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二章
54話
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マルシアと名乗る彼女が、まさかグラナートにいた頃の侍女レイラだったとは。
恨みで城内勤めにまでなるなんて、呆れてしまうほどの執念だ……
「貴方は……復讐のために来たのですね」
「あんたが幸せなのが許せなかったのよ! あんたのせいで、私は全て失ったのに!」
「……」
「冷遇していた事実が国中に広がって、婚約者も住む場所も失って……皆に蔑まれたの!」
「レイラ」
「貴方が大人しくグラナートの王妃のままだったなら! 私はまだ王宮勤めで、愛する婚約者とも一緒にいれたは––」
「聞きなさい、レイラ」
私は、レイラを見つめる。
「私が貴方を覚えていたのは、貴方の仕事は確かに丁寧だったからよ」
「っ!!」
「当時の私は冷遇されていたけど、貴方が王宮で任されていた仕事は丁寧にしていたのを知っていた」
「……私は、あんたなんかに……」
「その仕事ぶりで、ここでも信頼を勝ち取ったのでしょう?」
「……」
私は、レイラへと視線を合わせて言葉を続けていく。
「復讐心なんて捨てて、やり直していけばきっと幸せだあったはず。違う?」
「それでも、私は……」
「私を憎むのは止められないかもしれない。それでも……縛られていていけない」
「っ!?」
「後ろなんて見てないで、前を向いていけば……きっと幸せになれるのよ。レイラ」
その言葉を聞いて、レイラは瞳を潤ませる。
憎しみに囚われていた彼女は、地面を見つめ……雫を落としていった。
「人はね、どん底からこそ前を向いていれば人生をやり直せるの」
「私……私は」
彼女は顔を上げて、羨むような……希望に満ちたような瞳を私に向ける。
それは、憧れと尊敬するような視線にさえ見えた。
「も、申し訳ありませんでしたカーティア様! ゆ、許してください。今からでも……やり直しをさせ––」
「いや、普通に無理に決まってます」
「……え?」
何を言っているんだ彼女は、許すような流れだとでも思ったのだろうか。
呆れてしまう。
「馬鹿なんですか? 貴方は皇族の命を狙ったんです。許されるはずないでしょう」
「は? え!? じゃ、じゃあさっきの話はなんなのよ! 許すように話してたじゃない!」
「いや、私がそれで幸せになれたなって、改めて思って」
「ふ、ふざけないでよ! 何をいっ––ッッツ!!!!」
「黙れ」
叫ぶ彼女の手を剣で突き刺し、冷たく見下ろすのはシルウィオだった。
今まで怒りを我慢してくれていたのだろうけど、限界に苛立った彼は魔法によってレイラの首を絞める。
「カティと、リルを狙う愚行を犯すとはな」
「あっ……くっ!」
「手引きした者がいるはずだ。ジェラルドの目をお前如きがかいくぐれるはずがない」
「い……息……が……」
「言え」
首の絞めつけから解放されたレイラは、息を吐きながら首を横に振る。
「し、知らない……本当に。向こうはいきなり私に接触してきたの! 名も教えてくれなかったし、会う際はいつも夜闇で顔が見えなくて……」
「さっさと白状すれば、楽に消してやる」
「白状もなにも、本当よ! 指示してきたのは女の声だってことぐらいしか知らない!」
「……死にたいのか?」
シルウィオの剣が、レイラの首元へと近づく。
しかし……彼女は怯えをみせつつ、自暴自棄にも似た笑みを浮かべた。
「ふ、ふふ。でも……そいつ、目的は言っていたわ。全ては皇太后を殺した皇帝への復讐だとね」
皇太后とは……シルウィオの母のこと?
殺したとは、一体……
周囲に動揺が広がっていく。シルウィオも瞳を開き……驚いているように見えた。
「なにを……知っている?」
「あ、あはは! そいつに頼まれたのよ! 皇后はこの事実を知らぬから、全て明かしてやれとね! これで皇帝夫妻の仲は終わりね!」
「……」
「笑っちゃうわ! 実の母を殺した皇帝が、今更……娘を作って家族にでもなりたいの? 母殺しの手で父親になんてなれるはずがないじゃない!」
騎士達の視線がシルウィオへと集まっていく。
私同様に知らぬ者もいたのだろう。疑心や畏怖を帯びた視線だった。
レイラはその様子をみて、意気揚々と私へと声を出す。
「あんたも、せっかく手に入れた幸せだけど……母殺しの皇帝が相手なんて、残念ね!」
「……」
「どんな気持ちなの? 愛する人が自分の母すら殺しているのよ? 貴方も娘も、きっと殺されるはずよ!」
あぁ……
こんなに苛立つの、初めてだ。
拳を握り、力の限り……私に出来る最大の力で。
レイラの顔へと拳を向ける。
「うるっさい!!!!」
「おぐっ!!!?」
鈍い音と共に、彼女は苦悶の表情を浮かべて私を睨んだ。
「な、なにを! ッッツ!!」
「黙れって……言ってるの」
「うぶっ!!」
再度、拳を振るう。
何度も、何度も……いくら拳を当てても怒りは収まらない。
「あんたに、シルウィオのなにがわかるの。彼が父親になれないなんて……どうして言えるの」
周囲の視線が私に集まる、その中で言葉を続けていく。
「自分の子に怖がられないかと不安で悩んだり、産まれてくる前から楽しみにしたり……いつもは無表情なのに娘と私の前では微笑みを見せてくれた。彼は紛れもなく、父親よ」
言葉が溢れていく。
何も知らない奴に、今の彼が決めつけられるのが悔しくて仕方がない。
「彼の過去は知らない。だけど私が見てきたシルウィオは大切な人には優しくて、皇帝として責務を果たすために苦しみながらも生きてたの。母を殺した選択も、悩み苦しんだ末の選択のはずよ。あんたに笑われることじゃない」
「な……母殺しの皇帝よ?」
「いい加減……苛立たせないで!!」
「おぶっ!!」
再び振るった拳で、レイラは鼻血を出し顔を歪ませた。
「それがなに? 私が彼を好きな気持ちに変わりはないわ」
「は? ふざけな––」
言葉を続けようとしたレイラの顔が、騎士によって地面へと叩きつけられた。
周囲の騎士達が、激怒の表情に変わっているのが分かる。
「申し訳ありません、陛下。この女の言葉に動揺していましたが……皇后様の言う通り、貴方が苦渋の決断をなさったことは、我々にも理解できます」
「お前達……」
シルウィオの視線が、周囲へと向いた。
騎士達は真剣な表情のまま頷く。
「陛下は帝国のために尽力くださり、家族も大切になさっているんです。それを俺達は知ってます」
「この女には、隠し事がないかしっかりと吐かせます。どんな手を使っても……」
「どうか、今はなにも気にせず姫様とお過ごしください! 御父上として!」
「……頼んだ」
「はい!」
レイラには、もっと言いたいこともあったけれど。
シルウィオが私の手を引いて歩き出したので。それ以上は何も言わず、その場を去る。
背後から何をされているのか知らぬが、彼女の悲鳴が聞こえてくる。だけど私達は振り返る事はなかった。
◇◇◇
無言のまま進み、私達の部屋の前へとやって来て。
シルウィオは呟く。
「カティ……俺は」
「ふぅ……疲れましたね!」
「っ!?」
私は部屋の扉を開き、スヤスヤと眠っているリルレットの元へと歩いていく。
音で起きたのか、リルレットは私を見て嬉しそうにニコニコと笑った。
「あーう!」
「リルレット、ただいま」
抱き上げて、私はそのままシルウィオにリルレットを抱っこしてもらうために手渡す。
「はい、シルウィオ。抱っこしてあげて」
「あ……あぁ」
「ぷーーうーーあう」
「あんなの気にしないで、貴方はリルレットの父親で……私が大好きなシルウィオのままだから。話したい時に話してくれたらいい。ずっと話さなくてもいい」
「……カティ」
「貴方が私の過去もまとめて受け入れてくれたように、私もシルウィオの過去を全て受け入れますから!! はい! これで話は終わり!」
笑ってそう告げれば、彼は私の手を引いて。強く抱きしめる。
そして、ただ一言「ありがとう」と呟いた。
「あーーう! うぃ!」
喜ぶリルレットを撫でるシルウィオは、紛れもない父親だ。
そんな彼を貶めようと画策する者が誰なのか分からないけど。
私は……いや、きっと彼も。
それどころか、この城内の全員が……怒りを抱き、許さないと心に誓ったはずだ。
誰か知らないけど……必ず見つけ出してみせる。
私の幸せを奪おうとする者は……絶対に許さない。
恨みで城内勤めにまでなるなんて、呆れてしまうほどの執念だ……
「貴方は……復讐のために来たのですね」
「あんたが幸せなのが許せなかったのよ! あんたのせいで、私は全て失ったのに!」
「……」
「冷遇していた事実が国中に広がって、婚約者も住む場所も失って……皆に蔑まれたの!」
「レイラ」
「貴方が大人しくグラナートの王妃のままだったなら! 私はまだ王宮勤めで、愛する婚約者とも一緒にいれたは––」
「聞きなさい、レイラ」
私は、レイラを見つめる。
「私が貴方を覚えていたのは、貴方の仕事は確かに丁寧だったからよ」
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私は、レイラへと視線を合わせて言葉を続けていく。
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「それでも、私は……」
「私を憎むのは止められないかもしれない。それでも……縛られていていけない」
「っ!?」
「後ろなんて見てないで、前を向いていけば……きっと幸せになれるのよ。レイラ」
その言葉を聞いて、レイラは瞳を潤ませる。
憎しみに囚われていた彼女は、地面を見つめ……雫を落としていった。
「人はね、どん底からこそ前を向いていれば人生をやり直せるの」
「私……私は」
彼女は顔を上げて、羨むような……希望に満ちたような瞳を私に向ける。
それは、憧れと尊敬するような視線にさえ見えた。
「も、申し訳ありませんでしたカーティア様! ゆ、許してください。今からでも……やり直しをさせ––」
「いや、普通に無理に決まってます」
「……え?」
何を言っているんだ彼女は、許すような流れだとでも思ったのだろうか。
呆れてしまう。
「馬鹿なんですか? 貴方は皇族の命を狙ったんです。許されるはずないでしょう」
「は? え!? じゃ、じゃあさっきの話はなんなのよ! 許すように話してたじゃない!」
「いや、私がそれで幸せになれたなって、改めて思って」
「ふ、ふざけないでよ! 何をいっ––ッッツ!!!!」
「黙れ」
叫ぶ彼女の手を剣で突き刺し、冷たく見下ろすのはシルウィオだった。
今まで怒りを我慢してくれていたのだろうけど、限界に苛立った彼は魔法によってレイラの首を絞める。
「カティと、リルを狙う愚行を犯すとはな」
「あっ……くっ!」
「手引きした者がいるはずだ。ジェラルドの目をお前如きがかいくぐれるはずがない」
「い……息……が……」
「言え」
首の絞めつけから解放されたレイラは、息を吐きながら首を横に振る。
「し、知らない……本当に。向こうはいきなり私に接触してきたの! 名も教えてくれなかったし、会う際はいつも夜闇で顔が見えなくて……」
「さっさと白状すれば、楽に消してやる」
「白状もなにも、本当よ! 指示してきたのは女の声だってことぐらいしか知らない!」
「……死にたいのか?」
シルウィオの剣が、レイラの首元へと近づく。
しかし……彼女は怯えをみせつつ、自暴自棄にも似た笑みを浮かべた。
「ふ、ふふ。でも……そいつ、目的は言っていたわ。全ては皇太后を殺した皇帝への復讐だとね」
皇太后とは……シルウィオの母のこと?
殺したとは、一体……
周囲に動揺が広がっていく。シルウィオも瞳を開き……驚いているように見えた。
「なにを……知っている?」
「あ、あはは! そいつに頼まれたのよ! 皇后はこの事実を知らぬから、全て明かしてやれとね! これで皇帝夫妻の仲は終わりね!」
「……」
「笑っちゃうわ! 実の母を殺した皇帝が、今更……娘を作って家族にでもなりたいの? 母殺しの手で父親になんてなれるはずがないじゃない!」
騎士達の視線がシルウィオへと集まっていく。
私同様に知らぬ者もいたのだろう。疑心や畏怖を帯びた視線だった。
レイラはその様子をみて、意気揚々と私へと声を出す。
「あんたも、せっかく手に入れた幸せだけど……母殺しの皇帝が相手なんて、残念ね!」
「……」
「どんな気持ちなの? 愛する人が自分の母すら殺しているのよ? 貴方も娘も、きっと殺されるはずよ!」
あぁ……
こんなに苛立つの、初めてだ。
拳を握り、力の限り……私に出来る最大の力で。
レイラの顔へと拳を向ける。
「うるっさい!!!!」
「おぐっ!!!?」
鈍い音と共に、彼女は苦悶の表情を浮かべて私を睨んだ。
「な、なにを! ッッツ!!」
「黙れって……言ってるの」
「うぶっ!!」
再度、拳を振るう。
何度も、何度も……いくら拳を当てても怒りは収まらない。
「あんたに、シルウィオのなにがわかるの。彼が父親になれないなんて……どうして言えるの」
周囲の視線が私に集まる、その中で言葉を続けていく。
「自分の子に怖がられないかと不安で悩んだり、産まれてくる前から楽しみにしたり……いつもは無表情なのに娘と私の前では微笑みを見せてくれた。彼は紛れもなく、父親よ」
言葉が溢れていく。
何も知らない奴に、今の彼が決めつけられるのが悔しくて仕方がない。
「彼の過去は知らない。だけど私が見てきたシルウィオは大切な人には優しくて、皇帝として責務を果たすために苦しみながらも生きてたの。母を殺した選択も、悩み苦しんだ末の選択のはずよ。あんたに笑われることじゃない」
「な……母殺しの皇帝よ?」
「いい加減……苛立たせないで!!」
「おぶっ!!」
再び振るった拳で、レイラは鼻血を出し顔を歪ませた。
「それがなに? 私が彼を好きな気持ちに変わりはないわ」
「は? ふざけな––」
言葉を続けようとしたレイラの顔が、騎士によって地面へと叩きつけられた。
周囲の騎士達が、激怒の表情に変わっているのが分かる。
「申し訳ありません、陛下。この女の言葉に動揺していましたが……皇后様の言う通り、貴方が苦渋の決断をなさったことは、我々にも理解できます」
「お前達……」
シルウィオの視線が、周囲へと向いた。
騎士達は真剣な表情のまま頷く。
「陛下は帝国のために尽力くださり、家族も大切になさっているんです。それを俺達は知ってます」
「この女には、隠し事がないかしっかりと吐かせます。どんな手を使っても……」
「どうか、今はなにも気にせず姫様とお過ごしください! 御父上として!」
「……頼んだ」
「はい!」
レイラには、もっと言いたいこともあったけれど。
シルウィオが私の手を引いて歩き出したので。それ以上は何も言わず、その場を去る。
背後から何をされているのか知らぬが、彼女の悲鳴が聞こえてくる。だけど私達は振り返る事はなかった。
◇◇◇
無言のまま進み、私達の部屋の前へとやって来て。
シルウィオは呟く。
「カティ……俺は」
「ふぅ……疲れましたね!」
「っ!?」
私は部屋の扉を開き、スヤスヤと眠っているリルレットの元へと歩いていく。
音で起きたのか、リルレットは私を見て嬉しそうにニコニコと笑った。
「あーう!」
「リルレット、ただいま」
抱き上げて、私はそのままシルウィオにリルレットを抱っこしてもらうために手渡す。
「はい、シルウィオ。抱っこしてあげて」
「あ……あぁ」
「ぷーーうーーあう」
「あんなの気にしないで、貴方はリルレットの父親で……私が大好きなシルウィオのままだから。話したい時に話してくれたらいい。ずっと話さなくてもいい」
「……カティ」
「貴方が私の過去もまとめて受け入れてくれたように、私もシルウィオの過去を全て受け入れますから!! はい! これで話は終わり!」
笑ってそう告げれば、彼は私の手を引いて。強く抱きしめる。
そして、ただ一言「ありがとう」と呟いた。
「あーーう! うぃ!」
喜ぶリルレットを撫でるシルウィオは、紛れもない父親だ。
そんな彼を貶めようと画策する者が誰なのか分からないけど。
私は……いや、きっと彼も。
それどころか、この城内の全員が……怒りを抱き、許さないと心に誓ったはずだ。
誰か知らないけど……必ず見つけ出してみせる。
私の幸せを奪おうとする者は……絶対に許さない。
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