13 / 56
10話
しおりを挟む
辺境伯領に移り住んで一か月、とても充実した日々だ!
ここの人達が皆いい人ばかりのおかげだろう。
魔物という危険が隣にある場所ゆえに。
人間同士でいがみ合わず、協力していこうという風土なのが心地よい。
「ポーちゃんも、ここが居心地よくて住んでるのよね」
「クルッポー」
ハトのポーちゃんに日課の餌をあげる。
餌をついばむポーちゃんは、今日も可愛らしい。
「気に入ったら、ずっとこの家に住んでいいからね?」
「ポーーー」
私が言った言葉と裏腹に、餌が尽きた瞬間に颯爽と飛び立っていく。
オマケのフンまで落としてだ。
「相変わらず……懐く気配すらないわね」
まぁ、私が勝手にポーちゃんからの信頼を求めているだけだ。
餌やりに対価が返ってくるなんて傲慢な考えはよそう。
フンを掃除していると、今日もルウがやってきた。
「ナーちゃん、きょーもいっしょいこ!」
「ルウ、少し待っていてね」
「うん。まってる~」
今日の授業はいよいよ魔法学、楽しみだ。
期待を胸に、縫い終えた手袋を鞄に入れる。
あれから手袋は兵士の方々に好評で、直ぐに売れるので作る甲斐がある。
玄関を出れば、直ぐにルウが私の指を握った。
「おててつないでいきたい」
「うん、繋いで行こう! 待たせてごめんね」
「だいじょぶ! いこ!」
何より、ルウの可愛さに母性が刺激されてたまらない。
この平穏でおだやかな日常と。
叶うはずがなかった勉学に励む日々を送れるのは、こうも幸せなのか。
あの家を出て、本当に良かった。
そう思える程に、私は幸せを噛み締めていた。
「ナーちゃん、あれ……」
通学中、ルウが防壁を指さした。
目を凝らせば……防壁の堅牢な門が開き、魔物のいる領域から戻ってくる兵士の中隊が見える。
この辺境伯領では、訓練もかねて定期的に防壁付近の魔物を減らすらしい。
その一環で、夜間に掃討作戦があったのだろう。
「あれ……お父さんだ! おむかえにいこ! ナーちゃんも来て!」
ルウのお父さんも、あの中隊に居たようだ。
授業まで余裕もあるので、私もルウと共に向かう。
「おとーさーん!」
「おっ!! ルウ! かえったぞぉ!」
ルウをお父さんが抱っこして、微笑ましい光景に数人の兵士が集う。
私は彼らに労いの言葉を送っていると、一人の兵士が問いかけた。
「ナターリアさん、この手袋……どうやって作ったか教えてくれないか?」
「え……普通に皮や布を縫い合わせただけですが」
「だよ……な」
どういう意味だ。
なぜか皆が不思議そうな顔をしているので、私も首を傾げる。
そして彼らは、戸惑いの理由を明かした。
「この手袋を付けてから、明らかに調子がよくてな」
「俺もだ、剣が軽いっていうか……」
「新兵の僕でさえ、今日は討伐数を稼げましたからね」
いやいや、なんだか盛り上がっているが……
手袋一つで実力が大きく変わるはずはないだろう。
大げさに褒めてくれているのだろう。
「それは、皆さんの努力のおかげだと思いますよ」
「う……うーん。そう……かな……」
「手袋で変わるはずないですよ。これ……追加で編んだ物です。欲しがってた人へあげてください」
「助かるよ、他の兵士にも大人気でな。売って来るよ」
「もっと宣伝しておいてください、私の懐が潤いますから」
「じゃあ、マージンでも頂こうかな?」
私とルウパパが、ニヤニヤと商談をしていた時だった。
周囲の視線が、何故か集まっているのに気付いた。
同時に、その場の全員が喋っていた口を閉じ……即座に跪く。
いったい何が……?
「お前が、ナターリアか」
「え?」
聞こえた声に振り返れば……直ぐ後ろに男性がいて一驚してしまう。
大きな体躯に、彫刻のような顔立ちと銀糸の髪。
満月のような琥珀色の瞳が、私を見下ろしていた。
この人は……誰……?
「辺境伯様。どうしてここに……?」
跪いた兵士たちの声に、またまた虚を突かれた。
驚くのは当然だ。
辺境伯––リカルド・シルジュ様。
この領地を治めている方が、ここに居るのだから。
彼については王都でも多くの噂が広まっていた。
多くの兵士が死んだ戦場でも表情一つ変えずに剣を振るう姿を、王都では畏怖の対象として噂となっているのだ。
命に背けば、即座に首を落とされる……なんて真実かどうか分からぬ話も聞く。
「……」
そんな人が、私の名を呼んで見つめている。
掃討作戦に参加していたのだろう。
鎧は血にまみれて、頬と髪にまで付着した返り血が乾き固まっている。
そして一切表情を動かさない姿と、有無も言わさぬ威圧感に……兵士の皆さんが視線を落としていた。
「来い」
「え」
「……付いてこい。お前に話がある」
突然呼びかけられたと思えば、着いて来いとは?
周囲の兵士達は、直ぐに辺境伯様に着いて行くんだと目線で訴えてくるが……
当然、私の答えは……決まっている。
「えーと、お断りします!」
「……は?」
「学園に行きますから、それでは!」
辺境伯様に礼をして、私はルウを抱っこしてから歩き出す。
周囲の兵士が慌てて肩を掴んできた。
「え、えっとナターリアさん。相手は辺境伯様で……」
「私……今日は外せない授業があるんです!! この一か月楽しみにしてた授業が始まるんです!」
辺境伯様の要件は分からないが、私は授業の方が最優先だ。
そう思って答えれば、リカルド様は無表情のまま……首を傾げた。
「授業……だと?」
「はい、今日から魔法学が始まるんです!! 絶対外せません。用があるならその後でお願いします!」
「なぁ!?」
周囲の兵士が啞然としている中、辺境伯様は暫く黙った後……
「もういい。行け」
と、意外にもあっさりな返事をしてくれた。
ならば、もう気にする必要はないだろう。
呼び出された理由は分からないが……今は授業の方が最優先だ。
なにせ今日は……待望の魔法学の日なのだから。
自由に生きる私は、自分のやりたいことを優先すると決めている。
だから今日だけは、辺境伯様なんて気にしてられない!
ここの人達が皆いい人ばかりのおかげだろう。
魔物という危険が隣にある場所ゆえに。
人間同士でいがみ合わず、協力していこうという風土なのが心地よい。
「ポーちゃんも、ここが居心地よくて住んでるのよね」
「クルッポー」
ハトのポーちゃんに日課の餌をあげる。
餌をついばむポーちゃんは、今日も可愛らしい。
「気に入ったら、ずっとこの家に住んでいいからね?」
「ポーーー」
私が言った言葉と裏腹に、餌が尽きた瞬間に颯爽と飛び立っていく。
オマケのフンまで落としてだ。
「相変わらず……懐く気配すらないわね」
まぁ、私が勝手にポーちゃんからの信頼を求めているだけだ。
餌やりに対価が返ってくるなんて傲慢な考えはよそう。
フンを掃除していると、今日もルウがやってきた。
「ナーちゃん、きょーもいっしょいこ!」
「ルウ、少し待っていてね」
「うん。まってる~」
今日の授業はいよいよ魔法学、楽しみだ。
期待を胸に、縫い終えた手袋を鞄に入れる。
あれから手袋は兵士の方々に好評で、直ぐに売れるので作る甲斐がある。
玄関を出れば、直ぐにルウが私の指を握った。
「おててつないでいきたい」
「うん、繋いで行こう! 待たせてごめんね」
「だいじょぶ! いこ!」
何より、ルウの可愛さに母性が刺激されてたまらない。
この平穏でおだやかな日常と。
叶うはずがなかった勉学に励む日々を送れるのは、こうも幸せなのか。
あの家を出て、本当に良かった。
そう思える程に、私は幸せを噛み締めていた。
「ナーちゃん、あれ……」
通学中、ルウが防壁を指さした。
目を凝らせば……防壁の堅牢な門が開き、魔物のいる領域から戻ってくる兵士の中隊が見える。
この辺境伯領では、訓練もかねて定期的に防壁付近の魔物を減らすらしい。
その一環で、夜間に掃討作戦があったのだろう。
「あれ……お父さんだ! おむかえにいこ! ナーちゃんも来て!」
ルウのお父さんも、あの中隊に居たようだ。
授業まで余裕もあるので、私もルウと共に向かう。
「おとーさーん!」
「おっ!! ルウ! かえったぞぉ!」
ルウをお父さんが抱っこして、微笑ましい光景に数人の兵士が集う。
私は彼らに労いの言葉を送っていると、一人の兵士が問いかけた。
「ナターリアさん、この手袋……どうやって作ったか教えてくれないか?」
「え……普通に皮や布を縫い合わせただけですが」
「だよ……な」
どういう意味だ。
なぜか皆が不思議そうな顔をしているので、私も首を傾げる。
そして彼らは、戸惑いの理由を明かした。
「この手袋を付けてから、明らかに調子がよくてな」
「俺もだ、剣が軽いっていうか……」
「新兵の僕でさえ、今日は討伐数を稼げましたからね」
いやいや、なんだか盛り上がっているが……
手袋一つで実力が大きく変わるはずはないだろう。
大げさに褒めてくれているのだろう。
「それは、皆さんの努力のおかげだと思いますよ」
「う……うーん。そう……かな……」
「手袋で変わるはずないですよ。これ……追加で編んだ物です。欲しがってた人へあげてください」
「助かるよ、他の兵士にも大人気でな。売って来るよ」
「もっと宣伝しておいてください、私の懐が潤いますから」
「じゃあ、マージンでも頂こうかな?」
私とルウパパが、ニヤニヤと商談をしていた時だった。
周囲の視線が、何故か集まっているのに気付いた。
同時に、その場の全員が喋っていた口を閉じ……即座に跪く。
いったい何が……?
「お前が、ナターリアか」
「え?」
聞こえた声に振り返れば……直ぐ後ろに男性がいて一驚してしまう。
大きな体躯に、彫刻のような顔立ちと銀糸の髪。
満月のような琥珀色の瞳が、私を見下ろしていた。
この人は……誰……?
「辺境伯様。どうしてここに……?」
跪いた兵士たちの声に、またまた虚を突かれた。
驚くのは当然だ。
辺境伯––リカルド・シルジュ様。
この領地を治めている方が、ここに居るのだから。
彼については王都でも多くの噂が広まっていた。
多くの兵士が死んだ戦場でも表情一つ変えずに剣を振るう姿を、王都では畏怖の対象として噂となっているのだ。
命に背けば、即座に首を落とされる……なんて真実かどうか分からぬ話も聞く。
「……」
そんな人が、私の名を呼んで見つめている。
掃討作戦に参加していたのだろう。
鎧は血にまみれて、頬と髪にまで付着した返り血が乾き固まっている。
そして一切表情を動かさない姿と、有無も言わさぬ威圧感に……兵士の皆さんが視線を落としていた。
「来い」
「え」
「……付いてこい。お前に話がある」
突然呼びかけられたと思えば、着いて来いとは?
周囲の兵士達は、直ぐに辺境伯様に着いて行くんだと目線で訴えてくるが……
当然、私の答えは……決まっている。
「えーと、お断りします!」
「……は?」
「学園に行きますから、それでは!」
辺境伯様に礼をして、私はルウを抱っこしてから歩き出す。
周囲の兵士が慌てて肩を掴んできた。
「え、えっとナターリアさん。相手は辺境伯様で……」
「私……今日は外せない授業があるんです!! この一か月楽しみにしてた授業が始まるんです!」
辺境伯様の要件は分からないが、私は授業の方が最優先だ。
そう思って答えれば、リカルド様は無表情のまま……首を傾げた。
「授業……だと?」
「はい、今日から魔法学が始まるんです!! 絶対外せません。用があるならその後でお願いします!」
「なぁ!?」
周囲の兵士が啞然としている中、辺境伯様は暫く黙った後……
「もういい。行け」
と、意外にもあっさりな返事をしてくれた。
ならば、もう気にする必要はないだろう。
呼び出された理由は分からないが……今は授業の方が最優先だ。
なにせ今日は……待望の魔法学の日なのだから。
自由に生きる私は、自分のやりたいことを優先すると決めている。
だから今日だけは、辺境伯様なんて気にしてられない!
8,610
お気に入りに追加
9,401
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約者を寝取られた公爵令嬢は今更謝っても遅い、と背を向ける
高瀬船
恋愛
公爵令嬢、エレフィナ・ハフディアーノは目の前で自分の婚約者であり、この国の第二王子であるコンラット・フォン・イビルシスと、伯爵令嬢であるラビナ・ビビットが熱く口付け合っているその場面を見てしまった。
幼少時に婚約を結んだこの国の第二王子と公爵令嬢のエレフィナは昔から反りが合わない。
愛も情もないその関係に辟易としていたが、国のために彼に嫁ごう、国のため彼を支えて行こうと思っていたが、学園に入ってから3年目。
ラビナ・ビビットに全てを奪われる。
※初回から婚約者が他の令嬢と体の関係を持っています、ご注意下さい。
コメントにてご指摘ありがとうございます!あらすじの「婚約」が「婚姻」になっておりました…!編集し直させて頂いております。
誤字脱字報告もありがとうございます!
【完結】「心に決めた人がいる」と旦那様は言った
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
「俺にはずっと心に決めた人がいる。俺が貴方を愛することはない。貴女はその人を迎え入れることさえ許してくれればそれで良いのです。」
そう言われて愛のない結婚をしたスーザン。
彼女にはかつて愛した人との思い出があった・・・
産業革命後のイギリスをモデルにした架空の国が舞台です。貴族制度など独自の設定があります。
----
初めて書いた小説で初めての投稿で沢山の方に読んでいただき驚いています。
終わり方が納得できない!という方が多かったのでエピローグを追加します。
お読みいただきありがとうございます。
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
【完結】お前なんていらない。と言われましたので
高瀬船
恋愛
子爵令嬢であるアイーシャは、義母と義父、そして義妹によって子爵家で肩身の狭い毎日を送っていた。
辛い日々も、学園に入学するまで、婚約者のベルトルトと結婚するまで、と自分に言い聞かせていたある日。
義妹であるエリシャの部屋から楽しげに笑う自分の婚約者、ベルトルトの声が聞こえてきた。
【誤字報告を頂きありがとうございます!💦この場を借りてお礼申し上げます】
【完結】婚約破棄される前に私は毒を呷って死にます!当然でしょう?私は王太子妃になるはずだったんですから。どの道、只ではすみません。
つくも茄子
恋愛
フリッツ王太子の婚約者が毒を呷った。
彼女は筆頭公爵家のアレクサンドラ・ウジェーヌ・ヘッセン。
なぜ、彼女は毒を自ら飲み干したのか?
それは婚約者のフリッツ王太子からの婚約破棄が原因であった。
恋人の男爵令嬢を正妃にするためにアレクサンドラを罠に嵌めようとしたのだ。
その中の一人は、アレクサンドラの実弟もいた。
更に宰相の息子と近衛騎士団長の嫡男も、王太子と男爵令嬢の味方であった。
婚約者として王家の全てを知るアレクサンドラは、このまま婚約破棄が成立されればどうなるのかを知っていた。そして自分がどういう立場なのかも痛いほど理解していたのだ。
生死の境から生還したアレクサンドラが目を覚ました時には、全てが様変わりしていた。国の将来のため、必要な処置であった。
婚約破棄を宣言した王太子達のその後は、彼らが思い描いていたバラ色の人生ではなかった。
後悔、悲しみ、憎悪、果てしない負の連鎖の果てに、彼らが手にしたものとは。
「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルバ」にも投稿しています。
婚約者の浮気現場に踏み込んでみたら、大変なことになった。
和泉鷹央
恋愛
アイリスは国母候補として長年にわたる教育を受けてきた、王太子アズライルの許嫁。
自分を正室として考えてくれるなら、十歳年上の殿下の浮気にも目を瞑ろう。
だって、殿下にはすでに非公式ながら側妃ダイアナがいるのだし。
しかし、素知らぬふりをして見逃せるのも、結婚式前夜までだった。
結婚式前夜には互いに床を共にするという習慣があるのに――彼は深夜になっても戻ってこない。
炎の女神の司祭という側面を持つアイリスの怒りが、静かに爆発する‥‥‥
2021年9月2日。
完結しました。
応援、ありがとうございます。
他の投稿サイトにも掲載しています。
【完結】婚約者の義妹と恋に落ちたので婚約破棄した処、「妃教育の修了」を条件に結婚が許されたが結果が芳しくない。何故だ?同じ高位貴族だろう?
つくも茄子
恋愛
国王唯一の王子エドワード。
彼は婚約者の公爵令嬢であるキャサリンを公の場所で婚約破棄を宣言した。
次の婚約者は恋人であるアリス。
アリスはキャサリンの義妹。
愛するアリスと結婚するには「妃教育を修了させること」だった。
同じ高位貴族。
少し頑張ればアリスは直ぐに妃教育を終了させると踏んでいたが散々な結果で終わる。
八番目の教育係も辞めていく。
王妃腹でないエドワードは立太子が遠のく事に困ってしまう。
だが、エドワードは知らなかった事がある。
彼が事実を知るのは何時になるのか……それは誰も知らない。
他サイトにも公開中。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる