44 / 75
39
しおりを挟む
「ねぇ…なんでここなの?」
「少しだけ事情がありまして…まぁこの部屋については2人とも内緒でお願いします、私に話を合わせてください」
「デイジー…本当に心配ないの?」
モネの心配する言葉に頷いて、心配させないように微笑んで答える。
「心配ありません、全て終わったら説明しますから、今は私の言葉を信じてください」
「…わかった、でも何かあったら頼ってね」
「はい」
朝日が差し込む部屋の中、モネとエリザと言葉を交わしつつ時間を過ごす。
普段であれば学園へと向かわなければならない時間であり、私達3人は揃って登校するため、いつも一緒の時間に寮から出ていくのだけど、今日は少しだけ違う日でもある…私達が支度を整えてゆっくりとしていると寮の外から声が聞こえてくる。
「皆さん、お迎えに来ました!」
元気な声で言ったのはマキナであった、手綱を握って馬を数頭連れてきて寮の外まで向かえに来てくれたのだ。
今日は騎乗競技会の本番でもある…会場までをマキナが連れて行ってくれると言ってくれていたので私達はゆっくりと過ごしていた。
マキナの声に気付いて私は部屋の窓を開いてから身を乗り出し手を振り、モネ達と外に出ていく。
眩しい朝日に少し目を細め、馬を引いて来てくれたマキナに感謝の言葉と共に頭を下げる。
「ありがとうマキナ、わざわざ迎えに来てくれて」
私の言葉にマキナは首を横に振りながら答えた。
「いえ、僕も皆さんと一緒の方が気持ちも楽ですから…しかし女性の寮は豪華ですね…デイジーさんの部屋は先ほど窓から見ていた部屋ですか?」
「…ええ、そうです」
「そうだったんですね、角部屋は羨ましいです」
他愛のない会話を交わし、私達は馬に乗せてもらい騎乗競技会への会場へと向かっていく、アイザックの練習の日々に付き合ったおかげで私達もそれなりに乗馬の技術が身についた、お尻は痛いし速く走らせたりは怖くて出来ないけど、やはり馬にまたがって進むのは気分がいい。
久々にスッキリする気分だ、悩んでいる事も今は忘れてモネ達と談笑しながら会場へ向かっていくが、私の悩みの種は常に向こうからやって来るものだ。
後方より土煙を上げ、蹄の音を鳴り響かせて馬を走らせてきた者が前方にいる私達に構いもせずに突っ切ってきたのだ。
「っ!!危ない!」
咄嗟にマキナが馬達の手綱を引いて私達を道から逸らしてくれたので難は逃れたが、下手をすれば激突して大怪我をしていた所であり危険な行為だ、怒りの声をすぐさま上げたのは血気盛んなエリザであった。
「ちょっと!!危ないじゃない!!」
声を聞いて馬を止めた者は振り返り、こちらを睨みつけた。
「ランドルフ……貴方は本当に…」
私は呆れた声を出しながらため息を吐いた、またか…という思いが溢れてくる、毛並みの良い血統馬に乗ったランドルフは後ろにローザを乗せ、私達を見ながら鼻で笑った。
「お前たちか………貧馬に乗って恥ずかしくないのか?俺がそんな馬に乗れば恥ずかしくて自殺を選んでしまうぞ」
「な!あんたね…」
言い返そうと口を開いたエリザを手で制止しながら私はニコリと微笑み、拍手をして彼を褒め称えた。
「素晴らしいです、ランドルフ…優秀な血統馬に乗ってくるのはまさに王族の証明です!」
予想外の私の言葉に彼は分かりやすく気分を良くしたのか、大きな高笑いをして私達の馬を指差した。
「騎乗競技会になぜ貴族の参加者が多いか教えてやろうか?この大会は自家の馬も参加させることは可能なのだ、知らぬ馬に乗って怪我もしては大ごとだからな、皆が勝てる血統馬を連れてくる…この学園の貧しい厩舎で育っている貧馬如きを連れてくるなど噴飯ものだぞ!」
「本当に素晴らしい馬ですね!!」
「ふはは!!そうだろう、デイジーよお前には呆れていたが見る目はあるようだな」
私は笑顔を絶やさずにランドルフに言葉を返した。
「それに比べて、貴方はとても情けないですねランドルフ」
「は?」
「そうやって目立つ白馬に乗って、血統馬を自慢しているのは自信の無さが露呈していますよ?…今回の騎乗競技会で優勝でもして舞踏会での恥を払拭したい事が透けて見えますね、貴方の情けない姿と裏の顔がばれて学園での王子としての立場が危ういですものね?ランドルフ」
「な!!き、貴様…言わせておけば…」
「あら?当たっておりましたか?」
「不敬な!この国の王子であるこの俺に対して許されぬ発言だぞデイジー!」
「王子という自覚があるのなら、それらしい振る舞いをしてください…先程の暴走行為も無駄に馬を興奮させ疲れさせるだけです、それにマキナが咄嗟に手綱を引いてくれなければ私達も怪我をしていたかもしれませんよ?女性達を怪我させて無責任で済むとでも?よく考えて行動されては?」
「ぐ…こ…この!」
返す言葉も無く、怒りだけが先行して理性を無くした彼は拳を握り、馬に乗った私に近づいてそのまま拳を振り上げた。
拳がそのまま下ろされ、私に理性を失った獣のような暴力を行おうとしたランドルフであったが私を含めてモネやエリザ、マキナの反応は冷静であり、叫ぶ者や焦った者は誰もいなかった…なぜか?ランドルフの後方より近づいていた彼の姿が見えていたからだ。
「何をしている貴様」
ランドルフの拳が下ろされる前に止めたのは、同じくマキナが世話をしていた厩舎の馬に乗ったアイザックであった、彼の瞳は怒りを宿しながらランドルフを睨みつけながら、その怒りはランドルフを王子として見ていなかった。
「ランドルフ…貴様は何をしようとしていた?…答えろ!」
威圧し、叫んだアイザックは私でさえ恐怖を感じるほどであった、それを真に受けたランドルフは少し瞳に涙が浮かんでいるほどに怯えていた。
私も少しだけ怖いと思ってしまったが、それ以上にアイザックが私のために怒ってくれている事に嬉しいと感じていた。
「少しだけ事情がありまして…まぁこの部屋については2人とも内緒でお願いします、私に話を合わせてください」
「デイジー…本当に心配ないの?」
モネの心配する言葉に頷いて、心配させないように微笑んで答える。
「心配ありません、全て終わったら説明しますから、今は私の言葉を信じてください」
「…わかった、でも何かあったら頼ってね」
「はい」
朝日が差し込む部屋の中、モネとエリザと言葉を交わしつつ時間を過ごす。
普段であれば学園へと向かわなければならない時間であり、私達3人は揃って登校するため、いつも一緒の時間に寮から出ていくのだけど、今日は少しだけ違う日でもある…私達が支度を整えてゆっくりとしていると寮の外から声が聞こえてくる。
「皆さん、お迎えに来ました!」
元気な声で言ったのはマキナであった、手綱を握って馬を数頭連れてきて寮の外まで向かえに来てくれたのだ。
今日は騎乗競技会の本番でもある…会場までをマキナが連れて行ってくれると言ってくれていたので私達はゆっくりと過ごしていた。
マキナの声に気付いて私は部屋の窓を開いてから身を乗り出し手を振り、モネ達と外に出ていく。
眩しい朝日に少し目を細め、馬を引いて来てくれたマキナに感謝の言葉と共に頭を下げる。
「ありがとうマキナ、わざわざ迎えに来てくれて」
私の言葉にマキナは首を横に振りながら答えた。
「いえ、僕も皆さんと一緒の方が気持ちも楽ですから…しかし女性の寮は豪華ですね…デイジーさんの部屋は先ほど窓から見ていた部屋ですか?」
「…ええ、そうです」
「そうだったんですね、角部屋は羨ましいです」
他愛のない会話を交わし、私達は馬に乗せてもらい騎乗競技会への会場へと向かっていく、アイザックの練習の日々に付き合ったおかげで私達もそれなりに乗馬の技術が身についた、お尻は痛いし速く走らせたりは怖くて出来ないけど、やはり馬にまたがって進むのは気分がいい。
久々にスッキリする気分だ、悩んでいる事も今は忘れてモネ達と談笑しながら会場へ向かっていくが、私の悩みの種は常に向こうからやって来るものだ。
後方より土煙を上げ、蹄の音を鳴り響かせて馬を走らせてきた者が前方にいる私達に構いもせずに突っ切ってきたのだ。
「っ!!危ない!」
咄嗟にマキナが馬達の手綱を引いて私達を道から逸らしてくれたので難は逃れたが、下手をすれば激突して大怪我をしていた所であり危険な行為だ、怒りの声をすぐさま上げたのは血気盛んなエリザであった。
「ちょっと!!危ないじゃない!!」
声を聞いて馬を止めた者は振り返り、こちらを睨みつけた。
「ランドルフ……貴方は本当に…」
私は呆れた声を出しながらため息を吐いた、またか…という思いが溢れてくる、毛並みの良い血統馬に乗ったランドルフは後ろにローザを乗せ、私達を見ながら鼻で笑った。
「お前たちか………貧馬に乗って恥ずかしくないのか?俺がそんな馬に乗れば恥ずかしくて自殺を選んでしまうぞ」
「な!あんたね…」
言い返そうと口を開いたエリザを手で制止しながら私はニコリと微笑み、拍手をして彼を褒め称えた。
「素晴らしいです、ランドルフ…優秀な血統馬に乗ってくるのはまさに王族の証明です!」
予想外の私の言葉に彼は分かりやすく気分を良くしたのか、大きな高笑いをして私達の馬を指差した。
「騎乗競技会になぜ貴族の参加者が多いか教えてやろうか?この大会は自家の馬も参加させることは可能なのだ、知らぬ馬に乗って怪我もしては大ごとだからな、皆が勝てる血統馬を連れてくる…この学園の貧しい厩舎で育っている貧馬如きを連れてくるなど噴飯ものだぞ!」
「本当に素晴らしい馬ですね!!」
「ふはは!!そうだろう、デイジーよお前には呆れていたが見る目はあるようだな」
私は笑顔を絶やさずにランドルフに言葉を返した。
「それに比べて、貴方はとても情けないですねランドルフ」
「は?」
「そうやって目立つ白馬に乗って、血統馬を自慢しているのは自信の無さが露呈していますよ?…今回の騎乗競技会で優勝でもして舞踏会での恥を払拭したい事が透けて見えますね、貴方の情けない姿と裏の顔がばれて学園での王子としての立場が危ういですものね?ランドルフ」
「な!!き、貴様…言わせておけば…」
「あら?当たっておりましたか?」
「不敬な!この国の王子であるこの俺に対して許されぬ発言だぞデイジー!」
「王子という自覚があるのなら、それらしい振る舞いをしてください…先程の暴走行為も無駄に馬を興奮させ疲れさせるだけです、それにマキナが咄嗟に手綱を引いてくれなければ私達も怪我をしていたかもしれませんよ?女性達を怪我させて無責任で済むとでも?よく考えて行動されては?」
「ぐ…こ…この!」
返す言葉も無く、怒りだけが先行して理性を無くした彼は拳を握り、馬に乗った私に近づいてそのまま拳を振り上げた。
拳がそのまま下ろされ、私に理性を失った獣のような暴力を行おうとしたランドルフであったが私を含めてモネやエリザ、マキナの反応は冷静であり、叫ぶ者や焦った者は誰もいなかった…なぜか?ランドルフの後方より近づいていた彼の姿が見えていたからだ。
「何をしている貴様」
ランドルフの拳が下ろされる前に止めたのは、同じくマキナが世話をしていた厩舎の馬に乗ったアイザックであった、彼の瞳は怒りを宿しながらランドルフを睨みつけながら、その怒りはランドルフを王子として見ていなかった。
「ランドルフ…貴様は何をしようとしていた?…答えろ!」
威圧し、叫んだアイザックは私でさえ恐怖を感じるほどであった、それを真に受けたランドルフは少し瞳に涙が浮かんでいるほどに怯えていた。
私も少しだけ怖いと思ってしまったが、それ以上にアイザックが私のために怒ってくれている事に嬉しいと感じていた。
215
お気に入りに追加
5,790
あなたにおすすめの小説
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
今さら後悔しても知りません 婚約者は浮気相手に夢中なようなので消えてさしあげます
神崎 ルナ
恋愛
旧題:長年の婚約者は政略結婚の私より、恋愛結婚をしたい相手がいるようなので、消えてあげようと思います。
【奨励賞頂きましたっ( ゚Д゚) ありがとうございます(人''▽`)】 コッペリア・マドルーク公爵令嬢は、王太子アレンの婚約者として良好な関係を維持してきたと思っていた。
だが、ある時アレンとマリアの会話を聞いてしまう。
「あんな堅苦しい女性は苦手だ。もし許されるのであれば、君を王太子妃にしたかった」
マリア・ダグラス男爵令嬢は下級貴族であり、王太子と婚約などできるはずもない。
(そう。そんなに彼女が良かったの)
長年に渡る王太子妃教育を耐えてきた彼女がそう決意を固めるのも早かった。
何故なら、彼らは将来自分達の子を王に据え、更にはコッペリアに公務を押し付け、自分達だけ遊び惚けていようとしているようだったから。
(私は都合のいい道具なの?)
絶望したコッペリアは毒薬を入手しようと、お忍びでとある店を探す。
侍女達が話していたのはここだろうか?
店に入ると老婆が迎えてくれ、コッペリアに何が入用か、と尋ねてきた。
コッペリアが正直に全て話すと、
「今のあんたにぴったりの物がある」
渡されたのは、小瓶に入った液状の薬。
「体を休める薬だよ。ん? 毒じゃないのかって? まあ、似たようなものだね。これを飲んだらあんたは眠る。ただし」
そこで老婆は言葉を切った。
「目覚めるには条件がある。それを満たすのは並大抵のことじゃ出来ないよ。下手をすれば永遠に眠ることになる。それでもいいのかい?」
コッペリアは深く頷いた。
薬を飲んだコッペリアは眠りについた。
そして――。
アレン王子と向かい合うコッペリア(?)がいた。
「は? 書類の整理を手伝え? お断り致しますわ」
※お読み頂きありがとうございます(人''▽`) hotランキング、全ての小説、恋愛小説ランキングにて1位をいただきました( ゚Д゚)
(2023.2.3)
ありがとうございますっm(__)m ジャンピング土下座×1000000
※お読みくださり有難うございました(人''▽`) 完結しました(^▽^)
記憶を失くした彼女の手紙 消えてしまった完璧な令嬢と、王子の遅すぎた後悔の話
甘糖むい
恋愛
婚約者であるシェルニア公爵令嬢が記憶喪失となった。
王子はひっそりと喜んだ。これで愛するクロエ男爵令嬢と堂々と結婚できると。
その時、王子の元に一通の手紙が届いた。
そこに書かれていたのは3つの願いと1つの真実。
王子は絶望感に苛まれ後悔をする。
王子が主人公のお話です。
番外編『使える主をみつけた男の話』の更新はじめました。
本編を読まなくてもわかるお話です。
お飾りの側妃ですね?わかりました。どうぞ私のことは放っといてください!
水川サキ
恋愛
クオーツ伯爵家の長女アクアは17歳のとき、王宮に側妃として迎えられる。
シルバークリス王国の新しい王シエルは戦闘能力がずば抜けており、戦の神(野蛮な王)と呼ばれている男。
緊張しながら迎えた謁見の日。
シエルから言われた。
「俺がお前を愛することはない」
ああ、そうですか。
結構です。
白い結婚大歓迎!
私もあなたを愛するつもりなど毛頭ありません。
私はただ王宮でひっそり楽しく過ごしたいだけなのです。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
どうぞご勝手になさってくださいまし
志波 連
恋愛
政略結婚とはいえ12歳の時から婚約関係にあるローレンティア王国皇太子アマデウスと、ルルーシア・メリディアン侯爵令嬢の仲はいたって上手くいっていた。
辛い教育にもよく耐え、あまり学園にも通学できないルルーシアだったが、幼馴染で親友の侯爵令嬢アリア・ロックスの励まされながら、なんとか最終学年を迎えた。
やっと皇太子妃教育にも目途が立ち、学園に通えるようになったある日、婚約者であるアマデウス皇太子とフロレンシア伯爵家の次女であるサマンサが恋仲であるという噂を耳にする。
アリアに付き添ってもらい、学園の裏庭に向かったルルーシアは二人が仲よくベンチに腰掛け、肩を寄せ合って一冊の本を仲よく見ている姿を目撃する。
風が運んできた「じゃあ今夜、いつものところで」という二人の会話にショックを受けたルルーシアは、早退して父親に訴えた。
しかし元々が政略結婚であるため、婚約の取り消しはできないという言葉に絶望する。
ルルーシアの邸を訪れた皇太子はサマンサを側妃として迎えると告げた。
ショックを受けたルルーシアだったが、家のために耐えることを決意し、皇太子妃となることを受け入れる。
ルルーシアだけを愛しているが、友人であるサマンサを助けたいアマデウスと、アマデウスに愛されていないと思い込んでいるルルーシアは盛大にすれ違っていく。
果たして不器用な二人に幸せな未来は訪れるのだろうか……
他サイトでも公開しています。
R15は保険です。
表紙は写真ACより転載しています。
愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす
リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」
夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。
後に夫から聞かされた衝撃の事実。
アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。
※シリアスです。
※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。
【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断
Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。
23歳の公爵家当主ジークヴァルト。
年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。
ただの女友達だと彼は言う。
だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。
彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。
また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。
エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。
覆す事は出来ない。
溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。
そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。
二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。
これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。
エルネスティーネは限界だった。
一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。
初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。
だから愛する男の前で死を選ぶ。
永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。
矛盾した想いを抱え彼女は今――――。
長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。
センシティブな所へ触れるかもしれません。
これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる