なんだよ。まあ、釣書なんて好きなように書けるものだし、実際は本人じゃなくて一家のブレーンあたりがうまいこと書いてるんだとは思うけどね。」
「なるほど…。」
そういえばエマも、絵姿を少し華奢に書いてもらったり、ドロドロの恋愛小説が好きなのに趣味には「読書」などと書いていたりと工夫を凝らしていたことを思い出す。
王族への嘘は大罪なのであからさまな虚偽はないとしても、全てが本当のことでは候補にもあがれないのはキアラにも理解できる。
つまりは、王族の見合いと言っても、騙し合いの化かし合いということか。
「ただ、3割増だと仮定して読んだとしても、悪い方ではなさそうですね。性格は温厚、アカデミーでは経済学を優秀な成績で卒業、領地運営にも積極的で、父である公爵からもすでに社交界で人脈のお墨付きをもらっている、とあります。男性の見た目の良し悪しは良く分かりませんが、絵姿からは好青年といった印象です。」
釣書をジャンヌの方に返すと、彼女はすでにサイドディッシュを食べ終え、メインのムニエルにナイフを入れ始めていた。
食べるスピードは驚くほど早いのに、机の周りにはパンくず一つ落ちておらず、食べる所作も優雅なのだから不思議だ。
「釣書だけならそうだね。」
「だけなら?」
ジャンヌの含みのある言い方が引っかかって首をかしげる。
そんなキアラを見て、ジャンヌの口の端が得意げに上がる。
「こっちは調査書。要は、こちらが独自で調べた相手の素性。」
そうしてテーブルに出されたのは、先程のレポートよりも細かく文字が書かれた3枚の用紙だった。
絵姿も一つではなく別添で5つはある。
「こんなものが…」
「良い気持ちはしないだろうけど、あっちも同じくらいのものを多分用意してるよ。王族の婚姻なんてこんなものさ。さっきも言ったように、結婚後になにか問題があったら取り返しがつかなくなるからね。」
「そうなんですか…」
人のプライベートを事細かに詮索することに反射的に抵抗を覚え、あいまいに返事をする。
ジャンヌは少し目を上げてキアラを観察するように眺めた後、手元の料理に視線を戻しながら何でもないことのように続ける。
「相手はベスの結婚を利用して王室と繋がろうってだけじゃなく、皇太子の命を狙ってくる奴かもしれない。こっちだって本気だよ。」
キアラはその言葉にハッと息を飲む。
そして、偽善的な気持ちに傾きかけていた心を叱咤し、調査書をしっかりと確認する。
ただ、心の中でこっそりとブルーノ氏に謝るくらいは許されるだろう。
「女性との交際が派手なようですね。しかも、借金まであるんですか。」
「そういうこと。領地運営にも積極的っていうのは、遊ぶ金欲しさに父親に仕事をさせられてるってとこだろう。人脈っていうのも、そんだけ男女問わず遊んでれば勝手に広がるものだしね。」
「なんというか…このような方に自国の王女の夫にはなってほしくないですね。」
「でも、これくらいなら上級貴族にはゴロゴロいるっていうのが悲しいところだよね。借金っていっても、この程度の額なら公爵家が返せないわけがないし、親に言いにくいだけだろう。友人知人が多いっていうのは、人当たりは悪くないってことだろう。」
何だか、善悪とは何なのか、何を信じるべきなのか頭が痛くなるような話だ。
キアラはせっかくのムニエルの味わいがあまり感じられない程度には混乱していた。
すると、突然ジャンヌがぷっと吹き出す。
「大丈夫だって。キアラはこの釣書も調査書も少しだけ頭に入れてくれてればいいだけだから。大切なのは、実際にその目でみて確認することだからさ。」
「本当にそんなもので良いのでしょうか…。社交界経験も浅い私がみて、この調査書以上に気づくことがあるとは思えません。」
「んー、なんて言えばいいんだろうなー。あ、例えば、キアラが頼んでおいたモノを、毎回キアラのもとに運んできてくれる人がいたとしたら、キアラはなんて思う?ちなみに、キアラが毎回取りに行ってもいいような立場の人・モノだったら?」
「私が頼んでいるモノを、ですか?それは、なんて善い人なんだろうって思います。あと、毎回申し訳ないな、とも。」
「そうそう、そういう視点。」
「どういう視点ですか?」
「俺だったら、なにか裏があるのかなってまず思うね。それか、なにか毎回抜け出したい理由があるのかなとか、よっぽど暇なのかな、俺みたいにって。」
「ぷっ!なんです、それ。」
「いやいや、これ真剣な話だよ!俺とキアラではそれだけ視点が違うってこと。調査書は俺みたいな視点だから、キアラみたいな視点で見て分かることもあるってことだよ。」
少年のような顔でニッと笑うジャンヌを見て、どうやら元気づけようとしてくれたことは分かった。
「承知いたしました。そのように言われるなら、本当に私が思ったことを言うだけですからね!あとでこんなはずではなかったと、美味しい食事に素敵なお部屋の代金を請求しないでくださいね!」
吹っ切れたようにそういうと、ジャンヌは弾けるように笑った。
「あははは!了解!」
思い悩んでいるのが馬鹿らしくなって、食事を再開するとさっきよりもグッと味を感じるようになっている。
まずはしっかり食べて侍女の仕事を少しずつでも覚えなくては。
豪華な衣食住付きで、王女付きの行儀見習いもさせてもらえると考えれば今回のことも破格の申し出に思えなくもない。
「それに…」
「え?なにか言いました?」
「いや…何も。そろそろ食後のお茶を頼もうか。給仕は下がらせたから、俺がキッチンに行ってもってくるよ。」
「至れり尽せりですね。ありがとうございます。」
そうしてジャンヌが扉を閉める直前。
「それに、使わないに越したことはないけど、君のあの力が必要になるかもしれないしね。」
そのつぶやきは、当然キアラの耳には届いていなかった。
給仕がキアラとジャンヌ二人のために食事をサーブし始める。
つい先程知ったことだが、今日のこの晩餐はキアラとジャンヌの二人だけのために用意されたものだという。
他の侍女やメイドたちはすでに食事を済ませているらしい。
たしかに遅い夕食だとは思ったが、二人だけのためだとは何とも申し訳ない。
「そんなに萎縮することないわ。それに、今日は作戦会議のために人払いしてあるの。」
「作戦会議、ですか…?」
目の前には、白身魚のムニエルをメインとし、山盛りの香草サラダ、サツマイモの粒マスタード和え、トマトのカプレーゼがバランスよく盛られた大皿が一つ。
脇には小さめのスープカップに温かい里芋のポタージュが注がれ、目の前にはまだ湯気が立つライ麦のプチパンが籠に盛られている。
こんな食事を4ヶ月の間毎日食べられるだけでも神様には感謝せねばなるまい。
「ふっ、キアラの興味が完全にお皿に持っていかれているから、早速食べよう。」
「そういう一言が余計だと思うのです。」
「可愛いってことだよ。」
いや、絶対その顔は馬鹿にしてる顔だ、と思いつつも食欲には抗えず、祈りの言葉も早々に食事を始める。
まず口を付けた香草サラダは新鮮で香り豊かな上、かかっているドレッシングの酸味と甘みの加減が絶妙だ。
「それで、作戦会議ってなんですか?」
パンに手を伸ばしながら、周りに誰もいないことをさっと目で確認しつつ気になっていたことを口にする。
「ああ、ベスの縁談なんだけど早速明後日に1件決まっている。」
「あ、明後日ですか?!」
あやうくパンを落としそうになるほどの驚きの近日。
この宮さえもほんの一角しか知らないうちからミッションスタートとはどんな無茶振りなのか。
「す、すみません。思っていたよりも近い日付だったもので…」
「いや、驚くのも無理ないよね。どうやら先方に急ぎたい理由があるみたいで、こちらとしてもかなり譲歩して日取りを決めたんだ。決まったのは1週間前なんだけど、キアラを入れるのが間に合ってよかった。」
「よかったのかどうなのか…」
安堵するジャンヌを複雑な気持ちで見つめながらも、決まったものは仕方ないと腹をくくる。
ええいままよ。
「それで、どのような方か、事前情報はは教えていただけるのでしょうか?」
「さすがキアラ、もうこのミッションの主旨が分かってる~」
茶化すジャンヌを半目で見ながらサツマイモを口に含む。
甘じょっぱさがくせになる美味しさで、粒マスタードのプチプチとした食感も楽しいサイドディッシュだ。
これでサンドイッチを作っても絶対美味しいことを確信しながらジャンヌに目線で先を促す。
「シトリン州、アルファーノ公爵家のブルーノ氏だ。釣書はこれ。」
これ、と言ってテーブルの上に差し出されたのは、右上に姿絵が書かれたレポートのようなものが2枚。
口元をナプキンで拭きながら、手にとって一通り目を通す。
お見合い相手の釣書は親友のエマから何度か見せてもらったことがあるが、これはより詳細な内容が書かれているようだ。
「親族内での遺伝性の病気の有無、学派、宗派、道徳倫理感…やっぱり王族との婚姻ともなると結構詳細なんですね。」
「まあ、ベスの場合は嫁ぐ立場だしね。嫁いだ先が他国の場合、大きなトラブルに発展することもあるから、その点は王妃様が慎重なんだよ。まあ、釣書なんて好きなように書けるものだし、実際は本人じゃなくて一家のブレーンあたりがうまいこと書いてるんだとは思うけどね。」
「なるほど…。」
そういえばエマも、絵姿を少し華奢に書いてもらったり、ドロドロの恋愛小説が好きなのに趣味には「読書」などと書いていたりと工夫を凝らしていたことを思い出す。
王族への嘘は大罪なのであからさまな虚偽はないとしても、全てが本当のことでは候補にもあがれないのはキアラにも理解できる。
つまりは、王族の見合いと言っても、騙し合いの化かし合いということか。
「ただ、3割増だと仮定して読んだとしても、悪い方ではなさそうですね。性格は温厚、アカデミーでは経済学を優秀な成績で卒業、領地運営にも積極的で、父である公爵からもすでに社交界で人脈のお墨付きをもらっている、とあります。男性の見た目の良し悪しは良く分かりませんが、絵姿からは好青年といった印象です。」
釣書をジャンヌの方に返すと、彼女はすでにサイドディッシュを食べ終え、メインのムニエルにナイフを入れ始めていた。
食べるスピードは驚くほど早いのに、机の周りにはパンくず一つ落ちておらず、食べる所作も優雅なのだから不思議だ。
「釣書だけならそうだね。」
「だけなら?」
ジャンヌの含みのある言い方が引っかかって首をかしげる。
そんなキアラを見て、ジャンヌの口の端が得意げに上がる。
「こっちは調査書。要は、こちらが独自で調べた相手の素性。」
そうしてテーブルに出されたのは、先程のレポートよりも細かく文字が書かれた3枚の用紙だった。
絵姿も一つではなく別添で5つはある。
「こんなものが…」
「良い気持ちはしないだろうけど、あっちも同じくらいのものを多分用意してるよ。王族の婚姻なんてこんなものさ。さっきも言ったように、結婚後になにか問題があったら取り返しがつかなくなるからね。」
「そうなんですか…」
人のプライベートを事細かに詮索することに反射的に抵抗を覚え、あいまいに返事をする。
ジャンヌは少し目を上げてキアラを観察するように眺めた後、手元の料理に視線を戻しながら何でもないことのように続ける。
「相手はベスの結婚を利用して王室と繋がろうってだけじゃなく、皇太子の命を狙ってくる奴かもしれない。こっちだって本気だよ。」
キアラはその言葉にハッと息を飲む。
そして、偽善的な気持ちに傾きかけていた心を叱咤し、調査書をしっかりと確認する。
ただ、心の中でこっそりとブルーノ氏に謝るくらいは許されるだろう。
「女性との交際が派手なようですね。しかも、借金まであるんですか。」
「そういうこと。領地運営にも積極的っていうのは、遊ぶ金欲しさに父親に仕事をさせられてるってとこだろう。人脈っていうのも、そんだけ男女問わず遊んでれば勝手に広がるものだしね。」
「なんというか…このような方に自国の王女の夫にはなってほしくないですね。」
「でも、これくらいなら上級貴族にはゴロゴロいるっていうのが悲しいところだよね。借金っていっても、この程度の額なら公爵家が返せないわけがないし、親に言いにくいだけだろう。友人知人が多いっていうのは、人当たりは悪くないってことだろう。」
何だか、善悪とは何なのか、何を信じるべきなのか頭が痛くなるような話だ。
キアラはせっかくのムニエルの味わいがあまり感じられない程度には混乱していた。
すると、突然ジャンヌがぷっと吹き出す。
「大丈夫だって。キアラはこの釣書も調査書も少しだけ頭に入れてくれてればいいだけだから。大切なのは、実際にその目でみて確認することだからさ。」
「本当にそんなもので良いのでしょうか…。社交界経験も浅い私がみて、この調査書以上に気づくことがあるとは思えません。」
「んー、なんて言えばいいんだろうなー。あ、例えば、キアラが頼んでおいたモノを、毎回キアラのもとに運んできてくれる人がいたとしたら、キアラはなんて思う?ちなみに、キアラが毎回取りに行ってもいいような立場の人・モノだったら?」
「私が頼んでいるモノを、ですか?それは、なんて善い人なんだろうって思います。あと、毎回申し訳ないな、とも。」
「そうそう、そういう視点。」
「どういう視点ですか?」
「俺だったら、なにか裏があるのかなってまず思うね。それか、なにか毎回抜け出したい理由があるのかなとか、よっぽど暇なのかな、俺みたいにって。」
「ぷっ!なんです、それ。」
「いやいや、これ真剣な話だよ!俺とキアラではそれだけ視点が違うってこと。調査書は俺みたいな視点だから、キアラみたいな視点で見て分かることもあるってことだよ。」
少年のような顔でニッと笑うジャンヌを見て、どうやら元気づけようとしてくれたことは分かった。
「承知いたしました。そのように言われるなら、本当に私が思ったことを言うだけですからね!あとでこんなはずではなかったと、美味しい食事に素敵なお部屋の代金を請求しないでくださいね!」
吹っ切れたようにそういうと、ジャンヌは弾けるように笑った。
「あははは!了解!」
思い悩んでいるのが馬鹿らしくなって、食事を再開するとさっきよりもグッと味を感じるようになっている。
まずはしっかり食べて侍女の仕事を少しずつでも覚えなくては。
豪華な衣食住付きで、王女付きの行儀見習いもさせてもらえると考えれば今回のことも破格の申し出に思えなくもない。
「それに…」
「え?なにか言いました?」
「いや…何も。そろそろ食後のお茶を頼もうか。給仕は下がらせたから、俺がキッチンに行ってもってくるよ。」
「至れり尽せりですね。ありがとうございます。」
そうしてジャンヌが扉を閉める直前。
「それに、使わないに越したことはないけど、君のあの力が必要になるかもしれないしね。」
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