36 / 38
三巡目「戻せない選択」
33話
しおりを挟む
治療を受けて数日後。
なんとか一命をとりとめたが、休んでもいられない。
アンネッテの死から始まった陰謀。
首謀者の三人には然るべき罰が必要だ。
起因は確かに王家にある。
それは俺も父も理解して責任を感じているが、それで彼らが無罪放免という訳にはいかない。
王家としてケジメをつけるため、地下牢へと向かった。
「母上……」
「っ!! レオン! 来たのね! 私は反省しているの……助け」
牢の中で過ごす日々に嫌気がさしているのだろう。
母は必死に助けを乞うが、俺は静かに首を横に振る。
「母上、貴方の罪が確定しました。絞首刑……です」
「え……うそよね? 私は、貴方の母なのよ、助けなさいよ!」
「……王家への毒殺未遂は、母上であろうと許されない」
「わ、私を助けなさいよ! 母親なのよ!? このグズ! 誰が育てたと思って!」
子が自ら、母に対して絞首刑を言い渡す。
俺の責務ではあるが、やはり胸が痛い。
母は俺に対して罵詈雑言を吐く中、絞首台へ連れられていく。
その姿に、思わず助けたい気持ちが溢れるが……
王家が責任をもって今回の事件を終わらせるためには、罰を執行するしかない。
「ミランダ!」
「っ!! フォンド……」
此度の元凶の二人を、絞首台にて対面させる。
名を呼び合った二人には縄が首にかけられた。
「フォンド……助けてよぉ、死にたくないの」
「……すまないな、ミランダ。私の失態のせいだ」
絞首刑の立会人は俺であり、父にはスルードの方を担当してもらっている。
恐らく父も罵詈雑言を吐かれ、耐えがたい光景を見ているのだろうな。
「刑を執行する。二人とも言い残す事はないか?」
「レオン! 私は母なのよ、この縄を解きなさい! このグズの衛兵達も、助けなさいよ! 私を誰だと思っているの!」
余裕のなくなったミランダは口汚く周囲を罵る。
必死で助かろうとする姿に気品はない。
対して、フォンドは冷静であった。
ミランダへとため息を吐きつつ、俺を見つめてくる。
「さっさと殺せ」
「なにも、言わなくていいのか?」
「私の命乞いでも見たいのか? そんなみっともない真似をするつもりはない。私は、ミランダと一緒に死ねるなら、むしろ本望だ」
「セレリナには、なにも言い残さないのか……娘なのだろう?」
「こんな父の言葉など、あの子は聞きたくないだろう。せめて悲しまずに生きてくれればいいさ」
あっけらかんとして、酷く平然としているフォンドへと怒りが湧く。
だが、続く言葉で冷静さの意味が分かった。
「私は、どちらの結果でも良かったんだ」
「っ……な、なにを」
「計画が成功してミランダと一緒でも幸せだ。失敗しても娘が生きているなら、父としては本望だろう?」
「セレリナは、お前の罪のせいで……後ろ指を刺されて生きていくのだぞ!」
「そんな事で潰れるような娘ではない」
「セレリナだけでない! フォンド家の近縁者は皆、相応の処罰が与えられる! 責任を感じないのか!」
「はっ……どうでもいいさ」
「どうして……そんなに平然としていられる!」
「悔しがる姿でも見たかったか? 残念だが、私は自分の選択に後悔なんてない。レオン陛下、貴方と違ってね」
無性に腹が立つ。
こいつは俺と同じ、セレリナを不幸にした張本人だ。
なのに微塵も後悔をしていない様子は、あまりに身勝手だ。
「ミランダも疲れている。さっさと刑を執行して共に死なせてくれ」
「あぁ刑を執行する。だが……此度のような事が二度と起こらぬよう、お前達には相応の罰が必要だ」
「……? なにを?」
「やれ」
ガコンっと音がなり、母の足場が落ちる。
母の苦しむ声と、ミシミシと軋む縄の音に、フォンドの表情が一変した。
「あ……ぐぅ……ぅ……フォ……ド……?」
「おい! 私にも刑を執行しろ! せめて共に死なせろ!」
「駄目だ。お前には……母の死に姿を見てもらう」
「な……そんな、やめてくれ! ミランダが苦しむ姿など……」
「残念だが、見せしめは必要だ」
「あぁ……そんな」
「フォンド、貴殿の絞首刑は一か月後に行う。それまで母の死体は埋葬せずに見える場所に置く。腐りゆく母を見て、罪を後悔しろ」
「うそだ、ミランダ……ミランダァ……」
フォンドの表情から余裕が消え、母の死体へと永遠と呟き続ける。
これでいい。
罪には、罰が必要だ。
今回のセレリナを巻き込んだ悪事には、相応の報いを受けてもらう必要がある。
そしてそれは、王家も同様だ。
◇◇◇
王宮で過ごしながら、今後について考える。
父は家臣と妻に裏切られた事で、完全に精神が壊れてしまった。
王家の信頼は消え、現王家の存続は不可能だ
遠縁から新たな王を選び、俺と父は臣籍降下となって僻地に更迭するというのが、貴族達の総意にて決まった。
俺には元から王としての器はなかったが、今後の人生に気分は落ちていく。
「元気……ではないみたいね」
「っ!?」
聞こえた声に顔を上げれば、セレリナがいた。
いつの間にか、王室に来ていたようだ。
彼女は綺麗な琥珀色の瞳で見つめ、小さく頭を下げた。
「お父様が起こした騒動、貴方にも迷惑をかけたわ。ごめんなさい……」
「そんな、君は関係な……」
「助けてくれた事も、感謝しています」
「っ……いいんだ。俺はなにもできてない。それよりも君は今後どうする気だ?」
思わず尋ねてしまう。
答えは分かっているのに、賭けてしまったのだ。
全てが解決したから、俺の元へ戻ってくれるのではないかと。
当然ながら、答えは望むものではない。
「ガデリスと共に他国で過ごします。お父様の件もあるから、この国に残る訳にもいきません」
「な、君は皆に愛されている……残っても責める者はいないはずだ」
「いいのです。私はガデリスと他国で気楽に過ごすのも楽しそうで、充分ですから」
笑って答えた彼女に、残ってほしいなんて言えなかった。
そんな言葉を吐けるはずがない。
彼女がこの選択をとらざるをえなかったのは、俺のせいでもある。
それが今は、たまらなく悔しい。
「……そうか、すまない」
「レオンにも少なからず同情の声はあるわ。だから、誠心誠意向きあえば……きっと大丈夫」
「……あぁ」
「今日は謝罪とお礼を言いに来たかったの……これで、最後だから」
最後という言葉に、引きとめたい気持ちが溢れる。
「それでは、さようなら。レオン」
「……ま、待ってくれ」
去っていく彼女の背に、思わず声をかける。
引き留める言葉をぐっと飲み込み……言うべき言葉を吐いた。
「今まで……君を疑って、すまなかった」
「……もう、いいですよ」
彼女の心境は……きっと許してくれたわけではない。
俺に愛想を尽かし、責める気がないだけだだろう。
それが、今まで俺がしてきた行為の報いだ。
「……それでは、さようなら。レオン」
「あぁ……さよなら」
惨めだ。
犯した間違いは変わらずに、ただ未練だけが残る。
アンネッテが俺達を救うために恋仲を引き裂き、自死によって誤解が生まれた。
しかし全ての原因はセレリナの言葉を聞かなかった俺にある。
だから誰も責める気は無い。
だが、この先の人生。
セレリナを失った事を後悔し続けるのが、胸が痛くて苦しい。
「惨めだよな……お前は」
「っ!!」
気付けば、目の前に真っ黒な目玉が浮かび上がる。
叫びそうになった口を触手で抑えられ、その目玉は睨んできた。
「驚くな……俺だよ」
「……ム……ト?」
「そうだ」
「な、なにしに来た……もう最後だったはずだろ」
「何言ってんだ。ここからが……本当に最後のチャンスだよ」
ムトは目玉を歪ませる。
「このままあいつだけ幸せになって、死にかけたお前は後悔にまみれて生きていくなんて不公平だろ?」
「何が、言いたい……」
「お前が報われたっていいんじゃないか?」
ムトはそう言って、その触手を鋭利な刃物へと変貌させる。
そして、俺に囁いた。
「ガデリスを殺してやるよ。そうなれば、セレリナは一人だ」
「っ……!!」
「お前の幸せのために……あいつを取り戻せ。アンネッテにウソを吐かれた事も全部白状して誤解を解くんだ」
セレリナの幸せを奪い、彼女を取り戻す提案に心が揺れる。
今の彼女は人生を繰り返していた事も、俺が騙されて恋仲が引き裂かれた事も知らない。
もし全て話せば……振り向いてくれるのか?
「あいつをどん底に落として、傷心した心に今度こそお前が寄り添ってやればいい。二人が結ばれたらアンネッテの悲願も成就する。最高のハッピーエンドだよな」
ムトは笑いを含んだ声で、俺に問いかける。
「これからも後悔だらけの日々を生きるのか? さっさと自分だけが幸せになる未来を選べよ、ろくでなし」
俺の答えは。
後悔だらけの日々か……
自分の幸せか……
なんとか一命をとりとめたが、休んでもいられない。
アンネッテの死から始まった陰謀。
首謀者の三人には然るべき罰が必要だ。
起因は確かに王家にある。
それは俺も父も理解して責任を感じているが、それで彼らが無罪放免という訳にはいかない。
王家としてケジメをつけるため、地下牢へと向かった。
「母上……」
「っ!! レオン! 来たのね! 私は反省しているの……助け」
牢の中で過ごす日々に嫌気がさしているのだろう。
母は必死に助けを乞うが、俺は静かに首を横に振る。
「母上、貴方の罪が確定しました。絞首刑……です」
「え……うそよね? 私は、貴方の母なのよ、助けなさいよ!」
「……王家への毒殺未遂は、母上であろうと許されない」
「わ、私を助けなさいよ! 母親なのよ!? このグズ! 誰が育てたと思って!」
子が自ら、母に対して絞首刑を言い渡す。
俺の責務ではあるが、やはり胸が痛い。
母は俺に対して罵詈雑言を吐く中、絞首台へ連れられていく。
その姿に、思わず助けたい気持ちが溢れるが……
王家が責任をもって今回の事件を終わらせるためには、罰を執行するしかない。
「ミランダ!」
「っ!! フォンド……」
此度の元凶の二人を、絞首台にて対面させる。
名を呼び合った二人には縄が首にかけられた。
「フォンド……助けてよぉ、死にたくないの」
「……すまないな、ミランダ。私の失態のせいだ」
絞首刑の立会人は俺であり、父にはスルードの方を担当してもらっている。
恐らく父も罵詈雑言を吐かれ、耐えがたい光景を見ているのだろうな。
「刑を執行する。二人とも言い残す事はないか?」
「レオン! 私は母なのよ、この縄を解きなさい! このグズの衛兵達も、助けなさいよ! 私を誰だと思っているの!」
余裕のなくなったミランダは口汚く周囲を罵る。
必死で助かろうとする姿に気品はない。
対して、フォンドは冷静であった。
ミランダへとため息を吐きつつ、俺を見つめてくる。
「さっさと殺せ」
「なにも、言わなくていいのか?」
「私の命乞いでも見たいのか? そんなみっともない真似をするつもりはない。私は、ミランダと一緒に死ねるなら、むしろ本望だ」
「セレリナには、なにも言い残さないのか……娘なのだろう?」
「こんな父の言葉など、あの子は聞きたくないだろう。せめて悲しまずに生きてくれればいいさ」
あっけらかんとして、酷く平然としているフォンドへと怒りが湧く。
だが、続く言葉で冷静さの意味が分かった。
「私は、どちらの結果でも良かったんだ」
「っ……な、なにを」
「計画が成功してミランダと一緒でも幸せだ。失敗しても娘が生きているなら、父としては本望だろう?」
「セレリナは、お前の罪のせいで……後ろ指を刺されて生きていくのだぞ!」
「そんな事で潰れるような娘ではない」
「セレリナだけでない! フォンド家の近縁者は皆、相応の処罰が与えられる! 責任を感じないのか!」
「はっ……どうでもいいさ」
「どうして……そんなに平然としていられる!」
「悔しがる姿でも見たかったか? 残念だが、私は自分の選択に後悔なんてない。レオン陛下、貴方と違ってね」
無性に腹が立つ。
こいつは俺と同じ、セレリナを不幸にした張本人だ。
なのに微塵も後悔をしていない様子は、あまりに身勝手だ。
「ミランダも疲れている。さっさと刑を執行して共に死なせてくれ」
「あぁ刑を執行する。だが……此度のような事が二度と起こらぬよう、お前達には相応の罰が必要だ」
「……? なにを?」
「やれ」
ガコンっと音がなり、母の足場が落ちる。
母の苦しむ声と、ミシミシと軋む縄の音に、フォンドの表情が一変した。
「あ……ぐぅ……ぅ……フォ……ド……?」
「おい! 私にも刑を執行しろ! せめて共に死なせろ!」
「駄目だ。お前には……母の死に姿を見てもらう」
「な……そんな、やめてくれ! ミランダが苦しむ姿など……」
「残念だが、見せしめは必要だ」
「あぁ……そんな」
「フォンド、貴殿の絞首刑は一か月後に行う。それまで母の死体は埋葬せずに見える場所に置く。腐りゆく母を見て、罪を後悔しろ」
「うそだ、ミランダ……ミランダァ……」
フォンドの表情から余裕が消え、母の死体へと永遠と呟き続ける。
これでいい。
罪には、罰が必要だ。
今回のセレリナを巻き込んだ悪事には、相応の報いを受けてもらう必要がある。
そしてそれは、王家も同様だ。
◇◇◇
王宮で過ごしながら、今後について考える。
父は家臣と妻に裏切られた事で、完全に精神が壊れてしまった。
王家の信頼は消え、現王家の存続は不可能だ
遠縁から新たな王を選び、俺と父は臣籍降下となって僻地に更迭するというのが、貴族達の総意にて決まった。
俺には元から王としての器はなかったが、今後の人生に気分は落ちていく。
「元気……ではないみたいね」
「っ!?」
聞こえた声に顔を上げれば、セレリナがいた。
いつの間にか、王室に来ていたようだ。
彼女は綺麗な琥珀色の瞳で見つめ、小さく頭を下げた。
「お父様が起こした騒動、貴方にも迷惑をかけたわ。ごめんなさい……」
「そんな、君は関係な……」
「助けてくれた事も、感謝しています」
「っ……いいんだ。俺はなにもできてない。それよりも君は今後どうする気だ?」
思わず尋ねてしまう。
答えは分かっているのに、賭けてしまったのだ。
全てが解決したから、俺の元へ戻ってくれるのではないかと。
当然ながら、答えは望むものではない。
「ガデリスと共に他国で過ごします。お父様の件もあるから、この国に残る訳にもいきません」
「な、君は皆に愛されている……残っても責める者はいないはずだ」
「いいのです。私はガデリスと他国で気楽に過ごすのも楽しそうで、充分ですから」
笑って答えた彼女に、残ってほしいなんて言えなかった。
そんな言葉を吐けるはずがない。
彼女がこの選択をとらざるをえなかったのは、俺のせいでもある。
それが今は、たまらなく悔しい。
「……そうか、すまない」
「レオンにも少なからず同情の声はあるわ。だから、誠心誠意向きあえば……きっと大丈夫」
「……あぁ」
「今日は謝罪とお礼を言いに来たかったの……これで、最後だから」
最後という言葉に、引きとめたい気持ちが溢れる。
「それでは、さようなら。レオン」
「……ま、待ってくれ」
去っていく彼女の背に、思わず声をかける。
引き留める言葉をぐっと飲み込み……言うべき言葉を吐いた。
「今まで……君を疑って、すまなかった」
「……もう、いいですよ」
彼女の心境は……きっと許してくれたわけではない。
俺に愛想を尽かし、責める気がないだけだだろう。
それが、今まで俺がしてきた行為の報いだ。
「……それでは、さようなら。レオン」
「あぁ……さよなら」
惨めだ。
犯した間違いは変わらずに、ただ未練だけが残る。
アンネッテが俺達を救うために恋仲を引き裂き、自死によって誤解が生まれた。
しかし全ての原因はセレリナの言葉を聞かなかった俺にある。
だから誰も責める気は無い。
だが、この先の人生。
セレリナを失った事を後悔し続けるのが、胸が痛くて苦しい。
「惨めだよな……お前は」
「っ!!」
気付けば、目の前に真っ黒な目玉が浮かび上がる。
叫びそうになった口を触手で抑えられ、その目玉は睨んできた。
「驚くな……俺だよ」
「……ム……ト?」
「そうだ」
「な、なにしに来た……もう最後だったはずだろ」
「何言ってんだ。ここからが……本当に最後のチャンスだよ」
ムトは目玉を歪ませる。
「このままあいつだけ幸せになって、死にかけたお前は後悔にまみれて生きていくなんて不公平だろ?」
「何が、言いたい……」
「お前が報われたっていいんじゃないか?」
ムトはそう言って、その触手を鋭利な刃物へと変貌させる。
そして、俺に囁いた。
「ガデリスを殺してやるよ。そうなれば、セレリナは一人だ」
「っ……!!」
「お前の幸せのために……あいつを取り戻せ。アンネッテにウソを吐かれた事も全部白状して誤解を解くんだ」
セレリナの幸せを奪い、彼女を取り戻す提案に心が揺れる。
今の彼女は人生を繰り返していた事も、俺が騙されて恋仲が引き裂かれた事も知らない。
もし全て話せば……振り向いてくれるのか?
「あいつをどん底に落として、傷心した心に今度こそお前が寄り添ってやればいい。二人が結ばれたらアンネッテの悲願も成就する。最高のハッピーエンドだよな」
ムトは笑いを含んだ声で、俺に問いかける。
「これからも後悔だらけの日々を生きるのか? さっさと自分だけが幸せになる未来を選べよ、ろくでなし」
俺の答えは。
後悔だらけの日々か……
自分の幸せか……
273
お気に入りに追加
4,214
あなたにおすすめの小説
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
女性として見れない私は、もう不要な様です〜俺の事は忘れて幸せになって欲しい。と言われたのでそうする事にした結果〜
流雲青人
恋愛
子爵令嬢のプレセアは目の前に広がる光景に静かに涙を零した。
偶然にも居合わせてしまったのだ。
学園の裏庭で、婚約者がプレセアの友人へと告白している場面に。
そして後日、婚約者に呼び出され告げられた。
「君を女性として見ることが出来ない」
幼馴染であり、共に過ごして来た時間はとても長い。
その中でどうやら彼はプレセアを友人以上として見れなくなってしまったらしい。
「俺の事は忘れて幸せになって欲しい。君は幸せになるべき人だから」
大切な二人だからこそ、清く身を引いて、大好きな人と友人の恋を応援したい。
そう思っている筈なのに、恋心がその気持ちを邪魔してきて...。
※
ゆるふわ設定です。
完結しました。
愛しの婚約者に「学園では距離を置こう」と言われたので、婚約破棄を画策してみた
迦陵 れん
恋愛
「学園にいる間は、君と距離をおこうと思う」
待ちに待った定例茶会のその席で、私の大好きな婚約者は唐突にその言葉を口にした。
「え……あの、どうし……て?」
あまりの衝撃に、上手く言葉が紡げない。
彼にそんなことを言われるなんて、夢にも思っていなかったから。
ーーーーーーーーーーーーー
侯爵令嬢ユリアの婚約は、仲の良い親同士によって、幼い頃に結ばれたものだった。
吊り目でキツい雰囲気を持つユリアと、女性からの憧れの的である婚約者。
自分たちが不似合いであることなど、とうに分かっていることだった。
だから──学園にいる間と言わず、彼を自分から解放してあげようと思ったのだ。
婚約者への淡い恋心は、心の奥底へとしまいこんで……。
※基本的にゆるふわ設定です。
※プロット苦手派なので、話が右往左往するかもしれません。→故に、タグは徐々に追加していきます
※感想に返信してると執筆が進まないという鈍足仕様のため、返事は期待しないで貰えるとありがたいです。
※仕事が休みの日のみの執筆になるため、毎日は更新できません……(書きだめできた時だけします)ご了承くださいませ。
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
あなたに未練などありません
風見ゆうみ
恋愛
「本当は前から知っていたんだ。君がキャロをいじめていた事」
初恋であり、ずっと思いを寄せていた婚約者からありえない事を言われ、侯爵令嬢であるわたし、アニエス・ロロアルの頭の中は真っ白になった。
わたしの婚約者はクォント国の第2王子ヘイスト殿下、幼馴染で親友のキャロラインは他の友人達と結託して嘘をつき、私から婚約者を奪おうと考えたようだった。
数日後の王家主催のパーティーでヘイスト殿下に婚約破棄されると知った父は激怒し、元々、わたしを憎んでいた事もあり、婚約破棄後はわたしとの縁を切り、わたしを家から追い出すと告げ、それを承認する書面にサインまでさせられてしまう。
そして、予告通り出席したパーティーで婚約破棄を告げられ絶望していたわたしに、その場で求婚してきたのは、ヘイスト殿下の兄であり病弱だという事で有名なジェレミー王太子殿下だった…。
※史実とは関係なく、設定もゆるい、ご都合主義です。
※中世ヨーロッパ風で貴族制度はありますが、法律、武器、食べ物などは現代風です。話を進めるにあたり、都合の良い世界観となっています。
※誤字脱字など見直して気を付けているつもりですが、やはりございます。申し訳ございません。
婚約破棄のその後に
ゆーぞー
恋愛
「ライラ、婚約は破棄させてもらおう」
来月結婚するはずだった婚約者のレナード・アイザックス様に王宮の夜会で言われてしまった。しかもレナード様の隣には侯爵家のご令嬢メリア・リオンヌ様。
「あなた程度の人が彼と結婚できると本気で考えていたの?」
一方的に言われ混乱している最中、王妃様が現れて。
見たことも聞いたこともない人と結婚することになってしまった。
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる